新規な紐状炭素の製造 九州工業大学 工学部 物質工学科 応用化学コース 准教授 坪田 敏樹 1 研究背景 下水処理場では、多量のメタンガスが発生している。 このメタンガスの有効利用の方法として、ボイラーの燃料、ガス 発電の燃料、燃料電池用の燃料、などが実用化、検討されている。 しかし、 ・大規模な施設でなければ採算がとれない ・使用量以上に発生 ・技術的に課題が残る などの課題があり、多くの小規模下水処理場では、発生したメタン ガスを燃焼させて、二酸化炭素として大気中に放出している。 2 ・阿蘇黄土を触媒として熱CVDを行い、メタンガスを固体炭素 に固定化する。大気中に放出する二酸化炭素の量を減少さ せて、かつ炭素材料を安価に製造する。 3 μm 反応後の析出物のSEM像 (合成条件: 900℃×6h) 析出物の写真 → 磁石に引き付けられる 3 従来技術とその問題点 下水処理場から発生するメタンガスの有効利用方法として、 ボイラーの燃料、ガス発電の燃料、燃料電池用の燃料、などが 実用化、検討されている。 しかしながら、 ・大規模な施設でなければ採算がとれない(ガス発電) ・使用量以上に発生(ボイラー) ・技術的に課題が残る(燃料電池) といった問題がある。特に小規模な下水処理場では、効果的な 利用方法が限られる。 4 新技術の特徴・従来技術との比較 • 阿蘇黄土を触媒として熱CVDを行い、メタンガスを固体炭素 に固定化する。 • 大気中に放出する二酸化炭素の量を減少させ、かつ炭素材 料を安価に製造する。 • 阿蘇黄土が安価なので、熱源として発生したメタンガスを使 用すれば、二酸化炭素の量を減少させ、かつ炭素材料を安 価に製造できる。 5 想定される用途 • 下水処理場(特に小規模)での使用 → 放出する二酸化炭素の抑制 • 磁力で回収できる吸着材 → 表面積の増大が課題 • 電磁波シールド → 還元された酸化鉄を 炭素で包摂した構造 150 nm 析出物のTEM写真 6 想定される業界 • 想定されるユーザー 全国の下水処理場 • 想定される市場規模 メタン発酵を行っている下水処理場等:全国に 300ヶ所 飲料メーカー、食品加工メーカーなど排水処理 施設を保有している企業 7 実用化に向けた課題 • 現在、阿蘇黄土を触媒として固体炭素が析 出することについては実証済み。しかし、合 成温度の低温化が未解決である。 • 今後、合成温度の低温化について実験デー タを取得し、条件設定を行っていく。 • 実用化に向けて、固体炭素への変換率を向 上させる技術を確立する必要もある。 8 企業への期待 • 未解決の合成温度の低温化、固体炭素への 変換率を向上については、触媒元素を担持 する技術により克服できると考えている。 • Niめっき廃液などを検討している。 9 本技術に関する知的財産権 ・発明の名称 ・出願番号 ・出願人 ・発明者 :紐状炭素及びその利用方法 並びにその製造方法 :特願2006-122740 :九州工業大学、熊本県、 株式会社日本リモナイト :坪田敏樹、末永知子、蔵本厚一 10 お問い合わせ先 九州工業大学 産学連携推進センター 島谷 哲雄 TEL 093-884-3485 FAX 093-881-6207 e-mail office@ccr.kyutech.ac.jp 11
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