水素遠元法によるAMS法炭素一 ー 4妻貝ー]定のための

水素還元法 によるAM S法炭素 - 14測定 のための
グ ラフ ァイ トター ゲ ッ トの作成法
北川浩之
1
増 滞 敏 行
山 口和 典*
松 本英二
は じめ に
中村 俊 夫 I
度 よ い 測 定 が で き る ター ゲ ッ トの作 成 方 法
の確 立 が必 要 で あ る.
M S法 と略 記 )
加 速 器 質 量 分 析 法 (以 下 AI
本 報 告 で は, 二 酸 化 炭 素 の状 態 を経 な け
は, 超 微 量 の炭 素 - 14濃 度 の測 定 法 と し
れ ば な らな い試 料 , また は 1 mg以 下 の炭
て , 地 球 科 学 , 考 古 学 な どの分 野 に お い て
素 を含 む微 量 試 料 で現 代 炭 素 の混 入 率 が 低
注 目 され て い る. A M S法 で偲 , 数 十 マ イ
く (低 バ ック グ ラ ン ド),精 度 良 い測 定 が 可
ク ロ グ ラム程 度 の炭 素 の微 量 試 料 で , 精 度
能 な 夕- ゲ ッ トの作 成 方 法 につ いて述 べ る.
よい炭 素 - 14 測 定 が可 能 で あ る (
Voge
le
t
また, 調 整 され た ター ゲ ッ トの 化 学 的 ・物
αリ 9
84). しか し, 扱 う試 料 が微 量 に な る
理 的 特 徴 (現 代 炭 素 の混 入 率 , 同位 体 分 別
と試 料 調 整 の段 階 で の現 代 の炭 素 (現 代 炭
効 果 , イ オ ン ビー ム強 度 ・安 定 度 な ど) に
莱 ) の 混 入 の 寄 与 が 増 大 し, 測 定 可能 な年
つ いて も述 べ る.
代 が 限 られ て しま う.
現 在 , 名 古 屋 大 学 の タ ンデ トロ ン加 速 器
質 量 分 析 計 を使 用 して , 有 機 物 を そ の ま ま
2
AM S法 の ター ゲ ッ トの作 成 方 法
炭 化 させ る方 法 で は 6万 年 (0.
03%現 代 炭
素 の混 入 )まで の年 代 測定 が可能 で あ る. し
A M S法 に よ り炭 素 - 14 測 定 をす るた
か し, 炭 酸 カ ル シ ウ ムか ら構 成 され る員 化
め に は, 試 料 の炭 素 を 固 体 状 炭 素 にす る必
石 や 堆 積 物 中 の 有 機 態 炭 素 の よ うに, い っ
要 が あ る.試 料 の 二 酸 化 炭 素 か ら固 体 状 炭
た ん二 酸 化 炭 素 に し,再度 アモ ル ファス (罪
素 の作 成 方 法 と して , 1) マ グ ネ シウ ムを
晶 質 ) 炭 素 に還 元 す る方 法 で は, 試 料 炭 素
用 い二 酸 化 炭 素 を還 元 し, ア モ ル フ ァ ス炭
の量 の 減 少 に と もな い現 代 炭 素 の混 入 率 の
kamur
ae
tal
.
,1985:
吉川他,
素 を得 る (Na
増 加 が み られ , 十 数 ミ リグ ラムの炭 素 を 含
1
987), 2) 二 酸 化 炭 素 を金 属 リチ ウ ム と
む試 料 で , 3万 年 前 後 (1%以 上 現 代 炭 素
反 応 させ , ア セ チ レ ンを 合成 , 交 流 電 圧 で
の混 入 ) の測 定 しか 出 来 な い. A M S法 に
分 解 しア ル ミニ ウ ム電 極 上 に グ ラ フ ァイ ト
よ る炭 素 - 1 4 の測 定 を有 効 に活 用 す るた
を形 成 す る (Gl
l
r
丘nke
l
,1
987), 3)鉄 を触
め に は, この試 料 調 整 段 階 で の現 代 炭 素 の
媒 と して , 水 素 で 二 酸 化 炭 素 を グ ラ フ ァ イ
混 入 を で き るだ け抑 え, 微 量 の試 料 で も精
トに還 元 す る (Vo
ge
le
tal
・
,1
984,1
987),
の 3 つ の方 法 に大 別 で き る. 1) の マ グ ネ
*
名古屋大学水圏科学研究所
十
年代資料研究センター
シウム を用 い る方 法 は, 湿 式 処 理 に と もな
- 11
3-
図 1‥炭 素 還 元 ラ イ ンの 概 略 図 .(
Fi
g・1.Sc
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ppar
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い , 現 代 炭 素 の 混 入 の 可 能 性 が 大 き く, ま
3
た 回 収 率 が 低 い . ま た 作 成 され る 固 体 状 炭
方法
水 素 還 元 法 に よ る タ ー ゲ ッ トの 作 成
素 は , 電 気 伝 導 性 が な い ア モ ル フ ァ スの 炭
素 の た め , 銀 な どの 金 属 を 混 ぜ る必 要 が あ
r
ge
lらが 初 め て ,AM S法
本 方 法 は , Vo
る (A M S法 の タ ー ゲ ッ トは, 電 気 伝 導 性
に よ る炭 素 - 14 測 定 の タ - ゲ
が 必 要 で あ る.
). これ は AMS法 の炭 素 -
適 用 した , 鉄 を 触 媒 と して 二 酸 化 炭 素 を 水
14測 定 の 際 の イ オ ン ビー ム の 強 度 の低 下
素 ガ ス に よ り グ ラ フ ァ イ トに還 元 す る方 法
2)及 び 3) の方 法 は , AMS法
(水 素 還 元 法 ) を改 良 した もの で あ る. この
を 伴 う.
の 炭 素 - 14測 定 で 最 も適 して い る と考 え
られ て い る電 気 伝 導 性 を もつ グ ラ フ ァ イ ト
(結 晶質 性 炭 素 ) が 作 成 され る.特 に 3) の
ッ
ト作 成 に
反 応 は 次 式 に総 括 され る.
6500c
c2+2H2- C + 2
H
0
2
0
Fe
方 法 は , タ ー ゲ ッ トの作 成 過 程 に お け る現
代 炭 素 の 混 入 率 が 低 く, 強 い イ オ ン ビー ム
が 得 られ る こ とか ら, 最 近 , AMS法 の 炭
タ ー ゲ ッ ト作 成 に は 図 1に示 す 炭 素 還 元
莱 - 1 4 測 定 の た め の タ ー ゲ ッ ト作 成 方 法
ライ ンを用 い た . グ リー スを用 い る真 空 コ ッ
と して 注 目 を 浴 び て い る. 今 回 は , 3) の
ク を用 い た 真 空 ラ イ ンで は, 試 料 ガ ス が グ
方 法 に よ り固 体 状 炭 素 を 得 た .
リス に 吸 着 す るた め , 試 料 調 製 の 誤 差 あ る
い は現 代 炭 素 の混 入 を 引 き起 こす と考 え ら
984).特 に微 量 の試 料 を
れ る (和 田 ・他 ,1
扱 う と き は大 きな 問 題 と な る た め , す べ て
- 11
4-
グ リー ス レ ス コ ッ ク を用 い た .
触 媒 は,純 度 9
9.
9%以 上 ,粉 末 状 (32
5メ
1 6
.3←
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c
hChe
mi
ca
lCompany
ッ シュ) の鉄 (Al
l
nc.)を用 いた .市 販 の鉄 粉 末 に は粉 末 化 の
際 に用 い られ る有 機 物 が 付 着 して い る可 能
性 が あ る. ま た表 面 が 酸 化 され て い る こ と
が 予 期 され る. した が って , 反 応 前 に,0.
5
気 圧 の純 水 素 中 で 加 熱 (450 c
c )す る こと
で , 含 有 物 を 除 き, また 酸 化 され た表 面 を
再 還 元 した .
反 応 容 器 は ,外 径 9 mm , 内 径 7 mm の
バ イ コー ル管 を用 い た . 用 い た バ イ コー ル
←
管 は片 端 を封 じ,バ イ コー ル管 に付 着 して い
- 6.
0
る炭 素 物 質 を 除 くた め に あ らか じめ 1
000o
C
-mm
>
で 加 熱 した .
ま ず , 鉄 粉 を 1 mg程 度 (鉄 粉 の量 に関
1
1
m , 長 さ 1 cm の
して は後 述 ) を外 径 6 1
図 2
:微 量 試 料 用 タ ー ゲ ッ トホ ル ダー (
Fi
g.
バ イ コー ル管 か ら作 成 した カ ップ に計 り と
2. Ta
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る. これ を反 応 容 器 の バ イ コ1
-ル管 に い れ ,
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.
)
そ の 口 に グ リス レ ス コ ックを Ca
j
oI
lジ ョイ
ン トを 介 して J lで つ な い
■だ . これ を真 空
比 が 2.
1と な る よ うに変 え た .
ラ イ ンの J 2 に つ な ぎ十 分 に排 気 す る. 吹
この反 応 容 器 の下 部 を電 気 炉 中 に入 れ
に約 0.
5気 圧 の 水 素 ガ ス を 真 空 ラ イ ンに導
650o
C (± 5o
C)で 4 か ら 6時 間加 熱 し,読
入 し, コ ッ ク を締 め 真 空 ラ イ ンか ら取 り外
料 の二 酸 化 炭 素 を 水 素 で 還 元 した . 還 元 を
す . こ の容 器 の下 部 を 45
0度 で 1時 間 加 熱
始 め て 1時 間 程 度 た っ と反 応 容 器 の上 部 に
後 , 再 度 真 空 ラ イ ンに つ な ぎ, 水 素 ガ ス を
水 滴 が 見 られ る.
排 気 す る.
還 元 後 , 少 量 試 料 を 扱 うた め に新 し く製
二 酸 化 炭 素 を含 む試 料 ガ スは,一 旦 トラッ
作 した ター ゲ ッ トホ ル ダ ー (図 2) の 直 径
プ T lに液体 窒 素 (
1
96o
C)で捕 集 す る.捕
1
.
5mm の穴 に,触 媒 の鉄 粉 と もに ,直 接 プ
集 され な い不 純 ガ ス (窒 素 な ど) を真 空 ポ
レス しタ ー ゲ ッ トを成 形 した . A M S法 に
ンプ で 排 気 した後 , トラ ップ T lを n - ペ
よ る炭 素 - 14測 定 は,中村 ・中井 (1
988)
ンタ ンー 液 体 窒 素 (
1
27o
C) に替 え , 二 酸
に報 告 され た 方 法 に よ る.
化 炭 素 を トラ ップ T 2に移 し, デ ジタ ル マ
ノ メー ター (M ) で 測 圧 す る (体 積 6.
1
2l
T
l
]
-STP).そ の後 ,二 酸 化 炭 素 を反 応 容 器 の
4
作 成 され た タ ー ゲ ッ トの 特 徴
バ イ コ ー ル管 下 部 に移 し, 圧 力 を み な が ら
∫3か ら水 素 ガ ス を 導 入 す る.
. 水 素 ガ ス導
入 後 , ガ スバ ー ナ ー (天 然 ガ ス ー酸 素 ) 杏
4. 1 反 応 の収 率 及 び 同 位 体 分 別 効 果
用 い バ イ コ ー ル管 を 焼 き切 っ た. 焼 き切 る
位 置 はバ イ コ一
一ル管 内 の水 素 /
//
二酸化炭素
5ー 11
A M S法 に よ る炭 素 - 14測 定 を よ り高
F
2
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2
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図 3:反 応 収 率 と同位 体 分 別 効 果 . (
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A613c
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J
0
-2
0
図 4: 反 応 前 の 反 応 容 器 内 の 二 酸 化 炭 素
分 圧 (pCO 2) と同 位 体 分 別 効 果 (△∂13C
精度 で行 な うた め に は,ターゲ ッ ト作成 過 程
) の 関 係 .(
Fi
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・
-
の 同 位 体 分 別 を小 さ くす る必 要 が あ る, 刺
C-613
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pCO 2). (
A)
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mmHg (
B)
1
00
1
50mmHg (
C)
1
5
0
2
00
mmHg(
D)O
、
′
e
r200mmHg・
)
え ば, タ ー ゲ ッ ト作 成 の前 後 にお い て , 安
0パ ー ミル変
定 炭 素 同 位 体 比 (∂ 13C ) が 1
化す ると 8
0年 の年 代 誤 差 を生 じる.
この 同位 体 分 別 効 果 を見 積 るた め に, タ
ー ゲ ッ ト作 成 前 の試 料 ガ スの 一部 ,また この
同 じ試 量 ガ スか ら作 成 され た ター ゲ ッ トを
98
7),
再度 燃 焼 し二 酸化 炭素 に変 え (北 川 ,1
そ の安 定 炭 素 同位 体 比 を ガ ス イ オ ンソ ー ス
nni
ga
・
nMAT251) を用
の質 量 分 析 計 (Fi
炭 素 - 14 の計 測 に は問 題 とな らな い (年
0年 ). 同 位 体 分 別 効 果 を小
代 換 算 で約 2
さ くす る為 に は, 反 応 収 率 を上 げ る必 要 が
あ る.
い測 定 した . この試 料 作 成 の前 後 の安 定 炭
図 4 に は, 反 応 前 の反 応 容 器 内 の二 酸 化
C ) か ら同 位
炭 素 の分 圧 (pCO 2) と同位 体 分 別 効 果 の関
体 分 別 効 果 を求 め た . また , 再 燃 焼 で得 ら
係 を示 した. 反 応 容 器 内 の二 酸 化 炭 素 の分
れ た ガ スの体 積 か ら,反 応 の収 率 を求 め た.
圧 が高 い状 態 で の反 応 は, 同位 体 分 別 効 果
図 3に は反 応 の収 率 と同 位 体 分 別 効 果 の 関
が小 さ くな る傾 向 が あ る. つ ま り反 応 時 の
係 を示 した . 反 応 の収 率 が 低 下 す る と大 き
二 酸 化 炭 素 の分 圧 が 高 い状 態 で 還 元 を行 え
な同 位 体 分 別 が起 き る こ とが分 か る. 反 応
ば, よ り完 全 に反 応 が進 み, 同 位 体 分 別 効
が 70- 80% が起 き る と同 位 体 分 別 効 果
果 を小 さ くす る こ とが 可 能 で あ る.反 応 時
を 2 - 3 パ - ミル程 度 に抑 え る こ とが で き,
の二 酸 化 炭 素 分 圧 を高 くす るた め に は, 読
素 同 位 体 比 の 変 化 (△
∂ 13
- 11
6-
C/Feの重 量 比 ) の関 係 を 図 5に示 した . イ
オ ン ビ- ム の 強 度 は AM S法 の 炭 素 - 14
測 定 で 最 も適 して い る と考 え られ て い る天
然 グ ラ フ ァイ トか ら得 られ る 13 C 3+ ィ ォ ン
ビー ムに対 す る作 成 され た タ- ゲ ッ トの 13 C
1
0
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畠 .
C
3C.
(
3+ィ ォ
0
5に示 され る よ うに,C/Fe比 の増 加 に と も
〇
〇〇
0
O
な い強 い イ オ ン ビ- ムが 得 られ る.C/Fe比
が 1 (例 え ば,鉄 1
mg,炭 素 1
mg)で作 成
0
00
0
0
000
0
0
o ec0
ン ビー ム の強 度 比 と して 示 した . 図
され た ター ゲ ッ トの イ オ ン ビ- ム は, 天 然
0
グ ラ フ ァ イ トか ら得 られ るの イ オ ン ビー ム
とは ぼ同程 度 得 られ る.これ は アモ ル フ ァス
O
0
炭 素 と銀 の 混 合 物 か ら調 整 され た タ ー ゲ ッ
トの 3 か ら 4 倍 の イ オ ン ビー ム強 度 で あ る.
通 常 の 測 定 に お い て (統 計 誤 差 1% , 年 代
o
に換 算 して ± 8 0年 ), 現 代 の 炭 素 試 料 に
h
t
)
・
0
o・
Sc/Fe(
y
veb
1
関 して は 1
5分 程 度 で , 1万 年 前 の 試 料 で
約 1時 間 以 内 で 測 定 を終 え る こ とが 可 能 で
図 5:触 媒 の 鉄 の 含 有 率 と イ オ ン ビ- ム強
あ る.
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4. 3 作 成 され た タ ー ゲ ッ トの イ オ ン
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o・
)
ビー ム の安 定 度
料 の量 に よ って 反 応 容 器 の 体 積 を 変 え る必
要 が あ る. そ の た め バ イ コ一
一ル管 を封 じ切
水 素 還 元 法 で 作 成 した タ ー ゲ ッ トの イ オ
る長 さ は, 試 料 の量 に よ り変 え た . 通 常 の
ン ビー ム の安 定 度 を見 る た め に長 時 間 測 定
試 料 作 成 で は , 反 応 の際 の 二 酸 化 炭 素 分 圧
を行 な った 結 果 にを 図 6に示 す.試 料 は,戻
を 200
mmHg以 上 で 行 い, 同 位 体 分 別 効 果
莱 - 14年 代 測定 の 国際 標 準 の篠 酸 (1
4C濃
を小 さ く し, 反 応 収 率 を高 め た .
度 の 95% が 年 代 換 算 0年 ) の 1mg炭 素 か
ら作 成 した. 12時 間 の連 続 測定 で炭 素 - 1
4は合 計 2 0万 カ ウ ン ト (統 計 誤 差 0.
2% ,
4. 2
作 成 され た タ ー ゲ ッ トの イ オ ン
ビー ム 強 度
年 代 換 算 ± 1 6年 ) 計 測 され た . 測 定 開 始
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で 1
2時 間 後 に は 1
00
cpm ま で 低 下 して い
AM S法 に よ る炭 素 - 1∠
L計 測 数 を大 き
る. 通 常 の 測 定 (統 計 誤 差 1% ) に要 す る
くす る為 に は , 強 い イ オ ン ビ- ム が 得 られ
時 間 ,約 15分 で は,ほ とん どイ オ ン ビー ム
る (炭 素 ⊥ 14 の計 測 効 率 の高 い)ター ゲ ッ
強 度 の 低 下 は見 られ な い . ま た 計 数 効 率 の
トを 作 成 す る必 要 が あ る.
低 下 に 伴 う1
4
C/1
3
C 比 の変 化 は な く, イ オ
作 成 され た ター ゲ ッ トの イ オ ン ビー ム強
度 と, 触 媒 に用 い た 鉄 と試 料 の炭 素 の比 (
- 117-
ン ビー ムが非 常 に よ く安 定 して い る こ とか
ら,高 精 度 な炭 素 - 14測 定 が 可 能 で あ る.
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図 6:N BS篠 酸 (NBSSRM 49
90,1
mg炭 素 を 含 む ) か ら作 成 され た タ ー ゲ ッ トの長 時
4
0秒 1
5回 の測 定 の 標 準 偏 差 (1C
,
) を 示 す ・(
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間測定 の一 例 .誤 差 は 5
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)
封 入 し, 850oC で 燃 焼 し二 酸 化 炭 素 に変 え
5 パ ック グ ラ ン ド試 料 の 測 定
(北 川 ,1
987), 水 素 還 元 法 を用 い グ ラ フ ァ
イ トタ ー ゲ ッ トに した .
試 料 調 製 の 際 の現 代 炭 素 の混 入 率 を推 定
す る た め に , 炭 素 - 14 を 含 ま な い (バ ッ
ク グ ラ ン ド) と考 え られ る夕 張 炭 田 か ら採
集 され た石 炭 か らタ ー ゲ ッ トを作 成 し,
A
M S法 に よ り,炭 素 - 14 を測 定 を行 った .
石 炭 試 料 は , 現 代 炭 素 の 汚 染 を 除 くた め
に酸 ・ア ル カ リに よ る洗 浄 ,また大 気 中 の二
図 7 に石 炭 の炭 素 - 14 測 定 の結 果 を 示
す.炭素 - 14 の濃 度 は,現 代 炭 素 (国 際 標
SRM499
0,濃 度 の 95 % )
準 の 篠 酸 , NBS
の濃 度 に対 す る比 (現 代 炭 素 混 入 率 )と して
示 して い る. 現 代 炭 素 の混 入 率 は平 均 0
・
11
% で , 年 代 換 算 で 5万 5千 年 で あ る.
酸 化 炭 素 の 吸 着 を 除 くた め に真 空 中 で加 熱
名 古 屋 大 学 年 代 資料 研 究 セ ン ター に 設 置
処 理 を した . この よ うな前 処 理 を施 した 石
され て い る タ ンデ トロ ン加 速 器 質 量 分 析 計
炭 は, 酸 化 剤 (8
50 C で 加 熱 す る こ とで塵
o
の バ ック グ ラ ン ド (天 然 グ ラファイ トを直接
や有 機 物 を除 い た酸 化 銅 ) と共 に バ イ コー
測 定 ) は年 代 換 算 で 6万 5千 年 で あ る. 今
00 o
C 加 熱 処 理 を行 な った) に真 空
ル管 (1
回水 素 還 元 法 に よ り作 成 した タ ー ゲ ッ トは,
0
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図 7:夕 張 炭 田 の 石 炭 か ら作 成 され た タ ー ゲ ッ トの AM S法 に よ る炭 素 14測 定 の結 果 .破
1,0・
01,0・
1
1
1
g) を示 す. 波 線 は名 古 屋 大 学 タ ンデ トロ ン加
線 は等 量 の現 代 炭 素 の混 入 (0・
速 器 質 量 分 析 計 の バ ッ ク グ ラ ン ド (中 村 中 井 ,1
988) を示 す. (
Fi
g.7.14c conc
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最 適 条 件 (炭 素 量 1
mg) に つ い て 表 1 に
代 炭 素 の混 入 率 の変 化 の傾 向 が な い. こ の
示 す . 触 媒 の鉄 の量 は, イ オ ン ビー ム の 強
こ とか ら, 試 料 作 成 の段 階 の現 代 炭 素 の 混
度 を大 き く左 右 す る. 少 量 の試 料 を扱 うた
入 は, 非 常 に小 さ く抑 え られ , よ り微 量 の
め に新 し く制 作 した ター ゲ ッ トホ ル ダ ー で
試 料 に 関 して も現 代 炭 素 の 混 入 の 低 い 夕 --
は約 1 1
1
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gの鉄 が 最 低量 と して 必 要 で あ る.
ゲ ッ トの作 成 が 可 能 だ と考 え ら頚
1る. 石 炭
よ り少 量 の炭 素 試 料 の場 合 , 鉄 の希 釈 に よ
の現 代 炭 素 の 混 入 源 と して , 1) 石 炭 が 現
る ビー ム強 度 の低 下 を伴 う. 今 後 , よ り微
代 炭 素 を 含 ん で い た , 2) 還 元 に用 い た水
量 の試 料 を扱 うた め に は , タ ー ゲ ッ トホ ル
ダ ー の 改 良 が 必 要 で あ る.
ゲ ッ トの - ン ドリン グ中 に現 代 炭 素 が 混 入
した , な どが 推 定 され る.
反 応 の 収 率 を 上 げ, 同 位 体 効 果 を小 さ く
す るた め に は,反 応 容 器 の体 積 を 小 さ く し,
反応 時 の二 酸 化 分圧 を上 げ る必 要 が あ る.戻
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応 容 器 内 の 二 酸 化 炭 素 分 圧 が 20
ま とめ
上 で二 酸 化 炭 素 を還 元 しタ ー ゲ ッ トを 作 成
す れ ば , 2 - 3 パ ー ミル程 度 の 同 位 体 分 別
水 素 還 元 法 に よ る 夕 一 ゲ ッ ト作 成 の際 の
効 果 で 抑 え られ , 高 精 度 の炭 素 - 1 4 測 定
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293.
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7 結語
mg以 下 の 炭 素 を 含 む 試 料 で も, 低
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な った . ま た イ オ ン ビー ム 強 度 の 向 上 , 良
[
4]北 川 浩 之 (
1
987)杉 村 セ ル ロ - ス の 炭
時 間 安 定 した 測 定 が 可 能 とな り, よ り高 精
素 同位 体 比 -i
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定 法 及 び杉 材 年 輪 1層
度 の 炭 素 - 14測 定 が 可 能 とな った .
内 の変 化 -.
静 岡大学 地 球科 学 研 報 ,
1
3.23
30.
謝辞
988)放 射 性 炭 素
[
5]中村 俊 夫 ,中井 信 之 (1
少 量 試 料 用 の タ ー ゲ ッ トホ ル ダ ー の 作 成
年 代 測 定 法 の 基 礎 一加 速 器 質 量 分 析 法
に あ た って は 名 古 屋 大 学 理 学 部 装 置 開 発 室 ,
に重 点 を お い て -.
増 田 忠 志 氏 と三 輪 治 代 美 氏 に協 力 い た だ い
29.83
1
06.
地質学論集,
た . こ こ に深 く感 謝 します .
[
6
]吉 川 英 樹 , 佐 藤 和 宏 , 吉 田 邦 夫 , 小 林
紘 一,三 浦 太 一 ,今 村 峰 雄 ,本 間 義 夫 ,
引用 文 献
1
98
7)炭 素 - 14加
中 原 弘 道 ,野 崎 正 (
速 器 質 量 分 析 用 試 料 作 製 時 に お け る現
[
1
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-
代 炭 素 の混 入 .分 析 化 学 ,3
6,755
759・
[
7]和 田 英 樹 ,伊 藤 良 三 ,秋 山 文 孝 (1984)
微 量 石 墨 の炭 素 同位 体 分 析 用 試 料 の調
bon,29,335
3
46.
整 と測 定 , 静 岡 大 学 地 球 科 学 研 報 ,1
0・
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21-
口頭発表
1)
松 島義 章 (1986)貝 類 群 集 か らみ た 内 湾 の 形 成 過 程 . シ ンポ ジ ウ ム '
'汽 水 湖 の 生 い立
ち'
'-浜 名 湖 の 起 源 と地 史 的 変 遷 に 関 す る組 合 研 究 -, 東 京 大 学 海 洋 研 究 所 .
2)松 島 義 章 ・三 宅 加 奈 子 (1987) 完 新 世 に お け る多 摩 川 ・鶴 見 川 低 地 の 地 形 発 達 央 .
日本 地 質 学 会 第 94年 学 術 大 会 講 演 要 旨, p.152.
学会誌等
1)
松 島 義 章 (描 ) (1987)川 崎 市 内 沖 積 層 の 総 合 研 究 . 川 崎 市 博 物 館 資 料 収 集 委 員 会 ,
pp.145,
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T. (1987) Mi
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2)Ota.Y.. Matsushi
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Y.. Umitsu.M.. and Kah
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