であると主張して入学金の返金に 応じない通信制

国民生活センター 相談情報部
「学校」
であると主張して入学金の返金に
応じない通信制高校のサポート校
自治体の就学援助を受けられると説明されサポート校と
契約したが、支援が得られないと分かったため解約を申
し出たところ、
「学校」だと主張し入学金の返金に応じな
いサポート校の事例を紹介する。
担当者から期限内に入学金 10 万円を支払うよ
相談内容
うに言われたが、5万円しか用意できなかった
ため、いったん5万円を振り込み、残りは 1 カ
中学3年生の娘が、働きながら通信制の高校
月後に振り込むこととなった。
で高校卒業資格を取りたいというので、娘が探
してきた通信制高校に出向き親子で説明を聞い
サポート校との契約後、自治体の生活保護担
た。説明の中で、通信制高校やサポート校のこ
当課に就学支援の申請をしたところ、
「サポート
とについて、
「通信制高校には 1 年に 1 回ぐらい
校は塾のようなものであり、学校ではないため
通うだけで、あとはサポート校で勉強をしなが
支援はできない」と言われた。支援してもらえ
ら通信制高校の単位を取得していく」
「サポート
なければ費用を支払えないので解約を申し出た
校で補習を受けながら通信制高校に数回レポー
が、
「当方は学校だから入学金として支払った
ト等を提出すればよい。一般的に通信制は3年
5万円は返金しない」
と言われた。
での卒業は難しいが、サポート校があるので、
自治体から支援が得られると思いサポート校
多くの生徒が3年で卒業できている」との説明
と契約したが、支援が得られないのであれば費
があった。サポート校の費用として、入学金、
用を工面できないので解約したい。
制服代等、合計約 70 万円かかると言われた。生
(40 歳代 女性 給与生活者)
活保護を受けているため費用に不安があったが、
担当者から
「就学援助制度があり、所得に応じ
結果概要
て自治体から授業料の支援金が得られる」との
説明があったため、自治体からの生活保護の支
国民生活センターでは相談を受けた消費生活
援で費用を工面できると思いサポート校と契約
センターと連携し、相談者から提出された資料
することにした。
や両センターで収集した資料をもとに、サポー
2016.8
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ト校が特定商取引法
(以下、特商法)
の特定継続
を使用しているが、今回はたまたま使用できて
的役務の「いわゆる学習塾」
と言えるのではない
いなかった」
と回答した。そして、
相談者が支払っ
かと考えたが、サポート校が
「学校」
であると主
た5万円は返金するとの回答を得た。
張していたため、学校と言えるか否かを検討す
ることとした。
問題点
相談者から提供された当該通信高校やサポー
かか
ト校に係る資料を確認したところ、以下のこと
本件は、通信制高校のサポート校が提供する
が分かった。
役務が特商法の特定継続的役務に該当するかが
①サポート校はあくまで通信制高校の単位取得
争点となった事例である。
特定継続的役務とは、
を補助するための授業を行うところで、サポー
継続的にサービスを受けることを前提とする特
ト校の授業を履修すれば通信制高校の単位を
定のサービスについて特商法で規定しているも
取得できるというものではない。
ので、特定のサービスの中には、学校教育の補
習のために学力の教授を行う
「いわゆる学習塾」
②通信制高校の学納金の振込先が
「学校法人」
に
なっている一方で、サポート校の学納金の振
が含まれている。特定継続的役務に該当する場
込先はサポート校の代表理事宛て
(当該代表
合には、クーリング・オフや中途解約が認めら
理事は通信制高校の理事長)
になっており、会
れるため、
「いわゆる学習塾」
に該当するか否か
計上も両者は独立している
(通信制高校のホー
は、消費者の解約条件を左右する重要な事柄で
ムページにサポート校が掲載されていること
あるが、消費者の側で該当するか否かを判断す
から、念のため通信制高校にサポート校との
ることは容易ではない。
通信制高校では自宅で教材等を使って学び、
関係を問い合わせたところ、別の組織である
ことを確認した)
。
決められたレポートを提出するなどしながら単
また、「学校」
に該当するには学校教育法第4
位を取得していくことになるが、その方法に不
条第1項の認可または同条第2項の届出により
安を感じる人にとって、通信制高校の生徒の身
設立されたものであることが必要であるため、
分を有しながら、系列のサポート校で授業を受
関係行政機関にサポート校について認可ないし
けられることのメリットは大きい。しかし、サ
届出があるか否かを確認したところ、認可、届
ポート校はあくまで学校教育の補習をする場で
出ともにないことが判明した。
ある。入学式や卒業式、修学旅行といった全日
これらの情報を踏まえ、
本件サポート校は
「学
制の高校と変わらない学校行事が用意されてい
校」
ではなく、特定継続的役務の
「学習塾」
に該当
たとしても、契約に際しては特商法の法定書面
すると考えた。そのうえで、
サポート校に対し、
を交付する必要がある。
①特商法の特定継続的役務に該当すると考えら
本件のように
「学校」
と主張して入学金等の金
れること、②本件契約に当たり相談者に交付さ
銭を返金しない場合があるので、契約の際には
れている書面は「学費納入案内」
だけであり、特
注意が必要である。
商法に定められた契約書面としての内容を満た
しておらず、クーリング・オフができることを
伝えた。
すると、サポート校は態度を軟化させ、
「特定
継続的役務に該当するため、通常は法定の書面
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