Page 1 Page 2 6。 島根大学生物資源科学部研究報告 第4号 2

Bu11Fac L1fe Env Sc1Sh1mane Un1v,
4:59−64,December20.1999
正規圧密⑧過圧密と密度を変えた締固めた藤の森粘土の勇断特性の比較
鳥 山 胱 司
Compar1son of shearmg properties of norma11y conso11dated/over conso1idated
and compacted Fuj1nomor1soi1with variat1on of dens1ty
Koush1T0RIYAMA
Abst醐ct The shear1ng propert1es of compacted Fu]momon s011(旺va1ue二
ρd/ρd。、、1s between100%and85%)are compared w1th that of NC and OC one
(OCR1s from1O to12)w1th conso11dated undra1ned tr1ax1a1compress1on tests
The fa11ure enve1opes for tota1stress of NC and OC s011are approx1mated w1th
respect1ve stra1ght1mes11ke other ordmary s011s On the fa11ure enve1opes of NC
and OC s011s,the stress to be doub1ed1s precompress1on pressure
The fa1ure enve1opes of compacted.s011s are approx1mated w1th one stra1ght11ne
1rrespect1ve of D−va1ue Cohes1on c,and1nterna1fr1ct1on ang1eφ、are1ncreased
w1th D−va1ue Th1s trend of compacted s011s1s d1fferent from that of NC and OC
soi1s.
The shear1ngstrength ofcompacted s011sover D−va1ue95%1s1arger than NC so11,
but that ofcompacted s011und.ergO%1s equa1to orsma11erthan NC s011From th1s
fact,a w1de−spread y1ew−pomt that compacted s011s over D−ya1ue85%are stab1e1s
seemed to be error
Key word fa11ure enve1ope,shearmg strength,compacted s011,normauy conso11−
dated soi1,D−va1ue
の破壊包絡線は2本の直線で近似される.
1 まえがき 締固め土の乾燥密度ρ。は土質,締固め含水比,締固
め仕事量,盛土の目的などによってかなりの差がある.
飽和土は乱さない場合も練り返した場合も正規圧密と すなわち,フィルダムではD値=ρ。/ρ。。、、≧95%,遺
過圧密に大別して考えられる.乱さない土は堆積過程で 路盛土ではD値≧85%,宅地造成ではD値≧80%が施
形成された土粒子の骨格構造を有している.ぺ一ストか 工目標とされ,これで安全な盛土がなされるものと見な
らの練返し土ではこの骨格構造を持たないため,同じ圧 され,かっ軟弱な正規圧密の状態よりも大きな勢断強度
密応力では間隙比が小さい.また正規圧密あるいは過圧 を持つものと思われている。このため,締固め土の勇断
密土を練返した場合,乱さない土の構造を破壊するため, 特性は低圧部では過圧密土の,高圧部では正規圧密土の
同一の含水比では勇断強度が減少し,同じ圧密応力では 勇断特性で近似できるものとされ,全応力では2本の直
間隙比が小さく,正規圧密⑧過圧密の勇断特性とは異なっ 線で破壊包絡線を近似できるとされている’)。しかし,
た勇断特性を持つ. 同じ土を用いて締固め土と正規圧密1過圧密土での勇断
正規圧密の有効応力での勇断強度はモール⑧クーロン 特性を比較した例はない.
式でc’≒0でφ’のみを持つ.過圧密土ではc’>0で ここでは藤の森粘土を用いて,密(D値=100%)か
あるがその値は比較的小さく,φ’は正規圧密の値より ら緩い(D値=85%)までの締固め土とぺ一ストから
わずかに小さい。しかし,全応カでは正規圧密のc、≒ 予圧密した正規圧密⑧過圧密土の三軸圧縮試験を行い,
0であるが,過圧密のc、、は圧密降伏応カの増加ととも 両者を比較し,締固め土の勇断特性は正規圧密⑧過圧密
に大きくなり,φ、。は正規圧密よりかなり小さくなる. の勇断特性の組合せとは異なることを示す.
故に正規圧密と過圧密を含む範囲の勇断強度の全応力で
島根大学生物資源科学部研究報告
60
第4号
浸の場合は供試体をセットし,1日間圧密後,動水勾配
2.実
験 方 法
7∼8で3日間透水し,背圧u。=1刀Okgf/cm2を1日
間作用して飽和度を高めたのち勇断した.
実験に用いた土はセメント混和材として市販されてい
正規圧密供試体はセット後,1日間圧密し,締固め土
る藤の森粘土である.これは乾燥後の2mmふるい通
の水浸の場合と同じように透水し,背圧を加えた.過圧
過分が袋詰めにされたものである.実験は平成7年と9
密供試体はP=6刀または3刀kgf/cm2で1日間の圧密
年に行った.両年での物理的性質に若干の差が生じたた
め,両年の試料土の物理的性質を表一1に示す.
表一1:藤の森粘土の物理的性質
実験に用いた締固め土の含水比調整は試料土が所定の
平成7年
含水比になるよう加水してよく混合したのち,袋に密閉
して1週問以上置いた.締固め供試体の作成は内径500
ρ、(9/Cm3)
2.708
2.694
W1(%)
402
39−9
W、(%)
31£
22.4
8.4
17.5
I。
cm,高さ12.5cmのモールドに試料土を分けて入れ,
平成9年
各層毎に直径4.6cmの木の棒を介して,標準締固め用
砂分(%)
12
のランマーで所定の密度に締固めた。
シルト分(%)
72
16
U。
えてぺ一スト状にし,真空で2時間以上脱気した後,予
18
24∼29
55∼65
11∼18
12∼15
w。、こ(%)(標準E。)
23.1
24.2
圧密装置で約05kgf/cm2の圧力で2日間予圧密した試
ρ。㎜(9/cm3)(E。)
料土(直径約20cm)を6分割し,各分割片から直径約
w。。t(%)(E./2)
正規圧密⑧過圧密土は試料土に液性限界以上の水を加
粘土分(%)
1.537
ρd㎜(g/cm3)(E。/2)
5.Ocm,高さ約12.5cmの供試体を切り出した.
1.450
w。。t(%)(E、/4)
締固め土の三軸圧縮試験は非水浸の場合は供試体を三
295
1382
ρd㎜(9/cm3)(E。/4)
軸セルにセットし,1日間圧密後,直ちに勇断した.水
表一2:供試体諸元と実験条件
排水
番号
条件
条件
7FA
CD
CD
7FB
7FC
7FD
7FG
7FH
7FI
7FJ
9FA
9FB
9FC
9FD
9FE
9FF
9FG
9FH
7NC
70C6
70C3
9NC
実 験 前
水浸
S、
供試体
W
ρd
e
%
9/Cm3
非水浸
2434
1−558
0739
水 浸
24.56
1.558
.CD
非水浸
24.43
CD
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
水 浸
%
実験後
D値
W
%
%
89.3
1’O1.4
24.98
O.739
90刀
10L4
25.70
1.517
O.784
84.6
98−7
2541
24.50
1506
0800
84.O
9&0
27.14
非水浸
24.59
1.545
0.753
89.O
1O05
24.89
水 浸
24.85
1.550
O■48
90.O
100.8
非水浸
24.85
1509
0.795
84.1
982
水 浸
24.46
1.502
0803
83.6
98.0
2639
26刀9
2830
非水浸
24.23
1.351
O−994
657
865
26.12
水 浸
24.43
1330
1.026
64.2
85.1
30.89
非水浸
1τ98
1−333
4τ4
85.3
18.96
水 浸
17.91
472
85.3
31.60
非水浸
29.56
L333
L374
L022
1021
O.961
82.9
8&O
2736
水 浸
31.39
1.333
1.021
85.3
29.78
非水浸
24.12
1.403
89.8
25.76
水 浸
24.16
1392
0221
0235
828
706
69£
89.1
正規圧密
37.13
1.372
O.972
103.7
893
過圧密
過圧密
37.32
1.359
O.992
1019
88.4
3026
3147
2987
36.16
0.991
88.5
30.56
正規圧密
3622
1360
L388
88.9
30.65
O.944
99.1
104.2
1562
265
, ;Lu : IE : E i'"* "
'< , F
7 U,
?
cDEE J Jg'*.
{ FE : D
C
E
7
(CD)
7
i
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(CU)
8x 10-'
f
'" ;:
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)
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iEE
3.0 kgf/cm'
U /-_.
!EE
p,=6.0
U,
,
l
0.2, 0.5,
llcD
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; .
i
e
70C6
OCR=1.5-12
; .
t*・・
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4
:,
CU,
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O
OCR=1-12
)
7 ? '
7 b
7
;
J
,f
itL
:
iC
cD
J-c
7k ij
f I e Vj f ; cD 1 C"cD l-5, 6
J
(ocR)
t : O C
4
6
:
(70c6) cD E f
i
,
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7NC, 9Nc
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U c
: 70c6, 70c3
:
f
U
U/*-
)n :U L
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f
J
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6
U
' ;
,
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I D4
U
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;
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:JicD
: O C )
*"
:
l
:4
: 85
6
:
l
:4 I : :
eC 9FA-9FF
a)S
実 験 前
水浸
C㎝
φ㎝.
C’
φ’
水 浸
29.94
非水浸
0424
2680
水 浸
O.166
29.59
kg/cm2
kg/cm2
非水浸
O.880
25.40
O.877
26.08
水 浸
1.053
20.98
0411
2880
非水浸
O.811
22.02
O.658
25.44
水 浸
O.455
20.16
O.153
29.72
0327
2449
非水浸
0311
20.99
水 浸
O.103
12.69
○刀74
24.11
非水浸
O.543
25.24
O.539
2641
水 浸
O.064
13.21
O−082
24−31
非水浸
O.232
18.64
O.219
25.06
水 浸
q)
)
30.22
9NC
7NC+9NC
)
f
0.418
70C6
70C3
, 70C6 I
<, c'I /J¥ :V .
O.375
9FH
7NC
'
, N C ) c' } O C CD c '
非水浸
9FB
9FC
9FD
9FE
9FF
9FG
:- 3 CDJ
< / - _
: D cDNC
4,
CD
CD
CD
CD
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
CU
9FA
:,
r =0.995
U 70C3 ) OCR=1-6 CD /-*
7FA
7FJ
t -{ i l
)
番号
7FI
I LLIC
70C6 ) c '=28.7' , 70C3
条件
7FH
.
n : L . JilC
)
条件
7FB
7FC
7FD
7FG
'
tL
i I
70C3 J
>
lj/7
4.
, - A Jf -N
排水
,
J
CA,<0
i - 3 :
供試体
a)
・ . }
: E
; .
)
ftLrin
:Au I
:EE f (OC) e
, ocR 3 l Au>0
O C
)c'=21.3' :OCcDc' I /J¥ : < , c '
l
:Ut・・*. IE !EE f (NC)
f= o ,. I l
c
:EE
i
: O C i
tLICc', c' :
iCN C i c' 32' IC
,
;i - 2 Ic; ; .
; .
:
) c. , c '
l N C
)c'=0.139kgf/cm', c'=31.20'
OCR=1-12 IC
FE- i' (7NO
: . N C
,+
J(<t -;
V'; . 70C6 CD ip '
li
61
r・・* ).
i:・ ; *" J ;)J e N C
; .
U /-'*.
Icf I
;
O
f ,i cD tl
i 0.1 6/min,
6/min
:EE
! /
:
t-*.
1.0, 2.0, 3.0, 4.0, 6.0 kgf/cm',
) *'E EI
*?
f-_
} e
; f EE i'"**^
EE i'*'-^
EEUC
: E
一〇.057
17.20
一0.O04
30.40
0.426
25.16
非水浸
0569
20.96
水 浸
0.144
14.80
0.O06
2923
正規圧密
O.122
21.30
O.092
32.65
過圧密
過圧密
O.990
15.88
0334
0494
28.66
正規圧密
正規圧密
0.241
16.24
○刀71
31.83
0.164
19.15
0.115
32.02
O.978
7.69
21.28
:U :
:
:D4 [ : 85
島根大学生物資源科学部研究報告 第4号
62
%で,9FGと9FHをD値≒90%でCU試験を行った。
最適含水比でのD値≒85%での非水浸と水浸での応カー
5
(a)9FB
㌔4
/・一…一・・一一一…・一、.一.. σ;。(1gf/・。・)
ひずみ関係を図一2,3に示す.非水浸では勇断による
く
問隙圧の変化量△uは小さいが,水浸供試体では破壊時
の間隙圧係数ArはD値の減少とともに大きく増加する。
! ’㍉一…一6.0
!
’ !1 一一一一 一一40
2 /
1〆二二..一’二’一}’.□’’↓・・一・・一・・一・一・・一1・1
図一4に水浸供試体の(σrσ。),ArとD値の関係を
b
23
l1
示す.図中の点線は正規圧密(N C)供試体の(σ1一
b
σ。),Arであるが,D値95%以上では締固め土の(σ1一
O
、! 、 ‘㌧’・・、・・.、..
1/z〆.一一一……………’’’’’…’. 20
1ζ〆一・一・一一一・一・一…・二L・…一一イ.1
! 0.5・
O 4 8 12 16
ε㈱
σ。)はNCより大きく,ArはNCより小さいが,D値
(b)9FB
6
4
… →士7NC+gNC(a)全応力
こ __θ__70C6 一
豊4...仙.、...1OC3 力1/
\ 段省1△ ..
㌻2 1βイ、...一!1
㌣ !
93 !!
! !11一一
ご
)2
コ
!/.!・!’1
!/.!
く
三00 4, 8 12
(。σ1+σ3)/2(kgf/cm2)
1
! / .…._.
!/・つ.!…一一
1
1
必一一
.0
ズ6
(b)有効応カ
;
・多/
ク
さ
篁争
;
\
’毒2
ク
〆、
〆 ’
O
図一3
4 8 12 16
ε(%)
最適含水比,D値85%での水浸供試体の応力,
間隙圧と軸ひずみの関係
1.2
W亨W・・1(a)
b・
一・一・一全体
L
b O
0 4 ・ 8 12
O.8
(σ、十σら)/2(kgf/ヒm2)
σ3。
.(kgf/c血2)
図一1:正規圧密,過圧密土の勇断強度特性
く0.4
6.0
σ三、(kgf/cm2)
10_..._6.0
__4.O (a)9FA
㌔8一一一1.1 …一…ノ・・一…一
4.0
2.0
0.0
く 1”....2.O 、!…
26..一_1.O /
O.5 1 一一
^4 / 1一一一 _一一・・一・・一一一..一‘’一
b!//ニニ・・ノニ.・・〃・‘一‘.’.…’
1,2 !/二‘・・一‘’’ ._、_._一・一・一・一・一・一
ど差多多二一.’.一.一’
O L一」一」
0
4 8 12 16
ε(%)
2.0
(b)9FA
E
85 90 95 100
D値1%)
(b)
' (k f a3 W g Wopt / -c . ¥ ¥
/㎝2)
τ。 \1.0
く \4.0
葛
1 ..・1’
/ ..・! ..一・・一・・’..一
1/ニニニ1;;1ニニニニー一一一一二二二二二
O0 4 8 12 16
ε(%)
図一2 :最適含水比,D値85%での非水浸供試体の応
力,間隙圧と軸ひずみの関係
圭
0
85
1姦雀二1二・一・…一.‘…
」 ㌧0.5
__
1/ .・! ..一.・一・・一.’一’^
ざ4 ←1・0
_s¥
/ .・一
ノ .!.
:-__
21,O
く
㌣
さ 2.0
,
コ
←1.0
←O.5
−O.2
100
9a ' 95
85 90 95 100
D値(%1
図一4:.水浸供試体のD値と間隙圧係数Af,圧縮強度
の関係
鳥山:正規圧密⑧過圧密と密度を変えた締固めた藤の森粘土の勇断特性の比較
63
90%以下では締固め土の(σrσ。)はNCより小さく,
潤側の圧縮強度が大きいが,他の(σrσ。)はほほ等
ArはNCより大きい.これよりD値≦90%の締固め土
しい。Afへの締固め含水比の影響もはっきりせず,水
は水浸時には飽和した正規圧密土より軟弱であることが
浸状態では締固め含水比の強度への影響は小さい。表一
わかる.
3より強度定数は9FBと9FDはほぼ等しいが,9FFの
水浸供試体のCU試験での全応力と有効応力での強度
φ、,φ’は大きく雪c、,c’は小さい。これは図一6(a)
特性を図一5に示す.全応力での破壊包絡線はD値100
のσ’。、=4.O,6.Okgf/cm2での(σrσ。)が大きいた
%から85%まで全て1本の直線で近似され,N CとO
め,モール⑧クーロン式での傾きが大きくなり,切片が
Cの組合せのような2本の折れ線に律ならない。かっ,
小さくなったためである。NCの(σrσ。)は図中の
D値の減少とともにc。、,φ、ともに小さくなる.密な
締由めが過圧密に相当するならば,全応力でのc、はD
点線で示すが,どの含水比でもD値85%の圧縮強度は
NCより/J、さい。
値の増加とともに大きくなり,φ、はD値の増加ととも
に小さくなるはずである.図一5の結果はNC,O Cと
6。締固め土と正規圧密⑧過圧密土の
は異なっている.有効応力での破壊包絡線は1本の直線
璽断特性の比較
で表され,水浸によりC’は減少し,φ’はほぼ一定で
ある.表一3のように,D値85%の締固め土の強度定
練り返した正規圧密土の供試体は液性限界より高含水
数は全応力,有効応力とも正規圧密の値より小さくなっ
比のぺ一ストを約05kgf/cm2で予圧密した試料土より
ている.
切り出した。予圧密状態での供試体は非常に軟弱であっ
た。表一2より含水比は36∼37%と高いが,乾燥密度
5.締固め含水比の男断特性への影響
はD値にすると88∼89%もあり、D値85%の締固め土
より大きな密度である。このことは最適含水比ないしそ
一般の締固め土の施工管理はD値85%以上の場合が
の乾燥側のD値85%程度の締固め土は非水浸で不飽和
多いため,締固め含水比の影響はD値85%での最適含
状態を保っておれば,施工は容易で支持力もあるが,降
水比w。、」(9FB)と乾燥側(9FD)と湿潤側(9FF)で
(a)
実験した。締固め含水比wと(σrσ。),A圧の関係を
6.0
6.4.3.2.1.0.
図一6に示す.σ’。。=4.oと6刀kgf/cm2ではw。、ユの湿
D値≒85%
け8一・”v’}
σ;、(k9ゴ!1
σ三、(kgf!cm2)
6.0
ε
(a)全応力
ε
さ6
o7FH.
2
N4
\
㊥旧
屋9FH
一.!7NC+9NC
△9F8
ざ
」2.0
一・ 一・
12
5 20
(σ1+σ3)/2(kgf/cm2)
牛7閉 ・
W弓W.P t
_禽_7FJ
一企・一9FH ・
b
■一・一・一
30
25 30 35
3
25
W(%〉
1.2
(b)有効癒力
的2
20
0.5
4 8・
b 0
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一.・・一・・… 一・・ 一一一一・一・…
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三
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7NC+9NC
←0
主 0 4 8 12
(σ1+σ;)/2(19f/1・・)
D値≒85%
O.4
!1 10 25 3035
W(%)
図一6:D値85%での締固め含水比と圧縮強度,間隙
図一5:
D値が100∼85%での勇断強度特性
圧係数Arの関係
64
島根大学生物資源科学部研究報告
第4号
雨によって飽和状態になると非常に軟弱になることが理
されず,基本的に緩い構造を保つため,ぺ一ストからの
解できる.
正規圧密土より軟弱な状態になると考えられる。
全応力での破壊包絡線はNCではc、≒Oでφ、のみ,
OCではOCR≦12ではc、、をもち,φ、、はNCの値より
7。あ と が き
小さい直線で近似され,NC,OCを併せた破壊包絡線
は2本の直線で近似される.これに対して,締固め土の
藤の森粘土を用いて締固めとぺ一ストからの正規圧密⑧
水浸状態ではD値が100∼85%の範囲で,全応力の破壊
過圧密での勇断特性の比較を行った。この結果,
包絡線は1本の直線となりD値が大きいほどc、,φ、
(1)全応力での正規圧密と過圧密の破壊包絡線は一般
とも大きくなり,NC,OCの破壊包絡線との傾向とは
の粘土と同様に,先行圧密応カで折れ曲がる2本の直線
異なっている.
有効応力での破壊包絡線はNCとOCでの差は小さい
で近似できる。有効応カでは正規圧密のφ9の方が過圧
密のφ’より大きい.
が,NCのφ’はOCより大きく,c’はOCの方が大き
(2)密な締固め土では圧密排水と圧密非排水での破壊
い。水浸状態の締固め土ではD値の増加とともにc’,
包絡線に差は認められない.
φ’ともに大きくなり,D値が85%ではc’,φ’ともN
(3)D値>95%では水浸した締固め土の方が正規圧
Cよりノ』\さい.
密土より大きな圧縮強度を持つが,D値<90%になる
土の締固めは乾燥密度を増加させるから,見かけは圧
と,水浸した締固め土の強度は正規圧密土の強度より
密降伏応力p、の増加に相当する.しかし,締固めは土
小さくなり,破壊時の間隙圧係数Afは正規圧密より大
に大きな勇断変形を与え,練り返しに近い状態を土に加
きい.
えて密度を増加させる。これに対して,過圧密は大きな
(4)水浸した締固め土の破壊包絡線はD値が1OO
先行圧密応力で勇断ひずみをほとんど与えずに密度を増
%∼85%の範囲で1本の直線で近似され,耐震設計指
加させたのち,圧密応力を除荷するのであるから,締固
針(案)で示されている正規圧密と過圧密の破壊包絡線
めとNC,O Cの作用は全く異なっており,破壊包絡線
を組み合わせた形とはならない.
も異なった形式になるのが当然である.締固め土の強度
締固め土の勇断特性は正規圧密または過圧密土を異な
特性は初期含水比の異なる飽和練り返し土の勇断特性と
る含水比で練り返した土の勇断特性と比較する方が合理
比較するのが妥当と考えられる.しかし,軟弱粘土の鋭
的と考えられるが,これについての論文は全くないため,
敏比を求めるための練り返し粘土の一軸圧縮試験の他に
今後の研究課題である。
は含水比の異なる飽和練り返し土の三軸圧縮試験は行わ
なお,本実験を行うにあたっては平成8年3月卒業の
れていない.したがって,締固め土との比較も現時点で
井原純也君,上場剛君,槌野敬文君および平成10年
はできない.
3月卒業の粟野洋介君,稲田健一君に多大なご協力を賜
不飽和土では間隙水がサクションの状態にあり,有効
りました.ここに深く感謝の意を表します。
応力σ’はB1shop3〕によれは
参考文献
σ’=σ一u、十γ(u、一u。) (1)
であるから,σ=O,u、=O(大気圧)でも
σ’=γ(u、一u、) (2)
1)建設省河川局開発課ニフィルダムの耐震設計指針
の有効応力があり,σ=Oでの勇断強度τ。を与える。
(案),国土開発技術研究センター,49−50.1991
τ。=c’十σ’tanφ’=c’十γ(u、一u、)tanφ’(3)
2)鳥山胱司 締固め土と正規圧密⑧過圧密土の勇断特
あるいはFred1undandRahard]o4)により
性の比較.島根大生物資源科学部研報,3,11−18.
τ二cg+(σ一u、)tanφ’十(u、一u、)tanφ。 (4)
1998.
にσ=O,u、=0を代入すると
3)B1shop,AWTheprmc1p1eofeffect1vestress,
τ。=c’十(u、一uw)tanφ。 (5)
Lecture de11vered1n Os1o,Norway,m 1955,
緩い締固め土ではc’≒0であるが,(3)または(5)式の右
Tekn1sk Ukeb1ad,106−39,859−863,195臥
辺第2項の(u、一u、)>Oによって勇断強度を持ち,こ
4)Fred1und D G and H RahardJoS011Mechan1cs
れが不飽和土の非常に緩い構造をもたらす。この緩い構
for unsaturated s011s,John W11ey&Sons,INC,
造は圧密と水浸によるコラプスによっても完全には破壊
227_228.1993.