開発建設部だより 事業営繕施設の色彩計画について 札幌開発建設部施設整備課 石狩川の支川である千歳川では、平成17年4月に策定(平成27年3月変更)された 千歳川河川整備計画に基づき、堤防整備、河川掘削、千歳川遊水地群の整備が行われてい ます。千歳川遊水地群は、洪水時の水位を低下させるための洪水調整施設として、流域の 4市2町に分散して整備しており、その中の舞鶴遊水地は平成27年度より供用開始して いるところです。 千歳川遊水地群の施設整備にあたっては、施設景観の質を向上・維持し、地域景観と調 和する千歳川らしい河川景観の形成に寄与することを目的に「千歳川遊水地管理施設色彩 ガイドライン」が策定されており、遊水地の排水門等のゲートなど可動部を相対的に目立 たせ、施設の構成や各部の役割が示されるようメリハリをつけることを目的に、「いざり レッド」と名付けたマンセル値7.5R2/4の赤茶系の色が指定されています。 対象となる事業営繕施設は、樋門上屋、排水門上屋等があり、外壁や屋根の色がグレー 系で統一され、扉はゲートと同色で土木構造部分と統一感を持たせるということになって います。 千歳川遊水地管理施設色彩ガイドライン抜粋 ※印刷の関係で実際の色とは違います ここまではよく使われる手法ですが、河川担当者から遊水地以外の千歳川水系の同様の 施設にもこのガイドラインを適用するよう指示があり、現在工事中の遊水地から約1㎞離 れた排水機場の上屋も色を統一することとなりました。外壁と屋根の色を統一する事には 同意見でしたが、扉の色については営繕スタッフとして強い抵抗がありました。 遊水地内の上屋 周辺に同色で塗った建 築物や工作物があれば統 一感がある色彩。 ただし、建物単体で見 るとロケーションによっ ては好ましくない場合も ある。 そこで、河川担当者の理解を得るため、工事中の建物と類似した既存施設の完成写真を 画像処理し、左下図の扉だけ「いざりレッド」を使用する案と、右下図の扉もグレーに統 一した案を作成。ガイドラインの目的を尊重し景観を考慮して色彩を決定していることを 丁寧に説明し右下図のダークグレーで了解を得ることができました。 建築のプロとしての自負を持って業務にあたり真摯に議論を重ね、ものの本質を見極め る力も必要と思われます。建築物の建つロケーションを考え、色彩計画を行うことが重要 です。今後の課題としては、早い段階での関係者と十分な打合せ、調整を行い、具体例の 提示によるわかりやすい説明(見える化)によってお互いの理解を深めて、より良い施設 を共同して作り上げていくことだと感じました。
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