特集 結果の表示と評価

SPECIAL REPORT
特集
CAE を正しく使いこなす
有限要素法の基礎
第7章
結果の表示と評価
剛体回転を拘束するために右下の頂点の y 方向変
変形の見方と解釈
位を拘束している。解析に使用したプログラムは
⑴ 変位の計算の仕組み
現在の FEM は変位 {d} を未知数とした方程式,
解析に使用したメッシュを図 7.2 に示すが,表
{F}=[K]{d}
…
(3.1)
使用要素は四角形 2 次要素である。この問題の最
を作り,これを解くことによって変形を表す変位
大主応力は円孔上下端に発生し,その値は別途後
ベクトルが計算されてくる。プログラムはその全
述するが 3.36 MPa である
体をユーザーの希望する形で表示してくれるよう
⑵ グラフィック出力―変形図
になっているとともに,最大値と最小値も表示し
変形図は,変形の様子を最も直観的に表示して
てくれるのが普通である。ユーザーの希望する形
くれるものであり,すべての結果に先立って見る
とは,数値をリスト出力して眺めることもできる
ものである。なぜなら,変形図の元となっている
が,現代の主流はそれよりも,グラフィックな形
変位ベクトルは,FEM が解いて求める直接の結
で出力してビジュアルに見ることである。
果だからである。
以下,図 7.1 のような中心に穴のあいた正方形
変形図の表示の仕組みは,要素図あるいは外形
の一様引張の問題を例に具体的に説明する。剛体
状の作画の仕組みと同じである。ただし位置情報
変位を止めるため,左下の頂点を固定し,さらに
として節点座標を使用するのではなく,節点座標
ANSYS である。
示を見やすくするために,わざと粗くしている。
x
100
y
σ0
=1MPa
φ
20
t1
σ0
=1MPa
E =200 GPa
ν =0.25
ρ =8×10−6 kg/mm3
図 7.1 中心に穴のあいた正方形の一様引張の問題
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図 7.2 図 7.1 のメッシュ
機 械 設 計