BL-28 分光器の現状

BL-28 分光器の現状
BL-28の光学素子冷却について
現状の問題点
ミラーホルダと回折格子ホルダの干渉
ホルダのマイクロメータを短くする
冷却板の押さえが不十分
冷却方式の改良
新しい冷却方式の概要
研磨した冷却板と光学素子を密着させることによる冷却
冷却板は銅ではなくグリッドコップを使用
冷却板押さえはバネではなく、ステンレスブロック+ネジ
水冷二重配管からのテンションを低減するため、一筆書
きではなくテンションのかかる部分を分ける
M0 ホルダ
M1 ホルダ
G ホルダ
回折格子調整治具
今後のスケジュール
光学素子の取り付け・設置は7月下旬(1週間を予定)
8月中旬からベーキング
光学素子と冷却板の密着性
ガラスでダミーミラーを作製
光明丹により、密着度を測定
現場でサーモグラフィにより熱伝導測定
→ 不十分なら In シートをはさむ
ミラーホルダと回折格子ホルダの干渉
オフラインで分光器を駆動させ確認
確認後、調整・ベーキング作業
BL-28B ブランチの建設
BL-28Bブランチ建設の目的
ARPES 以外のユーザの利用
→ PEEM、マイクロフォーカス、MCD、原子・分子等
→ 新規ユーザ開拓 + 旧 BL-28A ユーザ
ビームタイムの有効利用
→ 現状では装置の入れ替えがあると、ベーキング・光軸調整が必要
BL-28A ブランチでの ARPES 専用化
→ 装置据え置き専用ビームラインへの要望が大きい
今後の直線部増強計画の R&D
→ BL-16 で導入予定のマイクロフォーカス光学系の R&D
分光器下流で分岐することにより、低コストで実現
→ 光学素子(2枚)、分岐ミラーチェンバ、後置鏡チェンバ、スリット
M0
top view
M1 G
M
SA
M2A
SB
BL-28A
M2B
本提案のBL-28Bブランチ
side view
87.0˚
87.0˚
87.0˚
0
15.5
17.5 18.5
32.0
34.0
35.0
36.0
38.0 m
展開するサイエンス
可変偏光・高分解能・高フラックスの真空紫外・軟X線放射光を用いたナノ材料の研究
1. 光電子顕微鏡を用いたナノ材料の電子状態の研究:(東大工・尾嶋研、PF・小野)
科研費基盤(S) 代表者:尾嶋正治
ナノ磁性体、強相関酸化物薄膜、ULSI用ゲート絶縁膜、機能性触媒などのナノ材料に
ついて、光電子顕微鏡を用いて電子状態・化学状態・磁気状態の可視化を行い、機能と
電子状態との関係を明らかにする。
2.マイクロフォーカス光学系による、ナノ材料のX線分光:(東大理・太田研)
ビームライン末端の焦点位置に東大理・太田研で新たに開発したマイクロフォーカス光
学系を設置し、サブミクロンサイズのスポットを用いてナノ材料のX線分光(XANES,
XMCD)を行う。このマイクロフォーカス光学系は近い将来BL-16の新ビームラインへの
導入が検討されており、そのR&Dとしての開発研究も行う。
BL-28 での光電子顕微鏡を用いた研究例
試料: La1.1Sr1.9Mn2O7
Mn L吸収端において、縞状のコントラスト
を観察
→ 表面での局所的な格子歪みに起因
1
In te n s i ty ( a r b . u n it s )
2
3
Dark
Bright
640
10 μm
645
650
655
Photon Energy (eV)
660
展開するサイエンス
可変偏光・高分解能・高フラックスの真空紫外・軟X線放射光を用いたナノ材料の研究
3.in situ 試料作製+角度分解光電子分光によるナノ材料の研究:(東大工・尾嶋研)
PF S2課題 申請者:尾嶋正治
光電子分光装置とその場試料作製装置を接続。分子線エピタキシ、パルスレーザ堆積
などと組み合わせて、新物質開発および電子状態の研究を行う。コンビナトリアル手法と
高フラックスビームラインとの組み合わせにより、高スループット材料開発を行う。
4.真空紫外・軟X線可変偏光を用いた分光:
真空紫外領域での可変偏光光源は世界的に見ても珍しく、可変偏光を活用した実験を
行う。例としては、磁気円二色性(吸収・発光)、スピン分解光電子分光、円偏光を利用し
た原子・分子の研究などが上げられる。
想定されるユーザ
Bブランチ
東大工:
東大理:
東大物性研:
首都大:
筑波大:
分子研:
PF
:
尾嶋研 (PEEM ・ レーザMBE+ARPES)
太田研 (マイクロフォーカス光学系)
柿崎研 (スピン分解光電子分光)
宮原研 (発光MCD)
喜多研 (多層膜のXMCD)
見附 (原子・分子)
小野・久保田 (PEEM)
小出 (MCD)
足立 (原子・分子)
Aブランチ
高分解能角度分解光電子分光グループ
代表者:藤森淳 (東大新領域)
仕様
挿入光源
ID28 可変偏光アンジュレータ
周期長:16 cm
極数 + (半極): 23 + (2)
ビームライン
可変偏角不等間隔平面回折格子分光器
エネルギー: 30 ~ 300 eV (直線部増強前)
30 ~ 1,000 eV (直線部増強後)
エネルギー分解能:すべてのエネルギーで 5,000 ~ 10,000
光子フラックス:分解能 > 5,000 で > 1012 photons/sec
試料位置でのスポットサイズ: 250 μm (H) x 50 μm (V)
分光器部分は既存の分光器を用いるため性能は同じ
BL-28B の基本的な考え方
ブランチは分光器より下流で平面鏡により分岐
→ 光学系としては同じ。後置鏡の焦点距離のみ変更する。
→ 分光器下流で分岐するので同様の分解能が得られる。
出射スリット・後置鏡チェンバは現ビームラインと同じものを用いる
現BL-28Aは ARPES 専用化、新BL-28B で他の研究を展開
→ 分岐用平面鏡を抜くことにより、BL-28Aは現状と変更なし
今年度末のシャットダウン期間に建設
BL-28A mode
M0
M1 G
M
top view
SA
M2A
SB
M2B
side view
87.0˚
87.0˚
87.0˚
0
15.5
17.5 18.5
32.0
34.0
35.0
36.0
38.0 m
BL-28B mode
M0
top view
M1 G
M
SA
M2A
SB
M2B
side view
87.0˚
87.0˚
87.0˚
0
15.5
17.5 18.5
32.0
34.0
35.0
36.0
38.0 m
ブランチのフロアプラン
BL-27側へ分岐
BL-1側へ分岐
BL-1側へ分岐した場合、エンドステーションに十分なスペースを
確保することが出来ない
→ BL-27側へ分岐することとする
BL-28B の検討結果
回折格子より下流 1m で分岐。
1m ~ 5m 程度で分岐可能
あまり下流で分岐させると、エンドステーションで干渉
87度入射(6度振り)
振り角は任意に設定できるが、最大6度とする
BL-1側に振った案とBL-27側に振った案の2案について検討
BL-1側案では入り口の柱と近く、適当ではない
BL-27側案では後方に十分なスペースが確保できる
後置鏡の焦点距離(3m – 3m)とする
経費の概算
ブランチ用コンポーネント
分岐ミラーチェンバ
3軸ゴニオ(並進1軸、回転2軸)で分岐用ミラーの出し入れ
を行う。
400 万円
出射スリット
200 万円
後置鏡チェンバ
400 万円
ダクト・バルブ・真空部品等 400 万円
光学素子(分岐用平面ミラー・後置鏡用トロイダルミラー各1枚)
400 万円
合計
1,800 万円
スケジュール
2005年7月 ブランチ仕様策定完了・発注(年度内納入)
光学素子(平面鏡・トロイダル鏡各1枚)発注
(納期10ヶ月程度)
2006年2月 ブランチ用コンポーネント納入
光学素子納入
2006年3月 運転終了後、ブランチ建設
2006年4月 ブランチ調整
2006年5月 実験開始