リエール2010年9月号掲載 漢方診療室17 肺に邪を受けやすい秋は水毒に注意を 台風の来る季節です。気圧の変動によって症状の悪化するものに、 気管支喘息があります。特に東京では公害問題が発生してから気管 支喘息に対する注目度が上がりましたが、喘息そのものは新しい病 気ではなく『黄帝内経素問』という最古の医書にも記載されている 病気です。 日常診療では、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息はサーク ルの様に変化します。アトピー性皮膚炎が良くなったら、気管支喘 息が酷くなったり花粉症が出たりするという具合です。また、風邪 が長引いて喘息発作を誘発したりします。従って風邪を引かないこ とが、喘息発作の誘発しないための条件の一つになります。 風邪は暴飲暴食、寝不足、過労、ストレスなどがたまり、体力を 低下させたところにウイルスが感染しておこります。放っておくと 呼吸器感染症となって長引きます。 漢方の考え方では痰を水毒と考えますので、水分を取りすぎない ように注意します。果物は水分量の多い物ですし、体を冷やす働き をします。とくに柑橘類やウリ類は喘息を誘発する食べ物として知 られています。ある人がポンカンが大好きで、食べ過ぎるとその後 しばらくして喘息発作を起こすというので、教えたところびっくり して食べるのを止めて以来、喘息の発作が減ったと感謝されたこと があります。 秋は肺に邪を受けやすい時期で、 「体を冷やすな」と養生訓にも書 かれています。
© Copyright 2025 ExpyDoc