包括的な金融緩和に踏み切ったイングランド銀行

情報提供⽤資料
経 済 環 境 レ ポ - ト
2016年8⽉5⽇
包括的な⾦融緩和に踏み切ったイングランド銀⾏
-Brexit問題による景気の下振れリスクの⾼まりに対応-
イングランド銀⾏(BOE)は、8⽉4⽇の⾦融政策委員会において、政策⾦利の引き下げや国債の購⼊
枠の拡⼤などを柱とする⼀連の追加⾦融緩和策を決定しました。⾦融市場の事前予想を上回る内容であ
り、英国の欧州連合(EU)離脱問題(Brexit問題)による英国景気の後退を未然に防⽌するため、BOE
が果敢に対応する姿勢が窺われます。
英国が⾦融緩和に踏み切ったことは、英国と経済・⾦融⾯で結び付きの強いユーロ圏の⾦融政策に影
響を与えると⾒られ、9⽉8⽇の欧州中央銀⾏(ECB)の政策理事会に市場の注⽬が集まることが予想さ
れます。
ポイント①
-包括的な⾦融緩和策のBOE版-
(図表1)8⽉4⽇の⾦融政策決定事項
今回の⾦融緩和措置の内容は、ECBが3⽉に決定した
包括的⾦融緩和策に酷似しており、BOE版の「包括的
⾦利
⾦融緩和策」と考えられます(図表1)。
第1に、0.25%に政策⾦利が引き下げられ、過去最低
ポンドに拡⼤
以来、7年5ヵ⽉ぶりの利下げとなります。⾦融機関の
短期の資⾦調達コストの低下を促すと共に、⾦融緩和
量
というアナウンスメント効果を通じて企業や家計の消
その他
まだプラス圏にあるため、今後も利下げの余地がある
ら600億ポンド増額され、4,350億ポンドに引き上げら
(図表2)政策⾦利と国債購⼊枠の推移
れました。購⼊枠の拡⼤は2012年7⽉以来のことで、
(政策⾦利:2005年1⽉〜2016年8⽉)
8
めと⾒られます。また、投資家が、リスク資産へポー
7
トフォリオをリバランスする効果も⾒込まれています。
6
(10億ポンド)
500
政策⾦利、左軸
435
国債購⼊枠、右軸
4
⽬されます。新規の社債発⾏や、⻑期資⾦の調達コス
3
トの低下による設備投資の刺激効果が期待されます。
2
450
400
350
5
にとどまるものの、信⽤緩和策に踏み込んだことが注
めて⺠間貸出の増加を促すためと⾒られます。
(国債購⼊枠:2009年3⽉〜2016年8⽉)
(%)
利の低下などを通じて消費・投資需要を喚起させるた
利に近い低コストで融資し、⾦融機関の貸出能⼒を⾼
新規
(出所)イングランド銀⾏の資料より岡三アセットマネジメント作成
第2に、国債の購⼊枠がそれまでの3,750億ポンドか
緩和措置が導⼊されました。BOEが⾦融機関に政策⾦
・イングランド銀⾏が政策⾦利に近い⽔準で
⾦融機関に融資
と⾒られます。
第4に、⻑期資⾦の供給スキーム(TFS)という新しい
新規
⾦融機関への新たな資⾦供給の枠組みを導⼊
既にマイナスの領域にあるユーロ圏や⽇本と異なり、
されることになりました。購⼊枠は最⼤で100億ポンド
・購⼊枠の拡⼤は2012年7⽉以来、4年1ヵ⽉ぶり
・購⼊枠は最⼤で100億ポンド
れます。政策⾦利の⽔準はゼロ近辺にあるとはいえ、
第3に、国債のみならず適格社債の購⼊が新規に開始
変更
事業会社の投資適格社債の購⼊を開始
費・投資マインドを刺激することに狙いがあると思わ
にイールドカーブを押し下げることによって、貸出⾦
変更
・引き下げは2009年3⽉以来、7年5ヵ⽉ぶり
国債の購⼊枠を600億ポンド増やし、4,350億
⽔準となりました(図表2)。⾦融危機後の2009年3⽉
量的緩和策の強化を⽰しています。⻑期ゾーンを中⼼
政策⾦利を過去最低の0.25%に引き下げ
300
250
200
150
100
1
0.25
0
50
0
05/1
07/1
09/1
11/1
13/1
15/1
(年/⽉)
(注)2016年8⽉は4⽇現在
(出所)イングランド銀⾏の資料より岡三アセットマネジメント作成
<本資料に関してご留意いただきたい事項>
■本資料は、投資環境に関する情報提供を⽬的として岡三アセットマネジメント株式会社が作成したものであり、特定のファンドの投資勧誘を⽬的として作成し
たものではありません。■本資料に掲載されている市況⾒通し等は、本資料作成時点での当社の⾒解であり、将来予告なしに変更される場合があります。また、
将来の運⽤成果を保証するものでもありません。■本資料は、当社が信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するもの
ではありません。■投資信託の取得の申込みに当たっては、投資信託説明書(交付⽬論⾒書)をお渡ししますので必ず内容をご確認のうえ、投資判断はお客
様ご⾃⾝で⾏っていただきますようお願いします。
1
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ポイント②
-成⻑率⾒通しを⼤幅に下⽅修正-
(図表3)実質GDPとマインド指標の推移
包括的な⾦融緩和策に踏み切った背景には、Brexit
(実質GDP:2010年第1四半期〜2016年第2四半期)
(消費者信頼感指数:2010年1⽉〜2016年7⽉)
問題によって英国景気の下振れリスクが⾼まってきた
ことがあると考えられます。特に、マインド指標の悪
(前期⽐、%)
化が⽬⽴っています。
4.0
例えば、7⽉の消費者信頼感指数が2013年12⽉以来
の低⽔準となったほか、企業景況感指数も悪化傾向が
続いています。マインドの悪化は、消費や⽣産・投資
3.5
(企業景況感指数:2010年1⽉〜2016年7⽉)
(%)
実質GDP、左軸
企業景況感指数、右軸
消費者信頼感指数、右軸
80
60
3.0
40
2.5
20
同時に公表されたインフレレポートでは、2016年
2.0
0
の実質成⻑率⾒通しは前回(5⽉)と変わりがないも
1.5
▲ 20
のの、2017年と2018年は共に⼤幅に下⽅修正されて
1.0
▲ 40
0.5
▲ 60
0.0
▲ 80
の⼿控えを通じて実体経済を下押しすることが予想さ
れます(図表3)。
います。英国景気は、2016年後半から拡⼤ペースが
鈍化し、2017年〜2018年にかけて厳しい局⾯を迎え
るとの⾒通しが反映されていると思われます(図表
4)。
BOEは、英国景気が今後、今回のインフレレポート
の⾒通しに沿って推移するならば、もう⼀段の緩和策
が必要としており、先⾏き追加緩和に進む公算が⼤き
▲ 100
▲ 0.5
2010年1⽉
2012年1⽉
2014年1⽉
2016年1⽉
(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
いと思われます。
ポイント③
-ECBも追加緩和に進む可能性-
(図表4)経済・物価⾒通し
9⽉8⽇に⾏われる予定のECB政策理事会が注⽬され
ます。今のところ、Brexit問題がユーロ圏経済に与え
る影響は、限定的に留まっています。ただ、Brexit問
題が早急に解消される可能性は⼩さく、先⾏き不透明
感の強い経済環境が、企業や家計のマインドを下押し
しやすい動きが続くと⾒られます。
また、ユーロ圏の圏外輸出に占める英国向けのシェ
アは15%程度を占めており、英国景気が減速すれば、
ユーロ圏の輸出の下押し圧⼒は強まると考えられます。
ユーロ⾼・ポンド安の進⾏も、⾜かせになると思われ
ます。
2016年予想
2017年予想
2018年予想
2019年予想
2.0(2.0)
0.8(2.3)
1.8(2.3)
ー
0.8(0.8)
1.9(1.5)
2.4(2.1)
2.4
5.0(5.1)
5.4(4.9)
5.6(4.9)
5.3
実質GDP
(前年⽐、%)
消費者物価
(前年⽐、%)
失業率(%)
(注)カッコ内は、2016年5⽉時点の予想
(出所)イングランド銀⾏の資料「インフレレポート(2016年8⽉4⽇)」
より岡三アセットマネジメント作成
ECBは、Brexit問題がユーロ圏経済へ与える影響を
吟味した上で、追加⾦融緩和に進む可能性があると考
えられます。
以上 (作成:投資情報部)
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登
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