電子工作パワー・アップ・コーナ 俺のスペシャル・ モジュールたち ぜよ 数百万円の 電磁界ツール あなたにもできる! GHz ICや最新FPGA なんか不要 でプロ顔負けの超高性能RF電子工作 0円で高速アナログ・モジュール作り! 基板→ LTspice コンバータ LC−Calc 池田 浩昭 Hiroaki Ikeda 半導体 IC は,表面実装の小型パッケージが多く なっているので,基板もスリムに作れます.今どき の GHz IC や FPGA は高速なので,デバイス間をプ リント・パターンで接続しただけでは,信号の跳ね 返り (反射) などによって波形が乱れ,電子回路が動 作しない可能性があります(図 1).USB や LVDS な どのインターフェース基板を作るときは差動パター ンを利用します.隣接する配線間の信号漏れがない よう間隔をケアしないと,通信エラーが発生する可 レシーバIC KiCadのような基板CADで プリント・パターンの幅や 間隔などを適切に描いて電 子回路を安定動作させる 絶縁材 ドライバIC 出力された電子配線の SPICE モデルは,プロ御用達 の 0 円電子回路シミュレータ LTspice でも利用でき るので,プリント基板の配線パターン・モデルを含 んだ回路性能をすぐにバーチャル実験できます.プ リント基板の試作や発注前に,LVDS などの Gpbs 超 の信号を正しく伝送するために必要な配線の長さ / 厚み / 間隔などを見つけ,KiCad のような基板 CAD に反映することができます.プロ顔負けの超高性能 RF 電子工作に挑戦してみませんか. 〈編集部〉 反射波の影響でオーバ ーシュートが発生.電 源電圧を超えるとラッ チアップする可能性あ り Hレベルのしきい値 を割っているので, 正しく動作しない可 能性あり この電圧以上 でHレベルと 認識 電圧[V] 電圧[V] (a)IC間の信号のプリント・パターン 能性もあります. 本稿では,基板の信号配線の幅 / 間隔 / 厚み,絶 縁層の誘電率などを入力すると,プリント・パター ンの等価回路(SPICE)モデルに自動出力してくれる コンバータ LC−Calc を紹介します.本コンバータで Hレベルのしきい値 Lレベルのしきい値 時間[s] 時間[s] 反射波の影響で アンダーシュー トが発生 (b)信号配線が適切だと反射波がない信号が伝わる この電圧以下で Lレベルと認識 Lレベルのしきい値を超 えているので,正しく動 作しない可能性あり (c)信号配線が適切でないと反射波が重畳された信号が伝わる 図 1 Gpbs の信号を伝送する高速基板はプリント・パターンを慎重に引かないと電子回路が正しく動作しない可能性がある 基板−回路コンバータ LC−Calc はプリント基板の信号配線の長さ,間隔,厚みなどを最適化するために利用できる.本稿では本コンバータの利用方法 を紹介する.信号配線が最適化されると (b)のように反射波がなく信号がうまく伝わる.信号配線を接続しただけでは, (c)∼(e)のように波形が乱れ, 通信エラーなどが発生する可能性がある 124 2016 年 9 月号
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