PDF/1117KB - みずほフィナンシャルグループ

私たちが目指すもの
CEOメッセージ
「総合金融コンサルティンググループ」として
お客さまと社会の持続的成長を支える
課題解決のベストパートナーを目指します。
株式会社みずほフィナンシャルグループ
取締役
執行役社長 グループ CEO
佐藤康博
18
みずほフィナンシャルグループ
平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申しあげます。
経営環境認識
とする新中期経営計画『進化する
“One MIZUHO”
~総合
世界経済は拡大基調を維持していますが、米国および
金融コンサルティンググループを目指して~』をスタートい
中国をはじめとする新興国の成長鈍化により、成長率は低
たしました。
位に止まる見通しであり、先行きの不透明感は増大してお
みなさまに一層〈みずほ〉をご理解いただけるよう、新中
ります。国際的な金融規制改革の動向を注視しつつ、こ
期経営計画に込めた想いを含め、ご説明させていただきた
のような不透明な世界経済への耐性の高い堅固なバラン
いと思います。
スシートと持続的・安定的収益構造に裏づけられた財務基
〈みずほ〉について
私たち〈みずほ〉は、2016年度からの3年間を計画期間
盤の構築が必要であると認識しています。
また、少 子 高 齢 化や人 口 減 少、グローバル化、技 術 革
すと、私たちが第Ⅳ期と位置づけた2010年代は、リーマン
新、気候変動等、国内外における経済・社会を取り巻く構
ショック後の金融の新しいビジネスモデルの模索が続いて
造的な環境変化を踏まえ、日本に軸足を置くグローバルな
います。私たち〈みずほ〉は、
前中期経営計画において、
「銀
総合金融グループとして、さまざまな社会的課題の解決に
行・信託・証券」一体戦略、
すなわち、
「One MIZUHO 戦略」
貢献するとともに、ビジネス機会を創出していく必要性を
という先進的なビジネスモデルを提示いたしました。新中
改めて強く意識いたしました。特に、技術革新については、
私たちが目 指すもの
はじめに、金融業界のビジネスモデルの変遷を見てみま
期経営計画では、
経営環境、
前中期経営計画の成果と課題、 “FinTech”をはじめとした金融イノベーションが加速する
なか、外部機関の強みを取り込みながら、お客さまに対する
まえた新しいビジネスモデルを提示しようと、検討を進めて
新たな価値を創出することで、独自性のある競争優位の確
まいりました。
立が求められる状況にあると捉えております。
価 値 創 造のための戦 略
そして、金融機関の存在価値、
『〈みずほ〉の企業理念』
を踏
金融業界のビジネスモデルの変遷・企業理念・金融機関の存在価値
〈みずほ〉の取り組み
『〈みずほ〉の企業理念』
(抜粋)
創造し、お客さま、経済・社会に
差別化に向けた新しい
ビジネスモデルを構築
第Ⅳ期
歴史認識
あっても変わることのない価値を
理念・価値
・・・
〈みずほ〉は、いかなる時代に
“新しい金融”の模索
〈豊かな実り〉を提供する、
金融機関の存在価値
経営環境認識
■
構造の構築が必要
■
競争環境・規制環境
金融規制強化は継続し、欧米他社の対応も進展
それらを解決へ導く優れたパートナーで
金融イノベーションが加速するなか、独自性の
あること
ある競争優位の確立が求められる
2013 年 銀行合併 / 証券合併
2012 年 実質ワンバンク化
リーマンショック
第Ⅲ期
2000 年代
投資銀行化/
自己勘定投資の時代
2000 年 みずほFG発足
ロシア金融危機、
ITバブル
1998 年
第Ⅱ期
1990 年代
財 務レビュー
堅固なバランスシートと持続的・安定的収益
で、経済・社会の未来を創造すること
みにしっかりと寄り添い、それらを支え、
金融規制
強化
世界経済の不安定性・不確実性は増加
(1) 高度なリスクテイク能力と金融仲介機能
(2) お客さまの夢や希望、あるいは課題や悩
経済環境
グローバル金融規制の強化
→非伝統的「投資銀行型モデル」の終焉
2014 年 指名委員会等設置会社
2008 年
かけがえのない存在であり続ける。
(Unchanging Value)
2010 年代
企 業 価 値を支える基 盤
基本理念
〈みずほ〉としての
「解」を提示
金融コングロマリット化
・メガバンク化の時代
ブラックマンデー
1987 年
第Ⅰ期
∼ 1980 年代
商業銀行・証券・保険が
独立して存在
2016統合報告書 ディスクロージャー誌
19
私たちが目指すもの
前中期経営計画の成果と課題
新中期経営計画
前 中 期 経 営 計 画『One MIZUHO New Frontier プ
こうした環境認識から得た示唆から、前中期経営計画の
ラン~〈みずほ〉の挑戦~』では、お客さまの実需を重視
基軸の価値観である“お客さま第一”を維持・継続しつつ、
し、お客さまごとに異なる多 様なニーズに的 確にお応え
今後起こり得る新しい環境変化に対応するため、「総合金
することができるよう、「銀行・信託・証券」等をグループ
融コンサルティンググループ」という新しいビジネスモデル
横断的に構成したビジネスユニットを中心に、ビジネス戦
の構築を目指す、
新中期経営計画を策定するに至りました。
略・施策を立案・推進するグループ経営体制を導入いた
この計画は、これまでの「One MIZUHO 戦略」をさらに
しました。この3年間、
“One MIZUHO”を旗印に、
“お客
進化させ、もう一つ上のステージに展開させることで、お客
さま第一”
(Client-Oriented)
を計画の基軸に据え、
「One
さま、そして社会の持続的成長を支えていくことを基本的
MIZUHO 戦略」を推進してまいりました結果、主要財務目
な考え方としております。
標はほぼ全項目で達成するなど、持続的・安定的な収益構
具体的には、
「“総合金融コンサルティンググループ”
~お
造への転換も進展いたしました。あわせて、指名委員会等
客さまと社会の持続的成長を支える課題解決のベストパー
設置会社への移行や持株会社のさらなる機能強化により、
トナー~」を目指す姿とし、中期リスクアペタイト方針、事業
コーポレート・ガバナンスの強化にも取り組み、成果をあげ
ポートフォリオ分析を踏まえた5つの基本方針、さらにこの
てまいりました。
方針を具体化した事業戦略、財務戦略、経営基盤における
一方で、グローバルに活動するシステム上重要な金融機
10の戦略軸を設定しております。
関(G-SIFIs)
として、引き続き、自己資本の一層の充実や、
また、「総合金融コンサルティンググループ」を実現す
経費構造のさらなる改革等を通じた持続的・安定的な収
るための2つの土台として、
“お客さま第一”の徹底と
“オペ
益構造の確立が必要であると考えています。
レーショナルエクセレンス”
(卓越した業務遂行力)の追求を
掲げました。
前中期経営計画の主要財務目標達成状況
前中期経営計画目標
2015 年度計画更新値
連結 ROE
9% 程度
前中期経営計画
目指すべき水準
普通株式等
Tier 1 比率
親会社株主
純利益
8% 以上
0.9% 程度
(完全施行ベース)
RORA
9% 程度
連結 ROE
9% 台半ば(8% 程度※1)
親会社株主純利益
RORA
普通株式等 Tier1 比率※2
(完全施行ベース)
収益性
10.85%
6,709 億円
累計 +2,000 億円
累計 +2,720 億円
海外対顧収益比率
33% 程度
36%
顧客部門非金利収支比率
50% 程度
50%
50% 台半ば
60.3%
50% 台前半
56.9%
25% 程度
22.1%
(2012 年度比)
(業務粗利益)
健全性
8% 以上
6,300 億円
(業務純益)
効率性
1.0%
5,500 億円レベル
顧客部門収益
10.0%※1
(8.2%)
0.9% 程度
10% 台
親会社株主純利益
2015 年度実績
グループ経費率※3
経費率(銀行部門)
※4
政策保有株式 /Tier1※5
25% 以下
※1. その他有価証券評価差額金を除く、
( )内は同含むベース ※2. 第 11 回第 11 種優先株式を含む ※3. 銀・信・証合算 ※4. 2 行合算 ※5. バーゼルⅢ移行措置ベース、第 11 回第 11 種優先株式を普通株式等 Tier1 に含む。ヘッジ効果勘案後 20
みずほフィナンシャルグループ
達成状況と課題
■
非金利収支の拡大等が
奏功し達成
■
競争優位の確立を通じて
さらなる収益力増強へ
■
目標到達も、ストレスに耐え
られる資本充実の追求要
■
銀行・信託・証券一体戦略の
進展により、収益構造転換を
果たし目標到達
■
競争優位の確立を通じて
さらなる収益力増強へ
■
引き続き経費構造改革を
推進
■
株価変動リスク削減のため
さらなる政策株削減が必要
CEOメッセージ
“お客さま第一”
(Client-Oriented)の徹底
第4の柱については、本年10月1日にグループの資産
を設 立する予 定です。 新 会 社では、フィデューシャリー・
様化・高度化しています。こうしたニーズにお応えしてい
デューティー※を全うし、統合を通じて運用力・商品提供力
くには、経済・社会の未来をさまざまな角度から予見しつつ、
を強化することで、お客さまの利益に真に適う最高水準の
お客さまの中長期的パートナーとして徹底的に寄り添い、
ソリューションを提供し、アジア No. 1の資産運用会社を
あらゆるお客さまの、顕在化しているニーズや課題のみな
目指してまいります。
らず、お客さまご自身が気づいていない潜在的なニーズや
また、第5の柱については、これまで分 散していたグ
課題も掘り起こし、適切なソリューションをスピーディーに
ループ内のリサーチ機能とコンサルティング機能を「One
提供することで“お客さま第一”を実現することが必要です。
シンクタンク」として結集し、リサーチ&コンサルティング
こうしたことを実践するため、「銀行・信託・証券」 に、第4
ユニットを新設いたしました。本邦最高品質のシンクタンク
の柱として資産運用会社、第5の柱としてシンクタンク各社
機能を構築することで、お客さまと社会の課題解決のベスト
を加えたグループ全体で、最高のコンサルティング機能を
パートナーとなるための差別化のエンジンとしてまいります。
発揮することを目指してまいります。
※ 他者の信任に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広い様々な
私たちが目 指すもの
お客さまのニーズは、経済・社会の変化に伴い、年々多
〈みずほ〉について
運 用 機 能を統 合し、新 会 社「アセットマネジメント One」
役割・責任の総称
新中期経営計画を策定
歴史認識と
存在価値
金融第Ⅳ期・
規制環境
2.事業の選択と集中
3.強靭な財務体質の確立
■“お客さま第一”とアセットクオリティに
こだわり、リスクテイク領域の選択と集中
4.金融イノベーションへの積極的取り組み
による持続的かつ安定的な収益基盤を確立
5.強い〈みずほ〉を支える人材の活躍促進と
財務戦略
■ 外部環境変化へのストレス耐性を高める
ための CET1 比率の確保
■ 外貨調達構造の強化と
バランスシートコントロール
カルチャーの確立
10 の戦略軸
事業戦略
1.グローバルベースでの非金利ビジネスモデルの強化
2.貯蓄から投資への対応
3.リサーチ&コンサルティング機能の強化
4. FinTech への対応
4
5.エリア One MIZUHO 戦略
■ 政策保有株式の削減
財務戦略
計画総括
(成果・課題)
運営高度化による顧客セグメント別
経営管理手法の確立
■ リスクカルチャーの醸成・確立
注力分野
効率化分野
前中期経営
■ リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)
財 務レビュー
6.バランスシートコントロール戦略とコスト構造改革
7.政策保有株式の削減
経営基盤
内部環境
企 業 価 値を支える基 盤
競争環境
1.カンパニー制の導入
事業戦略
リスク・リターン構造の改善
経済環境
5 つの基本方針
中期リスクアペタイト方針
(2016 ∼ 2018 年度)
■ 非金利収支の増強による
経営環境
新中期経営計画骨子
事業ポートフォリオ分析
普遍的価値観
リスクアペタイト
価 値 創 造のための戦 略
環境認識
経営基盤
8.次期システムの完遂
9.人事運営の抜本的改革
.強い組織を支えるカルチャーに向けた
0
10
継続的取り組み
2016統合報告書 ディスクロージャー誌
21
私たちが目指すもの
“オペレーショナルエクセレンス”
3つ目は、収益責任の明確化です。カンパニー別 ROE
(卓越した業務遂行力)の追求
運営を導入するとともに、カンパニー長の収益責任を明確
化いたしました。合わせて、収益責任を達成するため、戦
“オペレーショナルエクセレンス”という言葉は、一部の
略策定、経営資源配分、人事等、責任に見合う必要な権
会社では主としてコスト削減・生産性向上という意味で使
限を付与いたしました。
われております。しかし〈みずほ〉では、この“オペレーショ
こうした3つの目的からカンパニー制を導入いたしました
ナルエクセレンス”を、日々の業 務のシンプル化・スリム
が、最終的な目標は、あくまでも“お客さま第一”であり、
化や、意思決定のスピードアップ、コスト構造の見直しな
お客さまのニーズにしっかりとお応えしていくということで
ど、業務全般の効率化に加えて、
“FinTech”をはじめとし
す。 持 株 会 社のもとに、お客さまの属 性に応じた5つの
た金融イノベーションを積極的に取り込むことで、お客さ
カンパニーを設置し、本部と営業部拠点、そして、
「銀行・
まサービスそのものの価値向上を目指すものと定義して
信 託・証 券」、さらにはアセットマネジメント、リサーチ&
おります。これらを実現していくため、新たに設置いたしま
コンサルティングが一致団結し、一体的に取り組むことで、
した「オペレーショナルエクセレンス推進委員会」において
それぞれがお客さまの実需にしっかりと寄り添って、最良の
私自身が委員長となり、グループ一体の取り組みとして推
サービスを提供してまいります。
進してまいります。
強い〈みずほ〉を支える人材の活躍促進と
カンパニー制の導入
カルチャーの確立
“お客さま第一”の観点からのアプローチ(マーケット・イ
「総合金融コンサルティンググループ」を実現する強い
ン型アプローチ)を徹底的に強化し、
「総合金融コンサル
組織を支えていくために必要不可欠なものとして、人材の
ティンググループ」を実現するための新たな組織体制とし
活躍促進とカルチャーの確立に取り組んでまいります。
て、顧客セグメント別のカンパニー制を導入いたしました。
人材の活躍促進につきましては、これまでの人事運営
導入の目的は、3つあります。
を抜本的に改革し、グループの社員全員が自らのステップ
1つ目は、戦略の一貫性です。戦略を企画・立案する本
アップと組織貢献に対する意欲を高め、一人ひとりの能力
部から戦略を遂行する営業部拠点まで、
「銀行・信託・証
を持続的に伸ばして最大限に発揮しながら長く活躍するこ
券」横断的に同じカンパニーの構成部署とすることで、お
とを実現してまいります。
客さまの属性に応じて一貫した戦略を展開できる体制にい
また、カルチャーの確立につきましては、これまでの取り
たしました。
組みから根づき始めたカルチャーをより強固なものとする
2つ目は、意思決定の迅速化と現場力強化です。これ
ため、社員一人ひとりの「みずほ Value ※」実践に向けた取
まで10に分かれていたユニットを5つのカンパニーと2
り組みを一層後押ししていくとともに、社内コミュニケー
つのユニットに再編いたしました。組織をシンプル化する
ション推進施策を継続してまいります。
ことによりさらなる本 部のスリム化を図ることで、スピー
※ 役職員が「ビジョン」を追求していくうえで共有する価値観・行動軸
ディーな意思決定を実現するとともに、本部人員を現場へ
振り向けることでさらなる現場力の強化を目指してまいり
ます。
22
みずほフィナンシャルグループ
お客さま第一、変革への挑戦、チームワーク、スピード、情熱
CEOメッセージ
2016年度グループ運営方針
こうした状況におきましても、金融機関の存在価値を踏
2016年度は、先行き不透明感が増す環境変化に留意
ります。すなわち、日本、そしてアジアと世界の経済・社会
のうえ、
“お客さま第一”を推進するため、カンパニー制の
の発展に貢献していくとともに、株主の皆さまやお客さま、
始動・定着を図ってまいります。あわせて、
“オペレーショ
地域社会、役職員とその家族などさまざまなステークホル
ナルエクセレンス”の取り組み具体化を進めることにより、
ダーの皆さまの期待に、積極的にお応えしてまいります。
「総合金融コンサルティンググループ」の実現に向け、新
そのために私たち〈みずほ〉は、
「One MIZUHO 戦略」
中期経営計画で設定した10の戦略軸を着実に推進してま
をさらに進化させ、
「総合金融コンサルティンググループ」
いります。
という新しいビジネスモデルを構築し、高度なリスクテイク
〈みずほ〉について
まえ、
〈みずほ〉が担う社会的使命をしっかりと果たしてまい
私たちが目 指すもの
能力と金融仲介機能で、お客さまにしっかりと寄り添い、課
題解決へと導くベストパートナーとなって、経済・社会の未
最後に
来を創造してまいります。そして、持続的な競争優位を確
立し、企業価値の向上を実現することで、さらに大きな社
新中期経営計画期間の3年間は、不透明な規制環境に
会的使命を担ってまいります。
加え、世界経済も新興国経済が牽引してきた構図の変調
みなさまにおかれましては、引き続き、変わらぬご支援を
や資源価格の長期低迷など、金融機関を取り巻く経営環
賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。
境はパラダイムシフトを迎えつつあるとともに、金融イノ
価 値 創 造のための戦 略
ベーションの急速な進展により金融サービスのあらゆる分
野で新しい競争環境、すなわち、ゲームチェンジが起こりつ
つあります。
企 業 価 値を支える基 盤
2016年7月
財 務レビュー
株式会社みずほフィナンシャルグループ
取締役
執行役社長 グループ CEO
2016統合報告書 ディスクロージャー誌
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