衝撃エネルギー(単位:J)は,試験片を破壊したあとに振 試験設備紹介 り子が振りあがった角度から,JIS の附属書に規定される数 式を用いて求められます。シャルピー衝撃強さは,衝撃エネ ルギーを試験片の試験前の断面積で除した値として求めら シャルピー衝撃試験機 れ,kJ/m2 で表されます。 製品 JIS がこの試験を引用している場合は,試験条件は製 品ごとに決められています。ただし,異なる試験条件(ノッチ 中央試験所 材料グループ と呼ばれる試験片中央の切り欠きの有無や形状,衝撃を加え る方向など)で行われた結果を比較することは困難なため, 試験実施およびデータ比較の際には注意が必要です。 3.試験機の仕様 1.はじめに 当センター中央試験所では,この度シャルピー衝撃試験機 (写真 1)を更新しました。ここでは,シャルピー衝撃試験と 試験機について紹介します。 当センターが更新した試験機は,JIS K 7111-1 (プラスチッ ク−シャルピー衝撃特性の求め方−第 1 部:非計装化衝撃試 験)に対応した試験が可能です。試験機の仕様を,表 1 に示 します。 なお,この試験機は JIS Z 2242(金属材料のシャルピー衝 衝撃試験とは,対象物に衝撃力(瞬間的な大きい力)がか かったときの抵抗の強さを調べる試験です。製品や材料に応 撃試験方法)には対応しておりません。 じた多くの衝撃試験が日本工業規格( JIS)などで規定されて 表 1 試験機の仕様 いますが,材料の衝撃試験は振り子型衝撃試験と落錘衝撃試 験に大別することが可能です。 振り子 JIS では,アイゾット衝撃試験(片持ち曲げ破壊試験) ,シャ ルピー衝撃試験( 3 点曲げ破壊試験) ,引張衝撃試験の 3 種類 の振り子型衝撃試験が規定されています。この中では,シャ 試験片 支持台 ルピー衝撃試験が金属およびプラスチックの衝撃強さを求め る試験方法として最も多くの製品 JIS に引用されています。 1),2 ) 衝撃刃の角度 30°± 1° 衝撃刃の半径 2mm ± 0.5mm 位置エネルギー 2.0J,4.0J 衝撃速度 2.9m/s 支持台の曲率半径 1mm ± 0.1mm 試験片支持台間距離 +0.5 62 -0.0 mm 長さ:80mm ± 2mm 対応試験片寸法 幅 :10.0mm ± 0.2mm 厚さ:4.0mm ± 0.2mm 4.おわりに 本稿では,シャルピー衝撃試験機について紹介しました。 また,当センター中央試験所・材料グループでは,この他に も様々な高分子系材料の性能試験に対応しております。試験 をご検討の場合は,お気軽にご連絡ください。 写真 1 シャルピー衝撃試験機 2.シャルピー衝撃試験の概要 【参考文献】 1) J IS B 7739:2011(非金属材料用振り子型衝撃試験機−試験機の 検証方法) 2) J IS K 7111-1:2012(プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め 方−第 1 部:非計装化衝撃試験) 【お問い合わせ】 中央試験所 材料グループ TEL:048-935-1992 FAX:048-931-9137 シャルピー衝撃試験では,水平な支持台に置かれた試験片 の中央に振り子(ハンマ)で衝撃を与えて,試験片の破壊時に 吸収される衝撃エネルギーを求めます。 24 建材試験情報 2016 年 8 月号 (文責:中央試験所 材料グループ 主幹 吉田 仁美)
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