見直される「介護保険制度」

見直される「介護保険制度」
住宅改修の見直し
悪質リフォームをはじめとした被害から高齢者を護るため、介護保険制度の見直しが図られました。
今回の改正では「住宅改修の見直し」が、住宅会社様にとって大きなポイントになります。
「超高齢化」
と言われる時代へとだんだん移行しつつある今、高齢者の弱みに付け込んだ悪質リフォームなどが増加し、
世間を悩ませています。そこで今回、介護保険制度の基本理念である高齢者の「自立支援」
「尊厳の保持」を護るため、
施工前に改修の必要性や妥当性を判断する仕組みに変わります。
利用者の自立支援という目標に沿った
「住宅改修」実現のため、
事前申請制の導入に伴い、
「住宅改修が必要な理由書」の
標準書式が示されます。
住宅改修費は保険制度施工以来、工事施工後に一旦工事
費を業者に支払う「償還払い」でしたが、2006年4月からは
事前申請制度に変わります。この背景には、悪質な事業者
が保険給付として適当でない住宅改修を行い、費用が支給
されないことで利用者との間でトラブルが生じていることから。
そのため、利用者の状態に合った回収が行われるようにこの
制度に変更されました。
また、制度の持続可能性を高めていくために、介護保険制度の見直しが図られました。
事前申請制の導入
事前の審査とともに、あらかじめ市町村に申請書を提出する事前申請制度を導入
見直しの基本的視点
【事前申請における住宅改修費の支給の流れ(イメージ)】
「明るく活力ある
超高齢化社会」
の構築
制度の「持続可能性」
社会保障の総合化
1 利用者はケアマネージャーに相談が必要
2 支給の申請
利用者は保険者に提出、保険者が審査
「介護保険法」の改正ポイント
予防重視型
システムへの転換
施設給付の見直し
・新予防給付の創設
・居住費・食費の見直し
(H17年10月から施工)
・地域支援事業の創設
・低所得者に対する配慮
新たなサービス
体系の確立
ケアマネージャーの活躍する世界がさらに広がることで、
住宅の専門知識まで覚えなければいけないなど、いま、
様々な要素が求められており、そこまでカバーできる
ケアマネージャーを育てる素地を模索中です。
こういった背景を打破すべく、東京都では、住宅会社
関連に務めていた経験者に対し、ケアマネージャー
への道を応援しています。
・地域密着型サービスの創設
・地域包括支援センターの創設
・居住系サービスの充実
サービスの質の
確保・向上
負担の在り方・
制度運営の見直し
・介護サービス情報の公表
(情報開示の標準化)
・第1号保険料の見直し
・
「痴呆」の名称を「認知症」へ変更
・要介護認定の見直し
・事業者規制の見直し
・市町村の保険者機能の強化
・養護老人ホーム、在宅介護支援
センターに係わる規定の見直し
・ケアマネジメントの見直し
(提出書類)
・支給申請書
・住宅改修が必要な理由書
・工事費見積書
・住宅の所有者の承諾書
東京都が
「住宅関連会社 ケアマネージャー」を推進。
被保険者・受給者の範囲
(附則検討規定)
・その他
・より主体性を発揮した保険運営
3 施工 ∼ 完成
4 住宅改修費の支給
利用者は領収書を保険者に提出。保険者は利
用者の心身および住宅の状況などを勘案して
必要と認められる場合に限り支給
(提出書類)
・住宅改修に要した費用に係る領収書
・工事費内訳書
・完成後の状態を把握できる書類
福祉用具販売事業者の指定制度導入
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福祉用具の見直し
福祉用具の販売について、介護保険の対象とする事業者
をあらかじめ指定する。
販売業者の指定制度や専門職の関与により、本当にご本人
にあった質の高いサービス提供がおこなわれるようにしくみが
変わります。
福祉用具の貸与・販売に専門職の関与を
住まいの空気まわり Vol.36
福祉用具の給付にあたっては、OT・PT等の専門職が関
与する仕組みとするなど、提供プロセスを見直すとともに、
訪問リハや通所リハと組み合わせた福祉用具の使用方法
の指導のあり方を検討する。
理由書の標準的な書式検討
● 住宅改修は
「自立支援」
という目標に沿って実施される
必要があり、計画を立てる際にはその目的をはっきり
させることが大切。そうすることで、より効果的な住宅
改修につながります。
● 何に困っていて、それをどうするのかといったプランニング
の考え方の流れを理由書の記述によって理解できるよう
にすることが望ましいという考えに基づき、事前申請導入
を考慮した「住宅改修が必要な理由書」
(標準的な様式)
が示される予定です。
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