信州おもと実生研究会 会報 第5号 信州実生会にゆかりのある万年青 松扇(しょうせん) 松寿の舞(しょうじゅのまい) 作出者 上條英希 松本市 作出者 松井 久 長野市 作出年度 平成 2 年 平成 12 年 作出年度 昭和 50 年 登録年度 平成 7 年 千代田羅紗人気が全盛の時代、「玉松」などの熊 ♀「鶴の舞」× ♂「麒麟獅子」の交配によって作出。 谷ブランドに続いて作出された品種で、その扇のよ 若いうちは「四君子」に似たところもあるが、次 うな葉姿、広葉、至芸になって現れる総雅糸竜は千 第に柚肌の粗れた地合いと竜がけの低い総雅糸竜を 代田羅紗で最も特徴のある品種と言える。 現す。紺性の深さがその地合いをより一層引き立て 中型で、芸足が遅いことが功を奏し、いわゆる「裏 る。 見の松」にならない点も、千代田羅紗という系統に ♂木、♀木のそれぞれの良さを併せ持った獅子で おいて最適なタイプである。 あり、交配例の確かな品種が少ない獅子系の中で、 ♀木は作出者が東京の即売で仕入れたもので、ど 実生家にとっては良いヒントになる品種とも言え この出かは不明。また、流通も無かった為、現在は る。 存在しないと思われる。 性質はやや弱いところがあるのか、作出から年数 が経っている割には現存数が少ない。 つぶやき 小生も実生を始めて 40 年を過ぎ、途中、事情により 3 回ほど頓挫したこともありました。 退職後、実親改良を始めて、16 年くらいになります。自分が作った実親は玉石混淆と思いますが、ここ 3 年くらい、この実親を中心に交配を始め、面白そうなものが出来つつあります。 今年で 78 歳、あと5年はしっかりと交配して、その結果を見たいと思っています。5 年後の生えは最低 でもそこから 5 年は育成しないといけませんが、 その時には 88 歳になっています。この世にいるのかな…? 小林智道大先輩のごとく元気でいれば思いもかなえられるかもしれませんが、最近テレビで日本文化の 伝統技術の後継者が少なくなっていることを憂慮された放映がありました。 万年青の実生家も若い人が少なくなりつつあります。10 年、20 年は過ぎてしまえば短いものです。 「少年老いやすく学成りがたし一寸の光陰かるんずべからず」 良い実生を生やすには日々の努力と時間がかかります。 これからは若い後継者が出来ることを望み、万年青界発展の一翼を担っていければと… 赤実狂 -1- 岡田忠行さんの活躍 会員の岡田さんが昨年の信州おもと実生品評会で多くの部門トップ入賞を果たしたのは 記憶に新しいですが、 勢いそのままに、 三河実生会でも 2 本の特別賞入賞を果たしました! 左写真は当才胡麻斑の部トップ。日本おもと業者組合賞。 右写真は当才縞甲の部トップ。おもと大賞。 いずれも、信州おもと実生品評会では部門トップ入賞 だったものの、金屏風には上がらなかった実生です。 これは信州おもと実生研究会のレベルが上がったの か、はたまた審査員の観る目が無かったのか?(笑) 前向きに前者だと捉え、この勢いで、よりレベルの高い、日本一の実生会を目指していき ましょう。 平成 27 年度 信州おもと実生品評会 特別賞一覧 長野県支部長賞 長野三光園賞 4 才以上縞羅紗の部 2 才以上縞甲の部 前島洋司 筑波健治 仮名「麒麟児」 交配 不明 交配♀ N130× ♂西 F3 信州おもと実生会長賞 湯本賞 2 〜 3 才縞羅紗の部 当才千代田斑の部 岡田忠行 岡田忠行 交配♀美新 × 仁兵衛大宝 交配♀モドキ × ♂西 F3 田哲園賞 特別賞以外の最優等一覧 2 才以上千代田羅紗の部 ・当才縞甲の部 岡田忠行 矢沢 哲 ・当才千代田羅紗の部 岡田忠行 交配 不明 ・当才獅子の部 岡田忠行 ・当才胡麻斑の部 岡田忠行 ・2 〜 3 才獅子の部 矢沢 哲 ・2 才以上胡麻斑の部 岡田忠行 ・4 才以上縞羅紗の部 瑞光園賞 藤倉正巳 BO10× 英宝 当才縞羅紗の部 ・4 才以上獅子の部 岡田忠行 岡田忠行 交配♀鹿玄 × ♂仁兵衛大宝 -2- ・その他の部 筑波健治 ♀大宝 × ♂千代田系 その他の部のトップ入賞。 縞に矢筈虎を現した珍品。 実生家お棚紹介 柏崎市/三宮順次さん お棚訪問記。柏崎市の三宮さんを訪ねて! 6 月 15 日夕方 5 時過ぎにお訪ねしました。 大きな温室は 50 坪あり、業者と思う程である。 中には実親が 300 鉢位、 実生が当才~親木迄、 又、 登録品も含め、 1500 鉢程が整然と置かれており、その他に雪割草、斑入植物な どが温室に沢山培養されています。 登録品や美術品が多くあり、植物に対する情熱が感じられまし た。 最近は、普通の人とは違う交配をなさっているとの事で、とて も楽しんでおられる様子です。 (長野三光園 袖山晃彦記) 三宮さんのお棚 長寿楽と文鳥丸を使い、新しい世界を作る実親 ↑峰雪(VxBO10) 折り下げの良い姿は上品で、細かい総雅糸竜を現し、力強さが ある。総本数 3 本なっており覆輪が完成されている。 峨眉山(がびさん)↓→ やや立葉の姿に葉幅のある葉は、総雅糸竜を表し、時に剣葉を見せる。 氏が一番気に入っている実生で、登録したいと思っているとのこと。 以前萬風展に出展した時の姿。 -3- 実親の紹介 「天賜(てんし) 」 作出者 吉本 胖氏 「吉本大車」と呼ばれていた時期もあったように、 「大車」と「大判系」の実親による F1 である。また 胡麻斑の遺伝子も入っているらしく、地合いの良いも のが生えると言われている。 実績としては、なんといっても天下の大銘品、 「楼蘭」 が生えたことにより一躍有名になり、その後しばらく はこれといったものが生えなかったが、 「天賜」 「威風」 といった実生が作出されたことにより、再評価されて いる♀木である。 交配例:天賜 × 東海錦、天賜 × 英宝、天賜 × 丸小など。 「天 賜」 「威 風」 「楼 蘭」 催事案内 今年の交配結果 今年の交配は 4 月 27 日に始まり 5 月 13 日に終了した。 が、結実は思わしくない。120 鉢ほど実施したが、モロコシ 状に付いているのは数鉢で、1~2 粒結実しているものを数え ても 30 鉢ほどとなっている。 例年だと 7 割ほどは結実をしているが、今年はその反対だ。 それはなぜかと中身のない頭で考えたのだが、気温の上昇 が昨年比で 10 日ほど早く進んでいたと思うが、その対策を 怠ったのではなかったか。 晴天が続き、3 月 25 日頃から外気温が 16~17℃でも温室 内は 30℃を超えた。4 月に入って外気温は 20℃を超え、実 親の棚は 30℃を超える日が続いていた。 信州おもと実生研究会 品評会 日時:平成 28 年 9 月 4 日(日) 場所:赤沼公会堂 信州おもと美術展(長野県支部展) 日時:平成 28 年 10 月 1、2 日 ( 土、日) 場所:ホテル犀北館南館 2 階 全国万年青実生展示会(実生支部展) 日時:平成 28 年 9 月 11 日(日) 場所:岡崎市羽根稲荷神社(社務所) 交配を始めた 4 月下旬からも最低 13℃、最高 30℃を超え る日が続いた。この高温が結実の悪さに関係したのではない かと考えた。 結実に最適な最低温度は 16~18℃と言われるが、最高温度 について、皆さんはどうお考えだろうか。教えて下さい。 岡田忠行 -4- 信州おもと実生研究会 平成 28 年 7 月 31 日 会長 百瀬治水 会報編集長 袖山晃彦 会報編集者 田中悠介 編集事務所 〒 381-0001 長野市赤沼 188 電話 026-251-3001 田哲園内
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