おりおりの山 第82回 尾瀬ヶ原散策と燧ヶ岳

おりおりの山
第82回
2016 年 8 月 1 日
作者プロフィール
柚木 文夫氏 千葉県隊友会会員 習志野支部長 桧町陸幕 平成 2 年退官 1958 年防衛大学卒
元防大山岳部監督 現自衛隊山岳連盟会長
尾瀬ヶ原散策と燧ヶ岳
尾瀬ヶ原と燧ヶ岳
闇のブナ林の中を進む。次
第に傾斜が増すと、狭い沢
の中の岩ゴロゴロの登りと
なる。赤ナグレ岳を右に見
る頃、やっとハイマツ帯の
尾根筋に飛び出した。後は
岩混じりの道を急登して8
時 、 燧 ヶ 岳 主 峰 ・ 柴 安 嵓
( 2 3 5 6 m )に 着 い た 。3 6 0 度
の眺望が素晴らしい。昨日
辿った尾瀬ヶ原の広がりを
一望に収め、その先に至仏
山の勇姿、かなたには上州
武尊岳、谷川岳、平ヶ岳、
越後駒ヶ岳などが峰を連ね
て見えた。
燧ヶ岳の今一つの山頂・
俎 嵓 ( 2346 m ) は 、 東 へ 岩
8 月 上 旬 、 尾 瀬 ・ 燧 ヶ 岳 ( 2356m ) に 登
った。先ず尾瀬ヶ原を散策して原ノ小屋泊
稜 伝 い
り、翌日は燧ヶ岳を見晴新道から登り、長
に 20 分
英新道を下る計画である。
程 の と
鳩 待 峠 出 発 12 時 。 山 ノ 鼻 到 着 13 時 半 。
こ ろ に
ここからいよいよ尾瀬ヶ原の湿原が始まる。
あ る 。
ミズバショウは終ったが、そこここの池塘
こ こ の
ヒツジグサ
俎嵓からの尾瀬沼
で は ヒ ツ ジ グ
眺 望 は
サ や オ ゼ コ ウ
東 向 き
ホ ネ な ど が 今
が良い。眼下の尾瀬沼の輝きの向こうに、
盛 り で あ る 。時
奥白根山、男体山、太郎山などの日光の連
折 、コ バ ギ ボ ウ
山が峰を連ねる。北方には会津駒ヶ岳も遠
シ の 鮮 や か な
望出来た。
紫 色 が 目 を 惹
長 英 新 道 を 下 っ た 。 11 時 半 、 長 蔵 小 屋 で 昼
ゆっくり眺望を楽しんだ後は、
く。あっちでカメラを構え、こっちで図鑑
食 。暑 さ に バ テ て ビ ー ル を 飲 む 元 気 も な く 、
を広げているうちに時間が経ち、原ノ小屋
ガブガブ水を飲んだ。この辺り小屋周辺の
到 着 は
ニッコウキスゲの大群生には圧倒される。
16 時 と
原ノ小屋と燧ヶ岳
ニッコウキスゲの黄、尾瀬沼の青、燧ヶ岳
な っ て
の緑の取り合わせは正に一幅の絵である。
し ま っ
帰りは、三平峠を越えて大清水へ出た。
た。
4
この道がまた長い。暑さも暑し、くたびれ
翌 朝
果 て て の 大 清 水 バ ス 停 の 到 着 は 15 時 と な
時 出
った。バスを待つ間のひと時は、何はとも
発 。 薄
あれビールである。