平成 28 年8月号 法務コンシェルジュサービス 望月綜合法務事務所便り 連絡先:〒612-8411 京都市伏見区竹田久保町2番地 TEL:(075)644-9252 URL:http://www.office-mochizuki.com 10 月から社会保険の加 入対象者が拡大します! ◆大企業のパート労働者 にも適用へ 今年 10 月から、厚生年金 保険・健康保険(社会保険) の加入対象者が広がります。 現在は、一般的に週 30 時 間以上働く人が社会保険の 加入対象となっていますが、 10 月からは従業員 501 人以 上の企業において週 20 時間 以上働く人などにも対象が 拡大されます。 なお、平成 31 年以降は従 業員 500 人以下の事業所も 適用予定です。 ◆加入・適用のメリットは? (1)将来もらえる年金が増 える。 (2)障害がある状態になり 日常生活を送ることが困 難になった場合なども、よ り多くの年金がもらえる。 (3)医療保険(健康保険) の給付も充実する。 (4)自身で国民年金保険 料・国民健康保険料を支払 っている場合は現状より 保険料が安くなることが ある。 ◆新たに加入することに なる対象者とは? (1)1週間の所定労働時間 が 20 時間以上 (2)月額賃金が 88,000 円 以上(年収 106 万円以上/ 残業代や交通費などは含 まない) (3)継続して 1 年以上雇用 されることが見込まれて いる ◆助成金の活用も視野に 社会保険の適用拡大は、従 業員だけでなく事業主の負 担も増えることになります。 したがって、仕事内容を見 直したり、人員削減や配置換 えを考えたりする必要が出 てくるケースもありますが、 それと並行して助成金の活 用も視野に入れるとよいで しょう。 平成 28 年 4 月から、キャ リアアップ助成金が拡充さ れています。従業員の所定労 働時間を「週 25 時間未満」 から「週 30 時間以上」に延 長し、厚生年金保険などの被 用者保険を適用した事業主 に対し、労働者 1 人あたり 20 万円(大企業は 15 万円)が 助成されます。 なお、10 月以降は、労働者 の所定労働時間を 5 時間以 上延長し、厚生年金保険など の適用対象とした場合に助 成(助成額は同額)されます。 2016 年の「賃上げ」に関 する状況は? ◆賃上げの波は続いている 景気の不透明感が叫ばれ ている中、企業の賃上げの動 きは継続中のようです。 株式会社東京商工リサー チが今年 5~6 月に実施した 2016 年の賃上げ状況に関す るアンケート調査(有効回答 8,097 社)によると、今年、 賃上げを実施した企業が 6,483 社と約 8 割を占めたそ うです。 賃上げの実施方法として は「定期昇給のみ」が最多で 37.0%、「定期昇給+賞与・ 一時金の増額」 が 11.2%、 「ベ ースアップのみ」が 10.1% となっています。 賃上げ幅としては「月 2,500 円未満(年 3 万円未 満) 」がほぼ半数を占めてい ます。 ◆人材確保のために 中小企業でも実施 上記調査では、賃上げの理 由についても質問しており、 「従業員の定着・確保を図る ため」との回答が約 7 割を占 めたそうです。 回答した企業の資本金別 でみると、資本金 1 億円以上 が 55.3%(1,579 社中 873 社) だったのに対し、1 億円未満 は 71.9%(4,904 社中 3,526 社)となっています。 中小企業ほど人材確保の ための措置として賃上げを 実施している実態がわかり ます。 ◆人材確保面で格差が 広がる可能性 賃上げの実施は、実際に人 材確保に影響を与えている のでしょうか。 株式会社マイナビが運営 する「マイナビ転職」が実施 した「2016 年ベースアップ の実態と転職意識調査」によ れば、ベースアップ(ベア) の有無やその金額が転職意 向に与えた影響について、 「(べアが)想定より多かっ た」層のうち、「転職意向は 弱くなった」との回答が 25.0%(前年比 10.8 ポイン ト増)で、前年より増加した そうです。 賃上げには転職意向を弱 める効果が少なからずある ことがうかがえます。 一方、賃上げを実施しない (実施しない)企業の理由と しては「業績不振」が大きな 理由になるところだと思い ますが、人材確保への投資が 不十分となると、人手不足に よりますます業績にマイナ スの影響が及ぶ可能性も指 摘されています。 ◆賃上げ以外のアピールも 必要に 人材流出回避のためには、 他社の動向も注視しながら、 会社の資力を考慮したうえ での賃上げの実施は有効で す。一方で、賃上げを実施し ない企業にとっては、他社か ら取り残されないためにも 給与面以外(働きやすさ、職 場の風通しの良さ等)のアピ ールも検討すべきでしょう。 8 月の税務と労務の手続 期限[提出先・納付先] 10 日 ○ 源泉徴収税額・住民税特 別徴収税額の納付[郵便 局または銀行] ○ 雇用保険被保険者資格取 得届の提出<前月以降に 採用した労働者がいる場 合> [公共職業安定所] ○ 労働保険一括有期事業開 始届の提出<前月以降に 一括有期事業を開始して いる場合> [労働基準監督署] 31 日 ○ 個人事業税の納付<第1 期分>[郵便局または銀 行] ○ 個人の道府県民税・市町 村民税の納付<第2期分 >[郵便局または銀行] ○ 健保・厚年保険料の納付 [郵便局または銀行] ○ 日雇健保印紙保険料受払 報告書の提出[年金事務 所] ○ 労働保険印紙保険料納 付・納付計器使用状況報 告書の提出 [公共職業安定所] ○ 外国人雇用状況の届出 (雇用保険の被保険者で ない場合)<雇入れ・離 職の翌月末日> [公共職業安定所] 弊所よりひと言 ●法務相談、労務・人事管理、 給与計算、各種許認可申請、 民事・家事事件、就業規則見 直し、労基署・年金事務所の 調査の立会い等について、疑 問やご質問はお気軽にお問い 合わせ下さい。
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