歯科学の基礎

こんな歯の子がきたらどうしますか?
症例から学ぶ
歯科学の基礎
戸田 功
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とだ動物病院 小動物歯科
中大型犬によくみられる歯科疾患
前回(2016 年6月号、vol.178)までに、小型犬によ
挙げるような特徴があります。中大型犬は活動的であり、
くみられる歯科疾患を紹介しました。今回は、中大型犬
手の代わりに口を使うことが多いために、歯のトラブル
の顎顔面の特徴やよくみられる歯科疾患を紹介します。
が多発しやすい状況にあります。破折や咬耗は小型犬で
中大型犬の特徴は、小型犬種に比べ、一般的に以下に
こんな歯の子がきたらどうしますか?
もよくみられますが、中大型犬でも多発します。
中大型犬の顎顔面の特徴とよくみられる歯科疾患
1)顎が丈夫
結合部の離開(顎が割れる)が少ないです。歯周病になって
体の大きさに比例して顎が大きくなるというだけでな
も病的骨折にはなりにくいようです(図2)
。
く、頭に対して顎が大きめでがっちりしており、骨も充
※
実しています(図1)
。下顎結合部 もしっかりとついて
いるので、小型犬の犬歯の歯周病の際に時々みられる、下顎
※:下顎の先端部分は、左右の下顎骨が骨性癒着による結合を
しています。
大型犬
小型犬
図1.大型犬(ラブラドール・レトリーバー)
と小型犬(マルチーズ)の頭蓋の比較
図2.重度歯周炎による
病的骨折(矢印)
。
(トイ・プードル、6歳齢)
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Aug 2016
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