多様な価値観を培う 共通教育と副専攻

共通教育の科目例
琉球の文学
沖縄(琉球)に伝承されてきた歌謡
や劇をとりあげ、琉球のことばによ
る独自的な表現を概説する授業。物
語に込められた琉球人の“想い”を
探ることにも取り組んでいきます。
琉球の自然保護
沖縄の豊かな自然、その保護の在り
方について、多角的な視点から学習
する授業。沖縄の自然が破壊されて
いる現状についても知り、開発との
関係を深く考究していきます。
三線と島唄
沖 縄 独自の楽 器 、三 線に関 する基
本 的な知 識を学 び 、この 地 域に根
ざした「三線文化」を考究する授業。
実際に三線を弾き、数々の島唄を謡
う実技・実習も行います。
うちなーぐちあしび
Special Feature
琉 球 大 学の魅 力
3
沖 縄 語 普 及 協 議 会が発 行 する『 は
多様な価値観を培う
共通教育と副専攻
evidence voice
じみらなうちなーぐち』をテキストに、
西表島での琉大特色科目は
熟を経て、沖縄の暮らしに関する昔
豊かな自然への感動の連続でした
これまで多くの共通教育科目を履修しましたが、最
も印 象 深いのは「 亜 熱 帯ー西 表 島の自然 」という
グローバルシティズンの育 成をめざす琉 球 大
琉大特色科目。西表島の現地で1週間、海をカヤッ
沖 縄 語の基 本 文 型を学 習 。その習
話などにも親しんでいきます。
沖縄の歴史入門
琉球王国が日本という近代国家に
併呑される過程(琉球から沖縄への
変容)から、沖縄戦に至るまでの基
学では、学 部・学 科による専 門 教 育はもとよ
クで渡ったり、マングローブが繁る水辺に入ったりし
礎的な歴史事象を概説する授業。沖
り、多 様な価 値 観や複 眼 的な思 考力を育む
ながら、専 門が異なる5 名の先 生 方からレクチャー
縄近代史を巡る議論にもふれます。
を受けました。おかげで亜 熱 帯の自然の多 様 性や
「共通教育」と「副専攻」の充実を図ってい
ます。
どちらも所属する学部・学科の枠組みを
こえて履修できるようになっており、沖縄ならで
沖 縄 ならで は の 体 験 や 学 部・学 科 を 横 断 する 学 び が 育 む 複 眼 的 な 思 考 力
生物の進化などが確かめられ、感動の記憶は今も
このような
“沖縄でしかできな
理学部 海洋自然科学科 生物系2年次(取材時) 鮮やかです。私自身、
畑中 ひらり
い学び”
を求め、神戸から琉大に来たわけで、満足
兵庫県 長田高校出身
度の高さも並 大 抵ではありません。今 後も学 部・学
学風が最も自由な国立大を模索し、めぐりあった琉
科の枠をこえて学 べる共 通 教 育 科目を通じて、思
球 大 学に進 学 。沖 縄に来 て 始 めたシュノーケリン
グは、サンゴ礁でのフィールドワークを兼ねた趣味。
考の幅を広げていきたいですね。
視野を広げるため、他学部が提供する共通教育科
はの自然や風土、文化や伝統をステージとす
副専攻の学修内容
〈総合環境学副専攻〉
現代社会において、環境問題への理解と取り組みが重要視
されています。その観点から琉球大学では、環境に関する知
(環境リテラシー)を身につけた学生を育成し、現代社会の
さまざまな分野で活躍・貢献できる人材の輩出を目的に「総
目も積極的に履修する。
合環境学副専攻」を設置しました。授業は文系と理系、双方
るユニークな科目を数多く配しています。
こうし
evidence voice
た「共通教育」
と
「副専攻」
も琉球大学の魅
の環境関連科目で構成しており、環境を学際的かつ総合的
に学習することができます。
力のひとつです。
琉球学副専攻の諸科目から
〈日本語教育副専攻〉
また、
「共通教育」には西表島をはじめとする
次代に繋ぐべき知識を得ています
「日本語教育副専攻」では外国人に対する「外国語として
離 島や亜 熱 帯の森 林 、海 洋でのフィールド
専門は化学ですが、生まれ育った沖縄の文化に関
ワークを実 施する科目もあり、学 生たちは貴
する造 詣も深めるべきと考え、副 専 攻で琉 球 学を
重な体 験を得ています。
さらに「 総 合 環 境 学
勉強しています。
また、授業は各学部の先生による
副 専 攻 」と「 琉 球 学 副 専 攻 」には概ね全 学
オムニバス形 式で行われるため、沖 縄の自然 環 境
から建 築 様 式、観 光 振 興や方 言などまで、幅 広い
部から関 連する科目が配当されてあるため、
知 識が養えます 。ちなみに沖 縄 人のリズム感は独
文 理 融 合による
“ 視 野の広がり”が期 待でき
ます。今こそ個 性が際 立つ人 材への成 長を
求め、沖縄の独自性をフル活用した学びに取
り組んでみたいと思いませんか。
特なのですが、それは和歌が「五・七・五・七・七」を
琉歌が「八・八・八・六」で刻ま
理学部 海洋自然科学科 化学系2年次(取材時) 基本にしている一方、
の日本 語 教 育 」に関 心をもつ学 生が、法 文 学 部・国 際 言 語
文化学科や留学生センターからの提供科目を体系的に履修
し、総合的かつ実践的な日本語教育能力を身につけること
ができます。なお副専攻としてのスタートは2008年度です
が、その以前からカリキュラムを整えており、日本語教師とし
て国内外で活躍する修了生も少なくありません。
〈琉球学副専攻〉
奄美群島と沖縄県全域をふくむ地域には“本土”
と大きく異
なる歴史、文化、自然環境等があり、日本列島の持つ多様性
の一面を示しています。そういった多様性を維持発展させる
比嘉 拓未
れるためだと知ったときなど、自分のことながら驚き
沖縄県 読谷高校
ました。卒業後は沖縄の中学校で理科教員となり、
琉球文化が色濃く残る読谷村(よみたんそん)に育
副専攻で培った知識を生徒らに伝え、琉球文化を
性を理解することが重要です。また、
“足下”の多様性を理解
次代に繋いでいきたいと思っています。
することは、アジア・太平洋地域をはじめ、世界の多様性を深
ち、幼い頃から三線に親しむ。但しオジイ・オバアが
話す方言が理解できないこともあり、琉球学副専攻
での学修に取り組む。卒業後にめざすのは、中学校
には、琉球の歴史、文化、言語、自然環境等の特性、そこか
ら派生するさまざまな事象を体系的に学び、
“足下”の多様
く理解することにもつながります。
の理科教員。
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