フィリピンに進出可能な業種とは?

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桃尾・松尾・難波法律事務所
弁護士
上村
真一郎
[email protected]
フィリピン法律実務
第2回
『フィリピンに進出可能な業種とは?』
フィリピンに外資企業が進出することを検討するに当たって、真っ先に行わなければなら
ないことは、その業種をフィリピンで行うことができるのかということです。
1.ネガティブリストの確認
フィリピンでは原則は外資の参入は自由としており、規制を受ける業種のみをネガティブ
リストとして限定列挙する形で示しています。まずはこれから参入しようとする業種がネ
ガティブリストに載っているかどうかを確認しましょう。
なお、ネガティブリストは不定期に改訂がなされますので、常に最新のものを確認するこ
とが必要です(現在有効なものは、2015年5月に発表された第10次)
。以下にネガテ
ィブリストに記載されている主な業種をまとめます。
http://www.gov.ph/downloads/2015/05may/20150529-EO-0184-BSA.pdf
リストA:外国人による投資・所有が憲法及び特別法により禁止・規制されている分野
外資の参入が認められない分野
(1) レコーディングを除くマスメディア
(2) 払込資本金額が 250 万ドル以下の小売業
(3) 民間警備保障会社
(4) 小規模鉱業
上記の他 7 種
外資が 20%以下に制限されている分野
ラジオ通信網
外資が 25%以下に制限されている分野
(1) 雇用斡旋
(2) 防衛関連施設の建設
上記の他 1 種
外資が 30%以下に制限されている分野
広告業
外資が 40%以下に制限されている分野
(1) 天然資源の探査、開発及び利用
(2) 私有地の所有
(3) 教育機関の所有、設立、運営
(4) コンドミニアムの所有
上記の他 7 種
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リストB:安全保障、防衛、公衆衛生、公序良俗への脅威、中小企業保護の観点から外国
人による投資・所有が規制されている分野
(1) フィリピン国家警察の許可を要する品目(火器、火薬など)の製造、修理、保管及び流
通
(2) 国家防衛省の許可を要する品目(戦闘用の銃など)の製造、修理、保管及び流通
(3) 危険薬物の製造及び流通
(4) サウナ、スチーム風呂など
(5) レース場の運営など、賭博行為(例外あり)
(6) 払込資本金額 20 万米ドル未満の国内市場向け企業
(7) 先端技術を有するか、50 人以上を直接雇用し、払込資本金額 10 万米ドル未満の構内市
場向け企業
リスト B の(6)の記載により、他にリスト A などで規制を受けない限り、国内市場向け
企業については払込資本金額を 20 万米ドル準備すれば外資 100%で会社を設立することが
可能ということになります。
2.許認可の要否の確認
上記のネガティブリストに載っていない限り外資 100%でも参入が可能ということになる
はずではありますが、実際には当該業種を行うためには別に許認可が必要となるものもあ
ります。たとえば、建設業に参入しようとする場合、建設業は上記ネガティブリストにあ
りませんので外資 100%でも参入が可能なはずですが、実際に事業を行うためにはフィリピ
ン建設業許可委員会(Philippine Contractors Accreditation Board; PCAB)から許可を受
ける必要があり、そこでは外資 40%以上の会社には免許を発行しないという実務が行われ
ているという例もあります。
したがって、上記ネガティブリストの他に事業を行う許可が必要かどうか、必要な場合、
どのような要件で発行しているのかについても調査を行う必要があります。
他にも、近年では日本食ブームですので、飲食業への参入に関する依頼がよくあります。
飲食業は小売業に該当すると解釈されていますので、外資 100%で行おうとする場合には払
込資本を 250 万米ドル以上にすればできるようにも見えますが、実際にはこれらの他にも
フィリピン以外で 5 軒以上のレストランを運営していること等といった条件が課せられて
います。