PKS(アブラヤシ殻)の輸入状況 2016 年 8 月 株式会社FTカーボン 1. 概要

PKS(アブラヤシ殻)の輸入状況
2016 年 8 月
株式会社FTカーボン
1. 概要
FIT 制度を利用した木質バイオマス発電の建設が各地で行われているが、国内産の木質バイ
オマス燃料の供給には限界があるとして、PKS など輸入木質バイオマスの利用を計画する発電
所が増加している。
2015 年の PKS の輸入量は、10 月以降、月 5 万トンを超える輸入量となり、2014 年比 2 倍
の約 46 万トン。国別では、インドネシアが 56%、マレーシアが 44%。輸入価格は、インドネ
シアの関税引き上げの影響もあり、やや上昇。
今後とも、PKS の輸入拡大が見込まれるが、新興国経済の減速によるパーム油産業の停滞、
エルニーニョによるパーム油の減産、現地通貨安など、さまざま要因による影響を受ける可能
性がある。
本レポートにおける記載は、弊社独自の分析であり、弊社の見解で記載しております。本レポ
ートの記載内容を引用するなどして損害を被った場合でも、一切の責任は負いませんので、ご
了承ください。
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2. PKS の輸入動向
PKS の輸入量は、年々増加し、2015 年の輸入量は約 46 万 t(前年比約 2 倍)
。
インドネシアが 56%、マレーシアが 44%。
500,000
450,000
400,000
エクアドル
350,000
アメリカ
300,000
フィリピン
タイ
(t)
250,000
中国
インドネシア
200,000
マレーシア
150,000
100,000
50,000
0
2012年
図 1
2013年
2014年
2015年
(出典)財務省貿易統計
直近 4 年間の国別の PKS 輸入量
2
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3. 2016 年の PKS の輸入動向
2015 年 10 月から月間輸入量がおおむね 4 万トンを超える水準で推移。
2016 年は 2015 年を上回る輸入量で推移しており、年間輸入量は、2015 年比 2 倍程度
の 70~100 万 t 程度と予想される。
PKSは年中安定的に発生するが、日本の輸入量は夏季に少なく、冬季に多い。
80,000
70,000
60,000
50,000
2015年輸入量
(t) 40,000
2016年輸入量
30,000
20,000
10,000
0
1月
2月
3月
図 2
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月 11月 12月
2015 年と 2016 年の各月の PKS 輸入量
(出典)財務省貿易統計
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4. PKS の輸入単価
2015 年の PKS の輸入単価は、やや上昇し、12.7 円/kg。2016 年 6 月は前月比 1 円以
上下落し、10.3 円/kg。インドネシアは、2015 年に従量税の関税を導入したことで、価
格が上昇し、2015 年時点では、
インドネシアとマレーシアで大きな価格差はなくなった。
表 1
直近 4 年間の国別の PKS 輸入単価(単位:円/kg)
マレーシア
インドネシア
中国
タイ
フィリピン
アメリカ
エクアドル
加重平均
2012年
8.6
9.8
2013年
12.8
10.7
2014年
12.4
11.8
2015年
12.7
12.8
32.5
23.3
23.0
46.2
9.2
11.8
13.7
12.7
12.1
(出典)財務省貿易統計に基づいて計算
(t)
(円/kg)
100,000
20.0
90,000
18.0
80,000
16.0
70,000
14.0
60,000
12.0
50,000
10.0
40,000
8.0
30,000
6.0
20,000
4.0
10,000
2.0
マレーシア輸入量(左軸)
インドネシア輸入量(左軸)
マレーシア輸入単価(右軸)
インドネシア輸入単価(右軸)
0
総平均単価(右軸)
0.0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
図 3
2016 年の各月の PKS 輸入量と単価推移
(出典)財務省貿易統計
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5. PKS を燃料利用する木質バイオマス発電所
20 か所程度の木質バイオマス発電所で、PKS が利用される計画。
数字は発電出力
(単位1,000kW、100の
単位で四捨五入)
◎稼働済み(FIT前)
○稼働済み(FIT後)
■2016年度稼働予定
●2017年度以降稼働
予定or詳細不明
■34
●12
■20
■14
●50
PKSの輸入税関
(年千t以上)
◎30
■7
▲13
●75
●25
●50
◎13
○10
●22
○17
■57
■20 ●22
■45
○49
○9
○18
図 4 PKS を利用する木質バイオマス発電所
(出典)各種報道資料等から㈱FTカーボン作成
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6. 2030 年の木質バイオマス発電の導入見込量と PKS の発電利用
政府が発表した 2030 年の木質バイオマス発電の導入見込量では、一般木材、農産物残
渣による木質バイオマス発電が大きく伸びると見込まれており、最大で現状比 390 万 kW
(現状比 40 倍)増加する。国内の製材端材の大半は、既にエネルギー利用等されている
ため、輸入木質燃料(チップ、PKS 等)による発電が想定されている。
しかし、
390 万 kW の発電を PKS で賄う場合には、
PKS が年間 2,000 万 t 程度必要で、
現状の PKS 輸入量が年間 20 万 t 程度の状況において、PKS の輸入量の確保が大きな課
題である。
表 2
2030 年のバイオマス・廃棄物発電の種類別導入見込量
(単位:万kW)
2030年
見込出力
【最大値】
2014年
導入済出力
未利用間伐材等
一般木材、農産物残渣
建設廃材
バイオガス
一般廃棄物等
RPS
合計
3
10
33
2
78
127
253
増加出力
24
400
37
16
124
127
728
21
390
4
14
46
0
475
(出典)総合エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委員会(第 8 回)
以上
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