調 査 報 告 シカゴ 米国における Industrial Internet of Things(IIoT)の動向について ここ数年、インターネット・オブ・シングス(IoT、Internet of Things)の活用による 製造業の高度化の検討が各国で進められている。IT 分野やそれを利用した新たな製品・サ ービスの実現を得意とする米国は、IoT を活用すべく様々な企業、民間団体などが活動を始 めており、IoT を製造業に活用する Industrial Internet of Things(IIoT) についても検討、 活用が進められている。その動きは各企業内だけではなく、複数の企業が参加するコンソ ーシアムを形成し、標準的なプラットフォーム作りに乗り出している。 また、ドイツでは、第4次産業革命(Industry 4.0)と呼ぶ、統合的な生産効率化への動 きを官民共同で進めており、欧州勢の得意とする標準化の観点などからプラットフォーム 作りで先行すべく精力的に活動をしている。 今回は、こうした背景を踏まえ、現在の米国における製造高度化の動向や IIoT に関する 取組みについて報告をしたい。 1.IIoT と Industry 4.0 (1)IIoT とは モノのインターネットと日本語訳されるインターネット・オブ・シングス(IoT、Internet of Things)は、人や機械など様々なモノがインターネット上に接続され、それぞれが情 報のやり取りを行うことで相互に制御する仕組みである。これまでのように、作業者で ある人間がコンピューターを使用して接続するのではなく、様々な端末がインターネッ トを通じて他の端末との情報をやり取りを行える環境を提供する。インターネット上に 接続された集積データを、オンライン上で他の端末やシステムが使用する事が可能とな るため、リアルタイムでのデータ取得による最適な情報分析や端末同士での自動的な情 報のやり取りにより端末毎の自立行動が可能となる。例えば、スマートシティや高度交 通システム、スマート工場、医療・ヘルスケア分野のウェアラブルデバイスを使ったモ ニタリングなどが IoT 活用の一例とされる。 インダストリアル・インターネット・オブ・シングス(IIoT、Industrial Internet of Things)は、IoT の仕組みを製造分野に活用した考え方であり、販売状況や在庫状況な どに応じ、受注、生産、工程管理、在庫管理などのデータをやり取りしながら生産シス テムが自立的に判断、生産を行う環境を実現するものである。情報機器やインターネッ ト環境の向上により、より多くのデータがリアルタイムで、かつインターネット環境が あれば何処でも使えることとなり、それらのビックデータやリアルタイム情報を利用す ることで、必要なタイミングで必要なモノを生産できるようになる。これらの実現によ り、製造業のあり方が大幅に変わる可能性があり、また、労働者に求められる能力や、 労働生産性についても影響があると想定される。更に、ビックデータと IoT の活用によ る Industrial Internet においては、生産効率を上げるだけではなく、予測できない事業 ― 9 ― 調査報告 シカゴ 機会の中から、成長を見出す手段としても活用できると考えられている。 (出典:Vivante Corporation 資料) (図1)IoT 活用分野の例 (2)Industry 4.0 とは 製造業の高度化の動きが活発なのはドイツである。ドイツでは、政府主導の下、第4 次産業革命(Industry 4.0)と呼ぶ製造業高度化に向けた取組みを進めている。 (出典:SIEMENS、DFKI 資料より) (図2)第 1 次産業革命から第4次産業革命(Industry 4.0)までの変遷 ― 10 ― 調査報告 シカゴ 第1次産業革命は蒸気機関の発明による作業動力の獲得、第2次産業革命はモーター の発明による作業制御と効率化、第3次産業革命は IC 及びプログラムを活用した製造工 程の自動化の実現としており、Industry 4.0 が次なる産業革命をもたらすとしている。 ドイツは製造業が GDP の約 25%、輸出額の約 6 割を占めるものづくりの国であるが、 少子高齢化による労働人口の減少や国内の立地環境の悪化などを背景に存在感が低下し ている。そのため、ドイツ政府は 2011 年 11 月、High-Tech Strategy 2020 Action Plan のプロジェクトのひとつとして、製造業競争力強化のための構想 Industry 4.0 を提示し た。政府は連邦教育研究省及び経済エネルギー省が担当し、ドイツ機械工業連盟(VDMA) や、ドイツ情報技術・通信・ニューメディア産業連合会(BITKOM)、ドイツ電気電子工 業連盟(ZVEI)を事務局とする産学連携の「プラットフォーム Industrie 4.0」が実施主 体となっている。重点分野として、標準化、複雑なシステムの管理、通信インフラの高 度化、安全と情報セキュリティ、労働組織とワークライフバランス、人材育成・専門能 力の開発、規制の枠組、エネルギー効率が上げられている。 Industry 4.0 では、様々な技術を活用し、設計から生産、販売にいたる製品が持つデー タと、受発注から生産に係るデータをリアルタイムに解析し、解析結果を相互に利用す ることにより、一連の生産サイクルを最適化する。これにより、生産のより高度な自動 化や少量多品種、変種変量の生産に対応することができる。また、工場・企業間を水平 統合しインターネットで繋ぐことにより、複数の工場・企業をまたいだ状態で自立的に 効率的な生産を実施できる。 (出典:acatech 資料) (図3)Industry 4.0 が描く製造業の姿 ― 11 ― 調査報告 シカゴ 2.米国の IIoT 動向 (1)IIoT の規模・効果 米国は元々IT 分野に強く、シリコンバレーなどを中心に新たな製品、サービスを創り 出してきた。IoT の更なる進展により、モノのデータ化が進むことで、大きなデータの蓄 積環境を有する企業が、産業の垣根を越えた新たなプラットフォームを提供し、様々な 分野でイノベーションを創出する可能性がある。 米大手コンサルティング会社のアクセンチュアによると、IIoT の市場は 2030 年までに 14.2 兆米ドルの規模まで成長すると推定されており、成熟市場においても効果を発揮す るとしている。また、IIoT の活用に合わせた労働者のスキル向上や新たな業務の定義を 行うことで、すでに成熟した先進国において、更なる労働力の強化をもたらすとしてい る。また、米マッキンゼー・アンド・カンパニーは 2025 年までに 3.9~11.1 兆ドルの経 済効果、米 GE は IIoT により世界の GDP の 46%に影響があるとして、10~15 兆ドル の GDP 引き上げ効果があると試算している。 (出典:GE 資料) (図4)IIoT による経済効果(GE 試算) ― 12 ― 調査報告 シカゴ (2)Industrial Internet にかかる民間団体の動向 IoT を活用する上で、米国でも様々な民間団体、コンソーシアムが設立されている。 コンソーシアムはより多くの参加者を得ることで、コンソーシアムで共有したルール の適用範囲を広めることができる。ビジネスベースからのデファクトでスタンダード を育てる米国らしい展開と言える。以下に主な民間団体の取組みについて記載をする。 1.)Industrial Internet Consortium(IIC、インダストリアル・インターネット・コ ンソーシアム) 2014 年 3 月、AT&T、Cisco、GE、IBM、Intel の米企業 5 社が発起人となりイン ダ ス ト リ ア ル ・ イ ン タ ー ネ ッ ト ・ コ ン ソ ー シ ア ム ( IIC 、 Industrial Internet Consortium)を設立。IIC は IoT エコシステムの構築を目指し、IoT 関連技術の標 準化などを目的として活動している。現在では、世界 28 カ国から約 250 の企業、団 体が参加しており、ドイツのシーメンス、SAP、日本の三菱電機、東芝など海外の 大手企業も加盟しており、今後も加盟者が拡大していくものと思われる。 IIC は 2015 年 6 月に、 『Industrial Internet Reference Architecture(産業用イン ターネット参照アーキテクチャ)』を発表した。Industrial Internet 構成要素とその 関係について共通の言語を提供するものであり、この共通言語によって、Industrial Internet の開発者は、システムの中でどの要素が必要かを判断することができ、シ ステムの納入や実施を迅速化することができる。また、既存や新規システムを基本 となる共通構造の中に収めることにより、各システム間で相互運用するために埋め るべきギャップをいち早く認識できるようになるとしている。 また、Industrial Internet Consortium は、Industrial Internet を確認するための 17 のテストベッドを始動させており、今後も IIC 会員により新たなテストベットの 開発が期待されている。以下はテストベットの一例である。 (テストベットの例) •Track & Trace(トラック&トレース): 産業用インターネットを工場の製造機械へ導入し、製造活動を改革することで、 効率性と安全性を高める。 •Communications & Control for Microgrid Application(マイクログリッドアプ リケーションのための通信&制御) : 産業用インターネットを電力グリッドに導入し、新しいエネルギー源とオンラ ― 13 ― 調査報告 シカゴ インのエネルギー貯蔵を統合する。 •Infinite: 病院へ向かう救急車と病院の職員とを接続する。 •Condition Monitoring & Predictive Maintenance(状況モニタリング&予防的メ ンテナンス) : 手が付けられないほど問題が大きくなる前に検知することで、機械のアップタ イムを改善する。 •The High-Speed Network Infrastructure(高速ネットワークインフラ) : データをより早く途切れなく転送するために高速の光ファイバー線を導入する。 •Asset Efficiency(資産の効率性): 資産情報をリアルタイムで収集し、資産の投資利益率を向上させるために分析 する。 •Factory Operations Visibility & Intelligence(工場運転の可視性&知能) : 工場の環境をシュミレーションし、運転を改善することができる。 •Edge Intelligence(鋭い知能): 将来のテストベッドと産業用インターネットの用途の開発を促進する。 •Industrial Digital Thread(産業用デジタルスレッド): 製品寿命全体を通して追跡するために、デジタルの“出生証明書”を個々の機 械部品に付ける。 2.)その他のコンソーシアム ○Open Interconnect Consortium (OIC) 概要:Open Interconnect Consortium(OIC)は、スマート機器に対する基準を 確立し、相互に協力して交流することを目指している。2013 年後半に創設 された Open Interconnect Consortium (OIC)は、Microsoft、AT&T、Cisco Systems、IBM、Lenovo といった巨大 IT 企業を含んでいるが、2016 年の Consumer Electronics Show で 14 社が新たに参加して総会員数が 200 社と なった。 ○Allseen Alliance URL:https://allseenalliance.org/ 概要:Allseen Alliance は、業界を超えたコンソーシアムであり、Cisco、IBM、 Sony、Haier といった大手企業が参加。IoT を構成する何十億もの機器や サービス、アプリの相互運用を可能にすることを目指している。Allseen Alliance は、2016 年の CES でインターネット接続された 10 数種類の家庭 用製品を発表しており、これらは同協会の『AllJoyn』テクノロジーを利用 し、相互運用性が認定された最初の製品群である。 ― 14 ― 調査報告 シカゴ (3)米国政府の製造業競争力強化の取組み 製造業の競争力強化を図るため、オバマ政権は、製造産業強化の目標を掲げて、2億 ドルの政府予算を付けた官民共同プロジェクトに取り組んでいる。オバマ政権は 2012 年 7 月に米国製造業再生計画を発表。IMI(Institute for Manufacturing Innovation)と呼 ぶ研究開発拠点を最大 15 か所設置し、それらの拠点をネットワーク化し活用する方針。 IMI は先進的な研究を行う施設として、将来的に技術開発を行う地域の拠点となること を目的としている。官民共同のプロジェクトとして、政府予算 2 億ドルを投入するとし ている。更に、2014 年 10 月には、オバマ大統領は国内製造業の強化のために新たに 3 億ドルの投資が行われると発表している。 (出典:The White House) (写真1)新たな IMI の2拠点にてついて発表するオバマ大統領(2014 年 10 月) 3.米国企業の IIoT の対応動向 (1)製造現場における IIoT 活用のメリット IIoT は、製造側からでなく、消費者の利用という視点から製造活動を変える効果があ ― 15 ― 調査報告 シカゴ り、工場での生産活動に導入されるにあたり、大きな潜在力を持っている。工場での IoT 活用のメリットについては、基本的に以下の 4 つがあげられている。 A.品質管理の向上 工場の生産効率があがる一方で、生産品の品質を向上させることも重要となってい る。例えば、複雑な部品の生産に使われる機械や工具の情報を保存することで、生産 時に使われた工具の種類や回転数、生産時の調整の内容、従業員の操作方法などの情 報が蓄積する。なんらかの欠陥が起こった場合は、保存された情報から原因を追跡す ることが可能となり、欠陥の防止に繋がる。また、それらの生産データを利用するこ とで、リアルタイムでの欠陥の防止や生産時における熟練者の操作方法の活用も可能 となり、品質と生産速度の両方を改善することができる。 B.少量多品種への対応 顧客ニーズに対し、インターネットに接続された自動化された工場では、幅広い種 類の製品を少量かつ様々なバリエーションで迅速に生産することが可能である。それ により、高度な半カスタマイズ製品を求める市場の需要に応えることが可能となる。 コンピューター制御された生産機械に対し、それぞれの製品に必要な要件が正確か つ迅速、効率的に指示され、それぞれの生産工程が行われる。 C.工場内の安全性の向上 ウェアラブルコンピュータなどの機器を利用することで、リアルタイムで製造現場 の状況を工場内の従業員や工場外の管理者に届け、工場内の情報を共有することがで きる。例えば、スマート安全ベストや Bluetooth の“ビーコン”機器などを導入する ことにより、工場内で使用する自動フォークリフトやフォークリフトの運転者が、工 場内での従業員や障害物の所在を把握することができ、システムにより、自動的に警 告を発したり、自動的にブレーキを掛けることが可能となる。 D.リアルタイムの情報追跡の展開 クラウドベースのソフトウェアシステムによって、受注状況、生産の進捗状況、在 庫状況、設備の稼動状況、現在利用可能な機器といった情報を工場内だけではなく企 業内やサプライヤ、顧客まで情報を共有することができる。それにより、顧客と新し い方法で交流することが可能となり、製造設備メーカーとは、長期的な性能確保や機 器のメンテナンス・サポートをリアルタイムで受けることも可能となる。また、消費 者側が生産工程にかかる情報を得ることで、新たな商品開発の手法に影響を与える可 能性もある。 ― 16 ― 調査報告 シカゴ (2)米国企業の IIoT 活用事例 現時点の IIoT の米国の工場への導入は、依然として、まだ初期段階にあると考えられ、 実際には、IIoT を実行するための設備の導入にはまだまだ時間がかかると思われる。現 時点では、顧客の設備・機器の機械故障の予防やメンテナンスサービス提供のために IIoT を仕組みを利用しているメーカーが多い。 Diebold Inc.社 や Gerber Technology 社などは、 「PTC Axeda」というソフトウェアを 利用し、顧客に納入した設備や機器と自社の保守対応部門と接続している。これにより、 保守要員や技術者を納入場所に向かわせることなく、顧客の設備や機器の状況を把握す ることが可能としている。また、Hiawatha Rubber 社は「Plex Cloud ERP」システムを 利用し、同様の取組みを行っている。また、エアバス社は、米国系の National Instruments 社が提供するシステムを工場へ導入している。 1.)Diebold Inc.(本社:米国オハイオ州カントン) ○企業概要:Diebold(ディーボルド)社は米国最大の ATM メーカー。米国オハイオ 州カントンに本社を持ち、セルフサービス金融取引、セキュリティサー ビスを提供している。主に、セルフサービス取引システム(ATM など) や、電子機器や物理的なセキュリティ製品(貴重品保管室や通貨処理シ ステムなど) 、世界の金融市場や商業市場向けのソフトや統合システムの 製造・販売・設置・アフターサービスを行っている。 ○問題点:Diebold 社は、米国の金融機関内に設置された ATM に問題が発生して ATM を運転休止となった場合に、迅速に ATM を復旧させるために、ATM を遠隔 から操作し復旧させる方法を求めていた。 ○解決策:Diebold 社は、先進テクノロジーを採用して ATM 向けの遠隔サービスモデ ルを導入した。『OpteView』と呼ばれるこの ATM は、PTC Axeda ソフト を利用することで、Diebold 社と顧客の ATM を繋いで直接通信することが できるようになり、迅速な復旧サービス体制を作ることに成功した。 2.)Gerber Technology(本社:米国コネティカット州トーランド) ○企業概要:Gerber Technology(ガーバー・テクノロジー)社は、Gerber Scientific (ガーバー・サイエンティフィック)社の一事業部門であり、世界有数 の 統合ソフトウェアやハードウェアのオートメーションシステムを主 に縫製品やフレキシブル素材業界向けに提供している。同社のシステム により、情報管理、製品の設計開発、試作や生産工程を自動化すること が可能となり、生産効率を向上が見込まれる。同社は、アパレル、航空 ― 17 ― 調査報告 シカゴ 宇宙、車両内装、家具、複合材料、工業繊維といった様々なエンドユー ザー市場に特化したソリューションを提供しているのが特徴である。 ○問題点:Gerber Technology 社のアフターサービス・サポートチームは、製品の技術 的な問題に迅速に対応し、顧客に高い満足度を提供することを目的として いる。 新興市場への展開が進み、顧客からの期待度も増していく中で、 アフターサービスのモデルを何らかの問題が起こってからの対応から、よ り先を見越して、事前に対応することに変える必要が出てきた。また、同 社は、新しいサービス人員が入るたびに彼らを訓練する必要性に絶えず直 面しており、サービス人員の熟練度によらず、問題解決を迅速に行うこと が重要となった。そのため、Gerber Technology 社は、同社の製品に遠隔か ら接続して、問題点を識別・診断・解決するソリューションが必要である ことを認識し、顧客が問題点を意識する前に対応を行うことで、現場への 技術者の派遣を減らしたり、現場訪問が必要になった時も初回修理率を向 上させる必要が出ている。 ○解決策: Gerber Technology 社は、上記の問題点に対応するため、自社で解決する システムを作るのではなく、外部からシステムを購入することにした。同 社は、PTC Axeda ソフトウェアを購入し同社の製品に導入し、次世代サー ビスモデル『GERBER connectTM』を運用している。Gerber Technology 社は、GERBER connect を利用することで、顧客の機器をモニターするこ とができるようになり、顧客の生産活動を妨げる前に、発生した問題を検 知することが可能となった。潜在的なエラーが発見された場合、自動的に 同社製品から GERBER connect を通じて同社のサポート本部に連絡がさ れ、同社のサポート要員が顧客のシステムに遠隔アクセスをい行い積極的 に障害検出及びトラブル解決を行っている。 4.今後の展開 コンソーシアムのひとつとして IIC の取組みを取り上げたが、本年新たな動きが出て いる。2016 年 3 月、米国の IIC は、ドイツの Industry4.0 を推進する Plattform Industrie 4.0 との会合を行い、Industrial Internet 分野における今後の連携を確認した。具体的に は、IIC 側の Industrial Internet 構造参照モデルと Plattform Industrie 4.0 側の Industrie 4.0 構造参照モデル(RAMI4.0)について、相互の関係性と将来の相互運用に 向けたロードマップが確認された他、同分野における標準化、試験機関、構造参照やビ ジネスの結果などにおいて今後の協力の可能性を期待するものとしている。 IIoT や Industry 4.0 の構想は様々な分野にまたがる分野横断的なプラットフォーム作 ― 18 ― 調査報告 シカゴ りであり、製造業のビジネススタイルに大きな影響を与える動きと言えるが、米国のよ うに新たなビジネスの提案し、誰もが使いやすいプラットフォームを実現した上でそれ をデファクトとしてビジネス展開する米国企業の足は速く、一方で、官民を上げてプラ ットフォーム作りに邁進するドイツなどは国際標準化の動きまで見せている。 それらの動きに対し、日本はプラットフォームや国際的なルール作りが行われる中に どれだけ入り込めるか、急速に進展する欧米の活動にタイムリーに対応できるかが今後 問われていくと思われる。 (出典:IIC 及び Plattform Industrie 4.0 資料) (図5)IIC 及び Plattform Industrie 4.0 の構造参照モデルとその相互関係 以上 ― 19 ―
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