平成28年度 港湾技術報告会 4) 海洋開発技術に関する報告 ① 洋上風力発電施設等の施工について 五洋建設(株) 土木部門 土木本部 土木設計部 力石 大彦 1 1. 国内の洋上風力発電に関するトピック 1.1 港湾における洋上風力発電の円滑な導入に向けた動向 『港湾における風力発電について -港湾の管理運営との共生のためのマニュアル-』 平成24年6月、国土交通省・環境省 『港湾における洋上風力発電施設等の技術ガイドライン(案)』 平成27年3月、国土交通省 港湾法の改正(港湾区域内における占用公募制度の創設) 平成28年7月、国土交通省 『港湾における洋上風力発電の占用公募制度の運用指針』の公表 平成28年7月、国土交通省 ☞ 洋上風力発電の導入拡大に向けた制度整備が進む! 2 1. 国内の洋上風力発電に関するトピック 1.2 風車の大型化 既設の洋上風車は最大で2.4MW ⇒ 計画中のプロジェクトでは4~5MW級が中心に 【出典:NEDO】 洋上風車の規模 3 2. 洋上風力発電施設の施工方法 国内での大型洋上風車の導入を見 据えた施工方法の検討が必要 ⇒ 昨年度、埋立浚渫協会・技術委委 員会内に施工に関する自主検討WG を立ち上げ ⇒ 着床式洋上風力を対象とし、国内 外の事例調査などを中心にした成果 を『港湾における洋上風力発電施設 等の施工の手引き』として取りまと め 4 2. 洋上風力発電施設の施工方法 2.1洋上風力発電施設の概要(着床式) ① 風車本体 ハブ ナセル ブレード タワー ② 基礎構造 ③ 海底ケーブル 【出典 :NEDO】 5 2. 洋上風力発電施設の施工方法 2.2 全体フロー 事前調査 基礎構造の施工 自然条件、社会条件、環境条件 など SEP※船あるいは起重機船による 杭の打設や基礎構造の据付 など ※ SEP:Self Elevating Platform(自己昇降式作業台船) 風車本体の施工 海底ケーブルの施工 SEP船のクレーンを用いた風車部材 (タワー、ナセル・ハブ、ブレード)の据付 布設台船による海底ケーブルの布設、 ケーブル防護、風車本体との接続 など 6 2. 洋上風力発電施設の施工方法 2.3 施工のための事前調査 自然条件の調査 :気象、海象、海底地盤 など 社会条件の調査 :作業船舶や資材の調達先、 積出・揚陸施設、資機材ヤード、 海域の利用状況、支障物の有無 など 環境条件の調査 :底質、水質、騒音・振動 など 危険物の調査 :磁気探査、潜水探査 7 2. 洋上風力発電施設の施工方法 タワー タワー 2.4 基礎構造の施工 【①モノパイル式】 踊り場 トランジションピース ▽ W.L ▽ W.L 根固めブロック モノパイル ▽ G.L. 基礎捨石 ▽ G.L. 洗掘防止工 基礎イメージ図 モノパイル打設 【出典:World Maritime News】 トランジッションピース設置 グラウト接合 モノパイルの打設状況 (ドイツ、Dantysk) 【出典:Vattenfall】 トランジッションピースの設置状況 (ドイツ、Dantysk) 洗掘防止工 概略施工フロー 8 2. 洋上風力発電施設の施工方法 2.4 基礎構造の施工 タワー 【②重力式】 タワー 【出典:C-Power】 上部工 ▽ W.L ▽ W.L ケーソン 根固めブロック 被覆石 ▽ G.L. 基礎捨石 基礎イメージ図 ▽ G.L. 杭 基礎マウンド築造 重力式基礎据付 重力式基礎の運搬状況(ベルギー、Thornton BankⅠ) 根固・被覆工 概略施工フロー 9 2. 洋上風力発電施設の施工方法 タワー 2.4 基礎構造の施工 【③ジャケット式】 ▽ W.L ジャケット ▽ G.L. 杭 支持杭 基礎イメージ図 支持杭打設 ジャケット設置 【出典:SCALDIS】 ジャケットの設置状況(ベルギー、Thornton BankⅡ・Ⅲ) グラウト接合 概略施工フロー 10 2. 洋上風力発電施設の施工方法 2.5 風車本体の施工 【①標準的な施工ステップ】 ブレード ハブ・ナセル SEP SEP船 タワー SEP船 SEP SEP船 SEP W.L. W.L. W.L. G.L. G.L. G.L. タワー設置 ハブ・ナセル設置 ブレード取付 施工時に波浪の影響を受けず、風の影響が支配的な陸上施工と同様の環境で クレーン作業が可能となる「SEP船」を使用 11 2. 洋上風力発電施設の施工方法 2.5 風車本体の施工 【②海外で活躍するSEP船の特長】 ・施工時(ジャッキアップ後)の波浪による影響を大きく低減 ・大型風車の施工が可能な高い吊り能力のクレーンを保有 ・DPS(自動船位保持システム)による円滑な船体の位置決めが可能 ・居住区を有し、交通船によるアクセスが不要 ・一度に複数基の風車部材を積載可能 (出典:GeoSea) Neptune(600t吊) (出典:Seajacks) Zaratan(800t吊) (出典:A2SEA) Sea Installer(900t吊) 12 2. 洋上風力発電施設の施工方法 2.5 風車本体の施工 【③起重機船との施工性の比較】 ◆稼働率の試算例 作業限界波高の想定:SEP船 起重機船 ☞ H1/3≦1.5~2.0m H1/3≦0.5m SEP船は、起重機船に比べて高い稼働率での施工を実現! 13 2. 洋上風力発電施設の施工方法 2.5 風車本体の施工 【④組立て方の種類】 【出典:A2SEA】 ブレードを1本ずつ上架 【出典:GeoSea】 【出典:A2SEA】 ハブ・ナセルとブレード2本 を地組して上架し、残りのブ レード1本を下から挿入 ハブとブレードを地組した ローターで一括上架 ☞ SEP船自体に風車部材を搭載・運搬することにより、 効率的かつ安全性が高い施工を実現 14 2. 洋上風力発電施設の施工方法 2.6 海底ケーブルの施工 【①ケーブル布設】 長距離の布設に適した専用のケーブル布設台船を使用 【出典:日本サルヴェージ(株)】 ケーブル布設台船「開洋」 【出典:沿岸技術研究センター】 作業イメージ 15 2. 洋上風力発電施設の施工方法 2.6 海底ケーブルの施工 【②ケーブル防護】 海底地質や海象条件、航行船舶・漁業操業実態により適切な防護方法を 選定 【出典:沿岸技術研究センター】 機械埋設 防護管防護 事前トレンチ ダイバー埋設 16 3. ウィンドファームを見据えた施工計画の要点 3.1 国内における洋上風車の施工に関する課題 港湾インフラ … ハード面:岸壁やヤードの地耐力、ヤードの面積 ソフト面:岸壁やヤードの長期占用 作業船舶機械の調達 … 大型SEP船や、大型油圧ハンマの施工機械などの調達 ⇒ 昼夜施工の可否 上記の課題を踏まえつつ、ウィンドファーム建設に向けた 合理的な施工計画の立案が不可欠に! 17 3. ウィンドファームを見据えた施工計画の要点 3.2 施工日数について 【風車組立における例】 『風車を組み立てるのに何日かかるか?』 サイクルタイムの算定 稼働率の算定 ・積込、固縛、運搬の時間 ・ジャッキアップ(ダウン)の時間 ・組立工程の標準所要時間 ・風車部材の積込み基数 ・就業時間 ・施工海域の気海象条件 ・作業限界条件(波・風) 施工日数/サイクル ☞ 案件ごとの諸条件に応じた検討が必要! 18 3. ウィンドファームを見据えた施工計画の要点 3.3 港湾インフラについて 【風車組立における例】 『どのような港湾インフラが必要となるのか?」 港湾インフラに対する要件 岸壁 ヤード ・使用船舶に対応可能な水深 ・エプロン部の地耐力 ・前面の海底地盤条件 ウィンドファームでは 長期占用が必要 ・ヤードの地耐力 ☞ 風車機種、使用船舶、使用重機に応じた検討が必要! 19 3. ウィンドファームを見据えた施工計画の要点 3.4 ヤードレイアウトについて 【風車組立における例】 『最適なヤード配置は?」 施工日数/サイクル 港湾インフラに対する要件 ・風車部材の供給能力 ・地組みの有無 必要となる ヤード面積・岸壁延長 【出典:Cranes today】 積出岸壁およびヤードの例(ドイツ、Bremerhaven) ヤード配置計画の最適化 20 ご静聴ありがとうございました 21
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