オープンループ制御による永久磁石同期電動機の

電気学会論文誌●(●●●●●●●部門誌)
IEEJ Transactions on ●●●●●●●●●●●●●●●
Vol.●● No.● pp.●-●●
DOI: ●.●●/ieejeiss.●●.●
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Ver.2013.06.18
研 究 開 発
レ タ ー
オープンループ制御による永久磁石同期電動機の方形波電圧駆動
学生員
佐藤 大介*
淳一*a)
伊東
上級会員
Open-Loop Control for Permanent Magnet Synchronous Motor Driven by Square-Wave Voltage
Daisuke Sato*, Student Member, Jun-ichi Itoh*a), Senior Member
(20XX 年●月●日受付,20XX 年●月●日再受付)
This paper proposes a permanent magnet synchronous motor (PMSM) control strategy based on open-loop control.
Low-frequency torque vibration excluding the sixth- or twelfth-order harmonics occurs because the voltage fluctuates
from the transition to the square-wave voltage. Therefore, the proposed control uses a variable band-pass filter to
reduce low-frequency torque vibration. In the experimental results, the low-frequency q-axis current decreased by
approximately 50%.
キーワード:永久磁石同期電動機,方形波電圧,オープンループ制御,低周波トルク
Keywords:Permanent magnet synchronous motor, Square-wave voltage, Open-loop control, Low-frequency torque vibration
1.
はじめに
0

永久磁石同期電動機(PMSM)を使用した駆動システムで
f/V
conv.
*
+
や方形波電圧に移行すると,低次高調波電流の影響で通常
HPF
のベクトル制御を行うのは困難である(1)。そこで,PWM か
数倍調波のトルクとは異なる,低周波トルクが発生するた
め,それを低減する制御法を合わせて提案する。本論文で
Fig. 1
は,提案制御の有用性を実機実験にて検証する。
+

R


L

   K i  K i
0
1 0
1 0

A
 P 2
f
m

sin  0

J

0

図 1 に PMSM のオープンループ制御に基づく速度制御ブ
ロック図を示す。PMSM は PWM および過変調領域におい
ては V/f 制御にて駆動する。ただし,過変調領域では電圧基
本波振幅と変調率が比例せず非線形の関係になるため,変
調率の補正が必要になる。また,PMSM を単なるオープン
1

L
B  0

0

 0
ループ制御にて駆動した場合,負荷角の振動により,制御
系が不安定になる。そこで,有効電流 iを電気角周波数指令
*にフィードバックすることで近似的に負荷角のフィード
バックを実現し,制御系の安定化を図る(2)。
0
1
L
0
0
q*
1
s
K2
i
uvw
i
iu
iv
iw

Control block diagram of open-loop control
t
ただし, x  i
PMSM のオープンループ制御

i
L
m
sin  0
L
m

cos  0
L
cos  0
0
 0  K 1i 0  2 K 1i 0
K 1 i 0 
Pf  m


  , u  t v
R

2
J
2
 K1
1

t
i 0 

Pf  m sin  0


Pf  m cos  0
 i 0  , c  


0

0 
 Pf  m i 0 cos  0  i 0 sin  0

1 

J

 * ,
m
 0 cos  0
L
m
 0 sin  0
L

Pf  m
v




,

i 0 cos  0  i 0 sin  0 


0










iは無効電流,は電気角周波数,vは軸電圧,vは軸電圧,
続いて,制御系のゲイン特性を求める。制御対象の PMSM
J は慣性モーメントである。また,添字の“0”は各変数にお
のパラメータを表 1 に示す。状態方程式を(1)式に,出力方
ける動作点の値を示す。
程式を(2)式に示す。
x  Ax  Bu .................................................................. (1)
図 2 に(1),(2)式より導出した,入力vから出力T まで
の伝達関数のゲイン特性を示す。制御系は各速度における
T  cx ......................................................................... (2)
電気角周波数で共振する。したがって,vが電気角周波数
付近の成分で振動すると低周波トルクが増加する。方形波
a) Correspondence to: Jun-ichi Itoh. E-mail: [email protected]
*
長岡技術科学大学
〒940-2188 新潟県長岡市上富岡町 1603-1
Nagaoka University of Technology
1603-1, Kamitomioka-machi, Nagaoka, Niigata, Japan 940-2188
© 200● The Institute of Electrical Engineers of Japan.
+
-
Low-frequency torque
vibration reduction control
(Proposed method)
ープ制御法を提案する。また,方形波電圧に起因する 6 の整
2.
uvw
1
K1
Variable
BPF
ら方形波までシームレスに移行可能な PMSM のオープンル
vu*
vv*
vw*

v*
Transition
control
は一般的にベクトル制御が適用される。しかし,過変調電圧
v*
電圧では制御応答が遅くなるため,負荷角が電気角周波数
で振動しやすくなり,軸電圧の振動を招く。これにより,
低周波トルクが発生し,安定化制御にフィードバックする
1
PMSM の方形波電圧駆動
Table 1.
Rated power
3 kW
Rated speed
12000 r/min
Number of pole pairs Pf
2
Rated current In
24.5 A
Armature resistance R
0.1332 
Armature inductance L
2.1 mH
Linked flux m
0.1066 Vs/rad





0
Gain [dB]
Parameters of PMSM.
-20
=
=
=
=
=
m
1684
1985
2136
2262
2513
U-V line-to-line voltage 250 V/div
rad/s
rad/s
rad/s
rad/s
rad/s
U-phase current 20 A/div
Fig. 3
-40
1 ms/div
Waveform of line-to-line voltage and phase current.
Square-wave voltage region
Square-wave voltage region
-60
Speed 0.2 p.u./div
10
Fig. 2
100
1000
Angular frequency [rad/s]
Speed 0.2 p.u./div
10000
m = 0.909 p.u.
m = 0.909 p.u.
Gain characteristics of open-loop control for PMSM.
有効電流 iが共振角周波数付近で振動することになる。iの
m = 0.943 p.u.
m = 0.847 p.u.
m = 0.943 p.u.
m = 0.847 p.u.
振動はインバータ出力電圧の振動を招き,さらなる低周波
トルクを発生させる。
低周波トルクを低減するには制御系に対する iの振動の
影響を抑制する必要がある。そこで,図1に示すように,バ
ンドパスフィルタ(BPF)により iに含まれる共振角周波数
q-axis current 0.2 p.u./div
q-axis current 0.2 p.u./div
成分を取り出し,出力角周波数指令に対してフィードバッ
1 s/div
(a) Without proposed control
クする。また,図より制御系の共振角周波数は電気角周波
Fig. 4
数に一致するため,中心角周波数を電気角周波数指令とす
Low-frequency q-axis current [p.u.]
る可変 BPF を用いる。
3.
1 s/div
実験結果
提案制御の有用性を実機実験により検証した。制御周期
は 50 s とし,可変 BPF は 2 次 IIR フィルタで構成する。ま
た,制御対象の PMSM は表 1 に示すものとする。
図 3 に方形波電圧により定格速度で駆動した際の UV 線
 = 0.909 p.u.
0.3
 = 0.943 p.u.
 = 0.847 p.u.
-47.0%
-50.2%
0.25
-47.2%
0.2
0.15
0.1
0.05
0
Without
reduction
control
より,方形波電圧でも正常に動作していることが確認でき
Fig. 5
る。
図 4 に低周波トルク低減制御の有無による PMSM の加速
Waveform of motor speed and q-axis current.
0.35
間電圧と U 相電流を示す。提案するオープンループ制御に
4.
試験結果を示す。トルク波形を直接観測することができな
(b) With proposed control
With
reduction
control
Without
reduction
control
With
reduction
control
Without
reduction
control
With
reduction
control
Comparison of low-frequency q-axis current.
まとめ
本論文では PMSM のオープンループ制御と低周波トルク
いため,代わりに q 軸電流を観測している。また,加速時間
低減制御を提案し,その有用性を明らかにした。今後は制御
が長い方がトルク脈動の影響を受けやすいと考え,速度 0.6
ゲインの設計法について検討する予定である。
p.u.から 1 p.u.まで 6.67 s で加速している。図 4 より,低周波
トルク低減制御の適用によって,方形波電圧領域のある速
文
度にて増大していた q 軸電流の脈動が低減していることが
(1)
確認できる。
図 5 に各速度における q 軸電流の低周波成分の比較結果
を示す。比較対象は図 4 において,q 軸電流の脈動の大きい
速度 0.847, 0.909, 0.943 p.u.としている。図 5 より,q 軸電流
の脈動成分がおよそ半減していることが確認できる。なお,
(2)
低周波成分を完全に除去できていないのは,電圧波形が方
形波であることによる応答の遅れと電圧位相計算の分解能
の低さが原因である。
2
献
K. Kondo and S. Doki: “Experimental verification of PMSM current control
system realizing stability and high response both in linear and
overmodulation drive of inverter”, IEEJ Annual Meeting 2015, 4-031
(2015) (in Japanese)
近藤孔亮・道木慎二:
「インバータ過変調領域での駆動まで考慮しつ
つ定常・過渡特性の両立を図る PMSM 電流制御系の実機検討」
,平
成 27 年電気学会全国大会,4-031 (2015)
J. Itoh, J. Toyosaki, and H. Ohsawa: “High performance V/f control method
for PM Motor”, IEEJ Trans. IA, Vol.122,No.3,pp.253-259 (2002) (in
Japanese)
伊東淳一・豊崎次郎・大沢博:
「永久磁石同期電動機の V/f 制御の高
性能化」,電学論 D,Vol.122,No.3,pp.253-259 (2002)
IEEJ Trans. ●●, Vol.●●, No.●, ●●●