twitter における言葉の拡がりを科学する

twitter における言葉の拡がりを科学する
1810115
主担当教員
久保 志帆
星英仁准教授 副担当教員 大田靖助教
1. はじめに
近年、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サ
ービス)は私たちの生活にとても身近なものとな
っている。特に twitter は、政治家、芸能人やス
ポーツ選手などの著名人でも利用している人は多
く、一般の人たちにも広く普及している。企業で
も情報の発信ツールとして使っているところも多
く、様々な情報を集める手段として使われている。
最近はその便利さ・手軽さゆえに twitter での不
用意な発言や投稿が問題となるケースが増えてい
るものの、SNS は非常に便利なツールであり、こ
れから更に普及していくと思われる。そこで
twitter の良い面でもあり悪い面にもなり得る情
報の伝播について研究をおこなう。
2. 先行研究
宮木(2011)は数理モデルを用いて噂の伝搬の様
子を考察している。感染症のモデルである SIL モ
デルを利用した数理モデルを構築し、微分方程式
を用いてそれぞれの人数の時間変化によって噂が
どのように広がり収束していくのかを、数値解析
ソフト MATLAB を用いて可視化している。数理
モデルに人口の流出入を組み込むことにより、現
実に近いシミュレーションを行っている。データ
フィッティングにおいては、実際に人々が惑わさ
れた噂 2 つを用い、理論と現実のフィッティング
を行い、モデル式の妥当性を述べている。
3. 分析
3.1. 分析方法
微分方程式を用いて構築した数理モデルと、実
データ(yahoo 検索で tweet 数をデータとして収
集)のフィッティングを行い、数理モデルの妥当
性を調べる。データフィッティングは数理モデル
中の基本量であるパラメータを変化させていき、
当てはまりの良い値を探すことで行う。
3.2. 分析結果
本研究で求めた数理モデルは、twitter における
実データとの当てはまりがよかったため、この数
理モデルの妥当性を示すことが出来たと考えられ
る。
図:熱中症
データフィッティング結果
4. 考察
話題による言葉の拡がり方について、急速に拡が
り収束していくものや、ゆっくり拡がり、収束し
ていくという特徴が見られた。しかし、フィッテ
ィングに用いた 5 つの実データはどれも拡がって
収束していくという形が共通であったことから、
話題により多少の違いは見られるものの、twitter
における言葉の広がり方はある程度決まりがある
のではないかと考えることができる。
5. おわりに
本研究では、近年急速に普及している SNS に対
して、社会的側面と数学的側面の両方からアプロ
ーチし、記述した。社会的側面からは、SNS の社
会的影響について述べ、この考察をもとに twitter
における言葉の拡がりの様子を表す数理モデルを
構築した。そして実際のデータへのデータフィッ
ティングを行い、数理モデルの妥当性を確かめる
ことができた。また、twitter の同時多発的な影響
力からの拡がりを、熱伝導方程式を用い数理モデ
ルも構築した。このモデルに対してはデータフィ
ッティングを行うことができず、数理モデルの妥
当性を確かめることはできなかったが、この数理
モデルの妥当性を確かめることが出来れば新たな
発見となるであろう。本研究で得られた数理モデ
ルを用いた予測のシミュレーションを行い、検証
されることで、実際のインターネットを用いた選
挙活動に利用されることを期待する。
参考文献
宮木明日那. 2011.『噂を科学する』同志社大学卒業論
文.
本麻里子.2011.『ブームの数理モデル』同志社大学文化
情報学部卒業論文.