吉崎正弘 Yoshizaki Masahiro 一般社団法人 日本ケーブルテレビ連盟 まずは自社の在り方を考えるというのが 理事長 すか。 が問われてくると考えます。 基本となっています。先ほどの表現で言 吉崎 ケーブルテレビ業界は現在、大 2020年東京五輪を4Kで楽しんでいた えば、行政の立場にあったころの私とは きな曲がり角に差し掛かっています。こ だくためには、残されている時間はさほ 逆で、「木は見るが、森は見ない」とい れまでは行政の立場からそうした局面に ど多くありません。ただ言えることは、 う形なわけです。 立ち会ってきたこともありましたが、直 「370社で大きな1社」ではないというこ ── そうした中で、連盟が果たすべき 近で大きな取り組みとなるのは2020年の とです。体力、財政、技術、人員など、 役割とは何だとお考えですか。 東京五輪開催までの期間です。具体的 個別に見ると大きな違いがある集合体 吉崎 行政とケーブルテレビ事業者、 には4Kサービスへの対応ですね。 であるということです。その各事業者が 両者の結節点です。つなぎのような役割 ── 受信機の普及状況についてはい 力を合わせて課題の解消に向かえるよ を果たす必要があろうかと思います。各 ろいろな見方があります。 う、 その環境整備もまた連盟の仕事です。 論に根差した総論を語れる存在として、 吉崎 地上デジタル放送が東名阪で開 3本の矢、ならぬ「370本の矢」をまとめ 各事業者と行政の橋渡し役を務める。そ 始された2003年ごろにテレビを購入され ていく、というところですね。 れが連盟の使命であり、また私自身が努 たユーザ層が買い替えの時期を迎え、い ── 事業者ごとに大きな違いがある 力していくべきテーマであると考えてい よいよ4Kテレビが本格的に普及してくる 370社で構成された業界が一丸となって ます。 ものと考えています。依然として4Kテレ 4Kに対応していくわけですね。 ビが高価であることに変わりはありませ 吉崎 それを乗り越えることができれ 2020年東京五輪に向け 4K対応が喫緊の課題 んが、2003年当時のHD対応テレビの価 ば、新しいステージに上がっていくと考 格帯を考えると、買い替え需要を迎える えています。エリアの中で閉じたビジネ 層は一定以上の購買力を持った層とも スを展開してきた各事業者が、本格的に ── それでは具体的な施策に伺いま 考えられるわけです。そうした形で4Kの 力を合わせれば課題を乗り越えられま す。まず、4Kなど次世代放送に向けて 受信環境が整備されていく中で、ケーブ す。コミュニティチャンネルにおいて4K はどのような取り組みを構想されていま ルテレビ事業者としてどう動くべきか、 コンテンツ制作を手分けして行う動きも 9-2016 53
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