福嶌教輝大使挨拶

昨年7月1日に駐アルゼンチン日本国特命全権大使として着任いたしました福
嶌教輝(ふくしま・のりてる)です。かつて1996年~98年にかけて,ここ,
ブエノスアイレスで勤務した経験は,私自身の在外勤務の中でも,特に思い出深い
ものであったところ,こうして再びアルゼンチンに戻って来る機会に恵まれたこと
を大変嬉しく思っております。
さて、着任して1年が経ちました。その間、昨年の大統領選挙により、アルゼン
チンにはマクリ新政権が誕生し、まさに、政治・経済分野を中心に,大きな変化が
はじまりました。本年独立200周年を迎えたこの時期に大きく変貌するアルゼンチ
ンの歴史の1ページに立ち合うことができることを幸運に思うと同時に,この変化
の時にこそ、これまで10数年にわたり静かであった日亜二国間関係について,飛躍
的に拡大するように努めると共に,日亜双方で友情の歴史と両国の相互的重要性を
具現化し、双方に発信していくことができればと思います。
アルゼンチンは,地理的には日本から見るとちょうど地球の反対側に位置する距離
的には遠い国ですが,日系人の移住等をかけ橋として100年以上も前から友好関
係が構築されてきた,また資源,エネルギー,農産物などに富み,様々な文化、サ
ッカーに代表されるスポーツなども盛んな素晴らしい国であり、さらに、G20の
メンバー等として国際社会においても極めて重要な国です。
アルゼンチン社会に温かく迎え入れられた日系人は,日本文化の継承・伝播に尽力
されながら,南米第3の規模を誇るまでに成長し、日亜関係強化、さらにアルゼン
チ社会に大きく貢献されています。また,新政権の誕生により矢継ぎ早に進められ
る強力な多方面な外交関係強化、開放経済政策を踏まえ、日本はもちろん世界中の
企業等の関心が急激に高まっております。現在は日本企業約50社が,アルゼンチ
ンでの活動を展開されていますが、今後企業数の増加、投資・貿易の増大も期待さ
れます。また、政治レベルでも、双方の要人の往来等が急速に活性化しております。
これら機会を踏まえ,日系人社会,日本企業を支援すべく具体的な施策を実施し,
さらに,人物交流,文化交流,スポーツ交流などを通じて,これまで日系人と日本
企業の方々の努力の上に構築されてきた日亜両国間の絆を大切にし,さらに大きく
開花させていきたいと思います。
私自身,これまでサンパウロ,メキシコ,チリ,ペルーや欧米での滞在や勤務の経
験を生かし,このアルゼンチンという国,そしてその人々との交流を深め,伝統的
に良好な関係を構築してきた日亜関係の更なる進展を目指し尽力していきたいと
存じますので,何卒よろしくお願い致します。
2016年8月
駐亜日本国特命全権大使
福嶌
教輝