No.9「斑点米カメムシ類の発生が急増しています!」

植物防疫ニュース(速報No.9)
平成28年7月20日
栃木県農業環境指導センター
斑点米カメムシ類の発生が急増しています!
7月中旬に、牧草地及びイネ科雑草地における斑点米カメムシ類の発生調査を行った結果、す
べての地点で発生が確認され、全体として多い概評となりました。特に、クモヘリカメムシ、ア
カヒゲホソミドリカスミカメ、アカスジカスミカメは、前回調査時に比べ発生量が急増していま
す(表1)。中山間地付近では発生が多くみられる傾向があり、クモヘリカメムシが約 200 頭採
集された地点もあります(20 回振りすくい取り)。また、カスミカメ類が 1000 頭以上採集された
地点もあり、現時点で斑点米カメムシ類の発生が少ない地域でも、今後増加する可能性があるた
め注意が必要です(図1,2)。
特に、水稲に割れ籾が発生すると、登熟期後半にカスミカメ類による吸汁が容易になり、斑点
米の被害が拡大します。
水田内、畦畔及び水田周辺の雑草管理を適切に実施するとともに、出穂期以降、水田を観察し
て斑点米カメムシ類(写真1)の侵入が認められる場合は、表2を参考に適切な薬剤防除を行い
ましょう。
表1 牧草地及びイネ科雑草地における斑点米カメムシ類の発生状況
発生地点率(%)
発生頭数(頭)
種名
発生概評
H28.6
H28.7 平年(7月) H28.6
H28.7
平年(7月)
クモヘリカメムシ
7.9
38.7
44.7
0.2
20.5
17.0 平年並
ホソハリカメムシ
47.4
87.1
65.9
1.6
2.5
3.0 平年並
アカヒゲホソミドリカスミカメ
94.7
100.0
93.7
25.6
149.9
39.2
多
アカスジカスミカメ
65.8
87.1
87.1
16.6
110.6
71.6 やや多
斑点米カメムシ類
100.0
100.0
99.7
46.6
288.2
134.6
多
※本年は7月11日~14日に、31地点で20回振りすくい取り調査を実施。発生頭数は1地点あたりの平均値。
※平年値は、平成18年~27年の10年間の平均値。
※斑点米カメムシ類は、上記4種及びその他斑点米カメムシ類の合計。
程度
無
少
やや少
平年並
やや多
多
程度
無
少
やや少
平年並
やや多
多
虫数
0
1~27
28~81
82~188
189~242
243以上
頭数(頭)
0
1~3
4~9
10~22
23~28
29以上
記号
×
△
○
◎
▲
●
記号
×
△
○
◎
▲
●
図1
斑点米カメムシ類の地点別発生状況
図2
クモヘリカメムシの地点別発生状況
クモヘリカメムシ
≪防除対策≫
ホソハリカメムシ
写真1
アカヒゲホソミドリカスミカメ
アカスジカスミカメ
斑点米カメムシ類
○耕種的防除
・水田内にイネ科雑草が残っている場合は、斑点米カメムシ類を誘引するので除去しましょう。
・水稲出穂2~3週間前に水田周辺の除草が済んでいる場合には、次回の除草を水稲の出穂期
頃(除草したイネ科雑草が出穂する前)に行いましょう。ただし、水稲出穂2~3週間前の除
草が実施できていない場合は、遅くとも水稲出穂10日前までに除草を行い、出穂期頃のみの
除草は避けましょう(詳しくは病害虫防除対策のポイントNo.16を参照)。
○薬剤防除
・穂揃期に斑点米カメムシ類が水田内で見られる場合は、望ましい散布時期として、液剤なら
ば乳熟初期(出穂期7~10日後)まで、粒剤ならば出穂期~出穂期の7日後までに防除しま
しょう。その後も斑点米カメムシ類が見られる際は、7~10日間隔で1~2回の追加散布を
行いましょう。
※粒剤はクモヘリカメムシ等大型のカメムシ類には効果が低く、粉剤または液剤での防除が効
果的です。
クモヘリカメムシはスギ・ヒノキ林で越冬するため、中山間地では発生が多くなり
ます。また、他のカメムシ類と比べると、ひとつのほ場にとどまらずにほ場からほ場
へと飛来するため、水田周辺の雑草管理を行っていても、水田に入ってきます。ほ場
をよく観察し、発生状況に応じた適切な防除を行いましょう。
表2 水稲のカメムシ類に登録のある主な薬剤(平成28年7月15日現在)
希釈倍数
又は使用量
使用時期
本剤の
使用回数
成 分
農薬の系統
RAC
コード
3~4㎏/10a
収穫7日前まで
3回以内
クロチアニジン
ネオニコチノイド
I:4A
1000倍
収穫7日前まで
3回以内
ジノテフラン
ネオニコチノイド
I:4A
MR.ジョーカーEW
2000倍
収穫14日前まで
2回以内
シラフルオフェン
ピレスロイド
I:3A
トレボンEW
1000倍
収穫14日前まで
3回以内
エトフェンプロックス
ピレスロイド
I:3A
1000~2000倍 収穫14日前まで
2回以内
エチプロール
フェニルピラゾール
I:2B
農 薬 名
ダントツ粒剤
スタークル液剤10
スタークルメイト液剤10
キラップフロアブル
注1:RACコードが同一のものは作用点が同じなので連用を避ける。
詳細は、農業環境指導センター(℡ 028-626-3086)までお問合せ下さい。
病害虫情報発表のお知らせは「農政部ツイッター(@tochigi_nousei)」、農業環境指導センター
ホームページ(http://www.jppn.ne.jp/tochigi/index.html)でもご覧になれます。