様式第3号(第4条関係) 会 1 議 録 付属機関等の会議の名称 篠山市文化財保護審議会 2 開催日時 平成28年7月15日(金)午後1時30分から3時00分まで 3 開催場所 篠山市役所第2庁舎3階 4 エレベーター横会議室 会議に出席した者の氏名 (1)委 員 (2)執行機関 今井進、大路靖、樋口清一、力本余志子、山口啓一 教育委員会事務局 社会教育・文化財課 上田部長 村上課長、山本課長課長補佐、植木主査、 伊藤主査、石田主査 5 傍聴人の数 0人 6 議題及び会議の公開・非公開の別 全て公開 7 非公開の理由 該当なし 8 会議資料の名称 平成28年度第1回文化財保護審議会資料 9 審議の概要 (1)開会 (2)あいさつ 委 員あいさつ 事務局あいさつ 1 (3)報告事項 ① 平成 28 年度の社会教育・文化財課 文化財関係の組織及び施策について ② 青山歴史村・丹波篠山デカンショ館について 第 2 期デカンショ館改修工事 ・ 地方役所門の移設と進入路の整備 ・ トイレの整備 ・ スロープの設置 ・ 青山歴史村倉庫の屋根整備 ・ 青山歴史村中庭のデカンショ館への導線整備 (4)審議事項 ① 28 年度事業について (a)史跡篠山城跡の保存と活用 (b)篠山城下町における町並みの保存と活用 (c)福住地区における町並みの保存と活用 (d)文化財の保護・管理 (e)文化施設 4 館の運営 (f)伝統文化の振興 ② 文化財の指定候補物件について (a)春日神社祭礼 無形民俗文化財 名称:春日神社祭礼 指定の範囲:鉾山の巡行、神幸、太鼓みこし (b)野々垣 鰐口 有形文化財(工芸品) (5)その他 (6)閉会 3 報告事項 青山歴史村・丹波篠山デカンショ館について 事 務 局: 平成 28 年度は、青山歴史村第 2 期工事を行う。事業の内容は、丹波 篠山デカンショ館(以下「デカンショ館」)の整備が主になっている。 事業の改修概要は大きく分けて 5 つ。 まず、現在篠山郵便局の南側にある地方役所門を東側に移設し、青山 歴史村への進入路として整備する。青山歴史村及びデカンショ館の正面 出入口として位置付け、来場者の利便を図る。 これに伴い、現在 1 ヶ所あるトイレに加え、青山歴史村の正面にある 長屋門の東側にある倉庫を改修し、新たにトイレを設置する。 また、大手前展示館と高城屋敷門の間の通路と長屋門の入口の、段差 2 ヶ所にスロープを設置し、車いす等で進入できるよう整備する。 さらに、青山歴史村の管理館南側倉庫のトタン屋根を和瓦で葺き替え、 景観の向上を図る。 最後に、通行に若干難がある青山歴史村の砂利引きの中庭をコンク リートで舗装し、デカンショ館へスムーズに進入できる導線として整備 2 事 務 委 事 務 委 事 務 委 事 務 委 事 務 委 事 務 委 していく。 以上が、デカンショ館の第 2 期改修工事並びに青山歴史村に係る整備 工事の概要である。 続いて、本年 4 月 28 日にオープンしたデカンショ館の入館者数は、 指定管理者のウイズささやまの集計によると、4 月 28 日から 5 月 3 日ま で 2,454 名の入館者があった。5 月で言うと、過去 3 年間比 140%となっ ている。ただ、デカンショ館オープンの効果を測るには、今後の動向を 見ていく必要がある。 局: 補足すると、5 月のゴールデンウィーク期間と篠山市民入館料無料効果 で来館者が多かった。これから一番大事なことは、継続的に多くの方に 来館いただくことと考えている。ウイズささやまから受けた最新(6 月) の入館者数報告によると、青山歴史村が前年度比 153%であった。 6 月の青山歴史村単館の入館者数で言えば、デカンショ館の人気により 通常の 2.5 倍ほどであることが分かる。それに牽引される形で他歴史 3 館のも前年度比 123%、2 割強入館者数を増やしている。 もっとも、目新しさから多くの方が入館されている面もあると思うの で、できるだけこの勢いをさらに伸ばせるよう運営に努めていきたい。 員: デカンショ館について、前回の会議のときにデカンショ館については 入場無料と伺った気がした。 また、今のところ青山歴史村のゲートを通らないとデカンショ館へは 行けないということだが、導線はどのようにされているのか。 局: 前回の会議のときに申し上げた入場無料は、期間限定で実施している。 またデカンショ館への導線については、青山歴史村正面の長屋門が同 館の出入口も兼ねており、デカンショ館自体は青山歴史村の施設の一部 という判断で、入館料は青山歴史村の入館料金である。 員: ということは、デカンショ館は有料の施設か。 局: 青山歴史村自体が有料の施設で、デカンショ館に入るのにまた新たに 入館料を支払う必要はない。ただデカンショ館へ行こうと思えば、青山 歴史村の入館料を支払う必要がある。 員: 前回の会議で、青山歴史村の名称変更の提案が出ていたが、その後 どうなったか。 局: 青山歴史村は現在第 2 期工事が始まろうとしている。来年には第 3 期 工事も控えているので、それが終わった時点で青山歴史村全体での施設 の内容も変わってくる。名称についてもそのとき同時に考えていけたら と思う。 員: 青山歴史村の北側と西側にある昔の蔵に古文書が保存されているかと 思うが、建物の改築や新築といった計画は全く持ち上がっていないのか。 局: 現段階ではそのような計画はない。 来年度以降、長屋門の葺き替え工事に着手するが、他方、桂園舎が屋 根の老朽化で雨漏りが進行しており、長屋門の工事が終わるのを区切り として長期計画を作っていかなければならないと考えている。 員: 後々資料を保管・保全するという意味で、蔵の件についての議論は 不可欠と思う。施設の性格上、蔵の修理については比較的優先順位を 上げても良いと思う。 局: 計画を立てる段階で専門家の知見を仰ぎたい。 員: 実は、デカンショ館の入口を巡っては、日本遺産推進協議会で相当 議論がある。本来ならば大手筋(東側)へ向かって出入口があるはず なのに、わざわざ青山歴史村から導線を作って迎え入れる形はおかしい、 という話である。その背後にはどうも歴史施設の管理に対する市の考え 3 があるようだ。 しかし、その点についてはやはり協議会の委員のみならず商工会から も相当厳しい意見が出た。 もう一つは、将来的な問題も含めて、先ほど委員からご意見が出た ように、青山歴史村の名称については、「村」というのがやはりどう考え ても合わない。特に青山歴史村の場合には藩政期の莫大な文書があるの で、それらをきっちりと管理して学術的に公開し、研究に役立てると いったアカデミックな性格を持たせた研究機関としての名称を冠して 残していくほうが良いと思う。 青山歴史村の中には市指定文化財の鼠草子絵巻などがたくさんあるが、 この蔵の環境は決して資料にとって最善とは言えない。これらはどこか へ移して、建物の中に打ち付けてある版木を全部はがしてしまうべきで ある。このような状態が放置されているのは篠山の文化財保護行政にと って問題であると考えている。誰が見ても貴重な版木を切って打ち付け ているということは資料の保存上思わしい状態ではない。 4-1 審議事項 事 務 局: 28 年度事業について 篠山城跡の保存と活用について報告する。平成 14 年度から篠山城内 堀の復元整備を実施していたが、残念ながら 27、28 年度と休止している 状況である。現在、全体の 4 割程度が完成、残りは未完成となっている。 事業が休止している理由としては、国と県の補助金を使って事業を行 っているが、まず県内の史跡整備の要望がかなり増えてきていることか ら、県の段階で予算措置がされないことである。篠山城の内堀整備は継 続的に実施していることから相対的に優先順位が下がり、2 年間予算が 下りてきていない状況である。 ただ、議会や市民から要望が強いことから、29 年度には再開できるよ う今から働きかけを行っていくこととしている。 続いて、篠山城下町における町並みの保存と活用について説明する。 これについては平成 17 年度から事業を実施してきており、今年度は 4 件 の保存修理事業を実施する。建物については 4 件、西新町の御徒町にあ る昭和前期の建物の玄関の修理、河原町にある江戸後期の建物の屋根の 表サッシ復原、上河原町にある江戸後期の建物の屋根及び外壁の修理並 びにサッシの復元と土蔵の桁修理、下河原町にある江戸中期の建物の塀 及び離れの修理を実施する。 また、29 年度の事業計画を立てるべく住民から要望を募り、保存会で 選考を行っているが、要望が、昨年の 22 件から 37 件へ増加した。その 中から優先順位をつけて 8 件にしぼり、8 月以降県や文化庁に要望を行い、 予算が獲得できるよう作業を進めていく。 事 務 局: 福住地区における町並みの保存と活用について報告する。福住地区に ついても 28 年度は 4 件、住吉神社社務所の屋根の葺き替え、うと木の物 件の主屋の屋根の塗り替え及び塀の修景、平成 26 年度に一度保存修理事 業を行った安口西の物件の外壁修理、西野々の物件の主屋屋根の塗り替 え工事及びコンクリート塀の一部撤去と修景基準に適合した外壁への修 理・修景工事を実施する。 福住の町並みについて、29 年度は 22 件の要望があり、保存会の協議を 経てしぼり込んだ 7 件について、現在基本設計等の作業を進めている。 事 務 局: 文化財の保護・管理については、変更点のみ申し上げる。 指定文化財の保護について、昨年 11 月に本郷春日神社本殿が国登録文 化財として登録されたことにより、市内の国指定等文化財件数は 214 件 4 となり、この 214 件に関して保護・管理を進めていく。指定文化財の説 明板更新については、今年度 3 件を予定している。 地域の歴史文化を活かしたまちづくり事業については、市の単独事業 である。1 団体につき 20 万円を上限に、各地域団体を対象に地域文化財 の保存活用及び普及啓発等に助成を行っている。現在募集は終了し、任 意団体も含め 9 団体の応募があった。100 万円の予算枠は維持しつつ各団 体へ了承を得ながら、交付決定額の調整を行っている。 文化遺産を活かした地域活性化事業は、文化庁(国)の補助事業であ る。民俗芸能の団体に対して市の指定等を中心とした 30 団体に、祭礼に 使用する山車等の修繕に対する助成の募集を行い、最終的に 4 団体を対 象に補助事業を実施していく。 事 務 局: 歴史施設 4 館の運営に関しては、昨年度と同様に一般社団法人ウイズ ささやまに委託し運営している。以下、特に例年と異なる点のみ報告す る。 まず、歴史美術館で、本年 4 月 26 日から 5 月 29 日までの約 1 か月間 にわたり春の企画展「花鳥の美」を実施した。この期間中の入館者数が 3,458 人となっており、2 か月間実施した昨年度の企画展の入館者数 2,567 人と比較すると、期間が半分にもかかわらず入館者は 1,000 人ほど多い ため、盛況であったと考えている。 また、昨年の刀剣展が非常に好調であったので、その流れを汲んだ秋 の特別展を企画している。案としては、篠山とゆかりのある日本画家の 入江波光をテーマにして、彼の作品を中心に展覧会「入江波光展」を開 催する。10 月上旬から 11 月下旬の日曜日までの約 2 ヶ月間の開催を目指 し、現在調整している。 その他 3 館は基本的には例年どおりの運営となるが、今回 4 館共通で 大きな変更があった点が 1 点ある。昨年度議会の一般質問を受けて、こ の 4 月から、神戸市と近隣市町の小中学生を対象に対象施設に無料で入 館できる「のびのびパスポート」並びに県下の小中学生を対象に同様の 趣旨で配布されている兵庫県の「ココロンカード」に参加した。その実 績については、「ココロンカード」と「のびのびパスポート」での歴史 4 館入館者数が、4、5 月で合計のべ 1,385 人となっている。無料入館のた め収入が増えたわけではないが、将来の文化を担う子どもたちに篠山の 文化に触れてもらったことを大変喜ばしく思っており、今後もさらに利 用促進を図っていきたい。 最後に伝統文化の振興ということで、篠山春日能を本年 4 月 9 日土曜 日に開催した。演目は、能「杜若」、狂言「昆布売」、能「春日竜神」で、 入場者数は 513 名、昨年と比べ 59 名増加した。チケットの販売について は無料の方が増えたということで売上が増えているわけではないが、来 場者は増加している状況である。 但し色々と経費がかさんで現在基金が減少し、運営が非常に厳しい状 況となっている。9 月ごろをめどに実行委員会役員の主要メンバーにお集 まりいただいて、今後の運営をどうするかも含めて協議を行い、来年に 臨みたいと考えている。 委 員: 福住の町並み保存に関してだが、安全屋根の塗装について、使える色 は指定されているのか。 事 務 局: 当初の色を調べながら、現在の色と当初の色のどちらで塗るかを考え ていく。当初と全く違う色にすることはない。当初色を決めて統一して いこうという意見も出たが、かえって不自然だろうということになった。 安全屋根は昭和 30 年代にできたもので、それも景観として建物の歴史 5 委 事 務 委 事 務 委 事 務 委 事 務 委 事 務 4-2 を踏まえて決めていく。仮に赤色だったとしても、当時を尊重して塗る こともある。 員: 住吉神社の屋根はどのようにしているのか。安全屋根とは違うのか。 局: 住吉神社の屋根の塗り替えについては、塗膜をめくって、当初塗られ ていた色を採用した。 屋根の形式については、安全屋根である。民家の屋根とは葺き方が違 い、中は萱葺きで、桧皮(ひわだ)葺のように見える葺き方をしている。 員: 先ほど要望が非常に増えてきているとおっしゃっていたが、これには どのような理由があるか。 局: 最初の年の 15 件ほどから始まり、その後は 20 件弱で推移してきたが、 上河原町がさらに積極的に働きかけを行われるようになった結果、上河原 町だけで要望が 20 件ほどに上ることとなった。 また、古い建物だけでなく新しい建物でも町並みに合わせる修景工事に ついては補助金が出るため、古民家だけでなく戦後の建物に関しても要望 が挙がってきた結果、急激に件数が増加した。 ただ、熱心に保存に取り組んでいただいているにもかかわらず、市内の 対象物件数が膨大で、要望に追いついていないのが実情である。 員: 下河原町の物件は写真を見る限りちょっと新しいように見えるが、 これは江戸期か。私の知る限りでは、ごく数十年前に修繕されたような 気がしないでもない。 局: 塀自体は古いもので、後から自動車を乗り入れるために扉を付ける 改変がされている。おそらく昭和 3、40 年代の比較的新しい改変では あるが、それも歴史として活かし、駐車できるよう配慮しつつ修繕して いく。 員: 石垣の修復について、内堀の復元工事は 27、28 年と国庫補助の関係 で休止しているが、これは基本的には 29 年度以降再開予定として良いか。 ただ、熊本城の修復がこれからかなりの長期計画になっていくと思う ので、国も限られた予算の中でやらなければならない以上、熊本城の修 復等々とのバランス上の問題で他の文化財との調整もされるだろう。そ れについて何か情報は入ってきているか。 局: 今までは県の予算の中で優先順位が下げられているところがあったの で、県の枠に入ることができれば国の補助金もついてくると思うが、東 日本大震災の例があり、全国的に何とも言えない状況で、良い材料はな い。 員: 防災と文化財ということが現在非常に叫ばれてきており、今回の熊本・ 大分地震を機に文化財も非常に大きく被害を受けることが再認識された。 今後篠山市も国県補助も含めた指定文化財特に建造物等々について、 防災関係のパトロール並びに調査の計画はお持ちか。 局: 年度内にも、文化財の実態アンケート調査から始めていきたいと考え ている。 審議事項 文化財の指定候補物件について 事 務 局: 春日神社の祭礼については、県下で昨年 10 月に調査を行った。これは 篠山城下町地区から要望を受けてのことで、篠山在住の久下隆史先生と ご子息の正史先生に調査を依頼したものである。春日神社の祭礼は、 春日神社祭礼については近世城下町の祭礼を継承し、神幸や鉾山の巡行、 太鼓みこしの運行に時代の変化が見られるものの城下町祭礼の姿を現在 もよく残している点が、大きな特色となっている。この点については 久下先生方も非常に強調しておられ、兵庫県下で城下町の祭礼として 6 残っているのは篠山のみと言われている。 春日神社の祭礼行事の大きな柱は 3 つある。メインが鉾山の巡行、 続いて神幸、太鼓みこし。この 3 つを行事の範囲として位置付けていこ うと考えている。この範囲については、1 月に地元対象の説明会の中で議 論していただいた結果、鉾山の巡行と神幸、太鼓みこしを含めた範囲で 指定を受けよとの結論に達している。合わせて 6 月に篠山春日神社祭礼 保存会にも報告を行い、承認を受けている。 祭礼の概要を説明させていただくと、宵宮の鉾山の巡行については西 町から鉾山が巡行することになっている。本宮については日中に各地区 年ごとの持ち回りで鉾山が並んで巡行していく。 鉾山の懸装品は、京都の絵師岸礼(がんれい)・岸岱(がんたい)の 書いた幕などは残っている。京都の影響を強く受けていることがよく分 かり、岸礼・岸岱の絵については下絵も残っていることが確認されてい る。 太鼓みこしは宵宮、本宮ともに春日神社の境内を練る。 神輿は、本宮の宮入りの神事の後、各城下町を巡行する。春日神社祭 礼絵図に堀端を神輿を担いで巡行した様子が残っている。 城下町で繰り広げられる大きな祭りということで、鉾山の巡行、神幸、 太鼓みこしを一括で無形文化財として指定し、後世に篠山の大切な文化 を伝える祭りとして継承したいと考えている。この文化財指定について ご審議いただきたい。 委 員: 春日神社の祭礼については鉾山巡行、(神幸の)渡御、太鼓みこしを一 括で審議することとなるが、立町の孔雀山と西町の鏡山以外の懸装品も 合わせて一括指定を受けるということか。 事 務 局: 今回の指定は、無形民俗文化財として祭りの行事を指定するもので ある。懸装品については、有形文化財として申請に基づく指定となって くるため、個々に検討する形になる。 委 員: 要するに、今の教育委員会の考えでは無形民俗文化財としての登録と いうことか。 事 務 局: 行事自体が無形の文化財なので、それに使われる道具も一応関わりが ある。厳しい現状変更の規制はないが、一方で文化庁の補助対象には なってくる。その行事に伴う道具として、そのような支援の方法は今後 あるので、有形文化財は時代性や美術性を勘案して指定していくもので 厳しい現状変更の指定がかかるが、無形民俗文化財は保存が主目的な ので、比較的緩やかな縛りとなっている。 委 員: 私がこだわっているのは、岸礼と岸岱の下絵がちゃんと残っているの に祭りに含めて無形民俗文化財指定してしまうと、見送りの 2 件は有形 文化財指定されているが、祭りそのものを無形民俗文化財指定してしま うと、この間の部分は指定がかからないことになる。 委 員: 無形文化財に指定された場合、その中で道具を更新していく分には規 制はかからない。 しかし、その中で単費で古い時代の道具は別に有形文化財として重複に なっているとかそういう分け方があって、会長のおっしゃることも分か るが、無形文化財として春日神社の祭礼を指定するのと実際使われてい る山鉾や幕などのいわゆる工芸品については別個有形文化財という形で 貴重なものは保存する以外に仕方がないのではないか。無形で指定した 場合は有形の場合の縛りはないので、ここをどう考えるか。 委 員: 祭りというものに網を着せてしまうと全部入ってしまうというふうに 私は解釈した。 7 事 務 局: 一応、ゆるやかに保存していくための努力というのはしていただくが、 ただそれを変えてはいけないという規制はない。 もっとも、長い年数保存していればいずれは例えば有形文化財指定さ れるかもしれないし、もちろん文化庁の補助は修繕が基本なので、全く 新調してしまう分には補助は出ないので、補助の条件では昔の内容に戻 す処理をしていただくのが基本になってくるので、補助を使う場合には 保存を前提とした補助が出る。そのように、補助を使ってちゃんと残し ておく方向に誘導は可能だ。無形文化財としてゆるやかな縛りで保存し ていくと。 委 員: 了解した。今委員がおっしゃった話もそうだが、古いものはどうして も特別に重要な指定がされている。その辺のところをもう少し精査して いく必要がある。例えば、波々伯部神社の神事の舟山の胴幕などは年号 がはっきりしている。 そういうものが他にも何点かある。例えば山車の見送りの更紗も素晴 らしいものが使われていたりする。篠山には他にも現存している曳山が たくさんある。例えば篠山春日神社の曳山などにもちゃんと懸装品があ る。これもできたらこの際春日神社の祭礼として、地域に伝承して篠山 の大切な伝統行事としてきちんと残していくべきではないか。 事 務 局: 波々伯部神社に関しては胡瓜山の神事が指定されており、山車の行事 などは国の選択という指定より緩やかな枠組みで保護されている。 委 員: 実は明日刊行される『波々伯部神社のすべて』という本に、波々伯部 神社に関わる何もかもが掲載されている。確かにおっしゃるように、 見送りや胴幕や曳山そのものなど、多少年代の差はあれど、かなり貴重 なものもあると思う。 ぜひ個々にでも有形文化財指定を見出してほしい。一つ一つを調べた ら思わぬものが出てくる可能性があると思う。 委 員: 一応今回無形民俗文化財として指定を申請していく真の意図は、やは り現状では春日神社の祭りそのものが廃れていくという危機感があるか ら、指定の網をかぶるのが一番の目的ではないかと思うので、例えば草 山の春日おどりのように案外ゆるやかな指定でそれをうまく地域に伝え ていく方向で指定しようとしておられるのではないかと私は解釈してい る。 委 員: 指定を受けることによって皆の意識を変えてもらうきっかけになれば、 それは良いと思う。 委 員: 今皆さんがおっしゃったことは全くそのとおりで、2、3 年ほど前に 波々伯部神社の祭礼をやったときに、村の人達が本当に驚かれたのと、 伝統は自分たちの手で守らなければという意識が高まった。文化財の啓 蒙とはそういうものだ。波々伯部神社の祭礼は住吉神社の祭礼と合わせ て、以前非常に詳しい調査がなされているから、それが一つのベースに なっている。そのような効果を考えると、春日神社の鉾山行事と神幸を、 今皆さんからのご意見にあったように、無形民俗文化財として指定をす るのは良いことだと思う。 委 員: 無形文化財の場合、何もしなければ文化財的価値がない。形はないが そのことに携わり動かすことによって、あるいは動くことによって、 文化財的価値があるという見方が無形文化財だと思う。 また、形骸化、形だけ残ることが多いが、ある先生が、形だけでも残 るということに大きな意味があって、形があればいずれ心を吹き込む人 が現れるかもしれないということで、形骸化という言葉を使って軽んじ てはならないというようなことをおっしゃったことがあって、なるほど 8 委 事 務 委 事 務 委 事 務 委 事 務 委 委 委 委 事 務 委 事 務 委 事 務 委 委 事 務 委 どんな形であれ残すということがものすごく大事なことであろうと思う ので、春日神社の祭礼に関わらず篠山藩内で行われた祭りも、難しいが、 その灯が消えないよう様々な方法を考えていかなければならないと思う。 員: 春日神社の神輿には車輪が付いているが、担がず転がしているのか。 局: 元は担いでいたようだが、現在は転がしている。 員: 神輿は 4 基とも祭りに出るのか。 局: 4 基とも祭りに出る。その点は、久下先生の書き振りからすると、その ように解釈できる。 員: この件については、篠山春日神社の祭礼の鉾山行事と(神幸の)渡御 について、当審議会としては無形文化財に指定するということでこれを 教育委員会に答申する。 局: 事務的な手続きとしては、教育委員長に諮問をしていただいてから答 申を出すという形になる。 員: 続いて、野々垣の鰐口について事務局の説明を求める。 局: 野々垣の鰐口については所有は野々垣自治会となっている。現在は 現在は篠山歴史美術館が寄託を受け、管理をしている。元々は神仏習合 の関係で八幡神社にあった寺にあったものであろうと思われる。 この鰐口については銘文が残っており、この慶長二十年という年は、 ちょうど大阪夏の陣が起こった慶長最後の年である。7 月 13 日に元号に ついては元和に改元されているので、9 月は正式には元和となる。時代的 にも節目となる非常に意味深い元号である。この慶長二十年の鰐口は、 旧多紀郡に現存するものの中で 4 番目に古いものとなる。最も古いもの は今田町和田寺にある康正二年の県指定文化財、2 番目に古いものは高倉 の高蔵寺にある天文十七年の県指定文化財、3 番目に古いものは本郷の観 音堂にある天承七年の鰐口である。今回の鰐口は慶長二十年と時代的に は節目にあたる時期のものであるので、指定範囲として充分ではないか と考えている。 また 3 番目に古い鰐口について、今後調査・指定等を検討していきた い。 員: 時代的に江戸初期になるが、慶長二十年という年号が、元和に改元す るその節目ということから考えても結構な歴史的価値がある。この際 指定する方向性で答申して良いと考える。 員: ところで、「四箇庄」とはどの辺りを指すのか。 員: おそらく日置庄、園部庄といった高城山東側の四箇村を指し、鰐口の 銘文は、その中の野々垣村という意味だと思われる。 員: この鰐口は市指定文化財のいくつ目か。 局: 鰐口としては 3 つ目である。 員: これは野々垣自治会が申請したのか。 局: 野々垣の自治会長から申請された。 員: その市で 3 番目に古い本郷の鰐口は、市の指定を受けているのか。 局: 受けていない。 員: 工芸的な要素もあり、指定に関して全く問題ないとは思う。 ただ、旧西紀町にある 3 番目に古い鰐口を写真でも見たいという気持 ちはある。 員: 今のところ幸いなことにどうにもされていないが、ぶら下げたままに しておくのは盗難に遭う危険性が高く、心配だ。 局: またの機会にこちらから申請の意思があるかアプローチしてみる。 員: それでは、先ほどお示しした方向性で進めさせていただいてよろしい か。 9 あと、市内で 3 番目に古い鰐口の写真を一度示してほしい。 以上で、文化財指定についての報告の件に関しては審議を終わらせて いただくこととする。 5 その他 ・ 篠山市大山にある大山鉦鼓(打楽器)について、県指定に挙げてはどうかとい う打診が県教委からあった。 → 現在申請事務を進めている。(事務局) ・ 波々伯部神社の鳥居(青銅製・延徳四年)について、国の重要文化財指定を受 けつつあったが頓挫していた経緯がある。県指定を得られるよう県教委とも調 整をしてもらいたい。(委員) → これより新しい時代のものが県指定文化財になったことから、県文化財保護審 議会から打診があった。県内では 2 番目に古い。(事務局) ・ 市の指定文化財が現存しているかどうか、我々も確認する必要がある。情報提 供をしていただければ、動く用意がある。(委員) 6 閉会 事務局よりあいさつ 10
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