平成18年度・平成19年度研究戦略プロジェクト費 地域経済、地域活性化

平成18年度・平成19年度研究戦略プロジェクト費
地域経済、地域活性化モデルの作成
研究代表者 国際総合科学部 教 授 藤野次雄
共同研究者
〃
教 授 中條祐介
〃
〃
教 授 三浦 敬
〃
〃
准教授 大澤正俊
〃
〃
准教授 東田啓作
〃
〃
准教授 張 櫻馨
〃
〃
准教授 澤田直宏
〃
〃
准教授 重田麻紀子
〃
〃
准教授 柴田典子
1
目次
† 1 研究グループの紹介
† 2 研究目的
† 3 研究の概要
-「よこはま経営塾」では地域企業の上級管理者に対してケース
教育を実施
† 4 研究ユニットごとの成果
2
研究グループ
平成18年度
所属
補職名
専門分野
役割分担
代表
藤野次雄
国際総合
教授
経済政策
研究代表者
共
同
研
究
者
中條祐介
三浦 敬
柴田典子
東田啓作
朝野尚行
国際総合
〃
〃
〃
浜銀総合研究所
教授
〃
准教授
〃
部長
国際会計
財務会計
マーケティング
国際経済学
全体コーディネート
会計分野担当
経営学分野担当
経済学分野担当
実務分野担当
平成19年度
所属
補職名
専門分野
役割分担
代表 藤野次雄
国際総合
教授
経済政策
研究代表者
共
同
研
究
者
国際総合
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
教授
〃
准教授
〃
〃
〃
〃
〃
国際会計
財務会計
民法
国際経済学
マーケティング
株式会社簿記
会社法
経営戦略論
全体コーディネート
会計分野担当
法律分野担当
経済学分野担当
経営学分野担当
会計学分野担当
法律分野担当
経営学分野担当
中條祐介
三浦 敬
大澤正俊
東田啓作
柴田典子
張 櫻馨
重田麻紀子
澤田直宏
3
研究目的
地域の課題に対しては、地域がもつ固有の内在的資源を組み合
せ、地域発展モデルを創出することが求められている。地元産業
界、自治体、地域金融機関という資源と連携することで、地域で
の企業・産業振興モデルを開発する。
4
研究概要
①地元産業界・地域金融機関および大学による官民両面からの
地域振興支援策、中小企業の経営改善および革新支援策の策定
②地域企業の課題に対して横浜市立大学経営科学系固有の内在
的資源を提供し、横浜地域企業の発展モデルを考察
③大学における地域経営者等に対する研修事業のための教材の
開発
④地元産業界、地域金融機関の協力を得ながら、横浜地域企業
の課題を探索するとともに、そのソリューションを考察
5
当初のスキーム:「横浜地域企業の経営革新・融資」プロジェクト
次の成長ステージへ
人材育成事業
地域金融機関による
戦略的融資
経営革新プロジェクト
ステップ1: 人材育成事業 : 横浜市立大学と地域金融機関で地域企業の人材育成のためのコン
ソーシアムを組成し、地域企業に会員として参加を呼びかける。
ステップ2: 経営革新プロジェクト : コンソーシアム参加企業の中から、当該プロジェクトに対する
募集を行い、横浜市立大学と地域金融機関による課題解決プロジェクトを立ち上げ
る。
ステップ3: 地域金融機関による戦略的融資の検討 : ステップ1&2を経て経営革新型課題解決
の事業計画を完成させた企業に対して、地域金融機関が融資の可能性を検討する。
□ステップ3により資金調達に成功した企業は、次の成長ステージへ進み、地域経済の発展の一翼
を担うことが期待される。
⇒ [よこはま経営塾」事業として企画進行
6
実験事業としての「よこはま経営塾」
日程
内容
題名
講師
講義スタイル
第1講
第2講
11月
12月
1月
2月
オリエンテーション
組織論
組織論
講演
「社会人のビジネス教育
「ITが企業組織に与える
「中小企業の人事問題」
「私の経営哲学」
と大学の役割」
インパクト」
横浜市立大学教員
横浜市立大学教員
横浜市立大学教員
企業経営者
講演型
ケース討論型
ケース討論型
講演型
ガイダンス
・「経営塾」がめざすもの
中條教授
・グループ討議(90分)
・グループ討議(90分)
・講義の全体像と流れ
・解説(60分)
(90分)
藤野学部長
・講演「社会人のビジネス 澤田准教授
教育と大学の役割」
・全体討議(90分)
(90分)
澤田准教授
・全体討議(90分)
アイネット池田会長の講
演(60分)
・全体討議(60分)
3月
4月
組織論
講演
「コーポレートガバナンス 「銀行は企業のどこを見
を考える」
ているのか」
横浜市立大学教員
横浜銀行
講義型
講演型
東田准教授
三浦教授・張准教授
・講義「不祥事を防ぐシス
・解説(60分)
テム作り」(90分)
重田准教授
・講義「経営者責任に関
する最近の事例」(90分)
夜
懇親会
-
-
懇親会
-
日程
内容
5月
経営戦略論
「ビジネスモデルをいかに
構築するのか」
横浜市立大学教員
ケース討論型
6月
経営戦略論
7月
講演
8月
マーケティング
「海外展開」
「時代の流れを読む」
「顧客満足の事業展開」
企業経営者
講演型
横浜市立大学教員
ケース討論型
9月
マーケティング
「IT時代のマーケティン
グ」
横浜市立大学教員
ケース討論型
題名
講師
講義スタイル
第1講
・グループ討議(90分)
第2講
澤田准教授
・全体討議(90分)
夜
-
横浜市立大学教員
講義型
東田准教授
・講義「今日の海外展開
について」(90分)
高橋准教授
・講義「国際税務」
(90分)
-
中條教授
・解説(60分)
・グループ討議(90分)
松井技研最高顧問・創業 岸川教授・澤田准教授
者(60分)
・全体討議(90分)
・全体討議(60分)
-
・グループ討議(90分)
岸川教授・澤田准教授
・全体討議(90分)
横浜銀行
・講演(60分)
・全体討議(60分)
10月
個別企業事例研究
「受講者の悩みをみんな
で考える」
横浜市大教員+浜銀総研
「個別企業事例研究」型
・振り返り
・気づきの発表
・全体討議と解説(90分)
&修了式
-
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「よこはま経営塾」を通じて得られた知見
□ 民間企業はCSRの観点で意味のある産学連携を求めている
・中立的な連携先として大学には相当の期待をもたれている
□ 参加者は地域企業間の密なネットワーキングを求めている
・同年代の経営者間の緊密なネットワークを構築する機会は限定的
□ 参加企業の求める経営ノウハウの一端を把握することができた
・リーダーシップ、国際経営、会計税務、人事労務といったテーマに関心が集中
□ 企業人向け研修プログラムの開発とレクチャーのノウハウを集積した
・複数の教員が登壇することで、社会人の求めるニーズを吸収できた
□ 企業側には大学院カリキュラムとの接続を希望する意向がある
・履修の単位化や短期修了プログラムなど大学による単位認定に対するニー
ズがある
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「よこはま経営塾」を通じて浮かび上がった課題
□ 地域貢献スキームのすり合わせ
・研究機関としての大学と営利組織としての民間企業のニーズのミスマッチ
□ 参加企業のニーズとレベル感
・民間企業のネットワークに依存するため、参加意欲等で温度差が生じる可能性
がある(⇒ 意識付けが重要)
□ 継続事業とするための事業資金の確保と運用
・研究戦略プロジェクト費を利用したが、単年度決算&実質的な資金の
使用可能期間が7月以降(4月~6月の運転資金の教員負担)。
・上記プロジェクトの参加費等について、大学に徴収スキームが存在しない(事
業規模の拡大が困難)
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大学院教育における「よこはま経営塾」の貢献と課題
大学院教育における「よこはま経営塾」の位置づけ
大学院経営科学専攻
大学院研究教育スタッフ
大学院学生
受講・
支援
運営
教育研究成
果のフィー
ドバック
よこはま経営塾
地域企業
経営課題の共有と
成果のフィードバック
地域企業
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「よこはま経営塾」の貢献
† 学内では触れることのできない経営の現場
の課題に直接触れることができる
† 理論を現場でオペレーショナルにする際の
諸問題につて体感可能
† 経営研究に対する実務のニーズを吸収す
ることができる
† 大学院生の修了後のキャリアデザインに現
実性を付与
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「よこはま経営塾」の課題
† 地元企業から提供される経営課題は一般
的なものが多く、横浜または地域の独自の
課題を十分に取り扱うまでに至っていない
† 開講が平日の午後となっているため、院生
に積極的な参加を促すまでには至っていな
い
† 開講が複数年度にまたがっているため、単
位認定との関係が詰め切れていない
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地域企業における経営教育の方法について
:ケースによる討論型授業の可能性から
†現在,地域企業が抱える組織学習上の問題
- 企業体力の衰えによるOJT機能の低下
- 地域の企業ネットワークのハブ機能をはたしていた大企業の工場・研究所等の移転
- 地域の企業ネットワークの衰退による地域企業間の水平的知識移転の不全
†地域企業におけるケース教育の可能性
- ケース教育とは
・企業事例を基に教員と受講者との間で討論形式で行う対話型教育法
-ケース教育のメリット
・ 体験的学習: 上級管理者に必要となる状況依存的知識を伝達可能(OJTの補完)
・ 学びの共同体: 分散していた地域企業の知識を対話を通じて参加者で共有可能
・ ネットワークの形成: 共同学習を通じた水平的ネットワークの再構築の可能性
†実証としての「よこはま経営塾」
-「よこはま経営塾」では地域企業の上級管理者に対してケース教育を実施
-受講者からは教育成果についておおむね良好の回答を得る
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会社法の施行、中小企業会計に関する指針の導入と
中小企業の会計
†会社法の目玉の1つ:会計参与制度の創設
- しかし、導入を考えている企業は約4割
†中小企業が計算書類を作成する際の拠り所
:中小企業の会計に関する指針
- 完全に準拠している中小企業は約3割
†会計参与制度と中小企業会計指針の活用度を高めるために
①融資に関する優遇措置の拡大と周知
②税制上の優遇措置の導入
③中小企業信用リスク情報データベースを活用し、中小企業の実態とニーズを調査
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企業経営者向け民法教材の開発研究
†<問題の背景>
企業不祥事の多発
(食品偽装・建物不正改造・報告書偽装・リコール隠しetc.)
†<問題意識>
なぜ、不祥事は減少しないのか。むしろ増加傾向にある。
†<アプローチ>
会社法を中心にガバナンス論・コンプライアンス論として議論
が展開されているが、同時に経営者に社会生活の根本法で
ある民法を理解することで企業不祥事の防止・対処に役立て
てもらいたい。
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企業経営者向け民法教材の開発研究
<今回の研究内容と今後の課題>
†<今回の研究内容>
†2000年以降に報道された主な企業不祥事についての類
型と分析
†分類・対外的トラブル・対内的トラブル・その他のトラブル
†分析 各トラブルの具体的解決策と防止策を検討
†分類と分析を踏まえ、企業経営者に必要と思われる具体的
な民法教材の提案
†<今後の課題>
†今回検討した不祥事は大企業についてのものであったが、
今後は中小企業経営者向け教材開発に向けた研究も必要
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「中小企業経営者における法的責任リスク
と会社法活用によるリスク対策」
†1 会社法における企業不祥事防止に対する取り組み
企業不祥事の防止、経営の透明性確保に向けて
⇒ 会社法では法的インフラ整備(取締役の責任制度、内部統制)を進めてきている。
†2 会社法上の取締役の義務
①善管注意義務(会社法330条、民法644条)
②忠実義務 (会355条)
③監視義務
†3 会社法上の取締役の責任
(1)会社に対する責任:原則的な責任:任務懈怠責任(会423条)
~具体的な類型~
・具体的法令違反、経営判断の逸脱、監督(監視)義務違反、内部統制システム構築義務違反
(2)第三者に対する責任 (会429条)
:特に、中小企業の経営破綻・倒産ケースでの追及事例が多いのが特徴。
*経営者に課せられる義務・責任規定は、企業の規模を問わずほぼ一律。
*株主代表訴訟(会847条)による経営者への責任追及が増加。
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「中小企業経営者における法的責任リスク
と会社法活用によるリスク対策」
†4 取締役の責任リスクへの対応策
(1)内部統制システムの構築(会348条4項など、会施規100条1項など)
†
具体的項目:
法令遵守体制、情報の保存・管理体制、リスク管理体制、職務の効率性のための体制
企業集団の業務の適正を確保するための体制、監査役充実体制
(2)取締役の責任軽減制度の活用(会425~427条)
:取締役の損害賠償責任額を一部免除する事後的救済制度
†5 まとめ ~企業不祥事から企業と経営者自身を守るために
経営の健全性・透明性を実現するため
↓
各会社の業態、規模、企業風土等にふさわしい内部統制の構築・運用
↓
経営者の法的責任リスクを減少
↓
経営の効率性の推進
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第1期「よこはま経営塾」は平成20年10月
で修了式を迎えますが、第2期「よこはま経
営塾」については、平成21年4月開講に向
けて現在企画調整中です。
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研究資金の支援に感謝いたしますとともに、
本日はご清聴ありがとうございました。
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