使える! 中小企業 支援情報 ❶回 ﹁経営力向上計画﹂ を作って 企業の﹁稼ぐ力﹂を 強くする 中小企業庁 長官官房参事官室 政策調整専門官 清村和貴 ︵当社から出向中︶ 各種助成制度の採択の際に、加点をされ るというメリットがあります︵制度の種 類によります︶ 。 をふまえて、経営力を向上させるために 自動化・省力化装置を導入したり、従業 てみます。例えば、製造業においては、 認定を得ることによる固定資産の軽減 措置にともなう減税メリットはどの程度 中小企業等経営強化法について どのような取り組みや設備投資をしたら になるかを計算してみたく思います。例 固定資産の軽減措置は どの程度の減税メリットがあるのか 第1回目の今回は、 月1日に施行さ れた﹁中小企業等経営強化法﹂について 員の多能工化を促進して、従業員 人あ 投資育成から 中小企業庁に出向中の職員が、 中小企業を支援するための 支援策等についてご紹介します。 よいか、具体的な内容を策定するという 7 お伝えしようと思います。この法律は、 第 小企業の事業者は﹁経営力向上計画﹂を ﹁経営力向上計画﹂が新設されます。中 力﹂そのものの強化を図ることを目指す 本法律ではこれに加えて、本業の﹁稼ぐ ﹁経営革新計画﹂として これまでは、 新事業活動を促進することで新たな収益 のです。 する法律﹂を改正し、名称が変わったも ﹁中小企業の新たな事業活動の促進に関 なお、計画策定の際の参考として、業 種毎に﹁事業分野別指針﹂ ︵製造業、卸・ ます。 ことで各種支援措置を受けることができ 方の経済産業局に提出し、認定を受ける 業や卸・小売業では、経済産業省の各地 作成した﹁経営力向上計画﹂は、各業 種を所管する省庁に提出をします。製造 申請様式は2枚と簡素化されています。 ありましたが、 ﹁経営力向上計画﹂では 記載が必要で、やや手間のかかる部分も 新事業の内容や実施計画、資金計画等の ものです。従来からの﹁経営革新計画﹂ では、 支援︵信用保証の別枠化と保証料率の低 ②計画に基づく事業に必要な資金繰りの る固定資産税の軽減措置 ︵3年間半額︶ や、 るための機械装置を取得した場合におけ っています。 思いますが、幅広い取り組みが対象にな 例については今後情報が充実してくると せる取り組み等、様々です。取り組み事 データ分析により売上高や利益を増加さ ービス業においてはPOSの導入による たりの収益力を向上させる取り組み、サ っと社長の考えが社内に共有され、より と共有してみてはいかがでしょうか。き 向上計画﹂を作成し、幹部社員や従業員 成していない会社はこれを機に﹁経営力 道を示すというものです。経営計画を作 経営計画を作るということは、自社の 現状の課題を認識し、今後の会社の進む なお、固定資産税の減税なので、赤字の また、生産性向上設備投資促進税制や 中小企業投資促進税制と併用が可能です。 3年間分で 万円弱の減税となります。 る機械設備を導入した場合、取得時から えば、1000万円の生産性向上に係わ ﹁経営力向上計画﹂では、まず自社の属 ﹁経営力向上計画﹂の 作成・申請について けられるという制度です。 源を開拓することを目指してきましたが、 作成し、申請・認定を受けることで、固 小売業、飲食業等︶が順次公表される予 減︶ 、③産業団体による人材育成支援な 組織に一体感が生まれてくるはずです。 支援対象になる具体的な例を取り上げ ﹁経営力向上計画﹂ 中小企業の事業者が の認定を受けることで、①生産性を高め 認定を受けることで事業者には どのようなメリットがあるのか 定資産税の軽減措置や各種金融支援が受 定です︵7月1日時点9業種公表︶ 。 どが受けられることとなります。また、 する市場の分析や競合の状況及び、経営 状況の把握という現状認識を行い、それ どのような経営力向上策が 支援対象になるのか 今後は本認定を受けていると補助金等の 1 経営計画を作るということは 経営者の考えを ﹁見える化﹂するということ 事業者でも減税効果があります。 20 24 そだとう 188 2016. 7 本業の成長を支援する「中小企業等経営強化法」 担当官に聞く 創業 生産性の向上 佐伯徳彦氏 新事業活動促進法 (経営革新計画・新連携計画) 農商工連携法/地域資源法 産業競争力強化法 (企業実証特例制度等) 本業の成長 新事業活動促進法 (創業時の債務保証等) 産業競争力強化法 (市町村での創業支援体制 整備等) 中小企業庁 事業環境部企画課 総括補佐 新分野への進出 新事業の開始 経営承継 事業再生 事業環境の改善 下請代金法/下請振興法 地域商店街活性化法 経営の強化 今回の法改正は、経営者の方々に、 自社の本業の「稼ぐ力」を再考して いただくきっかけになればと考えてい 経営承継円滑化法 産業競争力強化法 (事業再生計画等) これまでは主に本業以外の新事業への取り組みを支援するための法律であったが、本法案は、本 業の生産性を向上させるための法律であり、新しい動きと言えよう。 ます。 新設される「経営力向上計画」で は、①自社の事業の立ち位置、②経 「中小企業等経営強化法」の仕組み 営の目標値、③具体的に取っていた 適用期間 3年間 (平成30年度末までの投資) ※中小企業等経営強化法の施行日以降に取得した資産が対象 だく措置の内容の3つを書いていただ くことになります。③については、業 種毎の稼ぎ方の指針である「事業分 【対象設備の例】 制度 中小企業者(赤字法人含む) 策定 野別指針」を参考にしていただきた 経営力向上計画 認定 (設備投資・人材育成・経営手法改善等) いと思います。 記載された 事業所管 大臣 金属加工機械 経営力向上設備 また、法律上の支援措置としては、 固定資産税の軽減、金融措置、人材 育成の支援等となっていますが、今 (生産性向上設備に係る) 固定資産税の特例 1/2軽減(3年間) 特例措置 後、多くの補助制度において、認定 を受けた企業を優先的に採択する枠 スポート」として使っていただきたい と思います。 私の夢は、経営力向上に向けた知 見が「事業分野別指針」として集約 され、中小・小規模・中堅企業の経 【支援対象】 中小企業者※が経営力向上計画に基づき取得する 新規の機械装置(新品) 特例対象・内容 組みも検討しており、ある種の「パ ソフトウェア組込型 (NC) 複合加工機 H28年度 H29年度 H30年度 H31年度 H32年度 H33年度 取得 特例 ※中小企業者:資本金1億円以下等、大企業の子会社除く 取得 生産性を高める機械装置が対象 ※既存の設備投資減税(生産性向上設備投資減税)の支援要 件(①160万円以上、②生産性1%向上(10年以内に販売 開始) 、③最新モデル)のうち、①、②を満たした機械装置 が対象です。中小企業への配慮から、③は、要件から除外。 【特例】 固定資産税の課税標準を3年間1/2に軽減 特例 取得 特例 ※例:平成28年に取得した設備は、平成29年1月1 日時点に所有する資産として申告され、平成29、30、 31年度の3年間固定資産税が軽減されます。 営層にとっての経営上の準則として、 御利用頂くことにあります。 これを機に経営者の皆様に生産性 向上に向けて取り組んでいただきた いと考えています。 固定資産減税以外の支援措置(一例) 支援措置 最新情報は下記URLをご覧下さい。 支援措置 商工中金による低利融資 日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット 中小企業信用保険法の特例 中小企業基盤整備機構による債務保証 中小企業投資育成株式会社法の特例 食品流通構造改善機構による債務保証 URL:中小企業庁ホームページ:経営サポート「経営強化法による支援」 http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/ お問い合わせ先 中小企業等経営強化法について 中小企業庁事業環境部企画課 Tel. 03-3501-1957 ※投資育成の投資先企業担当者にもお問い合わせ頂ければ、内容につきましてご紹介いたします。 25 そだとう 188 2016. 7
© Copyright 2024 ExpyDoc