オリンピック・パラリンピック 教育プログラムの研究開発

オリンピック・パラリンピック
教育プログラムの研究開発
~全教科・領域における計画的・系統的な教育計画の策定~
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東久留米市立南中学校
発表者 主幹教諭 石川一樹
はじめに
1.オリンピック・パラリンピック教育を通じて
目指すべきもの
スポーツは、体を動かすという人間の本源的な
欲求に応えるとともに精神的充足や楽しさ・喜びを
もたらし人々が幸福で豊かな生活を営む基盤とな
るものであり、オリンピック・パラリンピックを通じて、
人々が自己の在り方を高め、より良い社会を構築
することを目指すものである。
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2.本校の実態
平成26年度の体力・運動能力、運動習慣等調査の
全国調査結果では、1日の運動・スポーツ実施時間
は中学校の場合、学年進行にともない減少傾向にあ
るが、平成27年6月に実施した本校の調査では、体
育の授業以外でも自分から運動やスポーツに取り組
んでいる生徒の割合は、1年69.3%、2年71.9%、3年
76.2%と学年進行にともない増加傾向にある。
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3.なぜ、オリンピック・パラリンピック教育か
学力(体力)向上のスタート地点には、「学習意欲」が
あり、基礎的な学力(体力)が定着し、それをさらに発
展させていくのも、また、「学習意欲」だと考える。運動・
スポーツに興味・関心が高い生徒が多い本校にあって、
オリンピック・パラリンピック教育プログラムを開発し、実
践していくことによって、「学習意欲」の向上を図ること
ができると考えた。
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南中のオリンピック・パラリンピック教育目標
① 学力向上を図るために学習意欲を高める
② 国際社会で活躍する日本人の育成
③ 社会性の習得と体力の向上
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オリンピック・パラリンピック
教育プログラムの開発
1.全教科・領域のオリンピック・パラリンピック教育の
目標の設定
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全教科・領域のオリンピック・パラリンピック教育の目標
国 語
社 会
数 学
理 科
音 楽
美 術
自国の伝統・文化の魅力を伝え合う力を高め、国際社会における伝統・文化理解を深める。
保健体育
スポーツへの関心・意欲や理解を深めるとともに、運動の実践を通して体力の向上を図る。
技術・家庭
技術:オリンピック・パラリンピックと技術とのかかわりについて理解を深め、技術を評価し活用する力を育て
る。
家庭:衣食住などに関する日本や外国の文化について理解を深め、進んで生活を工夫し創造する実践的な態度を育
てる。
英 語
道 徳
海外からの観光客などと英語を使って積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を養うととも
に、コミュニケーション能力の向上を図る。
オリンピック・パラリンピックを題材とした道徳教育を通して、道徳的価値及びそれに基づいた人間
としての生き方についての自覚を深める。
総合的な
学習の時間
オリンピック・パラリンピックに関連した問題の解決や探究活動に取り組み、自己の生き方を考える
ことができるようにする。
特別活動
オリンピック・パラリンピックに関連した活動を通して、自分の意見や考えをもとに話し合い、協力
してよりよい生活や人間関係を築く自主的、実践的な態度を育てる。
日本や諸外国の歴史や文化、地域間の交流の視点から理解を深め、平和的な国際社会の形成者として
の資質を養う。
オリンピック・パラリンピック競技を数理的に考察し表現する能力を高める。
オリンピック・パラリンピック競技における科学的な物の見方や考え方を養う。
音楽表現や鑑賞活動を通し我が国や諸外国の様々な音楽に触れ、そのよさや多様性についての理解を
深める。
美術を通した国際理解を深め、美術文化の継承と創造への関心を高める。
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オリンピック・パラリンピック
教育プログラムの開発
2.オリンピック・パラリンピック教育を題材とした6つ
の学習の視点
①
②
③
④
⑤
⑥
「人」に視点をあてる
「大会開催の条件整備」に視点をあてる
「世界最大のスポーツの祭典」に視点をあてる
「環境」に視点をあてる
「科学・技術」に視点をあてる
「祝祭」に視点をあてる
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オリンピック・パラリンピック
教育プログラムの開発
3.全教科・領域における
学習指導要領と、オリン
ピック・パラリンピック教
育との関連を精選
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学習指導要領と各教科等の指導事項との関連(指導例)
例 理科
第1分野 2 (7)科学技術と人間
エネルギー資源の利用や科学技術の発展と人間生活との
かかわりについて認識を深め、自然環境の保全と科学技術の
利用の在り方について科学的に考察し判断する態度を養う。
指導例)
限られた資源の中で環境との調和を図りながら持続可能な
社会をつくっていくことが課題であり、そのために、自然と人間
の共存が不可欠であることを認識させる。
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オリンピック・パラリンピック
教育プログラムの開発
4.オリンピック・パラリンピック教育の6つの視点
に即した3年間の指導計画の作成
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オリンピック・パラリンピック教育の
6つの視点に即した3年間の指導計画
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3
4
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「人」の視点 「大会開催の 「世界最大の 「環境」の視 「科学・技
条件整備」の スポーツの祭 点
術」の視点
視点
典」の視点
◯する人(競技
者)
◯支える人(指
導者、大会ス
タッフ等)
◯見る人(観戦
者、メディア等)
国 語
◯国や都市の経
済力
◯政治的安定や
治安
◯輸送、宿泊、
医療 等
◯国際親善
◯国際貢献
◯世界平和
◯日本や外国の
歴史・文化
◯日本の礼儀作
法や国際的なマ
ナー 等
◯環境対策
◯環境負荷の小
さい素材や技術
の開発
◯環境保全 等
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「祝祭」の視
点
◯用具や器具、 ◯セレモニー
施設・設備の改 ◯フェスティバル
良や進歩
◯イベント 等
◯ITや通信技術
の進歩
◯栄養管理等保
健・医療の発達
等
1年
・調べたことを報告
・「好きなもの」を紹
しよう
・蓬莱の玉の枝
介しよう ・
・話題や方向を捉 ・今に生きる言葉
少年の日の思い出
えて話し合おう
2年
・「生物が記録する
・気持ちを込めて書
・「平家物語」
・話し合って考えを
・根拠を明確にし
科学」
・魅力的な提案をし
こう
・「徒然草」 ・短歌 広げよう
て意見を書こう
・「メディアと上手に よう
・言葉を比べよう
・「枕草子」・漢詩 ・「モアイは語る」
付き合うために」
3年
・社会とのかかわり
・故郷
を伝えよう
・エルサルバドル
・「想いのリレー」に
の少女 ヘスース
加わろう
・情報の集め方を
・流氷と私達の暮ら
知る
し
・言葉を集めよう
・わかりやすく説明
しよう
・鑑賞文を書く
・和語・漢語・外来
語
・話し合って提案を
・魅力的な紙面を
・月の起源を探る 作ろう
・挨拶-原爆の写真 まとめよう
によせて
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オリンピック・パラリンピック教育の充実
1.オリンピック・パラリンピック教育の充実を図る
ためには
① オリンピック・パラリンピック競技大会組織委
員会等、関係機関との連携
② 企業との連携の必要性
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オリンピック・パラリンピック教育の充実
2.本物に触れる機会の設定
① オリンピック・パラリンピック教育講演会
ロンドン五輪代表 田中 理恵さん
「夢をあきらめないで」
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オリンピック・パラリンピック教育の充実
② オリンピック・パラリンピック教育講演会、
出前授業
ラグビー前豪州代表 現コカ・コーラ レッド
スパークス ニック・カミンズ選手
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オリンピック・パラリンピック教育の充実
③ 日本コカ・コーラ、日本オリンピック委員会、
東京2020組織委員会 共催
スポーツイベント
アテネ五輪金メダリスト
室伏 広治さん、
ロンドンパラリンピック水泳
銀メダリスト 木村 敬一さん他
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オリンピック・パラリンピック教育の充実
④ アメリカ大使館外交官との交流
Deputy Cultural Affairs Officer
Jeff Adlerさん
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オリンピック・パラリンピック教育の充実
3.学校図書の整備
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オリンピック・パラリンピック教育の充実
4.運動会における自主的な生徒の取り組み
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オリンピック・パラリンピック教育の充実
5.オリンピック・パラリンピックを題材にした校長講話
6.学習意欲に関する調査
7.オリンピック・パラリンピック教育プログラム開発の
ための研究授業の実施
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最後に
今後、本プログラムの改善を図り、
東京2020大会に向け、オリンピッ
ク・パラリンピック教育の充実を
図っていきます。
ご清聴ありがとうございました。
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