BCP 策定、企業の 12.8%にとどまる

2016/8/10
福岡支店
住所:福岡市中央区舞鶴 2-4-15
電話:092-738-7779(情報部)
URL: http://www.tdb.co.jp
特別企画 : 事業継続計画(BCP)に対する九州企業の意識調査
BCP 策定、企業の 12.8%にとどまる
~「地震」を意識する企業の割合、地域間格差大~
はじめに
近年、地震や台風・豪雨などの自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合の
企業活動への影響を想定し、企業活動を休止することなく、あるいは早期復旧させるなどして事
業を継続させるため、防災・減災対策、災害発生時や発生後の対応措置などに対する重要性が高
まっている。
そこで、帝国データバンクは、事業継続計画(BCP)に対する企業の見解について調査を実施し
た。本調査は、TDB 景気動向調査 2016 年 6 月調査とともに行った。
※ 調査期間は 2016 年 6 月 17 日~30 日、調査対象は九州・沖縄地区の 2,005 社で、有効回答企
業数は 772 社(回答率 38.5%)
調査結果(要旨)
1. 普段、業務を行うなかで最も意識している災害は「地震」が 34.2%で最多。8 割超の企業が、
「火災」
「水害」など自然災害を挙げた。
「地震」を最も意識している企業の割合は、大規模
地震の発生が想定されている「宮崎県」で 58.2%と唯一全国を上回る
2. 事業継続計画(BCP)の策定状況は、
「策定している」企業が 12.8%にとどまる。
「現在、策
定中」
「策定を検討している」を合わせても半数に満たない。従業員の少ない企業ほど策定が
進んでおらず、策定している割合は従業員数「5 人以下」と「1,000 人超」では約 5 倍の開き
3. 災害時における人的資源への対策について、自社で経営者(代表)が不測の事態で不在とな
った場合、代わりとなる人物が「いる」企業は 62.0%。ただし、従業員数「5 人以下」では
40.7%にとどまる
4. 自社に緊急事態が起こった場合の従業員の安否確認方法は、
「携帯電話、携帯メール」が
87.7%で最多。
「固定電話(公衆電話含む)
、FAX」
「直接訪問」が続く。
5. 大規模地震への対策では、
「損害保険への加入」が最多。
「対策を特に決めていない」企業は
約 3 割にのぼり、特に小規模企業は約 4 割に。また、地域によっても大きな差がみられた
6. 緊急事態発生後のキャッシュフローに必要となる、売上の 1 カ月分以上の現預金を災害に備
えて保有している企業は 40.5%
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1
2016/8/10
特別企画: 事業継続計画(BCP)に対する九州企業の意識調査
1. 企業が最も意識する災害は「地震」だが、
「全国」を17.6 ポイント下回る
普段、業務を行うなかでどのような災害を最も
最も意識している災害
意識しているか尋ねたところ、「地震」と回答し
意識していな 分からない
い
3 .2 %
その他
4 .4 %
2 .1 %
た企業は 34.2%で最も多かった。さらに、
「火災」
24.1%、
「水害」14.2%と続き、
「他の自然災害」
犯罪行為
4 .1 %
と合わせて 8 割を超える企業が自然災害を挙げた。
伝染病
4 .5 %
以下、
「伝染病
(新型インフルエンザなど)
」
4.5%、
地震
3 4 .2 %
「犯罪行為(不正アクセス、テロなど)
」4.1%、
他の自然災
害
9 .1 %
「その他」2.1%となった。また、普段、災害を「意
識していない」企業は 4.4%で、多くの企業が突
発的な災害を意識している様子がうかがえる。
自然災害
81.6%
水害
1 4 .2 %
「全国」では、
「地震」を最も意識している企業
の割合は 51.8%と半数超にのぼっており、九州・
火災
2 4 .1 %
沖縄地区(34.2%)は 17.6 ポイントも低い。県別
注:母数は有効回答企業772社
にみると、南海トラフ地震による大きな被害が想
定されている「宮崎県」
(58.2%)が唯一全国を上
回り、
「大分県」
(47.8%)が続いた。他方、
「佐賀県」
(18.5%)
、
「長崎県」
(20.5%)など太平洋
に面していない地域では低く、地域によって大きな差がみられる。
「熊本県」においても、31.8%
と「全国」を大きく下回っている。
「北九州は地震や津波などの過去の事例がほとんど知られてい
ないため、台風や火災などへの備えを中心に考えている」
(建設、福岡県)のコメントに代表され
るように、過去に大きな地震に見舞われなかったために意識される度合いが低いものとみられる。
一方で、
「旅館の耐震補強を今後強化します」
(旅館・ホテル、大分県)のように、熊本地震を教
訓に、大地震が起きた場合の対策を具体的に取ろうとしている企業も見られる。
最も意識している災害(県別)
地震
火災
犯罪行為
伝染病
他の自然災害 (新型インフル (不正アクセ
エンザなど) ス、テロなど)
水害
(構成比%、カッコ内社数)
意識していな
い
その他
分からない
合計
全国
51.8 (5,420)
19.5
(2,044)
7.7
(806)
3.1
(321)
3.4
(359)
5.6
(588)
1.3
(131)
4.6
(477)
3.1
(325)
九州
34.2
(264)
24.1
(186)
14.2
(110)
9.1
(70)
4.5
(35)
4.1
(32)
2.1
(16)
4.4
(34)
3.2
(25)
100.0 (10,471)
100.0
(772)
福岡
34.3
(103)
24.3
(73)
13.7
(41)
5.7
(17)
4.7
(14)
6.3
(19)
2.7
(8)
5.0
(15)
3.3
(10)
100.0
(300)
佐賀
18.5
(10)
40.7
(22)
14.8
(8)
11.1
(6)
5.6
(3)
3.7
(2)
0.0
(0)
3.7
(2)
1.9
(1)
100.0
(54)
長崎
20.5
(17)
30.1
(25)
19.3
(16)
6.0
(5)
6.0
(5)
6.0
(5)
1.2
(1)
6.0
(5)
4.8
(4)
100.0
(83)
熊本
31.8
(28)
26.1
(23)
15.9
(14)
10.2
(9)
6.8
(6)
3.4
(3)
0.0
(0)
4.5
(4)
1.1
(1)
100.0
(88)
大分
47.8
(32)
19.4
(13)
16.4
(11)
6.0
(4)
4.5
(3)
1.5
(1)
0.0
(0)
1.5
(1)
3.0
(2)
100.0
(67)
宮崎
58.2
(32)
20.0
(11)
10.9
(6)
3.6
(2)
3.6
(2)
0.0
(0)
3.6
(2)
0.0
(0)
0.0
(0)
100.0
(55)
鹿児島
33.8
(23)
14.7
(10)
11.8
(8)
17.6
(12)
1.5
(1)
1.5
(1)
4.4
(3)
7.4
(5)
7.4
(5)
100.0
(68)
沖縄
33.3
(19)
15.8
(9)
10.5
(6)
26.3
(15)
1.8
(1)
1.8
(1)
3.5
(2)
3.5
(2)
3.5
(2)
100.0
(57)
注:網掛けは、全体以上を表す
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2016/8/10
特別企画: 事業継続計画(BCP)に対する九州企業の意識調査
2. 事業継続計画(BCP)策定企業は 12.8%にとどまる
自社における事業継続計画(BCP)の策定状況に
ついて尋ねたところ、「策定している」と回答した
企業は 12.8%にとどまった。また、「現在、策定中」
事業継続計画(BCP)の策定状況
分からない
1 1 .4 %
策定している
1 2 .8 %
6.3%、「策定を検討している」21.9%を合わせても
現在、 策定中
6 .3 %
41.0%と半数に満たない。
「全国」では 46.5%に達し
ており、九州企業では事業継続計画の策定が進んで
いない実態が明らかとなった。
BCP を「策定している」企業を業界別にみると、『金
策定を
検討している
2 1 .9 %
策定していな
い
4 7 .5 %
融』が最も高く 41.7%だった。次いで、『農・林・
水産』が 22.2%で 2 割を超えていた。しかし、『卸
売』(5.1%)、『不動産』(5.3%)、『建設』(6.8%)
の 3 業界で 10%に満たないなど、業界間で BCP の策
定状況が大きく異なることが分かった。
注:母数は有効回答企業772社
とりわけ、従業員数別にみると、BCP の策定状況の違いが顕著に表れている。従業員数が 5 人
以下の企業では 5.5%にとどまる一方、1,000 人超の企業では 25.0%と、約 5 倍の開きがあった。
しかし、
「全国」では 1,000 人超の企業で 56.6%にのぼっており、九州では、大企業の策定に遅
れが目立つ。企業からも「あまり極端に意識はしていない」
(大企業、飲食料品卸、長崎県)とい
ったコメントが見られた。
また小規模企業からは、「自治体が主導(1 社だけではなく、共同で何かを実施)
、もしくは国・
県がその施策を打つこと(実施企業に補助金を出すなど)が大事。零細企業は BCP について考え
ることはないのが現実ではないか?」
(機械製造、宮崎県)や、
」
「中小企業のほとんどが納税でき
ない現在の経営状況では、BCP を策定する金銭的余裕も人的余裕もある訳がない。中小企業は今
日、今月、今年をやり過ごすのが精一杯なのではないだろうか」
(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売、福
岡県)など、策定したくても人員や資金的余裕が足りないことを指摘する声もみられた。
事業継続計画(BCP)を「策定している」割合~業界・従業員数別~
(%)
45
41.7
40
35
30
25
22.2
20
19.6
15.9
15
10
17.4
19.1
18.8
9.3
6.8
5.3
5
22.6
25.0
17.0
12.1
5.5
5.1
0
農・林
・水産
金融
建設
不動産
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製造
卸売
小売
運輸・ サービス
倉庫
5人以下 6~20人 21~50人 51~
100人
101~
300人
301~ 1,000人超
1,000人
3
2016/8/10
特別企画: 事業継続計画(BCP)に対する九州企業の意識調査
企業の意見(BCP策定状況について)
【策定している】
・ 台風による停電、または故障によるサーバダウンに対するBCPを策定している。年1回の机上または模擬テストを行い
ながらPDCAを回している(ソフト受託開発、鹿児島県)
・ 東京にある本社で管理を集中してグループ各社の運営を行っている(運輸・倉庫、福岡県)
【現在、策定中】
・ 本当に実効性のあるBCPの作成が急務と感じる。以前とは異なり災害はいつ発生してもおかしくはないという感覚と
なった(電気機械製造、大分県)
・ 特に事業継続計画は策定しておりませんが、今は挑戦的な投資から一旦ひき、人的投資のみに留め、借入金を減ら
すなど企業体力の温存をはかる施策を優先させています(専門サービス、福岡県)
【策定を検討している】
・ 必要だと思って、以前から勉強はしていますが、まだ手を付けていない状態です(鉄鋼・非鉄・鉱業、福岡県)
・ 会社の運用マニュアルに、おおまかに取り込んでいる(鉄鋼・非鉄・鉱業、佐賀県)
【策定していない】
・ 重要データはクラウドを利用しているため、BCPを敢えて策定しなくても対応できると考えている(建材・家具、窯業・土
石製品製造、大分県)
・ 避難所・自宅などで業務が行えるバックアップシステムを構築したいが、セキュリティ対策などに費用がかかりすぎ。助
成金などの費用補填があればよいと思います(情報サービス、福岡県)
・ 中小企業のほとんどが納税できない現在の経営状況では、BCPを策定する金銭的余裕も人的余裕もある訳がない。
中小企業は今日、今月、今年をやり過ごすのが精一杯なのではないだろうか(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売、福岡県)
・ 自治体が主導(1社だけではなく、共同で何かを実施)、もしくは国・県がその施策を打つこと(実施企業に補助金を出
すなど)が大事。零細企業はBCPについて考えることはないのが現実ではないか?(機械製造、宮崎県)
3. 経営者に不測の事態が起こった時に、代わりとなる人材がいる企業、
従業員「5 人以下」では 4 割にとどまる
災害時における人的資源への対策について、自社の経営
者(代表)が不測の事態で不在となった場合、代わりの人
物がいるかどうか尋ねたところ、
「いる」と回答した企業は
62.0%だった。企業の 6 割超は、不測の事態における経営
者の代わりを務める人材が確保されていた。
しかしながら、経営者不在時に代わりとなる人物が
「いる」企業を従業員数別にみると、従業員数が「5 人
経営者(代表)が不測の事態で不
在となった場合、代わりとなる人
物がいるか
分からない
14.9%
以下」の企業では 4 割程度にとどまる。従業員数が増加
するにつれて、経営者の代わりとなる人物が確保できて
おり、従業員数が 50 人を上回る企業では 7 割を超えて
いない
23.1%
「5 人以下」の企業とは 2 倍弱の開きがでている。小規
いる
62.0%
模企業ほど、経営者が不測の事態に陥ることが当該企業
の存続問題につながりやすい状況が浮き彫りとなって
いる。
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注:母数は有効回答企業772社
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2016/8/10
特別企画: 事業継続計画(BCP)に対する九州企業の意識調査
経営者不在時に代わりとなる人物が「いる」割合~従業員数別~
(%)
100
74.0
80
56.4
60
40
63.2
80.6
69.8
75.0
40.7
20
0
5人以下
6~20人
21~50人
51~
100人
101~
300人
301~
1,000人
1,000人超
「携帯電話、携帯
4. 緊急事態における従業員の安否確認方法、
メール」が 8 割超
災害など自社に緊急事態が起こった場
合、従業員と連絡を取り合うためにどの
ような安否確認方法を取り決めているか
緊急事態に、従業員と連絡を取り合うために
決めている安否確認方法(複数回答)
尋ねたところ、企業の 87.7%が「携帯電
話、携帯メール」と回答し、最多となっ
た(複数回答、以下同)。次いで、「固
定電話(公衆電話含む)、FAX」が 28.9%
で 2 位、「直接訪問」が 19.3%で 3 位と
なった。以下、「SNS(ツイッター、
Facebook、LINE など)
」18.0%と続いた。
また、「特に決めていない」は 1 割未満
にとどまり、9 割を超える企業では従業
(%)
1
2
3
4
5
6
7
携帯電話、携帯メール
固定電話(公衆電話含む)、FAX
直接訪問
SNS(ツイッター、Facebook、LINEなど)
IP電話、パソコンメール
災害伝言サービス(171、スマホアプリなど)
自社の安否確認システム
その他
特に決めていない
87.7
28.9
19.3
18.0
14.8
8.5
6.1
1.0
6.3
注:母数は有効回答企業772社
員との連絡方法を取り決めていた。
「全員の災害時の避難指定場所を 2 カ所まで確定し、全員の情報を共有している。携帯などで
連絡がとれない場合は避難指定場所を確認することになっている」
(メンテナンス・警備・検査業、
福岡県)といった具体的な安否確認方法を取り決めている企業もみられた。
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5
2016/8/10
特別企画: 事業継続計画(BCP)に対する九州企業の意識調査
5. 大地震対策は「損害保険への加入」が最多、小規模企業の約 4 割が「特
に対策はしていない」
大規模地震に対してどのように対策しているか尋ねたところ、
「災害用の損害保険への加入」が
30.2%で最多となった(複数回答、以下同)
。次いで、
「設備の転倒防止(固定等)
」25.8%、
「避
難訓練」19.6%が続いた。総じて企業規模が大きくなるほど対策を講じている割合が高くなる傾
向がある。
「対策を特に決めていない」企業は 30.3%と、
「全国」の 23.8%と比べると 6.5 ポイントも高
い。特に「小規模企業」は 39.2%とおよそ 4 割が未対策である。県別で見ると、南海トラフ地震
で大きな被害が想定される「宮崎県」や「大分県」では 2 割前後、熊本地震で大きな被害を受け
た「熊本県」では 14.8%にとどまるのに対し、
「佐賀県」では 4 割を超えており、大規模地震へ
の対策は、地域によって大きな差が出ることが判明した。
大規模地震への対策(複数回答)
(構成比%、カッコ内社数)
当面、協力企
施設を分散し 原材料を他企
津波や火災な
事務所の耐震 設備の転倒防
避難場所の確
業に代替生産
災害用の損害
他所で事業可 業から代替調
ど2次災害対
食料の備蓄
補強
止(固定等)
保
や代替店舗の
保険への加入
能
達可能
策
依頼が可能
避難訓練
特に決めてい
ない
その他
全国
16.4 (1,721)
33.7 (3,529)
5.6
(588)
5.9
(616)
4.6
(477)
27.0 (2,823)
27.6 (2,894)
17.5 (1,828)
26.4 (2,761)
2.6
(274)
九州
13.3
(103)
25.8
(199)
9.5
(73)
4.8
(37)
6.0
(46)
4.5
(35)
30.2
(233)
13.6
(105)
14.4
(111)
19.6
(151)
3.1
(24)
30.3
大企業
24.4
(33)
29.6
(40)
14.1
(19)
3.0
(4)
4.4
(6)
3.7
(5)
29.6
(40)
20.7
(28)
17.0
(23)
33.3
(45)
2.2
(3)
23.7
(32)
中小企業
11.0
(70)
25.0
(159)
8.5
(54)
5.2
(33)
6.3
(40)
4.7
(30)
30.3
(193)
12.1
(77)
13.8
(88)
16.6
(106)
3.3
(21)
31.7
(202)
うち小規模
13.4
(26)
23.2
(45)
5.7
(11)
4.1
(8)
6.2
(12)
3.1
(6)
26.8
(52)
9.3
(18)
11.3
(22)
6.2
(12)
2.6
(5)
39.2
(76)
福岡
11.3
(34)
30.7
(92)
10.7
(32)
4.7
(14)
5.3
(16)
2.0
(6)
29.0
(87)
15.3
(46)
11.7
(35)
18.0
(54)
3.0
(9)
31.0
(93)
佐賀
11.1
(6)
25.9
(14)
7.4
(4)
9.3
(5)
5.6
(3)
5.6
(3)
25.9
(14)
7.4
(4)
13.0
(7)
22.2
(12)
0.0
(0)
46.3
(25)
(32)
11.5 (1,205)
23.8 (2,494)
(234)
長崎
9.6
(8)
13.3
(11)
7.2
(6)
6.0
(5)
9.6
(8)
2.4
(2)
26.5
(22)
9.6
(8)
2.4
(2)
20.5
(17)
2.4
(2)
38.6
熊本
22.7
(20)
39.8
(35)
13.6
(12)
3.4
(3)
8.0
(7)
6.8
(6)
29.5
(26)
19.3
(17)
20.5
(18)
18.2
(16)
5.7
(5)
14.8
(13)
大分
19.4
(13)
23.9
(16)
9.0
(6)
3.0
(2)
4.5
(3)
9.0
(6)
31.3
(21)
13.4
(9)
20.9
(14)
17.9
(12)
3.0
(2)
19.4
(13)
宮崎
14.5
(8)
18.2
(10)
9.1
(5)
3.6
(2)
5.5
(3)
10.9
(6)
49.1
(27)
18.2
(10)
29.1
(16)
21.8
(12)
7.3
(4)
21.8
(12)
鹿児島
13.2
(9)
16.2
(11)
7.4
(5)
7.4
(5)
7.4
(5)
4.4
(3)
33.8
(23)
8.8
(6)
14.7
(10)
19.1
(13)
1.5
(1)
35.3
(24)
沖縄
8.8
(5)
17.5
(10)
5.3
(3)
1.8
(1)
1.8
(1)
5.3
(3)
22.8
(13)
8.8
(5)
15.8
(9)
26.3
(15)
1.8
(1)
38.6
(22)
注1:網掛けは、ブロック全体以上を表す
注2:全国の母数は有効回答企業1万471社。九州は772社
6. 災害に備えた現預金、
「売上の 1 カ月分以上」を保有している企業は 4
割にとどまる
災害に備えて保有している現預金~規模別~(%)
中小企業庁では「中小企業 BCP
売上の
3カ月分以上
策定運用指針」において、緊急事
態発生後のキャッシュフロー対
全体
売上の
1~3カ月分未満
40.5
15.8
売上の
1週間~
1カ月分未満
24.7
ほとんど
保有して
いない
売上の
1週間分未満
13.5
4.9
把握して
いない
21.5
分からない
5.4
14.1
策として「災害発生後 1 カ月分の
支出を賄える現金・預金を保有し
ていることが望ましい」としてい
るほか、事業中断による損害に備
えて「月商の 1 カ月分くらいの現
金・預金を持っていること」を薦
中小企業
うち
小規模企業
37.0
18.5
大企業
41.3
15.2
9.3
31.422.2
18.5
11.1
26.1
5.2
14.0
14.4
4.1
20.0
4.9
6.7
21.8
33.0
20.0
5.2
12.9
4.1
12.9
注:母数は有効回答企業772社
めている。
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2016/8/10
特別企画: 事業継続計画(BCP)に対する九州企業の意識調査
そこで、自社で災害に備えて現預金をどの程度保有しているか尋ねたところ、売上の 1 カ月分
以上を保有している企業は 40.5%(
「売上の 1~3 カ月分未満」と「売上の 3 カ月分以上」の合計)
となり、約 4 割の企業が緊急事態発生後のキャッシュフローに必要となる 1 カ月分以上の現預金
を保有していることが明らかとなった。ただし、
「ほとんど保有していない」企業が 2 割を超えて
いるほか、
「売上の 1 週間~1 カ月分未満」が 13.5%、
「売上の 1 週間分未満」という企業も 4.9%
となっており、災害復旧時における事業運営費や、緊急時における工場や事務所の整備や事業再
開への対策等にかかる資金の手当てに不足が生じる可能性もある。
特に小規模企業については、売上の 1 カ月分以上の現預金を保有している割合は 31.4%にとど
まっているうえ、3 社に 1 社は現預金を「ほとんど保有していない」ことが判明した。
まとめ
平成 28 年熊本地震などの大規模地震のほか、台風や豪雨災害、あるいは伝染病やテロ、不正ア
クセスなど、緊急事態が発生した時に事業を継続させるための計画「事業継続計画(BCP)
」を策
定する重要性が高まっている。しかしながら、本調査の結果、企業の BCP 策定状況は依然として
進んでいない実態が浮き彫りとなった。とりわけ、従業員の少ない企業では、策定のためのノウ
ハウ不足や時間、コストの負担などから策定していない企業が多い。また、南海トラフ地震で大
きな被害が想定される宮崎県、大分県では、
「地震」災害を意識している企業の割合が高いが、そ
れ以外の地域ではおしなべて低く、大規模地震への対策に関しても地域間の格差が大きいことが
判明した。
他方、6 割超の企業では、災害時に経営者(代表)が不測の事態で不在となった場合、代わり
となる人物がいることも明らかとなった。緊急事態発生後のキャッシュフローは売上の 1 カ月分
以上が望ましいとされるが、災害に備えて現預金を確保している企業は 4 割となっている。
企業は BCP 策定とともに、災害復旧時や事業再開時の資金不足への対応も予め想定する必要が
あろう。
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