発行日:20 発行日:2016 2016 年 7 月 31 日 No.1 No.131 人事労務レポート ★★ 今回のテーマ ★★ 定額残業代 定額残業代を支給する際の注意点 残業代を支給する際の注意点 <賃金規程、労働条件通知書への記載> 発行元 : 社会保険労務士 山口事務所 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷 1-7-5 ヒロビル 2F TEL :03-5775-0762 FAX : 03-5775-0763 E-mail : [email protected] Homepage: http://www.ys-office.co.jp Facebook :http://www.facebook.com/ysoffice 一定時間分の残業代を毎月定額で支給する方法があり ますが、その定額残業代の計算方法や賃金規程の定め方 など運用方法を誤ると、その手当が「残業代」とは認められ ないことがあります。今回は労使間のトラブルを防ぐために 定額残業代の注意点について解説します。 (2)超過 (2)超過分を別途支給する 超過分を別途支給する旨 分を別途支給する旨の合意 月間 30 時間分等、設定した定額残業分を上回る残業が 発生した場合にその超過分を別途支給する旨も賃金規程 に記載します。 <規定例> 2 なお、実際の時間外労働時間が月間 30 時間を超 1. 定額残業代に関する行政指導や裁判の傾向 定額残業代に関する行政指導や裁判の傾向 え、定額残業手当を上回る割増賃金額が生じた場合 「30 時間分の時間外労働の割増賃金に相当する分として には、その超過分を支給する。 営業手当を支給する」などといったように、給与計算の便宜 (3)労働条件通知書 労働条件通知書に 通知書にて対象残業時間数・金額を記載 対象残業時間数・金額を記載 上、あらかじめ一定時間分の残業代を固定的に支給するこ 雇用契約時に「定額で支払われる残業代が何時間分でい とがあります。このように定額で支給すること自体は違法で くら支払われるか」ということを労働者が認識できているか はありませんが、支給基準があいまいになっていると「残業 がポイントなります。 代」として認められないことがありますので注意しましょう。 <労働条件通知書記載例> 定額残業代については、求人募集の際に月給(基本給) 1. 基本給(月給):243,038 円 に含まれていることが分からなかったとして、労使間のトラ 2. 定額残業手当:56,962 円(月 30 時間の時間外労働の ブルも頻発しました。それを受けて行政では、求人募集時 割増賃金に相当) に定額残業代の計算方法や、定額残業代を除いた基本給 (4)給与明細書への表示 (4)給与明細書への表示 の額、対象時間分を超えた場合には超過分を支払うこと等 労働条件通知書では基本給や定額残業手当等の金額の を明示することを指針で示し(平 27.9.30 厚労告 406)、企業 内訳を規定していても、毎月の給与明細書には月給として への監督指導を強化しています。 ひとまとめに記載している例もときどき見受けられます。給 近年の裁判事例では、労働時間が月 160 時間±20 時間 与明細書上でも定額残業部分をきちんと表示させましょう。 の場合は所定の基本給で固定する(180 時間を超えたら残 業代を支払う)という契約内容が否定され残業代支払いを 3. その他の運用 その他の運用上の 運用上の留意点 上の留意点 命じられた例があります(テックジャパン事件・最一小判平 定額残業代を設定するうえで、前述の 4 点は必須要件と 24.3.8)。また、定額残業代の算出根拠となった月平均所定 いえますが、さらに「望ましいこと」を次に挙げます。 労働時間の設定が、その年の実際の平均時間とは異なっ (1)賃金規程や労働条件通知書等に定額残業代の算出根 ていたとして定額残業代の性質が否定された例も出ていま 拠(計算式)を入れる。 す(地位確認等請求事件・東京地判平 26.8.20)。このように <記載例> 裁判所も定額残業代の運用について近年厳しく判断する傾 基本給÷月間所定 160 時間×1.25×30 時間 向にあるといえます。 (2)営業手当や販売手当、業務手当、職務手当等、他の支 給目的と思わせる名称は避ける。 2. 定額残業代を設定する際 定額残業代を設定する際に 残業代を設定する際に必要なこと 必要なこと (3)定額で支給する分は多くても月 45 時間以内にする。 定額残業代を運用するにあたっては、以下の点を実務で →36 協定の上限時間(45 時間)を超える 83 時間のみなし 注意しましょう。 残業が否定された裁判事例も出ています(穂波事件・岐阜 (1)就業規則、賃金規程への規定化 (1)就業規則、賃金規程への規定化 地判平 27.10.22)。 定額残業代の項目を規程に追加し、時間外労働の対価 定額残業手当を支給する際は、賃金規程や労働条件通 であることを明確に規定します。 知書等の規定の仕方に注意しましょう。 <規定例> ● コラム ● (定額残業手当) 第○条 定額残業手当は、月間 30 時間分の時間外労働 の割増賃金に相当するものとして毎月固定的に支給 するものとする。 対象時間数が従業員により異なる場合には、賃金規程に は具体的な時間数は入れず、個別の労働条件通知書で明 示しても構いません。 8 月 22 日(月)より、当事務所は千駄ヶ谷から渋谷に移転する ことになりました。新事務所は渋谷駅東口より徒歩 6 分くらい で明治通り沿いにあります。関係者の皆様へは、新住所・電話 番号等について、あらためてご案内をいたします。(山口) 【夏季休業のお知らせ】 弊所は、8 月 11 日(木・祝)~8 月 16 日(火)まで夏休みを頂 戴します。
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