阪 神 事 業 所 高 圧 試験技術センターのご紹介 はじめに 皆さんは、「水素」という言葉を聞くと、ど んな物を想像されますか? 水素水、水素エネルギー、水素ステーショ 品と言うことになります。 験実施例をまとめました。 新設の水素試験設備 室(9m×5m)を増設しました(写真1)。天井 また、2016年3月に新たに半地下の試験 当高圧試験技術センターでは、これまで、 が全面開放でき、大型の試験体(例えば、水素 ン…等でしょうか。今回は、水素から電気を 窒素、ヘリウム等不活性ガスを使った試験 ステーション用大型タンク)に対して、表3の 生み出して走る燃料電池自動車で使われる部 しか出来ませんでしたが、民間の試験会社 設備を用いて、各種試験が実施可能になりま 品の試験に関してご紹介します。 としては数少ない水素を使った試験設備を、 した。 水素(H)は、地球上に存在する最も軽く、小 2016年中に立ち上げます。表1に試験設備 さい元素です。小さい元素だからこそ、色々 の概略仕様を、表2に試験対象、試験内容を な物を透過してしまうというやっかいな性質 示します。 今後の試験実施について 従来より培ってきた、油、水、不活性ガス 100MPaレベルの高圧水素ガスを、連続 を使った圧力試験技術をベースに、水素試験 この水素が大気中の酸素と結びついて水が して試験体に供給することが出来る国内で唯 設備を加えることで、燃料電池自動車関連部 出来る際に、電気エネルギーを放出します。 一の試験設備です。これにより100MPaレ 品の試験幅が、大きく拡大されることになり この電気エネルギーを取り出す仕組みが燃料 ベルでの作動耐久試験、作動特性調査が可能 ます。水素に限らず、「こんな試験できるのだ 電池と呼ばれる物です。小学校の理科の実験 になります。また気密試験のように、大流量 ろうか。」といった疑問がある場合はぜひ、当 で、水に電極を差し込んで、電流を流すとプ が必要ない試験では、常用圧力(70MPa)の2 社 ホ ー ム ペ ー ジ(http://www.nsst.nssmc. ラス極に酸素が、マイナス極に水素が発生し 倍(140MPa)まで加圧可能になります。表2 com/)の、お問い合わせフォームよりお問い たことを覚えておられる方もいらっしゃると の試験対象に要求される常温でのほとんどの 合わせ下さい。 思いますが、これの逆で、電気エネルギーを 試験が、実施可能になります。 があります。 取り出す仕組みです。 燃料電池自動車は、運転状態により必要な 電力量が常に変化します。その電力の発電に お問い合わせ先 既設の試験設備 阪神事業所 高圧試験技術センター つうしん73号の記事と一部重複しますが、 山本眞一郎 必要な水素量を遅滞なく燃料電池に供給する 既存の試験設備について紹介します。表3に ためのバルブ類、水素を高い圧力で漏れない 試験設備の概略仕様を示します。油、水を高 ように貯めておくタンク、水素を漏れなく運 圧に圧縮する各種ポンプ、不活性ガスを加圧 ぶための配管等が、当センターで試験する部 する昇圧機等です。表4には、これまでの試 TEL 06-6409-1121 FAX 06-6409-1122 E-mail:[email protected] 写真 1 増設した試験室の写真(左:外側、右:内側) 表 1 水素試験設備概略仕様 仕 様 試験室容量 備 考 縦7500mm 横3200mm 高3600mm 周囲コンクリート壁 昇圧機 140MPa 蓄圧器 105MPa 容量120㍑ 表 2 水素試験対象、試験内容 内 容 表 4 これまでの試験実施例(一部) 試験対象 高圧バルブ、配管類、シール部品、小型タンク 試験内容 気密試験、作動耐久試験、サイクル試験、作動特性調査 表 3 既存試験設備概略仕様 種類 加圧媒体 最大圧力(MPa) 油圧ポンプ 油 70 2.5 35 3.4 ~ 4.9 水圧ポンプ ガス圧縮機 吐出量(㍑ /分) 105 0.4 ~1.2 300 0.2 ~ 0.5 窒素、 210 210 30.3 - ヘリウム他 130 - 水 試験体 試験内容 備 考 ・ 破裂、液圧サイクル試験 ・ 落下、圧縮/落錘 ・ ガスバーストは 高圧 金属製容器 タンク 複合材容器 ・ 繰返し衝撃、気密/透過 実施範囲外 ・ 急加減圧 高圧バルブ ・ 高圧ガス作動耐久 ・ 上流圧力90MPa 減圧弁 ・ 恒温加圧保持 バルブ類 ・ 雰囲気温度 リリーフ弁 ・ 加圧時の温度衝撃 -70 ~100℃ 逆止弁 ・ 加圧及び流速変化時の作動 (範囲外も応談) 過流防止弁 特性調査 電池 アセンブリボックス ・ 圧縮、落下 温度センサ ・ 圧力変動負荷、落下 圧力センサ ・He気密 センサ ・ 外圧変動時の 半導体 ・ 外圧変動(加圧、減圧) 電気特性評価 トップページへ: http://www.nsst.nssmc.com/
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