1 - 地域再生計画 1 地域再生計画の名称 世界自然遺産登録を見据えた

地域再生計画
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地域再生計画の名称
世界自然遺産登録を見据えた観光受入体制構築プロジェクト
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地域再生計画の作成主体の名称
奄美市
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地域再生計画の区域
奄美市の全域
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地域再生計画の目標
本市は、沖縄と鹿児島の間に位置する奄美大島(佐渡島に次ぐ国内で2番目に大
きな離島)に所在しており、本場奄美大島紬や農業を基幹作業としてきた。
しかしながら、昭和55年をピークに本場奄美大島紬の生産反数は減少傾向が続
いており、最盛期には約286億円であった生産額が、現在では約4億円まで減少
するなど、地域経済と雇用に大きな影響を与えている。
そのような中、奄美群島においては、人口減少克服のため、農業、観光/交流、
情報分野を重点分野として雇用創出に取り組んでいるところである。
観光産業については、LCCの就航やこれまでの取り組みの成果が現れ、平成2
3年の約36万人から平成27年には約42万人に増加するなど、観光入込客数は
回復傾向にある。今後も、入込客数の増加を持続させ、さらなる交流人口拡大を図
ることで、民間投資を呼び込み、雇用を創出することが肝要である。
また、平成15年5月に国において開催された「世界自然遺産登録候補地に関す
る検討会(座長 岩槻 邦男)」において、現在、世界自然遺産登録されている知
床、小笠原諸島と共に、琉球諸島(奄美群島及び沖縄県北部)についても「世界自
然遺産の登録基準に合致する可能性が高いと判断された地域」として、国の世界自
然遺産登録候補地として準備が進められてきたところであり、地元自治体としても
地域の固有の資産を後世に繋げることとあわせて、世界自然遺産登録による観光客
の増加を見込んでいるところである。実際、先に登録された屋久島では、世界自然
遺産登録後に、登録前の約24万人から最大で約40万人まで増加したほか、平成
23年に登録された小笠原諸島では、交通手段がフェリーのみにも関わらず登録前
の約1万3千人から最大で約2万3千人まで増加している。
平成25年1月に関係省庁連絡会議において、「奄美・琉球」を世界遺産暫定一
覧表に記載することを政府として決定し、平成27年度からユネスコ世界遺産セン
ターに提出するための推薦書及び保全管理について記述する管理計画の策定に取
り組んでいるほか、関係者等との調整を進めているところであり、最速の世界自然
遺産登録が平成30年度となっている。
-1-
しかしながら、現時点で宿泊施設が不足し、玄関口である空港ターミナルビルに
ついても現在のキャパシティでは増加する観光客に対応できない状況にあるが、観
光地として、大きく飛躍し、「稼ぐ」ことのできる地域として成長するためには、
ソフト面の受入体制を充実させるとともに、ハード面の受入体制(宿泊施設の増加、
空港ターミナルビルのキャパシティの拡大)が重要である。
奄美空港は、羽田線、成田線、伊丹線、福岡線、鹿児島線、那覇線のほか、奄美
群島の離島間を1日36便が就航(JAL、JAC、RAC)しており、ここ数年
の年間利用客数は5万5千人前後で推移していた。
さらに、平成26年7月からは、LCC(バニラ・エア)の奄美―成田線が新規
就航し、年間約10万人が奄美空港を利用している。
前述した世界自然遺産登録後は、国際チャーター便の運航や国内路線の新規開設
等も期待され、更なる利用客の増加が見込まれている。
奄美空港は、設計の際に年間旅客数(島内居住利用者を含む)が62万4千人に
なると想定され、これを計画旅客数として施設が計画されたが、平成26年度の利
用客数ですでに62万5千人となるなど、計画旅客数に達している上、竣工当時と
比較すると便数の増加に伴う発着便の輻輳化(ふくそうか)などにより、手荷物受
取所や保安検査場、搭乗待合室等の混雑が顕著になっている。
宿泊施設については、民間事業者による新たな投資が見込めるところであるが、
空港ターミナルビルは交通インフラであり、通常の民間事業者とは異なる性質のも
のであり、地方空港においては、運営が厳しいため、単独での施設拡張工事は困難
である。そこで、奄美空港ターミナルビルが実施する拡張工事に、鹿児島県及び奄
美大島5市町村が負担金を拠出し、空港ターミナルビル拡張工事を推進する必要が
ある。
空港ターミナルビルを拡張することで増加する観光客に対応し、来訪したい観光
客をしっかりと受け入れられる体制(インフラ)を整えることで、交通部門におけ
る受け入れ可能な観光客数の増加を図り、外貨獲得に繋げることが肝要である。
本事業では、国立公園化、世界自然遺産登録を見据えた観光客の受入体制をソフ
ト・ハードの両面からしっかりと整備することで、観光振興によって地域経済の活
性化を図り、雇用を創出することで人口減少に歯止めをかけることを目的とする。
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【数値目標】
事業
奄美空港
ターミナルビル拡張事業
奄美大島DMO事業
年月
KPI
奄美大島入込客数(人)
申請時
422,527
H27.12
初年度
430,000
H28.12
2年目
435,000
H29.12
3年目
440,000
H30.12
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地域再生を図るために行う事業
5-1 全体の概要
奄美大島DMO(組織強化)事業により、奄美大島の訪問客増、継続的な地域の
経済効果に繋げていくために、マーケティングを踏まえた戦略やKPIを設定し、
奄美大島観光の多様性を纏めるプラットフォーム機能としてのDMOを確立・拡大
するとともに、Webプラットフォーム『奄美景(あまみっけ。)』を軸に、各種事
業を実施し奄美大島全域の観光事業者の収益拡大と歩みを合わせ、最終的にはDM
Oの自走化を目指す。
また、今後も増加が見込まれる観光客について、施設規模の制約によって受け入
れられないことがないよう、空の玄関口である奄美空港ターミナルビルの拡張工事
にも取り組むこととしている。併せて、奄美空港において、地域産業と連携し、特
産品の製造・販売事業者等が商品開発や販売促進するための一時的な店舗(チャレ
ンジショップ)や奄美群島の特産品を取りそろえた展示スペースの整備を行うとと
もに、奄美ならではの自然や文化などの観光資源の情報発信を行い、奄美滞在中の
多彩な選択肢の提供や実際に足を運べなかった地域(奄美群島内の他の島々)をP
Rするためのスペース等を整備し、観光客誘客促進及び地域産業の振興を図る。
5-2 第5章の特別の措置を適用して行う事業
まち・ひと・しごと創生寄附金活用事業に関連する寄附を行った法人に対する
特例(内閣府):【A2007】
(1) 事業名:世界自然遺産登録を見据えた観光受入体制構築プロジェクト
(奄美大島DMO事業、奄美空港ターミナルビル拡張事業)
(2)
事業区分:観光業の振興
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(3) 事業の目的・内容
(目的)
奄美大島においては、LCCの就航やこれまでの取り組みの成果が現れ、観
光入込客数は回復傾向にあるが、これをさらに加速させ、継続的に増加させる
ためには、様々な課題に複合的に取り組む必要がある。
マーケットに向けては、奄美大島に対する具体的なイメージの創出、来訪目
的を明確にさせるための情報発信、来島した際の「奄美らしさ」に接する仕組
みの構築が課題であり、受入側では、ワンストップで来訪者をコーディネート
する組織の構築、魅力的な情報発信、体験型・滞在型観光への対応の充実が課
題である。
これらの課題を解決するため、奄美大島5市町村は、各市町村の地方版総合
戦略に加えて、共同で「奄美大島総合戦略」を策定し、課題解決に取り組み始
めたところである。
特に観光施策を中心的に牽引する組織の立ち上げが重要であり、既存の奄美
大島観光物産協会の体制を充実・強化することにより、奄美大島版DMO組織
を構築することとしている。
本事業では、国立公園化、世界自然遺産登録を見据えた観光客の受入体制を
ソフト・ハードの両面からしっかりと整備することにより地域経済の活性化を
図ることで雇用を創出し、人口減少に歯止めをかけることを目的とする。
(事業内容)
・奄美大島DMO事業
奄美大島観光物産協会を中心組織として、奄美大島DMOの構築を仕事づくり、
人づくり、魅力づくりの3つの戦略で推進し、住む人と訪れる人がともに奄美の
自然・景観、歴史、生活文化、人情などを享受できる仕組みを構築する。
この事業により、奄美大島の観光客受入体制を強化し、観光客に満足していた
だける環境を整えることで、観光振興を図り、雇用創出と域内事業者の観光収入
の増加を図る。
具体的には、平成28年度に地方創生加速化交付金を活用して実施している
「奄美大島DMO(組織構築)事業」で整備されるWebプラットフォームや観
光計画等を実際に運用するための人材を育成するため、各種プロジェクト(マー
ケティング戦略、プロモーション、観光地域づくり団体との連携・支援)を立ち
上げ、プロジェクトリーダー(プロ人材を登用)のもと、OJT(On the Job
Training)による人材育成を図る。
OJTの内容としては、地方創生加速化交付金を活用してマネジメント専門家
を組織内に招聘し、民間事業者とともに、観光施策について検討するための各分
野の専門委員会や、旅行形態別の取り組み内容を検討するための旅行形態別プロ
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ジェクトの運営、顧客需要を把握して具体的取組に繋げるためのマーケティング
活動のためのマネジメント力の強化、さらには組織が自立していくための独自の
「稼ぐ力」を身に着けるためのノウハウ等を中心に実施していく。このことによ
り、DMO組織が地域のステークホルダーをうまく調整しながら、いずれは彼ら
がDMO組織の中核として奄美全体の観光を担っていく人材へと成長すること
を期待するものである。
・奄美空港ターミナルビル拡張事業
奄美の世界自然遺産登録を見据え、増加が見込まれる観光客等の受入体制の強
化を図るため、奄美空港における旅客施設の拡張整備のための拠点施設の整備を
行うことで、交流人口の拡大を図る。
・出発ロビー・到着ロビーの拡張
・ボーディングブリッジの増設(1基)
・手荷物受取りレーンの増設(1基)
⇒各年度の事業の内容
奄美大島DMO事業
初年度)DMO組織の基盤づくり、地域での理念共有、人材育成、
マーケティング活動、各分野(交通、宿泊、観光施設、特産品、飲食)に
おける専門委員会の開催、旅行形態別プロジェクトの立ち上げ(団体型、
目的型、フリープラン型)、メディア観光プロモーションの実施、組織が自
立するため「稼ぐ」仕組みの検討
2年目)DMO組織の基盤づくり、観光商品開発、人材育成、マーケティング活動
各分野(交通、宿泊、観光施設、特産品、飲食)における専門委員会の開
催及び課題解決策の実施、旅行形態別プロジェクトの実施、メディア観光
プロモーションの実施、組織が自立するため「稼ぐ」仕組み作り
3年目)DMO組織の基盤づくり、観光商品開発、人材育成、マーケティング活動
各分野(交通、宿泊、観光施設、特産品、飲食)における専門委員会の
開催及び課題解決策の実施、旅行形態別プロジェクトの実施、メディア観
光プロモーションの実施、組織が自立するため「稼ぐ」仕組み実施
奄美空港ターミナルビル拡張事業
・出発ロビー・到着ロビーの拡張
・ボーディングブリッジの増設(1基)
・手荷物受取りレーンの増設(1基)
初年度)実施設計、本体工事への着手
2年目)本体工事の実施、特殊設備の設置
3年目)本体工事の実施・完了
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(4) 地方版総合戦略における位置付け
本市のまち・ひと・しごと・しごと創生総合戦略(奄美市『攻め』の総合戦略)
においては、「経済的に自立した島」に向けて、観光振興を重点施策として定め
ており、「世界自然遺産登録を見据えた観光受入体制構築プロジェクト」は、観
光振興の中でも、特に受入体制の整備について総合的に実施する事業である。
また、総合戦略の数値目標として設定している入込客数(現状42万人→平成
31年度45万人)の目標達成に直接寄与するものである。
(5)
事業
事業の実施状況に関する客観的な指標(重要業績評価指標(KPI))
奄美空港
ターミナルビル拡張事業
奄美大島DMO事業
年月
KPI
奄美大島入込客数(人)
申請時
422,527
H27.12
初年度
430,000
H28.12
2年目
435,000
H29.12
3年目
440,000
H30.12
(6)
事業費
(単位:千円)
年度
H28
H29
H30
事業費計
-
2,816
2,816
負担金
-
2,816
2,816
年度
H28
奄美大島DMO事業
区分
奄美空港ターミナルビ
ル拡張事業
H29
H30
事業費計
94,726
204,864
28,494
負担金
94,726
204,864
28,494
区分
※各負担金は奄美市支出分
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(7)
寄附の見込額
(単位:千円)
奄美大島DMO事業
(負担金)
年度
H28
H29
H30
事業費計
-
2,816
2,816
寄附額計
-
600
600
技術サービス業
-
100
100
小売業
-
500
500
年度
H28
寄附法人
奄美空港ターミナルビ
ル拡張事業(負担金)
H29
H30
事業費計
94,726
204,864
28,494
寄附額計
1,000
1,000
1,000
製造業
500
500
500
製造業
500
500
500
寄附法人
(8) 事業の評価の方法(PDCAサイクル)
(評価の手法)
事業のKPIである奄美大島入込客数について、実績値を公表する。また、
奄美市総合戦略会議により、事業の結果を検証し、改善点を踏まえて次年度の
事業手法を改善することとする。
(評価の時期・内容)
毎年度の事業終了の翌年度早期に外部有識者(奄美市総合戦略会議)による
効果検証を行い、翌年度以降の取組方針及び事業執行等に反映させる予定。
(公表の方法)
目標の達成状況については、検証後速やかに奄美市公式Webサイト上で公
表する。
(9) 事業期間 平成28年9月~平成31年3月
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5-3 その他の事業
5-3-1 地域再生基本方針に基づく支援措置
該当なし
5-3-2 支援措置によらない独自の取組
(1)奄美大島DMO(組織強化)事業
事業概要:奄美大島の訪問客増、継続的な地域の経済効果に繋げていくた
めに、マーケティングを踏まえた戦略やKPIを設定し、奄美大島観光
の多様性を纏めるプラットフォーム機能としてのDMOを確立・拡大す
るとともに、Webプラットフォーム『奄美景(あまみっけ。)』を軸に、
各種事業を実施し奄美大島全域の観光事業者の収益拡大と歩みを合わせ、
最終的にはDMOの自走化を目指す。
■奄美大島DMO計画の推進
島外のマネジメント専門家を組織内に招へいし、DMO事業の効果性・効
率を高めるためのディレクションを行い、奄美大島DMO計画を加速化さ
せる。
■マーケティング活動に必要なデータ収集のための調査
奄美大島DMOにおけるPDCAサイクルの確立に必要なデータ収集・分
析
○奄美大島観光における観光消費額・観光動態調査
○Webによる国内主要エリア旅行者調査
■Webプラットフォームとデータベースサイトの機能強化
奄美大島の魅力(多様なコンテンツ)を現地住民視点で情報発信・拡散す
るプラットフォームと、観光にかかる様々な情報を集約したデータベース
サイトを連携させ、機能を強化する。
※本事業で整備したWebプラットフォーム等を活用する人材育成を、企
業版ふるさと納税を適用する事業内において実施する。
■メディアプロモーション
首都圏を中心とした奄美大島の魅力発信およびWebプラットフォーム
への更なる誘引
実施主体:奄美大島観光物産協会
事業期間:平成28年度~平成30年度
(2)観光情報拠点施設整備事業
事業概要:奄美空港において、地域産業と連携し、特産品の製造・販売事業
者等が商品開発や販売促進するための一時的な店舗(チャレンジショップ)
や奄美群島の特産品を取りそろえた展示スペースの整備を行うとともに、
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奄美ならではの自然や文化などの観光資源の情報発信を行い、奄美滞在中
の多彩な選択肢の提供や実際に足を運べなかった地域(奄美群島内の他の
島々)をPRするためのスペース等を整備し、観光客誘客促進及び地域産
業の振興を図る。
実施主体:奄美空港ターミナルビル株式会社
事業期間:平成28年度~平成30年度
6
計画期間
地域再生計画認定の日から平成31年3月31日まで
7
目標の達成状況に係る評価に関する事項
7-1 目標の達成状況に係る評価の手法
事業のKPIである奄美大島入込客数について、実績値を公表する。また、奄美
市総合戦略会議委員により、事業の結果を検証し、改善点を踏まえて事業手法を改
善することとする。
7-2 目標の達成状況に係る評価の時期及び評価を行う内容
毎年度の事業終了の翌年度早期に外部有識者(奄美市総合戦略会議)による効果
検証を行い、翌年度以降の取組方針及び事業執行等に反映させる予定。
7-3 目標の達成状況に係る評価の公表の手法
目標の達成状況については、検証後速やかに奄美市公式Webサイト上で公表す
る。
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