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中堅職員編
広がるフィールド
本庁課長補佐 PART2
H11.4 課税部 酒税課
H12.7 東京国税局 調査第二部 国税調査官
H13.7 町田税務署 個人課税部門 国税調査官
H14.7 財務省 国際局 開発金融課 係長
H16.7 課税部 課税総括課 係長
H17.7 課税部 個人課税課 係長
H18.7 金融庁 総務企画局 市場課 課長補佐
H20.7 沖縄国税事務所 総務課長
H21.7 課税部 課税総括課 審理室 課長補佐
H22.7 長官官房 総務課 課長補佐
H23.7 名古屋国税局 総務部 総務課長
H24.7 大田原税務署長
H25.7 課税部 法人課税課 課長補佐
H27.7 現職
H12.4 長官官房 総務課
H13.7 東京国税局 調査第四部 国税調査官
H14.7 武蔵野税務署 個人課税部門 国税調査官
H15.7 財務省 主計局 主計企画官付 係長
H17.7 長官官房 人事課 係長
H19.7 課税部 個人課税課 課長補佐
H20.7 外務研修
H21.6 在上海総領事館 領事
H24.7 諫早税務署長
H25.7 財務省 主税局 税制第三課 課長補佐
H27.7 現職
徴税と企業支援、税法と国税組織の運営
あるべき国税庁の姿
~国税庁から海外勤務、税務署長、財務省主税局、そして再び国税庁へ~
竹内 啓
課税部 消費税室 課長補佐
調査査察部 査察課 課長補佐
山下 尚志
仕事を選ぶことは人生を選ぶことです。
います。私は日系企業のビジネストラ
た。国の成長戦略の中で法人税がどうあ
国税犯則取締法第十二条ノ二「収税官
脱税は、時に実刑判決が出されるほど
とも大切な業務となっています。その際
自分がどのような人間になるか、人生が
ブルの支援(相手政府への申し入れな
るべきか、政策論議に明け暮れました。
吏ハ間接国税以外ノ国税ニ関スル犯則事
の犯罪とされていますが、何故だと思い
には、5年、10年先(場合によっては
楽しく充実したものとなるかを大きく左
ど)を担当や多くの企業の方と協力し
ただ、税制は政策論だけでなく、企業
て、日本商品展などのPRイベントを担
や税務署で使える明確さや分かり易さも
ますか。租税は国民全体の利益の増進の
そのもっと先)を見据えて解決策を考え
右します。仕事(職業)は、人生の多く
件ノ調査ニ依リ犯則アリト思料スルトキ
当しました。企業が適正・公平な課税
考えて作っていることを学びました。
ハ告発ノ手続ヲ為スヘシ」
ために必要なものであり、だからこそ納
ることも国税庁の大切な役割です。租税
の時間を費やすもので、あれもこれもや
りたい、無限の可能性のある皆さんが、
の対象ではなく、「支援し、一緒に働
⑤ 国税庁本庁勤務(いま)
国税犯則取締法は、全国の国税査察官
税はすべての国民の義務となっています。
が関係するフィールドは限りなく広く、
一つの仕事(職業)を選ぶには迷いもあ
く」対象となることで、視野が大きく
「民間との協力を全国で推進する」、
(収税官吏)が悪質な脱税者を摘発する
その義務に違反することは、国民全体の
組織も巨大であるため抱える課題も多く
るでしょう。
広がりました。
「税務署への指示は、実践的で分かりや
ために必要となる手続(権限)が規定さ
犠牲において、脱税者のみが不当に利益
ありますが、中堅職員となった今でも、
それでは、国税庁は皆さんにどのよう
③ 税務署長
すいものとする」、それができる立場
れている法律です。上記条文は、法人税、
を得るものであり、被害者は、究極のと
同僚たちとあるべき国税庁を議論し、知
な機会を提供してくれるか。私は、この
国税組織は強い権限を持つ反面、民
です。
所得税、消費税などを調査した結果、悪
ころ、国民全体であるからと考えられて
恵を出し合い、少しずつ追い求めるかた
職場に入って、多くの出会いや様々な得
間との協力の機会は多くありません。
苦労もありますが、「徴税」と「協
質な脱税であり刑罰を訴求する必要があ
いるからです。国税庁査察課は、税制に
ちに近づけようとしている毎日です。
難い経験をしました。まだ先はあります
私は、②の経験を活かして、企業と協
力・支援」、「税法」と「国税組織の
力するための仕組み作りに取り組みま
ると判断した時にとるべき行為、すなわ
対する信頼の確保、申告納税制度の維持
が、これまでのところ充実した人生です。
運営」、その中心に身を置けるのは幸
少しだけご紹介したいと思います。
した。この取組は、県下の各税務署に
せだと思っています。
ち検察官(管轄が東京であれば東京地検
及び適正公平な課税の観点から、全国約
① 国税庁本庁勤務
は広がりましたが、全国展開にまで至
の検察官)に対して告発することが規定
1,500名の国税査察官が脱税を摘発・告
本庁の職員は、全国の国税局や税務
らなかったのが心残りです。
されています。告発された脱税者は、検
発するために行う調査を指導・監督して
署から選抜された職員ばかりです。こ
また、本庁から来る文書は「安全重
察官による捜査後、起訴され、公判によ
います。指導・監督を行っていく上で現
うした税のプロたちに「適正・公平な
視」で、必ずしも実務で直面する「ギ
り刑事罰(懲役○年、罰金○円)が科さ
行法令と証拠を駆使し、脱税犯を追い詰
課税」のための知識や考え方を徹底的
リギリの判断」の参考とはならない場
れることになります。
めていくことはダイナミックで緊張感が
に教えていただきました。
合があることを実感しました。
② 上海総領事館(外務省出向)
④ 財務省主税局(財務省出向)
上海には多数の日系企業が進出して
法人税制の企画・立案を担当しまし
あります。
(現場はもっと凄いものです。)
査察調査に限りませんが、経済・社会
環境は絶えず変化しており、これまで培
①本庁
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「適正・公平な課税」
②上海総領事館
企業は「支援し、
の考え方や税の専門
一緒に働くもの」
知識
→視野が広がる
National Tax Agency 2016
③税務署長
・民間と協力する取組
(全国展開はできず)
・本庁からの指示は
実践的でない場合も
④財務省主税局
・税法の立案担当者
として税法の理解を深
める(税法の本質を理
解)
⑤本庁
・民間との協力は全国
で展開
・税務署への指示は実
践的で分かりやすく
った調査手法や現行法令では対応できな
い課題もあります。場合によっては、制
度改正や新規の予算要求を考えていくこ
National Tax Agency 2016
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