混迷初期段階プロット の短編 劇鼠らてこ ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にPDF化したもので す。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作品を引用の範囲を 超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁じます。 ︻あらすじ︼ 同作者﹃混迷を呼ぶ者﹄の、アイデアだけは出たけど物にしなかった短編です。 やらなかった理由としては、 1.話が膨らまない。 2.辻褄が合わない。 3.強すぎて作品の雰囲気を壊しかねない。 4.おもしろくない。 の4つの内どれかに当てはまったものとなります。 1つ2000字前後の本当に短編です。 プロット1﹃覆う蝗害の王﹄ ││ 1 目 次 プロット2﹃最後の特異点﹄ ││ 8 弱点属性 不明 攻撃属性 不明 ただの体当たりですら死を覚悟する脅威となる。 サマエル同様、レーダー等に移らない特性を持ち、速力までもが大幅に上がっている。 一気に戦場を覆い尽くすその群れは、蝗害の王に相応しい。 オラクル細胞から同属を産み落とす荒業をやってのける。 感応能力により超広範囲の同属へと干渉し、支配下に置く。 更に活性化時は単一の 鮮血のような体色と、目で追えぬほどの速力はまさに絶望。 アバドン神属感応種。 ルシフィル プロット1﹃覆う蝗害の王﹄ 1 この世界は、至る所にオラクル細胞が眠っている。 建造物の中。 地面の中。 大 気中にもそれは漂っている。 それはアラガミが倒される事で周囲に拡散するからで あり、新たなコアが生成されるまでは存在し続ける。 そのオラクル細胞を知覚し、まるで幼子が粘土を握りかためる様に、球状に凝固させ る。 感応波を広げる。 1km、2km、10km、100km。 あらゆるアラガミのオラクル細胞を凝縮し、圧縮する。 拡散したアラガミの種類などに拘らない。 神機使いの奴らが屠って行った、ありと ﹁ピキィ⋮⋮﹂ 結しているからだ。 なので、舵のためのヒレと推進力のための尾びれをつけてやる。 球は、もっとも効率のいい形だ。 しかし、自力で動く事が出来ない。 己の身で完 ﹁ピキィ⋮⋮﹂ プロット1『覆う蝗害の王』 2 広げていく感応波でオラクル細胞に干渉し、さらに球を創り上げる。 り、結合が甘くなる。 それすらをもこちらの支配下に置く。 オラクル細胞を掠め取られた、ナニカになるはずだったコアはその身を保てなくな ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ コアを中心に形成されようとしているアラガミから、そのオラクル細胞を掠め取る。 今まさに晶出しようとしていた物は、そのコアを乗っ取って支配下に置く。 最初からこの世界に生きていた物は、その身に干渉して支配下に置く。 ﹁ピキィ⋮⋮﹂ この世界のあらゆるオラクル細胞を固めていく。 ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ うに。 地面から湧き出るように。 建造物から生れ落ちるように。 大気から滲み出すよ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ 3 傷つき、捕食による回復を求めているアラガミもそうだ。 結合崩壊を起こしている 箇所からオラクル細胞を掠め取る。 抵抗は無意味。 アラガミが真白の粒子となっ て一点に集中する。 そこから、新たな球が生まれる。 ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ ニンゲンの造りだしたオラクル細胞による構造物も逃れられない。 ニンゲンの造りだした物に綻びが無い物は存在しない。 その綻びから、オラクル細 胞を奪っていく。 戦場に出ていた神機使いの神機からオラクル細胞を奪い取る。 神機使い自身から ﹁ピキィ⋮⋮﹂ も、オラクルポイントとその身に流れるオラクル細胞を奪い取る。 急激に低下した神 機使いのオラクル細胞は、その偏食傾向を失い神機からの侵食を受ける。 その結合と結合の合間へとさらに干渉し、肉を食い破った後のオラクル細胞から抽出 していく。 後には何も残らない。 ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ プロット1『覆う蝗害の王』 4 ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ キィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピ キィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピ キィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピ ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ 球を包み込むように、ドームのような形へと変形させる。 変えればいい。 この星が球状であるために、思うような効率を得られない。 ならば、感応波の形を 更に広げる。 1000km、10000km、100000km。 既に周囲100kmにオラクル細胞は存在しない。 だが、まだだ。 足りない。 る。 感応波を更に深くする。 地中の深部に眠るオラクル細胞を引っ張り出し、凝固す 行き場を求めて移動するのだ。 それが伝播し、まるで波紋のような光景を創る。 戻るを繰りかえす。 地上で生まれた球がその群れに飛び込むたび、追いやられた球が 空は既に赤黒い球で埋まっている。 まるで天候のようなそれは、大きく波打っては ﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ 5 キィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ あぁ、そうだ。 頭上には確か巨大なオラクル細胞の塊があったじゃないか。 ドームの頂点を上へ上へと伸ばしていく。 流石に遠い。 だが、過去にソレが通っ たであろう宇宙空間にもオラクル細胞が存在したので、それを回収する。 赤い雲を見つけた。 自浄作用たるコイツだが、雨を降らせていないあたり地球から差し出しにきたと見る べきだろう。 オラクル細胞の塊とも言えるこの雲から、更にそれを貰い受ける。 赤い雲を凝固した球が赤くなったが、些細な違いだろう。 むしろより強固になった ように感じる。 何やら一瞬抵抗の意思を感じたが、関係ない。 綻びの無いアレだけは掠め取る事が 頭上に届いた。 キィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂﹁ピキィ⋮⋮﹂ キィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピ キィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピ キィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピキィ⋮⋮﹂ ﹁ピ プロット1『覆う蝗害の王』 6 出来ないが、覆うように存在する緑膜を奪い取る。 さぁ、そろそろ地球を全て覆い終える。 大気中の球は幾層にも重なり、最早陽光すら視認できはしない。 ゆらりと己を地に落とす。 追従する、数多の球││アバドン。 さぁ。 ﹁キィ⋮⋮﹂ 7 プロット2﹃最後の特異点﹄ ﹃偏食場の乱れを確認﹄ ﹃あの時と同じ⋮⋮終末捕食特有の偏食場パルスです る。 ﹄ 一瞬の油断も許されない状況。 ブラッド達は、五感を全開にして状況の把握に努め ! それはオペレーターのフランたちも同じだ。 むしろ、ブラッドの命を預かっている 分こちらのほうが緊張の度合いは高いかもしれない。 ﹄ ! だ。 音が消える。 いや、余りにも膨大なエネルギーが、音エネルギーに干渉しているの ﹃ブラッド下がって ﹃偏食場、更に変動⋮⋮﹄ プロット2『最後の特異点』 8 ﹄ 確認が間に合いません ! 終末捕食、きま││﹄ だめ ! ﹃偏食場の発生源が2つ 終末捕食来ます ﹃なっ 偏食場の発生源が、上空にもう1つ ! ! ﹂ ﹂ ﹂ ﹁チッ⋮⋮おい、隊長、上だ ﹁な、何が起こってるのー !? ﹄ ルシフィルです でも、なんで⋮⋮ ⋮⋮なに、これ﹄ ﹄ 次第にその範囲が狭まっていく。 緩やかに。 だが、如実に。 3つの終末捕食の内、もっとも弱いのはブラッド側。 ユノの終末捕食。 ! ﹃あれは⋮⋮アラガミ 気象観測班より入電 ! ﹃アバドン神属感応種 ﹃ッ ! !? ヒバリが呆けている間にも、事態は動いている。 ! ! 3つの終末捕食の鬩ぎ合い。 しかし、上空のそれの力が異常に強い。 ! !? ﹁く、う⋮⋮ ような終末捕食が発生する。 ジュリウスの起こす終末捕食と、ユノの起こす終末捕食。 それを上から押しつぶす ! !? 9 ﹄ ﹃フライアが⋮⋮黒い竜巻で覆われている⋮⋮ そこで動く者がいた。 ﹁ゼッタイに、終わらせないよー ﹂ ! ﹃ ナナさんの感応波の上昇を確認 でも、このままじゃ れています ・・・・・・ 上空の偏食場パルスが、そちらへ引き寄せら ﹄ ! ! ジュリウスの終末捕食内にいる彼女に引っ張られているのだから、必然とジュリウス 場パルスと終末捕食も連動して動く。 彼女の﹃誘引﹄が、ルシフィルを引っ張っているのだ。 ルシフィルが動けば、偏食 ﹄ ! ﹃ナナさん ! ! 動させる。 香月ナナだ。 彼女は、あろうことかジュリウス側の終末捕食内に入り、 ﹃誘引﹄を発 ﹁おい、ナナ ﹂ ﹃人の時代が⋮⋮終わってしまうのか﹄ ! !? ﹄ 偏食場パルス弱まっています ? ﹃ブラッド側 ! プロット2『最後の特異点』 10 の終末捕食とルシフィルの終末捕食が大きく干渉し合った。 だが、﹃誘引﹄されるのはルシフィルだけではない。 ﹂ ﹂ 世界を拓く者や背後の繭から溢れ出た、終末捕食の触腕も、ナナに集中する。 ﹁たはは⋮⋮私、みんなの役に立てたかな うぉらぁぁあああ ! ﹄ 歌を、お願いします これを聞いてくれ ﹄ ! ﹁ユノさん ﹃ユノ君 繋げるわよ ! ! ﹂ ! ﹃ユノ いける ﹄ ﹁⋮⋮うん。 ありがとう⋮⋮ !? ユノは歌い始める。 ﹂ ! ! 全世界にいる人間が、今はただユノのために歌っているのだ。 ぶぅんと言う音と共に、歌声が聞こえてくる。 ﹃ユノ ! ! シエルも助太刀に行きたい。 だが、こちら側の危機だって去ったわけではない。 く。 ﹃鼓吹﹄によって高められた攻撃力と、何が何でも守るという意思が触腕を切裂いてい 今まさにナナが飲み込まれようという処で、ギルバートが助けに入る。 ﹁馬鹿いってんじゃねえ ! ? 11 光のアリアを。 徐々に勢いを戻していく、ブラッド側の終末捕食。 ﹂ ルシフィルとユノ。 双方の終末捕食を受けたジュリウスの終末捕食は、ついに。 戻ってきてください ピシ、という音を立てはじめた。 ﹁ナナさん ! 何を言って⋮⋮うがっ ﹂ ﹁いやー、シエルちゃん。 ここで私が戻ったら、ルシフィルがユノちゃんの方に来ちゃ ! !? うよー。 ⋮⋮楽しかったよ﹂ ! 香月ナナ、諸共。 の終末捕食に飲み込まれた。 ジュリウスの終末捕食はその勢いを急激に失い、引かれる様に落ちてきたルシフィル パリン、という音がして。 直後。 ばす。 そして、血の力を最大限に高めた。 叱りつけようとしたギルバートを、ハンマーをフルスイングしてブラッド側に吹っ飛 ﹁ナナ プロット2『最後の特異点』 12 ﹁ナナァァァァァァアアアアアアアア ﹂ もう失くさないと、守りきると誓ったのに。 ん切りをつけて。 ロミオを失って悔やんで、焚き付けられて。 ケイト・ロウリーとの過去に怯え、踏 だが、そんなことに構うギルバートではなかった。 終末捕食の勢いは、未だ衰えない。 ジュリウスの終末捕食との鬩ぎ合いにより、少しばかり減衰したもののルシフィルの ! 何も見えない。 ただ、視界が真っ赤に染まっていくのをギルバートは感じていた。 力を溜める。 だめです ﹂ 狙いは、上空の一点のみ。 ﹁ギル ! エヴォリューション。 ドアーツを発現。 それに切り替わる。 生体維持のオラクル細胞をも使って極限に高められたそれは、土壇場で新しいブラッ シエルの抑止は耳に入らない。 ! 13 凄まじいまでの怒りと力が、ブラッドアーツを昇華させたのだ。 ﹁うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおあああああああああああ だが。 ルシフィルへと突き刺さった。 ﹂ たが 初速は遅く。 しかし、次第に凄まじいまでの速力と威力を得たソレは、寸分違わず !! 同時、神機兵保管庫の壁を突き破ってアバドンやサマエルの群れがルシフィルへと殺 黒い終末捕食がその場に起こる。 それと同時、神威ヒロがその手を取る。 ユノの歌が、サビへと入る。 その身に、一切の傷は無い。 何事も無かったかのように、平然と落ちていくギルバートを見下すルシフィル。 ﹁く、そ⋮⋮﹂ プロット2『最後の特異点』 14 15 到する。 その体は膨れ上がり、赤い終末捕食を生み出した。 二つの終末捕食は、鬩ぎ合い喰らい合い、螺旋を描いて機上空に昇って行く。 足りない、まだ足りないとばかりに周囲のオラクル細胞││黒蛛病の偏食因子を奪い 取り、双方が成長し合う。 史実よりも広範囲で行われたそれは、地表の凡そ3割を覆い尽くした。 螺旋の樹。 そう呼ばれるその樹から帰還した者はいない。 ブラッドも、ユノも、飲み込まれた者も。 誰も帰ってくることは無かった。
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