航空科学博物館平成27年度運営状況(現況報告) 1. お客様来館状況 ① 当博物館の置かれている状況は、少子高齢化及び「テーマパーク」等千 葉県内観光スポットの増設並びに近隣市町村における「道の駅」の開設 など厳しい環境下にあるものの、関係各位のご支援、ご協力により、平 成 27 年度入館されるお客様は、当初目標値 20.5 万人を大幅に上回り、 過去最高を達成できる見込みであります。 ② その主な要因としては、 ○企画展として、芝山町とタイアップした「ウルトラマン展」、千葉県が 主催する「山武フェスタ」、 「芝山町ほたる祭り」が当博物館を会場とし て開催されたこと。 ○企画展示・イベントの実施に先立ち、成田常駐記者会あて詳細な内容を 配布したことから、テレビ及び新聞紙面にイベント情報などが掲載され たこと。 ○当館の繁忙期であるゴールデンウィーク(5 月)、夏休みお盆休暇(8 月) などが土日と重なったものの、シルバーウィーク(9 月)には入館者数が 増加し、また普段の週末の土日・祝日が概ね天候に恵まれたこと。 ○来館者の博物館へのアクセス手段であるバス運行が、これまでの空港線 以外に、JRバスの東京駅からの高速線(16 便/日)、JR成田駅からの 在来線(36 便/日)が 6 月 20 日から敷地内に新たに設置されたバスタ ーミナルを利用して行われるようになったため、博物館を利用するお客 様のアクセスが格段に向上したこと。 などが揚げられます。 2. 展示関係 ① 屋外展示航空機の外装清掃と塗装 当館の屋外展示場には、開館当初からの貴重な展示物もあるが、塗装 面の老朽化が進んで来たことから、清掃以外に毎年 2 機を目途に再塗装 を実施しました。 ② 企画展示 当館の初代理事長であった木村秀政氏の指導により、人力飛行機が飛 行に成功して以来平成 28 年で 50 年を迎えることから、人力飛行機に関 する体験装置などを紹介する企画展を開催しました。また「鳥人間コン -1- テスト」などで活躍している解説者(10 月)及び 50 年前に初飛行に成功し たパイロット(2 月)を招いて講演会を実施しました。 ③ 講演会の実施 来館されるお客様に航空に関する知識を深めていただくため、パイロ ット、客室乗務員、航空貨物関係者など航空関係業務に従事している方々 を講師にお招きし、講演会を実施しました。 3. 建物・設備関係 ① カーペットの交換工事 お客様の利用される展示室内、特に 2 階及び 1 階多目的ホールのカー ペットに、シミ・汚れが目立つ状況であることから、交換工事を実施し ました。なお、今後、展示物の効果的な配置について検討しつつ、適宜、 交換工事を実施する予定であります。 ② 電気、空調設備及び浄化槽等の排水設備の点検整備 来館されるお客様に快適な館内環境を提供するため、照明、空調機器 の点検整備を随時実施し、老朽化した地下埋設管、浄化槽等の排水設備 については、点検調査を行い、平成 28 年度以降整備することとしまし た。 ③ バスターミナルの整備 来館されるお客様のアクセス手段の確保は喫緊の課題であり、駐車場 を増設し、マイカーからバスに乗り換えることが可能となる「パーク& ライド」方式のバスターミナルを新たに敷地内に建設することにより、 アクセス手段の向上を図りました。 -2- 【 Ⅰ.平成28年度事業計画 】 近年、当博物館の運営状況は、千葉県におけるテーマパーク及び道の駅など の観光スポットの開設に伴い、入館者数も減少傾向にあります。 また、来館されるお客様に航空の分野に興味を持っていただき、楽しんで満 足していただけるよう努力しておりますが、経営的にかなり厳しい状況にあり、 事業計画の策定に際しては緊縮財政に努めざるを得ない環境下にあります。 しかしながら、当館は、関係の皆様の絶大な支援に支えられ、平成元年開館 以来 27 年有余運営してまいりましたが、間もなく 30 周年を迎えることから、 これを機に、来館されるお客様に 30 周年記念事業として、大きく進化した航空 博物館を体験していただけるよう、日本の航空分野において最も歴史ある博物 館としての礎を再構築する必要性もあると考えております。 このような状況を踏まえ、平成 28 年度事業計画においては ○諸々の来館者増加策を推進し、お客様来館目標として 22 万人を目指します。 ○平成 28 年度を開館 30 周年へとステップアップする第 1 年目と位置付け、 常に費用対効果を勘案しながら、お客様に満足いただける充実した新規展示 物を企画立案し、また、館内設備等の不具合箇所の改修を確実に実施します。 ○当館のホームページをわかり易く、魅力的なものに充実させるとともに、外 国(米国・台湾・韓国)からのお客様にも多言語で対応できるディスプレイ 等のシステムを構築します。 以上を平成 28 年度における重点項目として、以下に掲げる具体的な施策を中 心に事業運営に当たります。 1. 公益事業 (1)展示整備 平成 31 年(2019 年)8 月に迎える航空科学博物館の開館 30 周年を念頭に置 きつつ、そのスタートとなる平成 28 年度に取り組む具体的な整備内容は、 以下のとおりであります。 ① 付属棟の増設 平成元年の開館以来四半世紀が経過し、この間、展示物の増加により、 展示ホールそのものが 20 万人のお客様に対応するとなると、現状施設で は非常に狭隘化して来ています。 当館で開催される「折り紙飛行機教室」などは大変ご好評をいただいて -3- おりますが、参加を希望されるお客様に対応できない場合もあり、現状以 上のお客様を誘致するには、館内の展示スペースだけではなく、お客様に 満足していただけるような体験型ブースなどを新たに整備する必要があ ると考えます。 また、近隣市町村などからの団体客を誘致するためには、現状のホール は 50 人~60 人程度であるため、より多くのお客様が多目的に利用できる スペース(ホール)も必要となると考えます。 このような観点から、付属棟の増設を計画することとし、平成 28 年度 においては、設置場所、規模などに関する調査を開始することとします。 ② 大型模型の改修 当模型は、B747のコックピットに搭乗し、目前の機体を操作してパ イロットの気分を体験できる、DC8シミュレーター同様の非常に好評を いただいている体験型の展示物であります。 平成 17 年開設以来 10 年が経過し、部品の交換、制御システムの更新が 必要な時期に来ておりますので、この際、新たに映像等のデジタル技術も 応用し、航空機の運航について現状以上の体験もしていただける、一歩進 んだ展示物にリニューアルを行う計画であります。 平成 28 年度は、そのための調査設計を開始します。 ③ 屋外航空機の整備 展示している 20 機の実機について、構造部分の経年劣化が生じている ものもあることから、定期的な保守点検、清掃に加え、ボナンザ等 4 機の 塗装を中心とした整備を計画的に実施します。 (2) 建物・電気・機械設備の整備 ① 建物関係 開館以来 27 年有余が経過し、雨漏り、外壁タイルの欠落などについて はその都度対応してきておりますが、カーペット、壁面のシミ、汚れも目 立つことから、展示物の効果的な配置の検討を行いながら、適宜、交換工 事を行います。また、老朽化に対応して、建物に対する診断を実施し、効 率的な中期修繕計画を策定します。 ② 電気・機械設備関係 電気は、当館以外に隣接する歴史館・共生委員会館も使用していること から、効率的な供給方法を検討するとともに、当館においては、来館され るお客様に快適な館内環境を提供するため、節電効果の高いLED照明へ の更新工事、空調の効果的な設備への更新及び浄化槽につながる不具合箇 所のある地下埋設配管部分の交換工事を実施します。 -4- (3)行事計画 ① 企画展示 ゴールデンウィーク、夏休みお盆休暇、シルバーウィークなどの繁忙 期をターゲットに、旬な話題をテーマにして、以下の企画展示を行いま す。 ア)「ひこうきをつくろう」展 昨年 11 月に初飛行した国産旅客機「MRJ」、小型ビジネス機 「HONDAJET」など日本独自の開発による機体が注目を浴び ていることから、これらの航空機の設計・開発がどのような過程を 経て行われて来たのかをわかりやすく紹介する企画展を開催します。 イ)「ボーイング 100 年の軌跡」 現代を代表する航空機メーカー「ボーイング社」が航空機の製造 に着手してから、100 年という節目の年を迎えることから、その足 跡をパネルなどで紹介します。 ② 教室・セミナー 緊縮財政に努める観点から、費用対効果を勘案しながら、集客力の高 いセミナーを中心に実施することとします。 ア)「やさしい航空のはなし」 航空に関する幅広い知識を深めるため、平成 28 年度はパイロット、 客室乗務員、航空機メーカーなどの航空分野に精通する人物を招い て講演会を実施します。 イ)「当館スタッフによるセミナー」 国家試験受験対策のための「航空無線通信士養成セミナー」、小中 学生を対象とした航空機模型の製作を指導する「親子プラモファク トリー」、航空科学博物館ボランティアスタッフとの連携による「オ ープンハウス」などの教室を実施します。 ウ)「他機関とのコラボレーションセミナー」 成田空港の開港記念日(5 月 20 日)に合わせた 「成田空港車両展」、 航空会社の協力を得て「グランドハンドリング教室」を実施します。 ③ 「空の日」等各種イベントの充実 ア)地域イベントへの協賛 空の日関連行事、芝山町ほたる祭りなどのイベントを通じて、地 域社会との交流を深めつつ、地域の活性化に貢献するイベントに積 極的に協賛します。 -5- イ)各種イベントの開催 「ゴールデン・ウィーク」、 「夏休みお盆休暇」等の繁忙期に、集 客力のあるイベントを企画し、来館者の増加に繋げます。 (4)成田空港での展示 当博物館の認知度を向上させるため、NAAとの密接な連携を図り、成田 空港内の航空旅客の動線上において、空港を利用されるお客様にアピールで きる「航空カレンダー展」、「空港飛来機展」などを実施します。 (5)入館者増加への取り組み ○団体客の誘致活動 圏央道等の開通が進み、アクセス手段が充実して来たため、団体客が増加 傾向にあることから、特に関東近隣の旅行会社及びバス会社を定期的に訪問 するなど連携を密にし、協力関係を構築します。 また、成田空港活用協議会、千葉県観光物産協会主催の商談会等に積極的 に参加し、誘致活動を展開します。 ○個人客の誘致活動 当館には、多くのお客様は自家用車でお越しになりますが、昨年、当館敷 地内に「博物館バスターミナル」を開設し、東京駅、成田駅からのアクセス 手段も格段に向上したことから、バスの利用をより一層促進するため、バス 事業者、地元自治体等との連携を強化します。 特に、集客力のあるアウトレットモール、道の駅、イオンモールなどの施 設案内所に当館のパンフレットを配備します。また、当博物館周辺のエリア が「スカイパークしばやま」と新たに命令されたことから、「空の駅風和里 しばやま」、 「ひこうきの丘」などの観光施設との連携強化するため、芝山町 と協議します。 ○多言語表記の充実 昨今、外国(米国、台湾、韓国)からのお客様が増加傾向にあり、また、 平成 32 年(2020 年)には「東京オリンピック・パラリンピック」が開催され ることから、パンフレット、ホームページ、館内案内掲示板など多言語表記 とし、お客様がわかりやすいものに変更します。 ○友の会事業の強化 航空に興味のある「友の会会員」を増加するための魅力ある見学会を実 施し、当事業の採算性を向上させます。 -6- 2.収益事業 (1)収益事業の範囲 ア)博物館1階「ミュージアムショップ」(物販店舗) イ)博物館4階展望レストラン「バルーン」(飲食店舗) ウ)成田空港第1旅客ターミナルビル5階「バイプレーン」(物販店舗) (2)収益事業の充実 商品販売管理システムの導入により、売れ筋商品の判別が可能となったこ とから、収益状況の把握が容易となったので、今後とも利益率の向上策の検 討を進めるが、売り上げが来館者数に連動していることから、来館者の増加 を図っていきます。 また、レストラン「バルーン」の運営については、成田空港の眺望に加え、 迫力ある航空機の離着陸を目のあたりにできる立地条件をフルに活用し、メ ニューの検討を行いお客様の満足度を高めます。 (3)お客様のニーズに対応した品揃え 家族層から専門家並びに外国のお客様のニーズに対応できるよう、日本に おける人気商品、博物館の限定品、人気ある航空機模型など幅広い商品を揃 えます。 3.広報活動 ○「ちば県民だより」をはじめ、千葉県内の成田空港周辺 10 市町、茨城県 の4市町において発行される広報誌に対し、引き続き当博物館の企画展示、 行事等の掲載を依頼するほか、各教育委員会に対しても教育活動、子供会の 親睦活動の一環として当博物館を利用していただけるよう、周知活動を行い ます。 ○近隣施設で集客力の高い「道の駅」、 「空の駅」をはじめとして、アウトレ ットモール、ホテル、成田観光案内所、高速バスを含む路線バス等へのポス ターなどの掲示により、PRの充実に努めます。 ○イベント前に、来館されるお客様へマスコミを通じて行う情報提供は極め て効果的であり、来館者数の増加に寄与すること、新聞、テレビなどで取り 上げてもらえば、その紙面を広告料に換算すると莫大なものとなることから、 イベントの開催に際しマスコミへの情報提供を積極的に行います。 ○当館の「ホームページ」も情報提供の重要なツールであることから、抜本 的なリニューアルを行い、メリハリの利いた、見やすく最新の情報提供を行 うように努めます。 -7-
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