BA 原型炉プラント設備設計における冷却系統 統合化を考慮した主要

BA 原型炉プラント設備設計における冷却系統
統合化を考慮した主要系統設備検討
仕様書
平成28年7月
量子科学技術研究開発機構
核融合研究開発部門
六ヶ所核融合研究所
核融合炉システム研究開発部
核融合炉システム研究グループ
1.一般仕様
1.1 件名
BA 原型炉プラント設備設計における主要系統設備設計検討
1.2 目的および概要
核融合出力約 1.5GW、主半径約 8.5m 規模の BA 原型炉の概念設計にあたり、
原型炉本体及び周辺機器設備を含めた施設全体(以下、原型炉プラント設備)
の構成・主要な仕様と機能・規模を集約した原型炉プラント設備概念設計を段
階的に行う。概念設計では発電プラント全体概要を早期に具体化する必要があ
り、これら検討を実施する。本検討では、核融合炉で複数存在する冷却系統の
統合化を考慮した上でプラント設備全体の概要を明らかにすべく、主要冷却系
統の設計を行う。
1.3 作業内容
・冷却系統統合化検討
・安全評価に向けた主要系統設備と建屋区画の設計
・高性能ポンプ、熱交換器調査
・水化学評価
・検討結果の集約
・報告書の作成
1.4 提出書類
受注者は,次表に定める書類を提出すること。
書類
作業体制及び工程表
提出時期
契約締結後速やかに
部数
1部
打合わせ議事録
打合せ後速やかに
1部
報告書
納入時
3部
電子データ(報告書及び CAD 図)
納入時
1式
1.5 対象設備
ⅰ)炉内設備(トリチウム除去系、ブランケット冷却系、中間熱交換器)
ⅱ)1/2 次冷却系設備(加圧器、蒸気発生器、1/2次冷却系循環ポン
プ、中間交換器他)、核融合炉特有設備(冷凍系、トリチウム除去系、
廃棄物処理系、保守設備)、非常用設備(電源系含む)、電源、電
気・計装、制御系設備、タービン、発電機設備、Balance of plant
(以下 BOP)設備(ただしこれらは原型炉プラント設備としての前提条
件、仮定条件の整備のみ行う)
1.6
納入場所
青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮字表舘 2 番地 166
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
六ケ所核融合研究所管理研究棟 1 階核融合炉システム研究開発部 1
1.7
納期
平成 29 年 2 月 24 日
1.8
貸与品
受注者は、本作業にあたり必要な量子科学技術研究開発機構(以下、量研機
構と呼ぶ)が所有するこれまでの成果報告書を閲覧することができる。
1.9
検収条件
受注者は第 1.4 項に示した納入物件の員数確認、及び作業報告書が本仕様書
に定める技術仕様を満足することを確認し、検収とする。
1.10 産業財産権等
(1) 産業財産権の取扱い
本契約に関して発生する産業財産権の取扱については、別添1「産業財
産権特約条項」に定められたとおりとする。
(2) 技術情報の開示制限
受注者は、本契約を実施することによって得た技術情報を第三者に開示
しようとするときは、予め書面による量研機構の承認を得なければならな
いものとする。量研機構が本契約に関し、その目的を達成するため受注者
の保有する技術情報を了知する必要が生じた場合は、量研機構と受注者協
議の上、決定するもとする。
(3) 成果の公開
受注者は、本契約に基づく業務の内容及び成果について、発表若しくは
公開し、または特定の第三者に提供しようとするときは、予め書面による
量研機構の承認を得なければならないものとする。
1.11 機密の保持
本契約において作成され、または量研機構から貸与された資料は契約目的以
外に使用してはならない。ただし、事前に量研機構の承諾を得た場合にはこの
限りではない。
1.12 打合せ
作業の進行状況に応じて、量研機構担当者と適宜打合せを持つものとする。
また、BA 原型炉設計及び主要系統設備設計検討作業の円滑な実施のため、受注
者は量研機構が開催する BA 原型炉設計に係る作業連絡会および報告会に可能な
限り参加するものとする(開催時期は適宜。TV 会議システムによる参加も可)。
1.13 グリーン購入法の推進
⑴ 本契約において、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に
関する法律)に適用する環境物品(事務用品、OA 機器等)が発生する場合
は、これを採用するものとする。
⑵ 本仕様に定める提出図書(納入印刷物)については、グリーン購入法の基本
方針に定める「紙類」の基準を満たしたものであること。
1.14 協議
本仕様書に記載されている事項及び本仕様書に記載のない事項について疑義
が生じた場合は,量研機構と協議のうえ,その決定に従うものとする。
2.技術仕様
2.1 作業概要
概念設計おいては、類似施設でありかつ十分な実績をもつ原子炉の設計を元
とし、核融合炉特有の性質(運用中の所内電力負荷が大きい、放射線管理区域
内外の設備構成が異なる、冷却系統が複数必要、等)を考慮に入れながら検討
を行う必要がある。本検討では原型炉プラント設備のうち、原型炉が発電プラ
ントとして成立するにあたり,複数ある冷却系統の統合化を行い,必要となる
主要な設備の概略系統図を作成し、安全設計に必要となる系統のループ数及び
建屋の概略区画の配置・容積,各設備の概略機器構成、機器仕様、必要動力
(所内負荷),水質管理条件を検討する。技術成立性・経済性・社会受容性等
の観点から原型炉プラント設備概念の実現性を見極めるため,炉心から発電設
備までのプラント全体像を纏めることを優先する。その際,核融合炉特有の性
質から大きな所内負荷,冷却系の統合,放射線管理区域の設定を反映させる.
また現段階では決定できない概念検討上の技術的仮定項目を明確にし,その項
目については概念検討の詳細化に対応可能な最小限の裕度を持たせる事とする。
2.2 原型炉本体仕様
プラズマ大半径約 8.5m 規模のトカマク型原型炉を前提とする。
2.3 検討条件
1)本原型炉は3次系の蒸気タービンで発電を行うものとする。1次冷却水
は PWR 加圧水条件(290-325℃、15.5MPa)とし、中間熱交換器を介して
2次冷却水に伝熱する。2次系も加圧水とし、3次側には蒸気発生器を
介して熱を伝える。これらに加えその他 BOP 設備についても整備を行う。
2)調整、パルス、定常運転の全てに耐えうる設計が必要となるが、現時点
では、定常運転を前提とする。
3)ブランケット及びダイバータの1次冷却水の一部はバイパスし、トリチ
ウム濃度を許容管理値以下に維持するためのトリチウム除去系を設置す
る。
2.4 作業項目
2.4.1 冷却系統統合化検討
量研機構の提示する各炉内機器の冷却系統統合化案に基づき、設備の実現性
について検討する。炉内ではブランケット、ダイバータ(低熱負荷部、高熱負
荷部)、バックプレート、真空容器の5系統の冷却設備が必要であるが、配管
材料、機器の構造などの観点より許容される冷却水条件は機器ごとに異なる。
代表的な制約条件を表1に示す。
表 1. 機器ごとの制約条件
機器名
ブランケット
ダイバータ(低熱負荷部)
ダイバータ(高熱負荷部)
真空容器
バックプレート
制約条件
許容冷却水温度:290℃〜325℃
許容冷却水温度:290℃〜325℃
許容冷却水温度:200℃〜250℃
許容冷却水圧力 3Mpa
許容冷却水圧力 3Mpa
機器それぞれに異なる冷却設備を設置した場合、ポンプなどの設備容量や消
費電力が膨大となってしまう他、廃熱が増えてしまう。そのため本案件ではこ
れら冷却系統の統合化を検討する。
条件の異なる冷却系統を統合することを想定した場合、温度(℃)、圧力
(MPa)、流速(m/sec)はある程度制御が可能であるが、質量流量(kg/sec)の制御
は困難と考えられる。この考えに基づき、量研機構では質量流量を軸とした統
合化案を検討中である。以下に例を示す。
図1-1 はバックプレートと真空容器の統合の例,図1−2と図1−3はブラン
ケットとダイバータ冷却系の統合化の例を示している.特に図1-2,図1-3
は異なる考え方による統合化例であり,図1-2は質量流量を揃え,ブランケ
ット・ダイバータ冷却系統を連続接続する概念,一方図1-3では,ダイバー
タ冷却水を部ランケと冷却系の加熱源に利用した例である.
受注者は,ここで示した例等も参考にして,設備容量、及び廃熱の低減の観
点からブランケット・ダイバータ・バックプレート・真空容器と4系統ある冷
却系統の統合化案を検討する.
図1-1
図1−2
図1−3
図 1. 系客系統尾統合化の例.図1-1はバックプレートと真空容器の統合例,図1-2と図
1-3はブランケット・ダイバータの統合化例である
この際、実現性(要求仕様を満たす機器が存在するか、または既存の技術
の延長で実現可能か、実現に向けて主要な開発課題は何か、二次系以降で発電
は可能か、等)についても検討する。なお機器の必要除熱量など詳細なインプ
ット情報は契約締結後改めて量研機構から提示するものとする。
成果物として検討結果をまとめた物と、各設備のループ数含む機器構成、
仕様等を提示するものとする。ここでの検討結果は後述の主要系統図に反映さ
れる物とする。
2.4.2 安全評価に向けた主要系統設備と建屋区画の設計
原型炉での安全評価の詳細化のためには,建屋区画の配置・容積の算出が
必要である.ここでは,量研機構から提示する図2のような原型炉の主要設備
構成案(トリチウム、及び放射性物質閉じ込めの方針、1次系における各閉じ
込め区画内の設備、機器構成などについてまとめた物)、及び主要な炉心プラ
ズマ条件をインプットとし、受注者が持つプラント全体設計の技術、知見をも
とに主要系統におけるトリチウム、放射線防護区画内外の主要な設備および機
器の構成(ループ数含む)、及び概略区画の配置・容積を検討する.また,核
融合原型炉が発電プラントとして成立するに当たり必要となる炉本体廻りの設
備について過不足が無いかを検討すると共に、ヒートバランスより適切なルー
プ数を検討する。
図 2. 主要設備構成案。
以上の検討結果を元に成果物として以下を作成する。
1.安全評価に必要となる主要系統におけるトリチウム、放射線防護区画
内外の主要な設備および機器の構成(ループ数含む)、及び概略区画の
配置と容積
2.1の成果物をもととした 2.4.3 項で実施する統合化に係わるブランケッ
ト 1 次冷却系、2 次冷却系の範囲、ダイバータ冷却系、バックプレート、
真空容器冷却系の海水冷却熱交換器まで(タービン系と CCW 系は除く)
の系統図及び系統仕様(圧力、温度、材質、配管仕様他)及び機器仕
様、必要動力(所内負荷)
2.4.3 高性能ポンプ、熱交換器調査
量研機構の提示する仕様、及び 2.4.2 項で明らかとなった要求仕様を満足
する循環、充填ポンプ、及び中間熱交換器について、既存の技術において流
用可能か,新に開発が必要かに関して調査を行い、開発が必要な項目につい
ては開発計画(実現に向けた主要な課題、及び課題解決の方針を纏めたもの)
を提示する。成果物として調査結果及び開発計画をまとめた物を作成する。
なお調査範囲は受注者と量研機構が協議の上決定するものとする。
2.4.4 水化学評価
構成機器の健全性維持のための概略水質(溶存水素、酸素、pH 他水化学情報)
を検討する。核融合原型炉においては、トリチウム透過防止や複数ある1次冷
却配管材料の健全性維持等に水質管理の必要性がある。具体的には,溶存酸素
濃度に関しては、炉内機器の主冷却配管の材料は低放射化フェライト鋼 F82H で
あり、腐食特性の観点から高酸素濃度が望ましいが,炉外配管のステンレス鋼
の応力腐食割れ防止のためには低酸素濃度が望ましい。また,1 次系から 2 次
/3 次系へのトリチウム透過を防止するためには冷却水中の溶存水素濃度の制御
が重要である.このような核融合炉の条件を考慮に入れた、冷却水の概略水質
と設計対応案(例えば,ステンレス鋼配管厚さ選定の考え方や溶接手法等)の
検討を行う。成果物として、検討結果とその根拠ならびに付随する設計対応案
を整理した物を作成する。なお詳細な核融合炉の条件は契約締結後量研機構よ
り提示する物とする。
2.4.5 検討結果の集約、及び今後の検討計画の策定
2.4.1 項から 2.4.4 項までの検討結果を、量研機構の提示するフォーマッ
トを使用して整理する。また、量研機構の提示する 2020 年までの原型炉設計
計画、及び今年度の作業で明らかとなった課題を元に 2020 年までの設計計画
を修正する。これらの作業結果をまとめた物を成果物とする。
2.4.6 報告書の作成
2.4.1 項から 2.4.5 項までの成果を報告書としてまとめる。
以上
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