【トピックス】 平成28年7月28日 大阪労働局 職業安定部 職業安定課 6月の景況感は3月調査より悪化。背景には、中国経済の減速や イギリスのEU離脱、為替相場の変動に伴う先行き不透明感を 挙げる声。 正社員の不足感は高止まりし、「非製造業」では前回調査に引き続き 6割を超えている。 平成28年4~9月末までに賃金の増額を「実施」または「予定」と回答した 企業の割合は、昨年同月の調査より低下したものの、全企業で6割を超えており、 高水準を維持している。 企業規模別では、「99人以下」の中小企業で最も高い割合となっている。 来年春(平成29年3月末)の高校卒業予定者を「採用予定あり」と回答した 企業の割合(58.2%)は、昨年同月の調査より上昇し、大学等卒業予定者 を「採用予定あり」と回答した企業の割合(53.3%)を上回っている。 平成28年度 第1回ハローワーク雇用等短期観測調査の結果 平成28年7月28日 大阪労働局職業安定部 ○調査目的 大阪労働局では、大阪府内の景気や事業活動による雇用への影響等を的確に把握するため、 平成25年度から四半期毎にハローワークによる管内企業へのヒアリング調査を実施しています。 今回、平成28年度第1回目の調査を実施しました。 ○調査時期 ○回答企業 平成28年6月1日(水)から平成28年6月30日(木)まで 323社 調査対象325社 回答率99.4% 産業別 規模別 323社 規模計 99人以下 100人以上 499人以下 500人以上 ※本文中の「DI」とはDiffusion 産業計 製造業 非製造業 162社 161社 (50.2%) (49.8%) 118社 52社 66社 (36.5%) (16.1%) (20.4%) 128社 81社 47社 (39.6%) (25.1%) (14.6%) 77社 29社 48社 (23.8%) (9.0%) (14.9%) Indexの略 景気の現状、景気の先行き、正社員、非正規社員の過不足感に対する5段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、 これらを各回答区分の構成比(%)に乗じて大阪労働局独自でDIを算出している。 ・良い、不足している ・やや良い、やや不足している ・変わらない、適正 ・やや悪い、やや過剰である ・悪い、過剰である ・・・・・・+1.0 ・・・・・・+0.5 ・・・・・・0 ・・・・・・-0.5 ・・・・・・-1.0 ※ 構成比(%)については、小数点の調整により合計と各項目の足し上げが一致しない場合がある。 1 1 ※景況感DI:「良い」または「やや良い」と回答した企業の割合から「悪い」または 「やや悪い」と回答した企業の割合を差し引くことによって算出した指数。 景況感について 【景況感DIの推移(全企業)】 1.60 2.00 【全企業】 ・平成28年6月現在の景況感DIは、 3月調査(平成27年度第4回)より 低下(5.75ポイント低下)し、 -8.50となった。 2.60 4.00 0.00 -2.00 -2.60 -2.75 4.85P 上昇 -4.00 -3.65 「3か月前と比べた現在の景気について」 5.75P 低下 -6.00 ※全企業(323社)の回答割合 -8.00 良い・やや良い:11.1% 変わらない:60.7% 悪い・やや悪い:28.2% -8.50 -10.00 第1回 (H27.6月) 第2回 (H27.9月) 第3回 (H27.12月) 第4回 (H28.3月) 第1回 (H28.6月) 平成27年度 ・3か月後の見通しDIは-3.65と 上昇(4.85ポイント上昇)している。 平成28年度 【景況感DIの推移(業種別)】 8.50 10.00 5.00 第1回見通し (3ヶ月後) 4.05 3.15 3.75 1.25 10.60P 低下 5.05P 上昇 0.00 -5.25 -10.00 -1.80 -5.60 -6.85 -5.00 -9.20 -8.25 1.05P 低下 -10.25 4.65P 上昇 -15.00 第1回 (H27.6月) 第2回 (H27.9月) 第3回 (H27.12月) 第4回 (H28.3月) 第1回 (H28.6月) 平成27年度 平成28年度 製造業 10.00 8.35 第1回見通し (3ヶ月後) 非製造業 【景況感DIの推移(企業規模別)】 6.30 5.25 ※全企業(323社)の回答割合 「3か月後の景気について」 良い・やや良い:14.6% 変わらない:62.5% 悪い・やや悪い:22.9% 【業種別】 ・業種別にみると、平成28年6月 現在の景況感DIは、「製造業」 (-10.25)、「非製造業」 (-6.85)ともに低下し、3か月後 の見通しDIは、「製造業」 (-5.60)、「非製造業」 (-1.80)ともに上昇している。 ・「非製造業」が高い状況が続いて いる。 5.00 2.55 0.45 -0.85 0.00 -0.40 8.55P 上昇 4.35P 上昇 -0.40 -1.20 -5.00 -3.60 -4.35 3.50P 低下 -10.00 -11.85 -6.50 -2.75 -2.90 -6.50 -7.10 横ばい 2.15P 低下 10.60P 低下 -11.45 第4回 (H28.3月) 第1回 (H28.6月) -15.00 第1回 (H27.6月) 第2回 (H27.9月) 第3回 (H27.12月) 平成27年度 99人以下 100人以上499人以下 第1回見通し (3ヶ月後) 【企業規模別】 ・企業規模別にみると、平成28年6 月現在の景況感DIは、すべての企 業規模で低下し、「99人以下」 (-11.45)が最も低くなっている ものの、3か月後の見通しDIは、 「99人以下」が最も大きく上昇 (8.55ポイント上昇)している。 平成28年度 500人以上 2 ~企業の声~ ※(業種 ・ 企業規模) 【インバウンド需要・中国経済関連】 ・相変わらず海外からの旅行者(主にアジア圏)が多く好調である。メニューも中国語、英語、ハングルの ものを用意して対応している。(小売業・ 500人以上) ・中国人観光客はもとより、最近は欧米からの観光客も増えてきた。リピーターになってくれる方も多い。 (宿泊業・ 500人以上) ・インバウンドの影響により、ホテルの改装の仕事が増えている。(建設業・ 500人以上) ・大阪市内にある店舗は中国人観光客が多く、土産等で大量に購入していたが、最近は財布のひもが固く なってきており、以前のような大量購入が減少している。(食料品製造業・ 100人以上499人以下) ・美容家電の“爆買い”需要にも落ち着きが見られ、ネット通販にも押されているためか、量販店・小売店 への売上げが伸びない。(卸売業・ 99人以下) ・中国経済の減速により納入先企業の設備投資が止まり、工作機械(研削・切削機等)の需要が減少して いる。(はん用機械器具製造業・ 500人以上) ・中国経済、原油価格ともに取扱商品の国内需要の増減に影響があり、これらの回復が今後の業績回復の カギになるとみている。(繊維工業・ 100人以上499人以下) 【イギリスのEU離脱関連】 ・イギリスのEU離脱問題により円高が続いた場合、会社にとってプラスと出るのかマイナスと出るのかが 不透明で見通せない。(小売業・ 500人以上) ・イギリスのEU離脱がどう影響してくるか、今のところすぐに影響はないものの、今後の動向次第でどう 影響してくるかが懸念されるところである。(電子部品・デバイス・電子回路製造業・ 500人以上) ・イギリスのEU離脱による先行き不透明感から消費の手控えが出るのではないかと思われる。 (飲食サービス業・ 500人以上) 【為替相場関連】 ・為替相場の動向が気に掛かる。特に最近は急激な円高になっているため注意してみている。 (生産用機械器具製造業・ 99人以下) ・輸入がメインの会社なので、為替の変動(円高、円安とも)、特に急激な変動は商況に影響がでる。 (卸売業・ 99人以下) 【その他】 ・原油価格の乱高下が原材料に影響し、収益の見通しが立ちにくい。(鉄鋼業・ 99人以下) ・消費者の動向がつかみにくくなってきており、伸び悩んでいる。世界情勢や政治不安が続くようであれば なお悪くなる予感がする。(繊維工業・ 99人以下) 3 2 正社員の過不足感について 【正社員の過不足感の状況について(全企業・過去1年)】 28年度 第1回 27年度 第4回 27年度 第3回 27年度 第2回 27年度 第1回 11.8 38.7 10.5 39.3 単位:% 45.8 3.4 0.3 45.4 4.8 11.5 41.1 44.2 3.1 12.1 41.4 41.1 4.7 0.6 12.7 0% 36.3 10% 20% 30% 不足 45.3 40% やや不足 50% 適正 60% 70% 5.0 0.6 80% やや過剰 90% 100% 過剰 ・正社員について「不足」 「やや不足」と回答した企 業の割合は、50.5%と 半数を超えている。 ・過去1年間をみると、 50%前後で推移しており、 人材不足感が高止まりし ている。 【正社員の過不足感の状況について(全企業・各年同月比較)】単位:% 28年度 第1回 11.8 38.7 27年度 第1回 12.7 36.3 26年度 第1回 25年度 第1回 8.3 40.0 4.1 0% 45.8 30.5 10% 3.4 0.3 45.3 5.0 0.6 45.8 4.9 0.9 52.5 20% 30% 不足 40% やや不足 50% 適正 60% 11.5 70% やや過剰 80% 90% ・各年6月の調査を比較 すると、正社員の 人材不足感は年々上昇 している。 1.4 100% 過剰 【正社員の過不足感の状況について(28年度第1回・業種別)】 単位:% 製造業 (162社) 4.3 36.4 53.1 5.6 0.6 6割を超えている 非製造業 (161社) 19.3 0% 10% 41.0 20% 不足 30% 40% やや不足 38.5 50% 適正 60% やや過剰 70% 80% 1.2 90% ・業種別にみると、 「非製造業」では6割を超 える(60.3%)企業が、 正社員が「不足」 「やや不足」と回答してい る。 100% 過剰 ~企業の声~ ※(業種 ・ 企業規模) ・作業工程のマニュアル化や品質管理維持の工程を厳しく定めることにより、少人数でも対応できるように、 また入社数年目の社員でも製造工程を任せられるようにしている。(化学工業・ 100人以上499人以下) ・正社員は新卒も中小ではなかなか集まらない。教育に力を入れて定着率を良くし、応募者にここで 働きたいと思ってもらえるような職場を創ることで解消していきたい。(飲食サービス業・ 99人以下) ・2年前から外国人の採用を強化しており、中国・韓国・チリ・ベトナム等の留学生を採用して店舗管理・ 予約センター・店舗内接客で語学を活用してもらっている。(飲食サービス業・ 500人以上) ・外国人の研修実習生がうまくいっている。中国からは以前から受け入れており、最近ではミャンマーや ベトナムの研修生を受け入れている。(建設業・ 100人以上499人以下) 4 3 賃金調整について 【賃金の増額を「実施した」または「予定している」と回答した企業の割合(過去3年6月調査)】 74.8% 72.2% 70.2% 71.4% 69.0% 66.9% 65.4% 65.6% 63.3% 62.8% 60.6% 57.9% 全企業 製造業 65.6% 64.6% 63.6% 59.0% 56.2% 非製造業 平成26年6月 70.2% 99人以下 平成27年6月 100人以上 499人以下 500人以上 平成28年6月 ・4月から9月末までに賃金の増額(定期給与・一時金)を「実施した」または「予定している」と回答した 企業の割合は、昨年同月の調査より低下したものの、6割を超えており(65.6%)、依然として高水準 を維持している。 ・業種別にみると、「製造業」が「非製造業」より高く、7割を超えている(72.2%)。 ・企業規模別にみると、平成26年6月調査では「500人以上」の割合(64.6%)が最も高かったが、今年 6月の調査では「99人以下」の中小企業が最も高くなっている(66.9%)。 4 新規学卒者の採用状況について 【平成29年3月新規学卒者の採用予定がある企業について(大学生等)】 81.0% 79.2% 55.9% 53.3% 50.9% 50.0% 28年度 第1回 27年度 第1回 全企業 66.1% 64.1% 61.0% 56.5% 30.2% 24.6% 製造業 非製造業 99人以下 100人以上 500人以上 499人以下 【平成29年3月新規学卒者の採用予定がある企業について(高校生)】 9.1P 上昇 12.1P 上昇 63.0% 58.2% 50.9% 49.1% 70.1% 63.3% 61.9% 53.4% 47.2% 28年度 第1回 44.9% 49.1% 40.5% 27年度 第1回 全企業 14.2P 上昇 製造業 非製造業 99人以下 100人以上 500人以上 499人以下 ・来年春(平成29年3月末)の 新規学卒者について、半数を 超える企業が「採用予定あり」と 回答しており、昨年同月の調査 (平成27年度第1回)と比較して、 大学生等(短大・高専・専門学校 生を含む)については低下したも のの、高校生については9.1ポ イント上昇した。 ・その結果、「採用予定あり」と 回答した企業の割合は、大学生 等(53.3%)よりも高校生 (58.2%)が上回っている。 ・高校生については、「製造業」 「非製造業」の両業種、及び全て の企業規模において上昇してお り、特に「製造業」(12.1ポイン ト上昇)、「100人以上499人 以下」(14.2ポイント上昇)では 10ポイントを超える上昇率と なっている。 5 ※(業種 ・ 企業規模) ~企業の声~ ・昨年と同様に大学内で行われる合同企業説明会に参加希望を出していても、参加企業多数で枠から外れる ことが複数校であり、苦戦している。(繊維工業・ 99人以下) ・大学新卒者は学内説明会などへ参加してアピールしているが、特に理系は採用が厳しいと感じている。 (はん用機械器具製造業・ 100人以上499人以下) ・大学新卒者は大手企業の動向を見ないと動きづらい。説明会を開催して参加される方はあるが、応募に 至る方はまだ少ない。高校新卒者は久しぶりの採用となり、総合職で2~3人を考えている。(小売業・ 100~499人) ・今春は久しぶりに高校新卒者を採用した。特に製造部門での若年層が空白のため来春は10名を採用し、 今後も継続していきたい。(食料品製造業・ 100人以上499人以下) ・運転手という職種なので、運転経験のある中途採用が即戦力としては望ましいが、大学新卒者を含めて 応募者が少ないため、高校新卒者の採用に幅を広げている状況。(道路貨物運送業・ 500人以上) 5 平成28年熊本地震の影響について 【平成28年熊本地震の影響について】 不明 業績に悪影響 37社 11.5% 33社 10.2% 業績に好影響 3社 0.9% 影響はない 250社 ・平成28年熊本地震が業績に与える影響に ついては、4分の3を超える企業(77.4%) が「影響はない」と回答しており、 「業績に悪影響」と回答した企業は 約1割(10.2%)にとどまっている。 77.4% ※計323社 ~企業の声~ ※(業種 ・ 企業規模) ・熊本の企業からの注文は減少しているが、業績にはさほど影響はない。(金属製品製造業・ 99人以下) ・熊本地震については直接の影響はなかったが、これから復興に向けた建材関係の需要が活発化してくると 思われる。(非鉄金属製造業・ 100人以上499人以下) ・取引先の九州の工場が震災により休業となり製造休止のため、九州地域での売り上げはダウンしている。 (食料品製造業・ 100人以上499人以下) ・熊本向けの旅行商品は売上大幅減となった。(旅行業・ 500人以上) ・熊本地方の製品が不足し、当方で増産し現地へ送ったため、一時的に生産量が増加した。(食料品製造業・ 100人以上499人以下) 6
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