(1)行政説明【学校給食管理について】資料

学校給食管理について
・学校給食における衛生管理等
・学校給食における地場産物の活用
平成28年7月25日(月)
平成28年度学校給食衛生管理・食育研修会
高知県教育委員会事務局
スポーツ健康教育課
指導主事 大原 佐知
学校給食(大量)調理の基本的な考え方
①食に関する指導の教材として活用できるもの
であること。
②おいしくて、栄養バランスに優れ、児童生徒が
満足できるもの。
③衛生的で、安心して食べられるものであること。
④学校給食衛生管理基準に基づき調理を行うこと。
<事故対応例>
・食中毒
・異物混入
・食物アレルギー
・窒息事故
等
学校給食における危機管理
(1)日常業務から見た
危機管理体制
(2)食中毒事件が発生した
後の危機管理体制
①患者の早期発見と二次
感染予防対策
②食中毒発生時における
対応
発生件数
学校給食における食中毒発生状況
12
10
有症者数等
4,000
3,809
10
3,500
10
3,000
8
7
2,500
2,440
6
6
6
5
1,698
6
1,800
2,000
5
4
4
2,069
6
4
5
1,535
4
1,250
767
2
2
2
2
494
549
252
211
102
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19 H20
H21
H22
2
500
309
1
382
0
H9
1,000
957
769
649
510
1,500
4
H23
H24
H25
H26
0
H27
学校給食における食中毒発生状況
平成27年度学校給食における食中毒発生報告状況
平成28年4月1日現在
【調理場での発生】 発生なし
番号
都道府県
設置者
原因菌等
発生日
有症者等
うち死亡
者数
発生
原因
備考
有症者等 うち死亡
者数
発生
原因
備考
【調理場以外(委託事業所等)での発生】
番号
都道府県
設置者
原因菌等
発生日
1
徳島県
鳴門市
ヒスタミン
平成27年
6月9日
225名
0名
アジフ
ライ
教職員
6名
2
福島県
下郷町
ヒスタミン
平成28年
1月21日
84名
0名
さんま
ほうぽ
う焼き
教職員
3名
ヒスタミン食中毒の特徴
・アミノ酸の一種であるヒスチジンから、微生物(ヒスタミン産生菌)
によって産生蓄積されたヒスタミンによるアレルギー様食中毒
・ヒスチジンは、カジキ、マグロ、カツオ、サバ、サンマ、イワシ、
アジなどの赤身魚及びその加工品等に多く含まれている
・20~25℃以上の不適切な温度で保存した場合、ヒスタミン
産生菌が増殖してヒスタミンを産生し、魚肉中に蓄積する
・外観の変化や悪臭を伴わない
・加熱によっても分解されない
・喫食後30分から1時間で発症
・顔面紅潮(特に口のまわりや耳たぶが紅潮)、じんま疹、頭痛、
発熱等アレルギー様の症状を呈する
学校給食におけるヒスタミン食中毒の予防方法
【市町村教育委員会】食品の選定
① 信頼のおける業者から購入する。
② 漁獲、加工、流通全ての過程の取り扱い状況を把握する。
・原材料は鮮度の良好なものを使用しているか
・漁獲、加工、流通全ての過程で、低温管理を徹底しているか
③ 納入業者にヒスタミンの検査成績を求める。
学校給食におけるヒスタミン食中毒の予防方法
【調理場】
①
②
③
④
検収時に、品質・鮮度・温度等を仔細に確認する。
保存中の低温管理を徹底し、絶対に室温で放置しない。
冷蔵庫保存であっても、長期間の保存は避ける。
調理時は小分けして冷蔵(冷凍)庫から出し、常温放置を
避ける。
⑤ 検食の意義を理解し、異味、異臭その他の異常がないか
などについて詳細に確認し、唇や舌先にピリピリとした刺
激を感じた場合は、速やかに提供を中止する。
【学校】
学校での検食も、調理場の検食(上記⑤)と同様に行う。
学校給食における食中毒発生状況
発生件数
12
10
12
10
調理場以外での発生件数
(委託事業所等)
10
10
8
8
7
6
6
6
6
6
5
5
4
4
4
2
5
4
4
3
2
3
3
2
2
2
1
1
0
0
H9
H10
0
H11
0
H12
0
H13
H14
6
H15
0
H16
H17
1
H19
H20
3
2
2
2
2
2 2
1
0
H18
4
H21
0
H22
0
H23
H24
H25
H26
H27
平成22年度
外部委託状況
平成24年度
%
平成26年度
50
45
40
35
30
41.3
40.7
41.2
43.9
39.3
35.8
34.3
31.1
29.3
25
20
15
8.5 8.7 9.2
10
5
0
調理
運搬
物資購入・管理
食器洗浄
出典:学校給食実施状況等調査
平成26年度食中毒防止に
関する実態調査報告書
平成27年3月 独立行政法人 日本スポーツ振興センター
学校給食調理員が不顕性感染していた可能性があるノロウイルス食中毒事例
【調理場での発生】
事例
1
2
3
都道
府県
A県
B県
C県
実施者
(設置者)
発生日
(曜日)
a市
平成25.2.1
(金)
児
童 248名 1月31日(木)の
教
職
員 24名 学校給食/
学校給食調理員 2名 ノロウイルス
b市
平成25.6.29
(土)
児
童 55名 1月31日(木)の
教
職
員 3名 学校給食/
学校給食調理員 2名 ノロウイルス
c市
平成24.11.4
(日)
児
教
有症者数
職
原因食品/病因物質
1月31日(木)の
童 68名
学校給食/
員 5名
ノロウイルス
平成26年度食中毒防止に関する実態調査報告書
(平成27年3月 独立行政法人 日本スポーツ振興センター)
設置者等から情報提供を受けた食中毒事例
【調理場以外(委託事業所等)での発生】
事例
都道
府県
実施者
(設置者)
発生日
(曜日)
有症者数
原因物質
病因物質
4
D県
d市
平成25.11.15
(金)
児 童 248名
教職員 24名
冷凍いわし団子
ヒスタミン
5
E県
e市
平成26.1.15
(水)
児 童 55名
教職員 3名
食パン
ノロウイルス
事例4:県食後の速やかな対応により、喫食時間の早かった特別支援学校以外
での発生を防ぐことができたヒスタミン食中毒の事例
事例5:不顕性感染者の手を介して大規模なノロウイルス食中毒が発生した事例
平成26年度食中毒防止に関する実態調査報告書
(平成27年3月 独立行政法人 日本スポーツ振興センター)
学校給食における食中毒防止に向けて(まとめ)
1ノロウイルスの不顕性感染者による食中毒防止
(1)トイレ使用時には調理衣(作業衣)上下を脱いで使用する
ことと、トイレ内での専用の履物を使用すること。
(2)排便後は、着衣に触れる前に個室内の手洗いで確実な手
洗いをすること。
(3)加熱後の食品を取り扱う際には、使い捨て手袋を正しく使
用すること。
平成26年度食中毒防止に関する実態調査報告書
(平成27年3月 独立行政法人 日本スポーツ振興センター)
学校給食における食中毒防止に向けて(まとめ)
2 家族を含めた毎日の健康状態観察
(1)調理従事者本人に下痢、おう吐、発熱等の症状がある場合は、
速やかに医療機関を受診して、医師に感染性疾患の有無の確
認を受け、医師の指示に従う。
(2)同居する家族に同様な症状がある場合は、家族が感染性疾
患でないと確認できるまで、直接食品に含まれる調理作業に
従事することを控えさせる。
(3)ノロウイルスを原因とする感染性疾患と診断された調理従事
者は、高感度検便結果で陰性と確認されるまで、直接食品に
触れる調理作業に従事させない。
平成26年度食中毒防止に関する実態調査報告書
(平成27年3月 独立行政法人 日本スポーツ振興センター)
学校給食における食中毒防止に向けて(まとめ)
3 教育委員会等による危機管理体制の構築
・危機管理マニュアルの中に、担当部署、担当者名及び休日連絡
先を、見やすく、具体的に記入し、情報を共有・周知する。
・確実な検食実施
学校給食衛生管理基準により「検食は、学校給食調理場及び
共同調理場の受配校において、あらかじめ責任者を定めて児
童生徒の摂食開始時間の30分前までに行うこと。」
※「30分前」とは、検食の終了時間を意味する。
学校における食中毒等発生時の連絡体制
・「高知県の学校給食」連絡体制及び状況報告書(★1)
・疑いが生じた時点から正確な記録を取る。
・疑いが生じたら、連絡体制を起動させるとともに一報を入れ
る。
・緊急時に備え、休日の連絡体制を整備する。
感染症等の発生時における時間外(土日祝日等)の
緊急連絡の体制について(★2)
(★)高知県教育委員会スポーツ健康教育課ホームページ
(★1)食育・学校給食
(★2)学校保健
平成26年度食中毒防止に関する実態調査報告書
(平成27年3月 独立行政法人 日本スポーツ振興センター)
学校給食における食中毒防止に向けて(まとめ)
4 献立作成委員会、食品選定のための委員会等の
設置による取組
・「食品選定のための委員会」、「献立作成委員会」の設置
・委員会設置目的は、保護者や学校長など関係者の意見を献立
内容に反映させ、「食育」の視点を取り入れた、安全で充実した
給食を提供すること。
5 各種マニュアルの定期的な見直し
・定期的に文部科学省の「学校給食衛生管理基準」や厚生労働省
の「大量調理施設衛生管理マニュアル」の最新の基準を確認す
る。
学校給食調理従事者研修マニュアル
(平成24年3月 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課)
Step1
作業区分の明確化
<ポイント>
①作業区分の明確化がHACCPの第1歩
②食品に付着した外部からの汚れは汚染作業区域で落とし、非汚染作業区域に渡す。
③汚染作業区域と非汚染作業区域を人や台車が行き来しない。
Step2
ドライ使用及びドライ運用
<ポイント>
①栄養分、水分を断つことで微生物の増殖防止となる
②床からの跳ね水による二次汚染を防止する
③軽装(布製エプロン、短靴)により調理従事者の身体への負担を軽減する
洗浄作業もドライ運用が必要
夜間(16時~
翌朝8時まで)の
温度比較
身体の負担軽減
Step3
手洗い設備の充実
<ポイント>
①正しい手洗いを習慣化させる
②手洗いの基本は物理的に洗い流すこと
③手洗いの効果を定期的に検証する。
Step4
検収室の整備
<ポイント>
①汚染作業区域の中でも、最も汚染レベルが高い
②専用容器の移し替えの際、異物チェックを行う
Step5
作業動線の確保
<ポイント>
①作業動線を一方向にすることで食品の交差汚染を防止できる
②作業動線を単純化することで作業の合理化が図られる
改善点
切裁機を可動式にし、水槽、調理台、パ
ンラックの位置を替えて、作業動線が一
方方向になるように設置した。
問題点
下処理室の水槽と野菜
切裁機の配置場所が一
方方向でないため、無
駄な移動があった。
Step6
調理従事者専用トイレの整備
<ポイント>
①食中毒の防止のため、トイレの汚染を調理場に持ち込まないことが重要
②調理従事者が感染者にならないためには調理従事者専用トイレが必要
改善
改善点
問題点
トイレが和式で、糞便の跳
ね水による周囲への汚染の
可能性が高い。青色は実験
的に跳ね水を調べたもので
ある。
(長野県北信事務所データ)
約75cm
専用トイレを改修し、洋式トイレとして、糞便の跳ね水に
よる周囲への汚染を防止した。
トイレ個室内に手洗い設備を設け、用便後の手指を介し
ているいやドアノブ等が汚染されるのを防止した。
せっかく改修したが、便器と手洗い設備との距離があり
すぎるため、便座に座って手洗いができない。
30cm程度が望ましい。
高知県市町村別の学校給食実施状況(小学校)
H27.5.1現在
高知県市町村別の学校給食実施状況(中学校)
H27.5.1現在
「高知の食べものいっぱい入っちゅう日」
【目的】
「高知の食べものいっぱい入っちゅう日」を設定し、学校給食を生きた教材として高知の
おいしい食べ物を学校給食に取り入れることで、地場産物の活用を進め、子どもたちに
高知に育み伝えられてきた地場産物や郷土料理のすばらしさを伝える。
【内容】「高知の食べものいっぱい入っちゅう日」の実施
学校や給食センターが、学校給食の献立に地元産、県内産
の食材を積極的に取り入れ、地場産物活用体制を整備充実さ
せ、地場産物を教育活動の教材として活用する。
・地場産物活用割合50%以上を目指した献立作成
(食品ベース、調味料は除く)
・実施期間は、平成26年度、平成28年度
・学校及び給食センターは、地域の関係部署、関係機関等の
協力体制を整備 (地域ネットワーク会議の充実等)
参加状況
市町村
特別支援学校
県立夜間定時制
高等学校
平成26年度
20市町村
6校
5校
平成27年度
13市町村
5校
3校
第11回全国学校給食甲子園への応募
【主旨】
①全国の学校給食で提供されている郷土を代表する料理を競う大会を通じ、食
育を啓発することと地産地消の奨励を目的とします。そしてこの活動を通じて
地域の活性化につながる事に貢献したいと考えています。
②本大会が食育推進に役立てるとともに、給食に携わる栄養教諭、学校栄養職
員や調理員の目標として励みになり、子供たちや学校の教職員全体に生きが
いや活力を与える大会にしたいと考えています。
③育ち盛りの児童生徒の健全な食生活を考えながら、本大会を通じて多くの方々
に学校給食の重要な役割を知っていただく機会にしたいと思います。