論文内容要旨 論文題名 Tumor protein D52 expression is post

論文内容要旨
論文題名
Tumor protein D52 expression is post-transcriptionally regulated by
T-cell intercellular antigen (TIA) 1 and TIA-related protein via mRNA
stability
(TPD52 の発現は TIA-1,TIAR によって RNA の安定性を介して転写後制御を
されている。)
掲載雑誌名
Oncogene(投稿中)
口腔外科学
本橋
宏美
内容要旨
【目的】新規のタンパクファミリーである Tumor Protein D (TPD) ファ
ミリーは癌の浸潤・増殖・転移に重要な働きを示すと報告されている。
TPD52 ファミリーを構成する 4 つのタンパクのうち TPD52 の mRNA は他の
ファミリーに比べ 3'-UTR が長く AU リッチ配列が多く存在していたため、
mRNA の転写後遺伝子発現制御を検索した。【方法・材料】SAS 細胞、正常
線維芽細胞、HeLa 細胞を用い核 Run on assay、RT-qPCR 法、RNA degradation
assay を行い、それぞれ TPD52、53、54 の総 RNA 量、mRNA の転写活性お
よび半減期の測定を行った。3'-UTR の転写後制御作用を調べるため GFP
キメラ遺伝子を作成し、SAS 細胞にトランスフェクションし GFP の発現を
FACS にて測定した。次に mRNA の全長及び様々な断片の cDNA を作製し、
GFP 遺伝子の 3'-末端に繋いで同様のレポーターベクターを作製し、SAS
細胞にトランスフェクションし、FACS 解析及び RNA degradation assay
を行い最小活性単位(cis-element)の検索行った。さらに RIP assay と
Biotin pull-down assay を用い、この領域に結合する trans 因子の単離
を行った。
【結果】TPD52、53、54 遺伝子の総 RNA 量と mRNA の転写活性は
発現量と同じ傾向を示したが、TPD52 mRNA の半減期は細胞種依存的に異
なっていた。FACS 解析では GFP の発現量は特に TPD52 mRNA 3'-UTR によ
り増強された。TPD52 mRNA3'-UTR のさまざまな deletion mutant のうち
5'側の 78-280 領域が RNA の安定性に関与する最小活性部位であるとわか
った。RIP assay および Biotin pull-down assay により 78-280 領域に
TIAR-1/TIAR が特異的に結合することが明らかとなった。TIA-1 および
TIAR を siRNA で knock-down により、TPD52mRNA 3'-UTR の遺伝子発現増強
作用および mRNA の安定化作用は減弱した。
【考察】TPD52mRNA は転写後修
飾を受け安定性が変化する。TPD52mRNA の発現量は mRNA の安定性と相関
関係があり、その安定性に関与する最小領域の一つは、3'-UTR の 5'末端
に存在する 78-280 領域である。78-280 領域の mRNA の安定作用は領域内
にある AUUUA ペンタマー配列の存在に依存する。さらに この領域に
TIA-1/TIAR が結合することが明らかとなり、この結合により RNA の安定
性が制御されることが示唆された。