平成28年7月29日 パブリックコメントにおける主な意見の概要とこれらに対する 国土交通省の考え方 平成28年4月25日から同年5月31日まで、「マンション標準管理委託契約書(以下 「標準委託契約書」という。)」及び「マンション標準管理委託契約書コメント(以下「コメ ント」という。)」の改正案に関する意見の募集を行いました。その結果、12名・団体から 計28件のご意見を頂きました。 主な意見の概要とこれらに対する国土交通省の考え方を以下のとおりまとめました(賛意 のみを示すご意見等については記載しておりません。)。 なお、ご意見につきましては、とりまとめの便宜上、分割、集約等をさせていただいてお ります。 1.管理情報の開示規定(標準委託契約書第14条)関係 主な意見の概要 ・第14条第1項後段に「甲の組合員が、当該組合員が所有する専有部分の売却 等を目的とする情報収集のためにこれらの提供等を求めてきたときも、同様と する」とあり、専有部分の売却等を目的とする組合員のみが、マンション管理 業者から管理情報を入手できるようになっている。他の組合員についてもマン ション管理業者から管理情報を入手できるよう第14条第1項後段を削除すべ き。 ・管理委託契約を更新する際に、標準委託契約書第14条の改正前の規定から改 正後の規定に準拠する内容への変更のみ行う場合、当該変更は国土交通省通達 で示す「軽微な変更」に該当することから、マンション管理適正化法第72条 (重要事項の説明等)の規定の適用に当たっては、同一条件での更新契約とし て、同条第2項及び第3項の適用が可能であることを確認したい。 意見数 2件 意見に対する考え方 ・第14条第1項後段の規定は、マンション管理業者が、一般的に専有部分の売却等を目 的とする組合員以外の組合員に対する情報開示事務を管理組合から受託していないこと を踏まえたものです。なお、マンション標準管理規約では、管理組合の理事長は、組合 員等の請求があったときは、管理規約、会計帳簿等を閲覧させなければならない等とさ れています。 ・第14条の規定に基づく情報開示事務は、宅地建物取引業者等(以下「宅建業者等」と いう。)からの求めがあった都度生じる事務であって、定量的かつ経常的に生じる事務で はないこと、また、宅建業者等から当該事務に要する費用を受領することができること から、改正後の第14条の規定に準拠する内容への変更のみを行うに当たり、管理委託 契約に定める「管理事務に要する費用の額」を増額することはないものと想定していま す。この場合には、 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律第72条に規定する 重要事項の説明等について(平成14年2月28日国総動第309号)」の第一の5の (2)に関する「契約内容の軽微な変更」に該当するため、マンション管理適正化法第 72条第2項及び第3項の規定が適用されることになります。なお、この変更に当たっ ては、各管理組合と十分な調整を行うことが必要であり、当該調整の過程の中で、個々 の管理組合の状況等に応じた、説明会開催の必要性等が話し合われるべきと考えます。 1 2.宅建業者等の求めに応じて開示する事項(標準委託契約書別表第5)関係 主な意見の概要 意見数 〇「2 管理体制関係」 11 件 ・ 役員への外部専門家の活用状況、管理会社の理事会への参加回数を追加す べき。 〇「3 共用部分関係」 ・ 「(2)駐車場」に、①空き区画数・空室率、②使用区画の定期的な入れ替 え制の有無を追加すべき。 等 〇「5 管理組合収支関係」 ・ 「(1)収支及び予算の状況」に、駐車場等使用料の会計区分を追加すべき。 ・ 「(3)管理費等の変更予定等」の「⑪組合費」を削除すべき。 〇「7 大規模修繕計画関係」 ・ 「②共用部分等の修繕実施状況」について、主な修繕に限定すべき。 等 〇「12 備考」 ・ 議決権の四分の一以上を持つ区分所有者の有無を追加すべき。 〇 その他 ・ 管理規約だけでなく、使用細則、長期修繕計画も提供の対象に追加すべき。 ・ 居住者の特性に関する情報(年代・性別の割合等)も開示対象に追加すべ き。 意見に対する考え方 ・別表第5に記載している事項は、マンション標準管理規約における管理情報の開示情報 項目や、専有部分の売却等の依頼を受けた宅建業者からの依頼に応じて管理情報を開示 する際の様式例、購入予定者・宅建業者のニーズの高さ等を踏まえ、一般的な開示情報 であると考えられるものです。 ・追加すべきとの意見をいただいた事項については、マンション標準管理規約の開示情報 項目になっていないなど一般的とまでは考えられないことから、別表第5に含めており ません。なお、別表第5においては、使用細則に関し、その名称やペットの飼育制限の 有無等を開示事項として記載しているほか、長期修繕計画の有無等も開示事項としてい ます。 ・削除すべきとの意見をいただいた「組合費」については、マンション標準管理規約の開 示情報項目になっているなど一般的な項目と考えられることから、記載しているもので す。なお、 「組合費」を徴収していない管理組合については、当該項目を削除すべきであ ると考えます。 3.コメント「13 第14条関係」関係 主な意見の概要 ・②及び③の「共用部分における重大事故・事件」について、 「共用部分」に「敷 地」が含まれるか否かを明確にすべき。また、 「重大」か否かを判断するための 指針等を示すべき。 ・マンション管理業者が関与していない過去の修繕の実施状況等については、管 理組合から情報提供を受けた範囲で開示することとなる旨を述べた、現行の④ の記載内容を残すべき。 ・第14条第2項においてマンション管理業者が情報開示の相手方から受領でき ることとしている費用の上限額を定めるべき。 ・⑦に記載している情報開示件数、マンション管理業者が受領する金額等の報告 2 意見数 8件 については、報告を義務付けるべき。 ・⑦に記載している情報開示件数、マンション管理業者が受領する金額の報告に ついては、必要がないため削除すべき。 等 意見に対する考え方 ・ 「共用部分における重大事故・事件」について、ご指摘を踏まえ、敷地における重大事故・ 事件が含まれることが明確になるよう「敷地及び共用部分における重大事故・事件」に 修正しました(標準委託契約書別表第5も同様に修正)。なお、「重大事故・事件」に該 当するかについては、個別具体の事案に即して、その内容、態様、影響等を総合的に勘 案して判断すべきものであり、判断のための指針等をあらかじめ示すことは困難である と考えます。 ・現行の「13 第14条関係」の④の記載内容を、ご指摘を踏まえ、 「13 第14条関 係」の②の中に記載しました。 ・情報開示事務に要する費用(情報の収集・蓄積・定期的な更新等のための費用を含む。) については、管理組合・マンション管理業者によって一様ではないこと等から、マンシ ョン管理業者が受領できる費用の上限額を定めることは困難であると考えます。 ・⑦の「提供・開示した件数」及び「受領することとする金額等」は、管理規約の提供等 の事務に要する費用を管理組合が負担することとはなっていないこと等を踏まえ、管理 組合の請求に応じて報告することも考えられるとの整理を行っています。 4.その他 主な意見の概要 ・標準委託契約書に、いわゆる暴力団等排除条項を設けるべき。 意見数 1件 意見に対する考え方 ・今回の標準委託契約書の改正は、マンション標準管理規約が改正されて情報開示規定が 整備されたこと等を踏まえ、標準委託契約書第14条に関する所要の見直しを行うもの です。ご指摘の点は今後の検討課題であると考えています。 3
© Copyright 2024 ExpyDoc