14 山形県医師会会報 平成28年7月 第779号 山形県急性心筋梗塞発症登録評価研究事業 平成26年のまとめ 山形大学医学部 内科学第一講座 豊島 拓、西山 悟史、和根崎 真大 渡邉 哲、久保田 功 山形大学医学部 公衆衛生学講座 平山 敦士、川崎 良 山形県医師会 德永 正靱 1.はじめに 「山形県急性心筋梗塞発症登録評価研究事業」は 平成5年に山形県より山形県医師会が登録業務の 委託を受け発足し1),2)、平成18年度より山形県医師 会の事業として実施していた。平成22年度より再 び県で新たにスタートした「山形県脳卒中・心筋 梗塞発症登録評価研究事業」に組み込まれ、平成23 年度から本事業の委託先が医師会から山形大学医 学部へ変更となったが、急性心筋梗塞に関する事 業については県医師会の全ての医療機関の全面的 な協力支援を得て実施している状況に変わりはな い。現在23年次を継続中であり、平成5年4月か ら平成26年12月までの22年間で急性心筋梗塞登 録総数はのべ11, 173名に達した。各年次のまとめ は山形県医師会報において毎年公表されている。 長年の蓄積データを解析したところ、診断・治 療・予防医学の観点から意義深い知見が得られ、 国際学会と英文誌において報告した。本稿では平 成26年1月から12月までの第22年目の調査結果 を報告するとともに、過去22年間の登録者数、平 均年齢、冠動脈形成術施行率と急性期死亡率の年 次推移を示し考察する。 表2.平成26年登録症例 ( 1) 県 内26施 設 よ り 登 録 さ れ た634症 例 の う ち、 WHOの 診 断 基 準3)に 準 じ578例 を 急 性 心 筋 梗 塞 )と診断した。そのうち33例はAMI による突 (AMI 然死症例(院外CPA症例)であった。平成26年の 山形県人口動態統計調査(県健康福祉部健康福祉 企画課による一般公表)の結果を基に算出したAMI の発症率は51. と診断さ 1/ 10万人年であった。AMI れた578例についての解析結果を以下に述べる。 㪄㪈㪑㩷⊓㍳∝ ᕆᕈᔃ╭᪪Ⴇ 㪌㪎㪏 䋨䈉䈤䇮ᕆᕈᔃ╭᪪Ⴇ䈮䉋䉎⓭ὼᱫ 㪊㪊 䋩 ේ࿃ਇ䈱⓭ὼᱫ 㪍㪌㩷 ว⸘ 㪍㪋㪊 ᕆᕈᔃ╭᪪Ⴇ⊒∝₸ 㪌㪈㪅㪈㪆㪈㪇ਁੱᐕ 㩿ᐔᚑ㪉㪌ᐕጊᒻ⋵ੱญ 㪈㪃㪈㪊㪇㪃㪍㪌㪐ੱ㪀 3.患者背景 ( 表2) 男性412例、女性166例がAMI として登録された。 女性患者(79±10歳)は男性患者(68±13歳)に 比し有意に高齢であった。患者住所による地区別 㪄㪉㪑㩷ᕆᕈᔃ╭᪪Ⴇ∝䈱ᖚ⠪⢛᥊ ↵ᕈ ᅚᕈ ว⸘䉁䈢䈲ᐔဋ ✚ ᢙ 㩿㪀 㪋㪈㪉 㪈㪍㪍 㪌㪎㪏 ᐕ 㦂 㩿ᱦ㪀 㪍㪏㫧㪈㪊 㪎㪐㫧㪈㪇㪁㪁 㪎㪉㫧㪈㪊 り 㐳 㩿㪺㫄㪀 㪈㪍㪋㫧㪎 㪈㪋㪏㫧㪎㪁㪁 㪈㪍㪇㫧㪈㪇 ㊀ 㩿㫂㪾㪀 㪍㪌㫧㪈㪊 㪌㪇㫧㪈㪇㪁㪁 㪍㪉㫧㪈㪋 ⊒ ∝ ᢙ ᐣ ౝ 㪐㪎 㪋㪉 㪈㪊㪐㩷㩿㪉㪋㩼㪀 ᦨ 㪊㪉 㪐 㪋㪈㩷㩿㪎㩼㪀 ጊ㩿ጊᒻᏒ䉕㒰䈒㪀 㪈㪇㪐 㪌㪍 㪈㪍㪌㩷㩿㪉㪐㩼㪀 ጊ Ꮢ 㪎㪌 㪉㪍 㪈㪇㪈 㩿㪈㪎㩼㪀 ⟎ ⾦ 㪏㪎 㪊㪈 㪈㪈㪏 㩿㪉㪇㩼㪀 ⋵ ᄖ 㪈㪉 㪉 㪈㪋㩷㩿㪉㩼㪀 ᒻ 㪁㪁㪧㪓㪇㪅㪇㪈㩷㫍㫊㪅㩷↵ᕈ㪅㩷㩷ᐕ㦂㪃㩷り㐳㪃㩷㊀䈲ᐔဋ㫧ᮡḰᏅ䉕␜㪅 山形県医師会会報 平成28年7月 第779号 発症数は、庄内地区139例(24%)、最上地区41例 (7%)、村山地区(山形市を除く)165例(29%)、 山形市101例(17%)、置賜地区118例(20%)、県 外14例(2%)であった。昨年の解析結果とほぼ同 様であり、地区別発症数の割合は山形県の地区別 総務省統計局による平成26年国勢調査) 人口比 ( にほぼ一致した。我々は平成22年までのデータを 発症率の推移に関して検 もとに、地域間でのAMI 討を行い、英文誌にて報告した4)。 表4. 冠動脈疾患の危険因子 ( 3) 冠動脈危険因子として高血圧症を68%、喫煙歴 を61%に認めた。高血圧の合併頻度は男性に比し 女性で有意に高く、喫煙歴は男性において有意に 多かった。男性の喫煙者は全男性登録症例の78%、 全喫煙者の94%(253/ 268例)を占めており、昨年 症例における男性の喫煙歴は高率であっ 同様AMI た。糖尿病と脂質異常症の合併頻度はそれぞれ 37%、49%であった。脳卒中の既往を有する例を 15%に、心筋梗塞の再発例を11%に認めた。解析 可能症例における血清脂質レベルでは、男性の中 性脂肪値が女性に比し有意に高値で、HDLコレス テロールが低値であった。 平成19年までの登録データをもとに、冠危険因 発症率の関係を検討し、平成22年 子の推移とAMI の日本循環器学会総会にて発表を行い、英文誌に て報告した5)。 㪄㪊㪑㩷േ⣂ෂ㒾࿃ሶ㩿㊀ⶄ䈅䉍㪀 表5.発症時の臨床症状と状況 ( 4) 初発時の症状で最も多いものは定型的な(確か な心外性の原因がなく、20分以上続く入院を要す 。次 る程度の)胸痛と胸部絞扼感であった(82%) いで呼吸困難、失神・眩暈や嘔吐、気分不良・腹 痛・下痢等の消化器症状を認めた。非典型的な症 状として肩・上腕・背部の痛みが挙げられた。性 別ごとに臨床症状の検討を行うと、胸痛・胸部絞 扼感の自覚は女性に比し男性で有意に多かった。 一方、嘔吐・気分不良は男性に比し女性において 有意に多かった。例年呼吸困難は女性において有 意に多かったが、今回は有意な差を認めなかった。 失神・眩暈も男女間で有意差を認めなかった。 発症時の状況は、安静時(37%)、仕事・労 AMI 、食 作 中(22%)、睡 眠 中(12%)、起 床 時(5%) 事・飲酒中(5%)であった。仕事・労作中のうち 除雪作業時の発症は11%(15/ 139例)であり、積 雪の多い本県では注意が必要である。また、例年 入浴中・直後、排尿・排便時、運転中などが欄外 に挙げられており、これらにも注意が必要である。 㪄㪋㪑㩷ᕆᕈᔃ╭᪪Ⴇ⊒∝ᤨ䈱⥃ᐥ∝⁁䈫⁁ᴫ ↵ᕈ ᅚᕈ ว⸘ ⢷ ∩ 䊶 ⢷ ㇱ ⛉ ᛗ ᗵ 㪊㪉㪎㩷㩿㪏㪊㩼㪀 㪈㪈㪏㩷㩿㪎㪎㩼㪀㪁 㪋㪋㪌㩷㩿㪏㪉㩼㪀 㔍 㪍㪏㩷㩿㪈㪎㩼㪀 㪉㪐㩷㩿㪈㪏㩼㪀 㪐㪎㩷㩿㪈㪏㩼㪀 ᄬ䊶⌇ᥝ䊶ᗧ⼂ૐਅ 㪋㪋㩷㩿㪈㪈㩼㪀 㪉㪋㩷㩿㪈㪋㩼㪀 㪍㪏㩷㩿㪈㪉㩼㪀 ཌྷฯ䊶ཌྷ᳇䊶᳇ಽਇ⦟ 㪌㪏㩷㩿㪈㪋㩼㪀 㪋㪎㩷㩿㪉㪐㩼㪀㪁㪁 㪈㪇㪌㩷㩿㪈㪐㩼㪀 ⥃ᐥ∝⁁㩿㊀ⶄ䈅䉍㪀 ๆ ᅚᕈ 㜞ⴊ∝ 㪉㪌㪋㩷㩿㪍㪌㩼㪀 㪈㪈㪌㩷㩿㪎㪋㩼㪀㪁㪁 㪊㪍㪐㩷㩿㪍㪏㩼㪀 ♧ዩ∛ 㪈㪋㪐㩷㩿㪊㪏㩼㪀 㪌㪊㩷㩿㪊㪋㩼㪀 㪉㪇㪉㩷㩿㪊㪎㩼㪀 㜞⢽ⴊ∝ ༛ᾍᱧ ⣖තਛ䈱ᣢᓔ ᔃ╭᪪Ⴇ䈱ᣢᓔ ว⸘ 㪈㪐㪎㩷㩿㪌㪈㩼㪀 㪍㪌㩷㩿㪋㪉㩼㪀 㪉㪍㪉㩷㩿㪋㪐㩼㪀 㪉㪌㪊㩷㩿㪎㪏㩼㪀 㪈㪌㩷㩿㪈㪊㩼㪀㪁㪁 㪉㪍㪏㩷㩿㪍㪈㩼㪀 㪌㪊㩷㩿㪈㪌㩼㪀 㪉㪍㩷㩿㪈㪏㩼㪀㪁 㪋㪎㩷㩿㪈㪈㩼㪀 㪈㪋㩷㩿㪏㩼㪀㩷 㪎㪐㩷㩿㪈㪌㩼㪀 㪍㪈㩷㩿㪈㪈㩼㪀 㪌㪏 㪉㪇 㪎㪏 ᢔ∩䊶∽䉏㩿⢋䊶⣨╬㪀 㪊㪎 㪈㪇 㪋㪎 ∩ 㪏 㪐 㪈㪎 ᔃ┃ㇱ∩䊶⣻∩䊶ਅ∯ 㪈㪇 㪌 㪈㪌 ᤨ 㪈㪋㪈 㪎㪊 㪉㪈㪋㩷㩿㪊㪎㩼㪀 ਛ 㪈㪈㪈 㪉㪏 㪈㪊㪐㩷㩿㪉㪉㩼㪀 ᬺ ਛ 㪈㪌 㪇 㪈㪌 ਛ 㪌㪌 㪈㪍 㪎㪈㩷㩿㪈㪉㩼㪀 ⊒ ㇱ ∝ ᤨ 䊶 㒰 㔐 ⌧ 㪈㪎㪍㫧㪋㪍 㪈㪎㪍㫧㪋㪍 ਛᕈ⢽⢌ (㫄㪾㪆㪻㫃㪀 㪈㪊㪉㫧㪈㪉㪎 㪈㪇㪇㫧㪌㪎㪁㪁 㪈㪉㪊㫧㪈㪈㪋 㪈㪇㪇㩿㪍㪎㵥㪈㪌㪎㪀 㪏㪈㩿㪍㪇㵥㪈㪉㪎㪀㪁 㪐㪎㩿㪍㪊㵥㪈㪋㪏㪀 㪟㪛㪣䉮䊧䉴䊁䊨䊷䊦 (㫄㪾㪆㪻㫃㪀 㪋㪊㫧㪈㪈 㪋㪏㫧㪈㪊㪁 㪋㪌㫧㪈㪉 㪣㪛㪣䉮䊧䉴䊁䊨䊷䊦 (㫄㪾㪆㪻㫃㪀 㪈㪈㪈㫧㪊㪎 㪈㪈㪇㫧㪊㪏 㪈㪈㪈㫧㪊㪎 ᣢᓔਇ䈶䊂䊷䉺ᰳ៊䈲⸃ᨆ䉋䉍㒰ᄖ㪅 㪁㪧㪓㪇㪅㪇㪌㩷㫍㫊㪅㩷↵ᕈ㪅㩷㪁㪁㪧㪓㪇㪅㪇㪈㩷㫍㫊㪅㩷↵ᕈ㪅㩷 ⴊᷡਛᕈ⢽⢌୯䈲ᐔဋ㫧ᮡḰᏅ䈶 ਛᄩ୯ 㩿㪉㪌䊌䊷䉶䊮䉺䉟䊦 㵥㩷㪎㪌䊌䊷䉶䊮䉺䉟䊦㪀㩷䉕␜㪅㩷㩷㩷㩷 ⁁ ഭ ⌁ ᐥ ᴫ ᤨ 㪉㪊 㪏 㪊㪈㩷㩿㪌㩼㪀 㘩 䊶 㘶 ㈬ ਛ 㪈㪏 㪈㪇 㪉㪏㩷㩿㪌㩼㪀 ᶎ ਛ 㪆 ⋥ ᓟ 㪍 㪊 㪐 ឃ ዩ 䊶 ឃ ଢ ਛ 㪈㪉 㪊 㪈㪌 ਛ 㪈㪈 㪈 㪈㪉 䊧 䊎 ⾨ ਛ 㪈 㪉 㪊 ਛ 㪉 㪈 㪊 䊁 㪈㪎㪌㫧㪋㪍 䈱 㕒 ㆇ ✚䉮䊧䉴䊁䊨䊷䊦 (㫄㪾㪆㪻㫃㪀 ࿎ ಄䉇᳨䊶ోりୱᕃᗵ䊶⣕ജ ⢛ ↵ᕈ 15 ㅘ ォ 㐓 ᨆ 㪁㪧㪓㪇㪅㪇㪌㩷㫍㫊㪅㩷↵ᕈ㪅 㪁㪁㪧㪓㪇㪅㪇㪈㩷㫍㫊㪅㩷↵ᕈ㪅 表6.臨床検査所見 ( 5) 発症から最終的に収容を受けた病院までの到着 時間は平均7時間(中央値2時間)であった。以 前認めた到着時間の男女差は、ここ数年認めな かった6)。 確実な心電図所見(異常Q波の出現または1日 16 山形県医師会会報 平成28年7月 第779号 以上続くST上昇の経時的変化)が捉えられた症例 は71%、心筋逸脱酵素値の明らかな異常(発症ま たは入院72時間以内に少なくとも1回以上、上限 の2倍以上)が捉えられた症例は84%を占めた。男 性の血清CPK最高値は女性に比し有意に高値だっ た。Q波梗塞が全体の61%を占め、心電図変化によ る梗塞部位は前壁梗塞と下壁梗塞がそれぞれ43%、 40%を占めた。これら臨床検査所見に関する結果 は、いずれも昨年とほぼ同様だった。 㪄㪌㪑㩷⥃ᐥᬌᩏᚲ ↵ᕈ ᅚᕈ ว⸘䉁䈢䈲ᐔဋ 㪎㫧㪈㪇 㪊 㩿㪈㪄㪏㪀 㪎㫧㪈㪉 㪉㩷㩿㪈㪄㪏㪀 㪎㫧㪈㪏 㪉 㩿㪈㪄㪏㪀 ᔃ㔚࿑ ⏕ታ ਇ⏕ታ ᒰᚲ䈭䈚 ਇ 㪉㪐㪍㩷㩿㪎㪉㩼㪀 㪍㪉 㪋㪊 㪈㪈 㪈㪈㪊㩷㩿㪍㪏㩼㪀 㪉㪍 㪈㪎 㪈㪇 㪋㪇㪐㩷㩿㪎㪈㩼㪀 㪏㪏 㪍㪇 㪉㪈 ᪪Ⴇ䈱ဳ 㪨ᵄ 㕖㪨ᵄ ਇ 㪉㪍㪐㩷㩿㪍㪌㩼㪀 㪈㪉㪊㩷㩿㪊㪇㩼㪀 㪉㪇 㪏㪋㩷㩿㪌㪈㩼㪀㪁㪁 㪍㪊㩷㩿㪊㪏㩼㪀 㪈㪐 㪊㪌㪊㩷㩿㪍㪈㩼㪀 㪈㪏㪍㩷㩿㪊㪉㩼㪀 㪊㪐 㪈㪏㪊㩷㩿㪋㪍㩼㪀 㪈㪌㪉㩷㩿㪊㪏㩼㪀 㪌㪎㩷㩿㪈㪋㩼㪀 㪈㪈 㪌㪏㩷㩿㪊㪏㩼㪀 㪍㪎㩷㩿㪋㪋㩼㪀 㪊㪇㩷㩿㪉㪇㩼㪀 㪋 㪉㪋㪈㩷㩿㪋㪊㩼㪀 㪉㪈㪐㩷㩿㪋㪇㩼㪀 㪏㪎㩷㩿㪈㪍㩼㪀 㪈㪌 㪊㪌㪈㩷㩿㪏㪌㩼㪀 㪉㪌 㪈㪍 㪈㪈 㪊 㪉㪃㪍㪊㪋㫧㪋㪃㪇㪌㪇 㪈㪊㪉㩷㩿㪏㪇㩼㪀 㪈㪇 㪏 㪌 㪉 㪈㪃㪍㪇㪍㫧㪈㪃㪋㪊㪋㪁㪁 㪋㪏㪊㩷㩿㪏㪋㩼㪀 㪊㪌 㪉㪋 㪈㪍 㪌 㪉㪃㪊㪋㪈㫧㪊㪃㪌㪊㪐 㪈㪃㪌㪏㪊㩷㩿㪍㪋㪈㵥㪊㪃㪈㪏㪉㪀 㪈㪃㪉㪊㪋 㩿㪋㪎㪌㵥㪊㪃㪌㪌㪋㪀㪁㪁 㪈㪃㪋㪏㪏㩷㩿㪌㪐㪏㵥㪉㪃㪐㪌㪐㪀 ∛㒮ኈ䉁䈪䈱ᤨ㑆㩿㪿㫉㪀 㩿ਛᄩ୯㪀 ᪪Ⴇㇱ㩿㊀ⶄ䈅䉍㪀 ೨ო ਅო ო 䈠䈱ઁ ᔃ╭ㅺ⣕㉂⚛ ⇣Ᏹ Ⴚ⇇ၞ ᱜᏱ ਇቢో 㕖․⇣⊛ 㪚㪧㪢ᦨ㜞୯ 㩿㪠㪬㪀 㪄㪍㪑㩷ᕆᕈᦼ㩿⊒∝㪉㪏ᣣએౝ㪀ᱫ₸䈫ᱫේ࿃ ↵ᕈ ᅚᕈ ว⸘ 䊘䊮䊒ᄬ⺞ 㪊㪋 㪊㪉 㪍㪍㩷㩿㪍㪉㩼㪀 ᔃ⎕ⵚ䊶ਛ㓒⓫ሹ 㪏 㪏 㪈㪍 㩿㪈㪌㩼㪀 ਇᢛ⣂ 㪍 㪊 㪐 㩿㪐㩼㪀 ᔃ⤳એᄖ䈱ේ࿃ 㪏 㪋 㪈㪉㩷㩿㪈㪈㩼㪀 䈠䈱ઁ䋨⚦ਇ䋩 㪈 㪈 㪉㩷㩿㪉㩼㪀 ว⸘ 㪌㪎 㪋㪏 㪈㪇㪌 ᕆᕈᦼᱫ₸ 㪈㪏㪅㪉㩼㩷㩿㪈㪇㪌㪆㪌㪎㪏㪀㪅 㪁㪁㪧㪓㪇㪅㪇㪈㩷㫍㫊㪅㩷↵ᕈ㪅㩷㩷 ∛㒮ኈ䉁䈪䈱ᤨ㑆䈫ⴊᷡ㪚㪧㪢୯䈲 ᐔဋ㫧ᮡḰᏅ䈶ਛᄩ୯ 㩿㪉㪌䊌䊷䉶䊮䉺䉟䊦 㵥㩷㪎㪌䊌䊷䉶䊮䉺䉟䊦㪀㩷䉕␜㪅㩷㩷㩷 表7.急性期死亡率と原因 ( 6) 平成26年の急性期死亡率(AMI 発症28日以内の 死亡率)は18. 2%(105/ 578例)で、院外CPA(心 肺 停 止)症 例 を 除 い た 急 性 期 死 亡 率 は13. 2% (72/ 545)であった。一方院外CPA症例で急性期を 乗り超えることができた症例は21. 4%であった。死 亡原因の62%がポンプ失調だった。急性期死亡例 は、非死亡例に比し有意に高齢であった(80±11 .70±13歳、P< 0. 01)。女性患者の急性期死亡 vs 率は、男性に比し有意に高値であった(48/ 166例; .57/ 29% vs 412例;14%、P<0. 01)。これは、女性 患者が男性患者に比し高齢であることが一因と考 えられた。 表8.心不全重症度と急性期死亡率の関係 ( 7) 心不全重症度分類であるKi l l i p分類では、Ⅰ度 (心不全なし)を336例(58%)、Ⅳ度(心原性ショッ ク)を108例(19%)に認めた。入院時の心不全重 症度が高くなるにつれ、急性期死亡率は有意に上 昇した(Ki l l i pⅠ5%,Ⅱ10%,Ⅲ32%,Ⅳ62%)。 性 別 ご と に 比 較 す る と、女 性 の 重 症 心 不 全 (Ki l l i pⅢ,Ⅳ)の割合は、男性に比して有意に多 . かった (64/ 166例;39%vs 91/ 412例;22%、P<0. 01)。 女性において重症心不全患者が多いこともまた、 女性の急性期死亡率が高くなる一因と考えられた。 㪄㪎㪑㩷㒮ᤨ䈱ᔃਇో㊀∝ᐲ䈫ᕆᕈᦼᱫ₸䈱㑐ଥ 㪢 㫀 㫃 㫃 㫀 㫇 ಽ 㘃 ↵ᕈ ᅚᕈ ว⸘ ᱫᢙ䋨₸䋩 㸇䋨ᔃਇో䈭䈚䋩 㪉㪍㪈 㪎㪌 㪊㪊㪍 㪈㪍㩷䋨㪌㩼䋩 㸈䋨シᐲᔃਇో䋩 㪋㪏 㪉㪌 㪎㪊 㪎㩷䋨㪈㪇㩼䋩 㸉䋨㊀∝ᔃਇో䋩 㪉㪏 㪈㪐 㪋㪎 㪈㪌㩷䋨㪊㪉㩼䋩 㸊䋨ᔃේᕈ䉲䊢䉾䉪䋩 㪍㪊 㪋㪌 㪈㪇㪏 㪍㪎 䋨㪍㪉㩼䋩 ਇ 㪈㪉 㪉 㪈㪋 㪇 9.再灌流療法の手技別施行数と急性期死亡率の 表 関係 ( 8) 登録症例のうち448例(78%)に対して急性期に )が施行さ 経皮的冠動脈インターベンション(PCI に れた。昨年同様血栓溶解剤使用のほとんどがPCI 施行群は、男性に比し 併用されていた。女性のPCI .345/ 有 意 に 低 か っ た(103/ 166例;62% vs 412 例;84%、P< 施行群は、冠血行 0. 01)。急性期PCI 再建未施行群に比し有意に死亡率が低かった(8% 01)。平成21年度までの報告をもと vs .52%、P<0. 施行率の推移を検討し、 に、性別ごとの死亡率とPCI 平成25年の欧州心臓病学会総会にて報告を行った。 山形県医師会会報 平成28年7月 第779号 高いPCI 施行率にも関わらず急性期死亡率改善が 施行困難 頭打ちにある一因と考えられる。今後PCI 例や複合併存疾患を有し治療が複雑化する症例の 増加が予想され、生存率改善への障害となること が懸念される。 㪄㪏㪑㩷ౣἠᵹ≮ᴺ䈱ᚻᛛᣉⴕᢙ䈫ᕆᕈᦼᱫ₸䈱㑐ଥ ⚻⊹⊛േ⣂ᒻᚑⴚ 䋨䈉䈤ਇᚑഞ䋩 ૬↪≮ᴺ 䋫േ⣂䊋䉟䊌䉴ⴚ 䋫ⴊᩖṁ⸃䈱ᵈ 䋫ⴊᩖṁ⸃䈱㕒ᵈ േ⣂䊋䉟䊌䉴ⴚ䈱䉂 ✚ ᢙ ᱫ⠪ᢙ ᱫ₸ 㪋㪋㪏 㩿㪉㪈㪀 㪊㪎 㩿㪈㪈㪀 㪏㩼 㩿㪌㪉㩼㪀 㪋 㪉㪎 㪋 㪇 㪋 㪈 㪐 17 ࿑㪄㪉㪑㩷⊓㍳∝ᢙ䈫ᐔဋᐕ㦂䈱ᐕᰴផ⒖ ∝ᢙ ⊓㍳⠪ᢙ ᐕ㦂㩿↵ᕈ㪀 ᐕ㦂㩿ᅚᕈ㪀 ᐕ㦂㩿ᱦ㪀 㪎㪇㪇 㪉 㪏㪇 㪍㪇㪇 ⴊᩖṁ⸃䈱㕒ᵈ䈱䉂 ⴊⴕౣᑪⴚᧂᣉⴕ 㪉 㪇 㪈㪊㪇 㪍㪏 㪎㪌 㪌㪇㪇 㪋㪇㪇 㪌㪉㩼 㪎㪇 㪊㪇㪇 ⚻⊹⊛േ⣂ᒻᚑⴚ䈱૬↪≮ᴺ䈮㊀ⶄ䈅䉍䋮 㪉㪇㪇 ᕆᕈᦼ⚻⊹⊛േ⣂䉟䊮䉺䊷䊔䊮䉲䊢䊮ᣉⴕ₸ 㪎㪏㩼㩷㩿㪋㪋㪏㪆㪌㪎㪏㪀㪅 㪈㪇㪇 㪍㪌 㪇 㪍㪇 㪟㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇 㪉㪈 㪉㪉 㪉㪊 㪉㪋 㪉㪌 㪉㪍 㩿ᐕ㪀 10.経皮的冠動脈インターベンション施行率と急 1) 性期死亡率の年次推移(図施行率はこの22年間で飛躍的に増加し(平成 PCI 6年26% → 平成25年78%)、急性期死亡率は初期の 20%台から一時は10%台前半まで低下した(平成5 年20. 8% → 平成21年12. 2%)7),8)が、平成22年以後 は上昇傾向にあり、平成26年は18. 2%だった。ただ し、院外CPAを除いた急性期死亡率は13. 2%と例年 施行率は78%であり、 並みであった。平成26年のPCI 施行率はほぼ横ばいで推移し、頭打ち傾 近年のPCI 向にある。急性期死亡率も最近10年は明らかな改 施行 善傾向は認めておらず、死亡率の改善にはPCI 率の上昇が鍵になると考えられる。 ࿑㪄㪈㪑㩷⚻⊹⊛േ⣂䉟䊮䉺䊷䊔䊮䉲䊢䊮ᣉⴕ₸䈫ᕆᕈᦼᱫ₸䈱ᐕᰴផ⒖ 㪧㪚㪠ᣉⴕ₸ 㩿㩼㪀 㪧㪚㪠ᣉⴕ₸ ᱫ₸ 䋨㪚㪧㪘䉕㒰䈒䋩 ✚ᱫ₸ ᱫ₸ 㩿㩼㪀 㪈㪇㪇 㪉㪌 㪏㪇 㪉㪇 㪍㪇 㪈㪌 㪋㪇 㪈㪇 㪉㪇 㪌 㪇 㪇 㪟㪌 㪍 㪎 㪏 㪐 㪈㪇 㪈㪈 㪈㪉 㪈㪊 㪈㪋 㪈㪌 㪈㪍 㪈㪎 㪈㪏 㪈㪐 㪉㪇 㪉㪈 㪉㪉 㪉㪊 㪉㪋 㪉㪌 㪉㪍 㩿ᐕ㪀 12.まとめ 平成26年の山形県における急性心筋梗塞発症率 は51. 1/ 10万 人 年 で あ っ た。急 性 期 総 死 亡 率 は 18. 2%と近年高値にあるが、院外CPA症例を除い た急性期死亡率は13. 2%と例年並みであった。女性 患者は男性患者に比し有意に高齢であった。登録 症例の主な臨床所見は近年の解析結果と同様で あった。男性の喫煙者が全男性登録症例の78%、 全喫煙者の94%を占めており、引き続き禁煙の啓 発が必要である。 施行率は78%であった。PCI が施行 急性期のPCI された症例の急性期死亡率 ( 8%)は、冠血行再建術 未施行例の死亡率 ( 52%)に比し有意に低値であっ 成功率は95%であった。迅 た。急性期におけるPCI 施行は、AMI の急性期死亡率を低 速かつ確実なPCI 下させる上で重要な因子であると強調したい。 施行率は飛躍的 過去22年間で、山形県におけるPCI に増加し、急性期死亡率は初期の20%台から一時は 10%台半ばへと低下したが、近年再び上昇傾向にあ 施行率は70%台後半であったが、 る。平成26年のPCI 急性期死亡率は最近10年間で改善傾向を認めず、 死亡率の改善は頭打ちとなっている。急性心筋梗 塞症例の平均発症年齢は高齢化しており、今後さ 困難な症例が増加することが予想される。 らにPCI 図11.登録症例数と平均年齢の年次推移 ( 2) 山形県におけるAMI の登録症例数と男女別平均 発症者数は、以前 年齢の年次推移を示す9)-17)。AMI 13.謝 辞 平成27年も全国規模の学会にて本事業の結果を 発表することができました。これも22年間にわた は増加傾向にあったが、近年はほぼ横ばいで推移 している。一方、発症年齢は特に女性において年々 患者の高齢化は、近年の 上昇傾向を認める。AMI り本事業に御協力頂きました医師会会員の皆様方 のおかげであり、厚く御礼申し上げます。 本登録評価事業は平成21年度より再び県の事業 18 山形県医師会会報 平成28年7月 第779号 となり、平成22年度より、がん登録と同様に患者 氏名等の個人情報が登録可能となりました。これ により、今後、慢性期予後の検討が可能となり、 更に本事業の重要性は増していくものと思われま す。今後とも益々のご協力とご支援を賜りたく宜 しくお願い申し上げます。 参考文献 1)山形県環境保健部,山形県医師会,山形大学第 一内科:山形県急性心筋梗塞発症登録研究事 業.平成5年の中間報告(第一報).山形県医師 会会報.平成6年;514:5859 2)久保田功、廣野摂、福井昭男、野崎直樹、奥 山雅基、竹石恭知:山形県における急性心筋 梗塞症の短期ならびに長期予後の実態につい て.山形医学.2002;20;6976 3)Tuns t al l PedoeH,Kuul asmaaK,AmouyelP, Ar vei l er D, Raj akangas AM, Paj ak A: hsi n Myocar di ali nf ar ct i onandcor onar ydeat t he WHOMONI CA Pr oj ect : Regi st r at i on pr ocedur es, event r at es, and casef at al i t y r i esi n r at esi n 38popul at i onsf r om 21count f ourcont i nent s.Ci r cul at i on1994;90:583612 4)Wane zakiM,Wat anabe T,Ni s hi yama S, Hi r ayama A, Ar i mot o T, Takahas hi H, Shi s hi do T, Mi yamot o T, Kawas aki R, endsi nt hei nci dences FukaoA,Kubot aI :Tr ofacut emyocar di ali nf ar ct i oni ncoas t aland aAMI i nl and ar easi n Japan:TheYamagat Regi s t r y.JCar di ol2016;68: 11724 5)Ni s hi yama S, Wat anabe T, Ar i mot o T, Takahas hi H, Shi s hi do T, Mi yas hi t a T, Mi yamot oT,Ni t obeJ,Shi bat aY,Kont aT, o T,Fukao A,Kubot aI : Kawat a S,Kat Tr endsi ncor onr yr i s kf ct or samongpat i ent s he wi t h acut e myocar di ali nf ar ct i on overt l as tdecade:t heYamagat a AMIr egi s t r y.J At her os cl erThr omb2010;17:98998 6)西山 悟史、廣野 摂、竹石 恭知、柴田 洋雄、 久保田 功:急性心筋梗塞症例における発症か ら病院到着までの時間が医療費と予後にあた える影響.心臓 2008;40:83844 7)I t oH,Kubot aI ,YokoyamaK,Yas umur aS, Tomoi ke H: Angi opl as t y but not t hr ombol ys i si mpr ovess hor t t er m mor t al i t y of acut e myocar di al i nf ar ct i on. 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