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特集
D
マイナンバー制度
マイナンバー制度の利活用に向けて
~日本を動かす~
マイナンバー制度が始まりました。所謂「マイナンバー法」が成立した直後の平成25年7月か
らマイナンバー制度に携わってきた私は、自分の通知カードを眺めつつ、大いなる充実感に浸っ
ています。
平成21年の夏、官庁訪問で浅岡参事官補佐(左ページ。当時は在上海日本国総領事館領事)に
面接をしてもらった私は、「このような人と一緒に働きたい!」との思いを強く抱きました。そ
れから4年。浅岡参事官補佐と一緒に働く機会を頂き、マイナンバー制度の導入というビックプ
ロジェクトの成功に向けて、内閣官房の一室で机を並べ、時には熱く議論をし、時には熱い指導
をいただきながら(笑)、様々な準備・検討を進めてきました。
平成27年7月からは国税庁に戻り、「国税庁の視点」からマイナンバー制度の導入・利活用に
ついて検討を進めています。マイナンバー制度は国税庁におけるICT化や業務改革にも資する
重要なインフラであり、マイナンバー制度を徹底的に利活用することは、国税庁が直面する最大
の課題の一つとなっています。この課題解決に向けて、最高のチーム、最高の仲間とともに、内
閣官房への出向経験も踏まえながら施策を企画・立案しています。
思えば、平成21年夏の私は、税に関する知識はありませんでした。今の自分があるのは、温か
く見守ってくれたこれまでの同僚や上司、過去に直面した困難な課題、それに対応した経験があ
ってこそのものであると痛感しています。
知識と経験は不問。皆さんもぜひ国税庁の門を叩いてみてください。
マイナンバー制度とともに
私は、制度の骨格も名称も決まっていない頃から、足掛け6年、マイ
ナンバー制度の設計・構築、円滑な導入に向けて取り組んできました。
マイナンバー制度は、①社会保障や税に関する行政情報を主体別によ
り正確かつ効率的に名寄せし管理するための番号(マイナンバー・法人
番号)、②日本に住まう誰もが対面やオンラインで自分が自分であるこ
長官官房法人番号
管理室課長補佐
とを公的に証明できる無料の顔写真付きICカード(個人番号カード)、
③日本に住まう誰もが無料で開設でき、オンラインでのワンストップサ
齋藤 保人
ービスやお知らせサービスを受けることのできる個人ポータル(マイナ
ポータル)、の3つの仕組みからなるものです。
平成20年入庁。課税総括課
係長、財務省主計局主計企
画官付係長などを経て、平
成27年より現職。
マイナンバー制度は、より公平・公正な社会保障制度や税制を実現する
ための基盤となることはもちろん、効率的で利便性の高い住民サービス
を実現するために必要な情報社会のインフラであると考えています。
ようやく導入されたマイナンバー制度ですが、マイナンバー制度のメ
平川 祥弘
リットを広く実感できるようになるにはもう少し時間が必要です。
政府は、所謂「マイナンバー法」が国会で成立した数週間後に「世界
最先端IT国家創造宣言」を閣議決定し、マイナンバー制度を活用しつ
平成22年入庁。内閣官房社
会保障改革担当室主査など
を経て、平成27年より現職。
つ、公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられる
社会の実現を目指すことを宣言しました。わが国は2020年までに世界
最先端のIT国家を目指すというものです。
これから私たちが取り組むべきことは、マイナンバー制度の活用を前
提とした世界最先端のIT国家に相応しい行政へのパラダイムシフトです。
当然のことながら業務プロセスの見直しは不可避です。対面や書面で
の手続を前提としつつ、電子手続も可能な行政の現状は、オンラインで
ペーパーレスの手続を前提としつつ、オンラインの利用が困難な方など
のためには対面や書面での手続のパスを残すものになっていくでしょう。
また、住民からの申請などの行為を待つ受動的な行政から、行政が持っ
内閣官房
社会保障改革担当室
IT 総合戦略室参事官補佐
浅岡 孝充
Ta k a m i t s u A s a o k a
ている住民情報を活用し、個々の住民に能動的にお知らせなどのサービ
スを行う行政へ転換していくでしょう。税務行政においては、納税者サ
ービスや納税者の税務コンプライアンスを向上させるため、より一層、
情報が分析され、利活用されるようになるでしょう。
このような日本全体を動かすダイナミックな仕事に一緒に取り組んで
みたいという方に、是非国税庁の門を叩いてもらいたいと思います。
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National Tax Agency 2016
長官官房企画課番号総括・
利活用担当チーフ
平成10年入庁。在上海総領事館勤務、
札幌国税局総務課長などを経て、
平成22年より現職。日本における
番号制度の第一人者であり、
「 M r.
マイナンバー」の呼び名も高い。
法人番号制度の実行の現場から
皆さんは「マイナンバー制度」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。個人に割り当てられる
「マイナンバー」を思い浮かべたのではないでしょうか。実は、皆様にも通知が届いた「マイナン
バー」のほかに、法人などの団体に対しても「法人番号」というものが付番されています。この法
人番号は、地方自治体が付番業務を行うマイナンバーとは異なり、国税庁が付番機関として、番号
の指定・通知・公表(法人番号はマイナンバーと異なり原則公表)の業務を担っています。
私は、国税庁の法人番号の付番業務の運営を担当しています。つまり、国税庁が行う法人番号
の付番業務を庁内的にも対外的にも中心となって一手に担っています。具体的には、国税庁の業
務として、法人番号をどのような段取りで、どのように付番していくか、事務処理手順を整備
し、法人番号の付番業務に関して適切・効率的に、かつ、トラブルが起きないよう事前に様々な
問題を想定して企画しています。
マイナンバー制度の導入に伴い、税務執行の現場は大きく変化していきます。しかしながら、
その基盤となる番号の付番業務が崩れてしまうと、せっかく浅岡参事官補佐をはじめとした諸先
輩方が積み上げてきた制度が台無しになってしまいます。
みなさんも一緒にめまぐるしく変化する環境を立ち向かっていきませんか。
National Tax Agency 2016
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