高性能・低コストな CIS系薄膜太陽電池の研究 立命館大学 立命館グローバル・イノベーション研究機構 准教授 峯元 高志 1 説明の内容 1.研究の背景 なぜ、いま、CISなのか? CISとはなにか? 2.研究成果・想定用途・企業への期待 3.産学連携の経歴 2 1.研究の背景 なぜ、いま、CISなのか? 3 太陽電池材料の種類 シェア 90% CIS 4 太陽電池の種類別生産量 アモルファスシリコン (タンデム含む) CIS薄膜 40MW(1.1%) CdTe薄膜 219MW(5.9%) 168MW(4.5%) リボン結晶Si 113MW(3.0%) 年間生産量 in 2007: 3,733MW 単結晶シリコン (sc-Si) 1195MW(32.0%) 多結晶シリコン (mc-Si) 1837MW(49.2%) 結晶系Si(sc-Si~ribbon):88.5% Si(sc-Si~a-Si):93.0% 化合物(CdTe&CIGS):7.0% CIGS: 1.1% 現状はSiが太陽電池の主流! a-Si/sc-Si 160MW(4.3%) Data from RTS corporation (2008, April) 5 太陽電池素子の基本構造 バルク型 薄膜型 多結晶Si、単結晶Si 土台となる基板がSi板そのもの Si基板にエミッタ・電極などを形成 a-Si, CIGS, CdTe ガラスなどの基板上に膜(層)を堆積 表面電極 エミッタ 光吸収層(結晶Si) (ベース) 表面電極 透明電極 エミッタ 光吸収層(CIGS等) (ベース) 裏面電極 基板(ガラス等) 裏面電極 セル厚み 200μm 太陽電池部分(基板以外) 数μm 6 企業別生産量 (株)資源総合システム 貝塚氏より提供 7 企業別生産量 First Solar CdTe薄膜太陽電池 ここ数年で低コストで躍進 ほぼ全て 結晶系シリコン 太陽電池 ただし、 / Cdの環境負荷 /高効率化の限界 (ラボレベルで16%) CIS系薄膜 に期待! (ラボレベルで20%) (株)資源総合システム貝塚氏より提供 8 1.研究の背景 CISとはなにか? 9 CISって? Elemental semiconductor IV III Binary compound semiconductor II Si, Ge GaAs,GaN,GaP,GaSb,InN,InP,InAs V VI CdTe, CdS, ZnS, ZnO, MgO… Ternary compound semiconductor I III VI CuInSe2, CuGaSe2, CuAlSe2… Quaternary compound semiconductor I IIIa IIIb VI Cu(In,Ga)Se2, Cu(In,Al)Se2… Penternary compound semiconductor I IIIa IIIb VIa VIb Cu(In,Ga)(S,Se)2… 10 結晶構造と利点 ○結晶構造: カルコパイライト構造 (ダイアモンド構造を縦に二つ) ○光吸収係数 結晶シリコンの100倍 ⇒厚み2μmで太陽光を吸収 In Se Cu ○最適物性の制御 In⇒Ga、Al Se⇒S に置換し、光の吸収域を制御 ○光に強い・・・劣化しない 11 2.研究成果と対応する用途 12 CIGS太陽電池作製フロー 0.1μm ITO透明電極 スパッタ法(真空・室温) 0.1μm ZnO窓層 スパッタ法(真空・室温) 0.1μm CdSバッファ層 化学析出法 (溶液・80℃) 2μm Cu(In,Ga)Se2 光吸収層 蒸着法 or スパッタ法 (真空・550℃) 0.8μm Mo裏面電極 3mm ガラス基板 スパッタ法(真空・室温) 13 作製したCIGS太陽電池 *全ての薄膜の形成∼デバイス評価まで一貫して研究室で行える ○研究成果○ これまでに変換効率 16%を達成 *ただし1cm2以下の小面積 (世界最高は20%) ○課題○ 大面積成膜技術 ガラス基板 ○想定用途○ 太陽電池パネル モバイル電源 14 作製したCIGS太陽電池 *全ての薄膜の形成∼デバイス評価まで一貫して研究室で行える 他の研究内容 ①Cdフリー・ドライ成膜 バッファ ⇒(Zn,Mg)O ②フレキシブルセル ⇒引き剥がし法 ③光吸収層新材料 ⇒CuInS22 ④低コスト光吸収層 ⇒電着法 ガラス基板 15 ①Cdフリードライバッファ *立命館発の新技術 *Cdを使用しない環境負荷低減技術 ○研究成果○ 同時スパッタ法で (Zn,Mg)O形成 Chamber CdSを用いずに 効率16.2% Substrate Holder Substrate Shutter Ar ZnO Vacuum MgO Target ∼ ∼ RF Power ○課題○ 大面積成膜技術 ○想定用途○ 太陽電池パネル モバイル電源 16 引き剥がしセルの外観 ②フレキシブルセル 薄膜を引き剥がして、他基板へ移乗 Lift off High quality CIGS Soda-lime glass tf h g i l d n a Flexible IGS C y t i l ua High q Soda-lime glass ○成膜温度制約からの解放 ○基板選択の自由(低融点基板もOK) i lm ○研究成果○ 引き剥がし技術 セル効率8.0% (引き剥がしでは世界最高) ○課題○ セル効率向上 大面積引き剥がし技術 ○想定用途○ 軽量・モバイル電源 17 ③新材料CuInS2 高真空蒸着法による成膜 Growth chamber Load lock chamber 断面 表面 1μm CuInS2 Mo 1μm ○研究成果○ セル化技術 セル効率8.5% (世界最高は11%) ○課題○ セル効率向上 大面積化 Al Cu In S ○想定用途○ より環境にやさしい 太陽電池パネル 18 ④CIS層の電着 低コストな非真空製膜 装置概念図 装置概念図 Potensiostat Reference Electrode (Ag/AgCl) Coulomb Meter Working Electrode (Mo/SLG) 対極側で発生する O2がサンプルに取り 込まれるのを防ぐ Filter Counter Electrode (Pt) Thermo Controller ○研究成果○ 高品質膜(大粒径) 高速成膜 (2ミクロン/4分) ○課題○ セル効率向上 大面積化 ○想定用途○ 太陽電池パネル モバイル電源 19 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :薄膜太陽電池、及びその 製造方法 • 出願番号 :特願2010-010590 • 出願人 :学校法人立命館 • 発明者 :峯元高志、高倉秀行、岡本 晃 20 産学連携の経歴 太陽電池メーカーA社と共同研究実施 (シリコン系太陽電池) 2006年-2007年 総合メーカーB社から研究再委託 (シリコン系太陽電池) 2006年-2008年 NEDO産業技術研究助成事業に採択 (蒸着法によるCu(In,Al)Se2太陽電池) 2008年-現在 NEDO革新的太陽光発電技術研究開発に採択 (蒸着法によるCu(In,Al)S2太陽電池) 2009年-2010年 JST地域イノベーション創出総合支援事業に採択 (電着法によるCuInSe2太陽電池) 現在、6社と基礎研究から実用化に近い開発までを共同で実施中。 • 2003年-2007年 • • • • • 21 お問い合わせ先 立命館大学 研究部 理工リサーチオフィス テクノプロデューサー 安川 竜二 TEL 077−561−2802 FAX 077−561 −2811 e-mail yasukawa@st.ritsumei.ac.jp 22
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