vol.06 - 日本政策金融公庫

06
vol.
2016 SUMMER
特集
民間金融機関との連携
シリーズ まちから、
むらから
新潟県新潟市 沼垂テラス商店街
表 紙 の は なし
夏になると、田舎の祖母の家の縁側で、家族揃って見物
06
vol.
2016 SUMMER
した花火大会の思い出が甦ってきます。今はビルの谷間
で暮らしているので、花火大会はテレビで観る風物詩になっ
06
てしまいました。日本人ならではの郷愁さえ感じる夏の夜
の風景を、
しばしイラストでお楽しみください。
vol.
イラスト:たなかみか
題字:園元伸子(日本公庫 危機対応等円滑化業務部)
特集
民間金融機関との連携
シリーズ まちから、
むらから
新潟県新潟市 沼垂テラス商店街
2016 SUMMER
4
3
評論家 大宅映子
公庫への期待「 上半期を 振り 返りつつ」 財務副大臣 坂井 学
熊本地震からの復興を全力サポート
民間金融機関との連携
「民間金融機関と政府系金融機関の協働の意義」
炉辺談話「ゴルフは理不尽だからおもしろい。
」
寄 稿
寄 稿
神戸大学経済経営研究所教授 家森信善
創業分野 財務の域を 超えて、
お客様に伴走する支援を
京都信用金庫
「日本公庫の総合力を活用して地方創生の一翼を担う」
事例
事業再生の支援でリスクを分担
新事業・事業再生・海外展開分野 新事業創出、
東京大学エッジキャピタル/青森銀行
愛媛銀行頭取 本田元広
事例
1
農業経営アドバイザーの存在大きい
2
農業分野 農業者の金融機関評価が変わった!
北海道銀行
回
|ワ|ン|ポ|イ|ン|ト|解|説|
事例
政策金融あれこれ 第
政策金融機関の活動を調査・研究面から支える総合研究所に期待
成城大学経済学部教授 中田真佐男
Topics
6
民間金融機関との連携における日本公庫の取り組み
19
東北の復興 新たなステージ「復興・創生」へ
動く支店 京都支店
20
復興庁統括官 吉田光市
ご意見・ご感想 編集後記
23
シリーズ まちから、むらから 新潟市・沼垂テラス商店街
26
さびれたシャッター通り商店街が魅力的な商店街に生まれ変わった
27
3
5
特集
6
民間金融機関との連携
日本公庫は、国の政策のもと、民間金融機関の補完を旨とすることを基本理念
に規定し、多くの民間金融機関との連携を推進している。民間金融機関と政策金
融機関が連携し、両機関のノウハウを組み合わせることで、事業者の方々に多様
なサービスが提供でき、
また、民間金融機関が持つ地域の情報と政策融資がつな
がることで、政策の実現がより一層可能になる。また「まち・ひと・しごと創生総合
戦略」においても、地域活性化のために地域の民間金融機関と政策金融機関が
連携することが求められている。
2
炉辺談話
ゴルフは理不尽だからおもしろい。
昔から運動が好きでスポーツはいろい
ろやりましたが、ゴルフは大学時代に少
らスコアはごまかせるけど、それはやらな
ンにオンすることもある。自己審判だか
し、
池ポチャすることもあれば見事グリー
高くなってしまったのです。
特権階級の 社交場で、どんどん 敷居 が
理由は、理不尽 だから。テニスは練習
すれば 上達 するけれど、ゴルフはいくら
私がゴルフにハマったのは。
が 私 にゴルフを 始 めな さいと 言 っ てい
ウッドが当たったんです。これは「神様
歳に近づいたとき、たまたま参加し
たパーティーのビンゴ大会でフェアウェイ
から日没までラケットを握っていました。
その後、結婚して子どもが生まれてから
そ れ ほ ど 真 剣 に 練 習 し ませんでし た。
過 ぎてからで十分」と 思っていたので、
豪華 なクラブハウス、高額 なフィーや会
と呼んで接待ゴルフを揶揄していました。
ことです。 私の 父 は 生前、
「緑の 待合」
が、ゴルフが接待の道具として定着した
残念ながら日本のゴルフ環境は、あま
り 良いとはいえません。その原因の一つ
れてほしいと 思っています。
だから、私は学校教育にゴルフを取り入
修養ができるスポーツは他にありません。
イできないスポーツです。これほど 人生
ゴルフは一定のルールのもと、不公平と
理不尽と 不運 を 受 け 入れなければプレ
極まりないところが、
ゴルフの魅力です。
い。この 摩訶不思議で不公平で理不尽
ゴルフ愛好者の 数 を 増やすことに 尽力
しみながら、日本のゴルフ環境 を 整え、
を 務めています。これからもゴルフを 楽
立 ち 上 げた 日本ゴルフ改革会議の 議長
いたい。今、私 はそんな 思いで、有志 が
ゴルフの裾野 を 広 げ、もっと 多くの人
に“ 理不尽なおもしろさ”を 知ってもら
いくことが望まれます。
こうした活動が、今後日本でも広がって
2011年に日本協会も発足したので、
以 上 の 子 ど も た ち が 参 加 しています。
というプログラムがあり、累計一千万人
育の推進を 図る「ザ・ファースト・ティ」
年間はテニス三昧。土日になると、朝
練習 しても 上達 すると は 限 り ません。
したいと 思っています。
しかじっただけ。当時は「ゴルフは
歳
大宅 映子(おおや えいこ)
海外には、ゴルフを 通じて子どもたち
の健全 な 人格形成と 体力向上、社会教
東京都出身。評論家。公益財団法人大宅壮一文庫理
事長。1978年から始めたマスコミ活動では、国際問題・
国内政治経済から食文化・子育てまで守備範囲広く活
躍し、大所高所からの視野と切れ味のよいコメントが好
評。
(株)西武ホールディングス取締役をはじめ数社の
アドバイザリーボードメンバーも務めている。主な出演
番組はTBSテレビ系『サンデーモーニング』など。著書
も多数。
員権、過剰 なドレスコード ……。まさに
50
センチも 同じ一打 だ
る!」と 思いました。それからですね、
3
15
50
300ヤ ー ドも
5
映子(おおや えいこ)
評論家 大宅
公 庫への 期 待
「 上半期を振り返りつつ」
政策金融においては金融的手法が極めて大き
リーマンショック、東日本大震災、熊本地震
といった経済・社会の環境変化に対し、近年、
いと思います。
トに参画し、
「地域づくり」にも貢献されてい
ワ ー クの 下、全国 で 339の 地域 プロジ ェ ク
また、地方創生に向けて、152 支店のネット
た平成 年以降で最高の水準となっています。
融資 を 中心 に、年間実績 は 日本公庫 が 発足 し
坂井 学
方々に心からお見舞いを申し上げます。
な 役割 を 果 たしており、その 重要性 が 再認識
財務副大臣
政府は、迅速な激甚災害指定、補正予算編成
を 経て、復旧・ 復興 に 向 けて 全力で 対応 を 進
後 は、地域経済 や 雇用 を 通 じて 被災者 の 生活
いていることに 心より 感謝申 し 上 げます。今
いただき、復興 に 向 けた 支援 にご 尽力いただ
の出張相談会を開くなど親身な対応に努めて
を 開設 し、応援人員 を 派遣 して 被災事業者へ
創生の推進を通じ、
「経済の好循環」を広く拡
ミクスは、未来投資 による 生産性革命 や 地方
能 とする 法律改正 を 行 いました。今、アベノ
がより 積極的なリスクテイクを行 うことを可
ため、政策金融機関(株式会社国際協力銀行)
ンフラ事業に係る海外展開を一層後押しする
かける 姿 を 目 にし、この 取 り 組 みの 大 きな 可
でプランを 考 え 抜 き、必死 で 大人 たちに 訴 え
若い皆さんが公共心を梃子にして斬新な発想
的問題を解決するにはどう工夫したらよいか。
入っ たプレゼンを 拝見 しました。身近 な 社会
月の快晴の日に開催された高校生ビジネ
スプラン・ グランプリでは、私 も 会場 で 熱 の
こ
を 支 える 中小企業 を 支援 するため、生活 に 寄
大させていく 第二ステージの段階にあります
て
り 添いながら、資金繰 り 支援 や 事業再建 に 向
遅れることなく、政策金融を通じ、社会に対し
れています。
日本公庫 では、中小企業・ 小規模事業者 の
「稼ぐ力」の確立や、攻めの農林水産業の展開
千億円 を 超えています。この 多 くの 知
今まで以上の貢献をしていただくことを期待
兆
を目指しています。創業・新事業・ソーシャル
社会は 変 わります。経済 も 動 きます。その
速さも 増 しています。日本公庫 はその 変化 に
1
見 を、復興 が 進 むにつれて 生 じる 新 たな 課題
東日本大震災 の 発生 から 年、日本公庫 に
よ る 被 災 事 業 者 へ の 融 資 実 績 は 万 件、
能性を感じました。
20
が、その 要所要所 で 政策金融 の 活躍 が 期待 さ
5
しています。
26
ビジネス・海外展開・農林漁業・食品産業向け
5
けた支援を行うことが重要となります。
ます。
されています。政府 は
月 に、日本企業 のイ
めています。日本公庫 にはいち 早 く 相談窓口
本年 月 に 発生 した 熊本地震 では、多 くの
方々が甚大な被害を受けました。被災された
4
へのきめ細やかな対応に役立てていただきた
4
2
稿
寄
4
熊本地震からの復興を全力サポート
平成28年4月の熊本地震により被災された皆さま方に、心よりお見舞い申し上げます。日本公庫では
地震発生後、速やかに特別相談窓口を設置し、地震により被害を受けた中小企業・小規模事業者や農
林漁業者等の皆さまからの融資やご返済に関するご相談に対応しております。
万全の相談態勢で、休日も対応
運転資金が2578件( 294億円)、設備資金が560件
(54億円)となっています。これまでは緊急性の高い
日本公庫では、4月14日の地震発生以降、
「平成
運転資金のご融資が主でしたが、今後は、復旧に伴
28 年熊本地震による災害に関する特別相談窓口」
う設備資金のご融資の増加が見込まれます。
を設置し、相談対応を開始するとともに、融資限度額
日本公庫は、阪神・淡路大震災や新潟中越地震、
の引き上げや利率引き下げなどを実施してきました。
東日本大震災など、大規模災害発生時の相談対応
休日においても電話相談を実施するとともに、本
の蓄積を生かし、被災した事業者の皆さまに寄り添
店や全国の支店から熊本支店へ応援職員を派遣
い、迅速かつ親身に対応してまいります。
(震災前の3割増)し、相談態勢を強化しています。
4月22日からは商工会議所等の関係機関におい
て出張相談会を開始し、6月末までに延べ148回の
被災地に寄り添い、復興を後押し
出張相談会を実施。現在も10カ所において定期的
地震発生以降、日本公庫は、
「まちの産業の灯を
に出張相談会を開催し支援態勢を継続中です。
消さない」
(倉田光生熊本支店長)という強い思い
を胸に、地域の事業者の皆さまが事業を継続でき
震災発生以降の相談件数は約5000件
るよう、役職員一丸となって全力で対応してまいりま
した。
これまでお寄せいただいたご相談は、4月15日か
今後も、お客さまの被害状況やニーズの把握に
ら6末までで、融資に関することが3761件、返済に
努めるとともに、お客さまからの融資や返済のご相
関することが1320件の計5081件。また、同期間の
談に迅速かつきめ細かく対応し、政策金融機関とし
融資実績は3138件、融資額は349億円で、内訳は
ての役割を十全に発揮してまいります。
具体的な相談事例
業種等
飲食業
(熊本市ほか)
旅館、ホテル業
(上天草市)
半導体製造装置製造業
(菊池市)
さつまいも
生産・加工・販売
(上益城郡益城町)
相談概要
店舗が半壊するとともに、グ
ラス、ボトル等が破損。修繕
費用 の 借入及 び 既存借入金
の返済猶予に関すること
宿泊のキャンセルが相次ぐこ
とによる、当面の運転資金の
借入に関すること
工場設備に大きな被害。工場
稼働 ま で の 運転資金 の 借入
に関すること
一時的 に 加工場 の 稼働停止
を余儀なくされたため、当面
の 減収補填 を 目的 とした 運
転資金の借入に関すること
■お問い合わせ 事業資金相談ダイヤル(平日9時~ 19時)
5
0120-154-505
Special Report
民間金融機関との連携
民間金融機関との連携を進め、量的・質的な民業補完に取り組む日本公庫。民間
金融機関と日本公庫との連携の意義・必要性は何か。
寄稿や事例を通して紹介する。
6,071
141%
113%
筆者 は、中小企業 の 支援 において
税理士や 公認会計士などの専門家 と
の 協 調 融 資 の 実 績 は 10714 件
このような 取 り 組 みの 結果、 年度
371
地域金融機関の協働 を 強化していく
142
530
( 5354 億円)
、 年度 はさ ら に 伸
973
その他
ことの重要性を提唱してきただけに、
信用組合
日本中の民間地域金融機関がそれ
ぞれの地元で地方創生に懸命に取り
1,120
びて15130件(6071億円)に
5,765
民間金融機関の協働相手の広がりを
695
信用金庫
組 んでいる。こうした 取 り 組みはこ
2,620
2,247
達している(表 参照)
。
4,558
第二地方銀行
大 いに 評価 している(名古屋中小企
地方銀行
れまでも行われていたが、「まち・ひと・
1,120
業支援研究会他編著『中小企業再生・
1,057
しごと 創生総合戦略」策定 を 機に加
都市銀行
支援の新たなスキーム』(中央経済社)
うことなどは、その良い例である。
金額
速している。
(2015年4月〜 2016年3月)
所収の拙稿論文を参照)
。
表1 日本公庫と民間金融機関の協調融資の実績
最近の 取 り 組みの 特徴 は、地域金
融機関 が 単独で 取 り 組 むよりも、そ
地方創生に向 けて 広 がる
民間金融機関の協働相手
15,130
前年同期比
合計
(単位:億円)
件数
民間金融機関
寄稿
滋賀県出身。名古屋大学教授、同総
長補佐などを経て、2014年より現職。
現在、金融庁・金融審議会委員、中
小企業庁・ 中小企業政策審議会臨
時委員、経済産業研究所ファカルティ
フェロー等を務める。
民間金融機関と政府系金融機関の
協働の意義
家森 信善(やもり のぶよし)
神戸大学経済経営研究所教授
15
主体と積極的に連携 するようになっ
れぞれの課題に 合 わせてさまざまな
されるようになってきた。2016年
政府系金融機関についても、重要な
協働のパー トナ ーであると広く認識
国 15000 社 の 中 小 企 業 を 対 象
筆者 は、日本公庫中小企業事業本
部 との 共同研究 の一環 で、 年 に 全
パ ー トナ ー である。多 くの金融機関
ている他の金融機関 も重要な協働の
ろんであるし、日頃 は 激 しく 競争 し
は、ほぼ全てが協調融資スキームを持
地方銀行、第二地方銀行、信用金庫で
公庫と協調融資のスキームを構築し、
の 役割 と 課題」
『調査 と 資料』119
金融の環境変化のもとでの 政策金融
4351 社)
(家森信善他「中小企業
年 3 月号参照)
。この調査で明
号
13
つまでになり、
実際に活用されている。
たことである。 地方公共団体 はもち
にアンケ ー ト 調査を 実施した(回答
14
月末 で、452 の 金融機関 が 日本
アンケート調査に見る
官民連携の効果
1
が 連携 してビジネスマ ッ チングを 行
3
14
6
(注)同一目的の資金計画に対し、日本公庫と民間金融機関が協議を経たうえで、
両者が融資(保証)を実行または決定したもの(日本公庫で集計したもの。
両者の融資実行・決定時期が異なる場合も含む)
。
存 していることである。具体的 な 結
が、メインバンクとの関係の強さに依
からの借り入れに対する企業の評価
らかになったことの一つは、日本公庫
企業( ・ %)に比べると、十分な借
ンクから「十分な借り入れができた」
た」という守りの効果では、メインバ
維持又は 新 たに 雇用 することができ
にとどまっている。逆に、
「従業員 を
の 融資 が 呼 び 水 とな っ て、民間金融
ト調査では、若い企業ほど、日本公庫
されている。実際、前述したアンケー
融機関の融資を呼び込むことが期待
庫の 融資 が 呼 び 水 とな っ て、民間金
れができたと 回答 した 企業 に、日本
これは、日本公庫 から 十分 な 借 り 入
り入れ状況によって実際の効果は異
つまり、日本公庫 が 同 じように 融
資を行っても、メインバンクからの借
が選択する傾向が見られる。
だが借り入れられた」企業:
り入れができなかった企業(
「不十分
民間金融機関 と 政府系金融機関 との
機能 の 高度化 を 図 る 等 の 観点 から、
等の分野において、地域における金融
87
融資を断られた
20.4%
49.0%
49
20
借り入れは
必要なかった
47.2%
22.5%
89
4
「まち・ひと・しごと創生基本方針
2015 」
( 年6月)で、
「創業支援
15
京都信用金庫の創業支援融資商品
『公
庫から、はじまる』では、設備資金を
日本公庫 が 融資 して、経常運転資金
を 京都信用金庫が当座貸越で融通す
ウハ ウ が 不足 し ている 分野 で あ る。
ある。創業融資は、民間金融機関にノ
日本公庫と民間金融機関との協働
で 特 に 期待 されるのが、創業支援 で
果とも整合的な商品である。
欠 だとした前述のアンケ ー ト 調査結
るには、メインバンクとの協働が不可
照)
。日本公庫の融資が効果を発揮す
るスキームとなっている(右下の図参
民間金融機関の側に創業企業に関す
※創業サポートローン
『公庫から、
はじまる』
は、
創業分野において、京都信用金庫と日本公
庫が連携して支援するパッケージ融資。
京都信用金庫と日本公庫連携 創業サポートローン
『公庫から、
はじまる』
アーリーステージ
(創業後)
フォローアップ
京 信:当初は当座貸越
日本公庫:無担保・無保証人
パッケージ融資
情』 年3月 日)
。地域金融機関の
創業支援にかける思い」
『金融財政事
げている(榊田隆之「京都信用金庫が
てるという 相互補完のメリ ッ トを 挙
業希望者と早い時期から関係性を持
信用金庫が日本公庫に相談に来た創
は、日本公庫との協働によって、京都
プレ・コンサルテーション
を 見 ていた だ き たい。
公庫からの融資の効果を尋ねた結果
なる 傾向 にある。日本公庫 から 融資
具体的 な 協働案件の 発掘、組成 を 通
63.2%
共催セミナー開催
事業計画策定支援等サポート
果 と して 表
を、メインバンクからの借り入れ状況
を得られても、メインバンクから経常
じたノウハウシ ェ アなどの 連携 を 促
32.2%
シードステージ
(創業前)
機関の融資が増えている傾向が確認
メインバンクから「十分 な 借 り 入
れができた」企業の ・ %が、日本
的な運転資金の確保が約束されてい
進する」ことが盛り込まれており、政
不十分だが
借り入れられた
できている。
公庫の 融資 によ っ て「設備投資 を 行
なければ、企業 は 怖 くて 十分 な 設備
府が創業支援での官民連携 を重要な
れた」企業では、その比率は
979
%)
い生産性 が 向上した」と 回答 してい
投資 を 実施できないことは容易に想
政策課題ととらえていることがわかる。
40.2%
・
るが、メインバンクから「融資を断ら
別に整理したものである。
%
像できる。従って、特に成長を志向す
・
るような企業に対して資金を提供す
実際 に、先 に 紹介した 官民の 協調
融資スキ ー ムは創業支援でも進展し
が重要となる。
るときには、メインバンクとの協働関
3
42.3%
63
2
京都信用金庫の榊田隆之専務理事
創業支援 での協働に
膨らむ 期待
14
42
十分な借り入れが
できた
スタートアップステージ
(創業時)
2
ている。例えば、 年度に発売された
企業数
設備投資を行い 従業員を維持又
メインバンクからの
生 産 性 が 向 上 は新たに雇用す
借り入れ状況
した
ることができた
事業計画の進捗状況管理
再計画策定支援等
創生を実現することを期待したい。
業 に 対 する 本業支援 を 強化 し、地方
今後、官民の 金融機関 の 協働 を一
層深化 させ、金融面 からの 取引先企
きていることがうかがえる。
働パートナー とみる意識が定着して
関係者の間でも日本公庫を重要な協
30
2
係がし っ かりと 構築されていること
表2 日本公庫から十分な借り入れができた企業が
評価している日本公庫借り入れの効果
(メインバンクからの借り入れの状況別)
創業の成長ステージ別支援内容
15
40
る 信用情報 が 少 ない 段階 で、日本公
7
民間金融機関との連携
特集
Special Report
日本公庫の総合力を活用して
地方創生の一翼を担う
次石油ショックの頃には
〝 ふるさと銀行"
として地場産業を支え、愛媛経済の発展
に貢献してきた愛媛銀行。第
本田 元広
たなリスクに直面しています。こうした課題
の 創出 や 地場産業の 変革 を 支 えるため、新
高齢化などにより、急務となっている新事業
ました。しかし、経済のグローバル化や少子
細かい金融サ ー ビスの提供に努めてまいり
愛媛銀行 は 創業以来 100 年余 り、地域
経済の活性化を使命として、お客様へのきめ
や企業の事業構造改革を後押しすることが、
きました。当行の役割として、新事業の創出
補完を期待していましたが、最近は変わって
う 必要があ っ たのです。当時はまず 量的な
資金が不足しており、政策金融で補ってもら
協調融資 をしていました。高度成長時代 は
企業金融公庫(現日本公庫中小企業事業)と
地区の 船主が 船舶 を 建造 する 場合、旧中小
に 対処 するうえで、総合力 のある 政策金融
より強く求められるようになったからです。
工、タオルなどの 製造業 が 集中しています。
がある東北部の東予には紙パルプ、造船、鉄
ため日本公庫とは、地域おこしでの協力や取
おり、当行はその一翼を担っています。この
愛媛県 も 少子高齢化、人口減少 が 進 むな
かで、地方創生が待ったなしの課題になって
は国内初の農業ファンドとして
年に設け
の通りです。一次産業支援を目的に、民間で
以前 から、今治地区の 船舶建造への 協調
融資 などで実績を 積み重ねてきたのは前述
書を締結した愛媛県で初めての地銀です。
3
すでに協調融資を実行するなど、日本公庫との連携の歴
1948年1月9日愛媛県伊
予市生まれ。70年3月松
山商 科 大 学(現 松山大
学)経済学部卒。同年4
月愛媛銀行入行。2006
年7月常務取締役、11年
4月専務取締役、
12年6月
より現職。14年5月より愛
媛経済同友会代表幹事。
史は古い。本田元広頭取が、民間金融機関と政策金融機
機関の日本公庫との連携は役立つと考えま
県庁のある松山市を 中心とする中予は消費
引先企業の経営へのサポートなど、質的な補
「業務連携・協力に関 する覚書」
愛媛県の地銀 で初 めて 締結
経済で、宇和島市などの南予は水産業と柑橘
完関係がますます重要性を増しています。
1
関の連携の重要性について語った。
す。日本公庫の幅広い情報と 多彩 な融資ノ
ウハウを活用できるからです。
愛媛県は つの地域に分かれており、それ
ぞれ 経済的に特徴があります。今治市 など
類などの農業が基幹産業です。
このような背景の下、2004年 月に中
小企業金融公庫松山支店、同年 月 に 農林
月に日本公庫松山支店国民生
漁業金融公庫(現日本公庫農林水産事業)
、
年
活事業と、それぞれ「業務連携・協力に関す
さらに
すが、有力な地場産業を支えることは地域経
る覚書」を締結しました。当行は、日本公庫
るのは、地域を活性化するためです。
日本公庫 との 関係 は古 く、例 えば 第 次
石油ショック(1973年)のころまで、今治
06
はないのです。日本公庫 との 連携 を 重視 す
済を縮小させないために必要です。
は、やや偏りがあるとみられることもありま
3
10
の国内 事業と業務連携・ 協力に関する覚
11
%は海運と造船が占めます。これについて
また、今治地区にはたくさんの外航船を所
有 する 船主がいます。当行の融資総額の約
3
地域社会とともに発展するふるさと銀行
としての 役割 を 忘 れたら、当行 の 存在理由
08
20
1
愛媛銀行頭取
8
た「えひめガイヤファンド」では、農林漁業
極的に融資先を広げる努力が欠かせません。
規事業 や 新 しい起業家 を 応援 して、自 ら 積
ンド 投資事業有限責任組合」を
庫にも参加してもらって「えひめアグリファ
年 につく
金融公庫 と 人 的 交 流 を 含 め て 関 係 強 化 を
1915 年 に 創業 した 当行 には「お 客様
を第一に、行員を大事にすることが繁盛のも
しています。現在、休耕地の活用などに取り
りました。まずは 投資の 形でリスクに 対応
は創業分野を中心に小口の協調融資 をよく
組む つの農業法人に出資しています。
3
年続 けて、日本公庫 と 連携 する 地域金融機
ば政策金融機関として価値がないでしょう。
パートナーだと考えています。そうでなけれ
両機関のノウハウを 組み合 わせ
多様化 するニーズに対応 する
担当者の意見 を 聞きます。地元に密着した
当行の行員はお客様から設備投資などの
相談 を 受 けたときには、気軽 に 日本公庫の
資本性ローンや 海外での資金調達を助ける
全国 から 情報 を 集められるはずです。また
ウハウがあります。新製品の販路に関しても、
全国で創業・ 新事業支援を進めている日
本公庫には、事業の評価や育成についてのノ
携貸付件数は243件でした。
私 たち 地域金融機関の 目 と、全国的 に 多様
スタンドバイ・クレジットなど、民間金融機
経営環境 のなかで、日本公庫 が 持つ 総合力
る際に、日本公庫に加わってもらえば、政策
きます。こうしてまとまっ た 案件に融資 す
違 う 視点 から 精査 すれば、適切 な 助言 がで
せることで対応していきたいと考えています。
ます。今後 も 両機関のノウハウを 組み 合 わ
お客様のニーズは高度化・多様化してきてい
関にはない融資制度を備えています。近年、
機関 に 入 り、 年度の 連
最近は資金需要が全般に伸び悩んでいる
うえに、マイナス金利の追い打ちがあり、金
な 産業 を 見 ている 日本公庫の 目 と、 つの
を活用することは、民間金融機関にとって経
金融が入ることでお客様も安心します。
民間金融機関 と 政策金融機関 は、互いに
補完関係にあることを 認識 する必要があり
積極的に融資先を広げ
顧客を応援するパートナー
営上もメリットがあるのです。
特に新しい事業は融資の可否も含めて評
価 が 難 しい。南予は一次産業の 活性化 が 課
ます。民間金融機関には一般の株主がいて、
昔なら既存のお客様は「ひめぎんさんには
お世話になったから」と、融資条件を常識的
を 求めてくるケ ー スもあります。激化 する
ます。さらに 金利引 き 下 げなどの 条件変更
ちかけてくるので、金利の入札がよく行われ
他の金融機関が融資の肩代わりを頻繁に持
な線で了解していただけたのですが、最近は、
競争 を 乗 り 切るには、単 に 資金を 融通 する
だけでは駄目です。お客様の事業が成長 す
1
域創生に貢献したいと思います。
に連携を一層効果のあるものに進化させ、地
える協力関係を培っています。これをベース
現在、当行と日本公庫とは現場レベルで、
勉強会 や 懇親会 を 重 ねて、お 互いに 顔の 見
では手に余るリスクを分担していただきたい。
ないのですから、その分、民間金融機関 だけ
せん。一方、政策金融機関は利益を求められ
成長 するために利益を上 げなければなりま
題ですが、分かりにくい分野なので、日本公
年度 まで 上位
2
融機関受難の 時代 といえます。このような
関の中で全国
位になりました。その後 も
行 は、日本公庫 を一緒 にお 客様 を 応援 する
れにのっとり、お客様のお役に立つために当
とである」という創業者精神があります。こ
図 っ てきました。日本公庫国民生活事業 と
14
実行しています。
08
当行からの紹介による日本公庫の連携ロー
ンの 貸付件数 は、 年度 から 年度 まで
10
15
1
5
民間金融機関との連携
るようにお手伝いすることが つ。さらに新
9
2
15
特集
Special Report
Case 1:創業分野
財 務 の 域 を 超 えて
お客様に伴走する支援を
京都、滋賀、北大阪を営業基盤とする京都信用金庫。早くか
ら創業支援に取り組むだけでなく、日本公庫と創業支援ロー
ンの連携に踏み切った。企業の開業率アップは、アベノミクス
74
634
2010年度
93
769
2011年度
54
590
58
514
2013年度
212
1,183
2014年度
355
1,115
826
7,474
月
2009年度
ような 雰囲気 を 醸し出している。昨年
にオープンしたばかりのビア・パブ「タクミ
ヤ」
。京信と日本公庫の連携商品、
創業サポー
トローン『公庫から、はじまる』を活用した
飲食店だ。
京信 は 2007 年 に 創業支援融資『ここ
から、はじまる』を発売し、新たに事業を立
ち 上 げる 方 や、創業間 もない方の 支援 を 開
始した。起業家 と一緒 に 事業計画 を 考 える
818
件 590 百万円、 年度 が
件 514
倍、融資額 で 倍 にまで
中期経営計画『絆づくり
年に
カ年計画』を作成
している。榊田専務理事によると「以前から
標榜している地域に貢献するコミュニティ・
バンクをより明確にというのが計画の趣旨。
この 取 り 組みの一つとして 企業の 財務 だけ
でなく、事業面 でリスクを 取 る 人 にも 積極
的に力を貸し、サポートしていくことを打ち
出した。特に事業のスタート・アップ時の応
日本での企業の開・ 廃業率は欧米各国に比
じまる』
。ネ ー ミングも京信の独自商品『こ
この 京信の 考 えと「日本公庫の 方針 が一
致した」(榊田専務理事)のが、
『公庫から、は
援が大事と位置付けている」
。
べて低く、経済のグローバル化、経済構造の
こから、はじまる』と似通っており、相互補完
代の潮流もあって増加をみせた」
と分析する。
変化に対応できないとの指摘がなされて久
性を意識している。
安倍内閣は日本の開・廃業率を
引き上げる目標を掲げた。
%程度に
日本公庫 は 元来、実績のない創業者向 け
融資 に 力 を 入 れているが、民間金融機関 に
しい。このため、 年にスタートした第 次
京信 の 榊田隆之専務理事 は「2007 年
から続いている『ここから、はじまる』が、時
地元金融機関 ならではの施策 で
創業支援融資額 が一気に倍増
急増した。
百万円 と 件数 で 約
百万円だったが、 年度は212件1183
が
こうした時代背景が京信の融資実績急増
をもたらしたと言えなくもない。しかし、地
1,025
72
ご相談は京信へ」のポスターを全店の一番見
83
2008年度
域に根差した地元金融機関 ならではの取 り
2012年度
04
の成長戦略の柱であり、日本経済活性化のカギを握っている。
体制 を 整えた 結果、京信の取 り 組みが 徐 々
融資額
(件)
える 場所 に 掲 げ、一気 に 取 り 扱い件数 が 増
京都信用金庫の創業支援融資の実績
組みが寄与した面も大きい。京信は
に浸透していった。 年には「創業・開業の
414
合計
1,415
2015年度
(百万円)
融資件数
3
えた。京信の創業支援融資の実績は、 年度
2007年度
5
京信の最前線を追った。
京都信用金庫
メ ー トルほどの 店
地下鉄 で 京都駅 から つ 目 の 烏丸御池。
烏丸通を折れて細い一方通行の道に入ると、
青一色に 塗られた 間口
12
11
2
舗が目に入る。古都の風情 とは一線 を 画 す
54
13
13
58
10
隆之 専務理事
京都信用金庫 榊田
4
12
3
5
10
店舗 に 過 ぎず、利用者 から 見 る
比べ圧倒的に 店舗数 が少 ない。京都地区で
はわずか
店舗
。
冒頭に紹介したビア・パブ「タクミヤ」
代表はユニークな経歴を持つ 歳の白石
拓海さん。
「 歳までフリーター。島巡りの
35
開店 年 を 過 ぎた 現在の 経営 は 順調 だ。
「口コミを中心に月200人くらいの外国人
れたのが『公庫 から、はじまる』
。借入金額
計画策定のサポ ー トや 計画達成のための経
が来てくれる」という。各地を巡り歩いた白
店舗ですべての手続きができる。また、事業
営支援も受けることができる。金額は京信、
石さんの人脈が生きている。
年間 は 当座貸越、その 後 は
京信分については事業の進捗状況 に 合 わせ
て 当初の 概 ね
5
61
7
公庫分は保証人も要らない。
証書貸付 となる。担保 はともに 不要。日本
2
年 月から 始 ま っ た 取扱実績は、今年
月末までに 件 億2420万円に上る。
14
3
「経営者 に 伴走 する 信金 でありたい」
(榊
田専務理事)京信は、創業間もない企業のス
テク 産業 もあるのが 京都の 特色。学生ベン
思っている」(榊田専務理事)
。
学の出身者が起業したベンチ ャ ー 企業がス
これら企業の多くは、地元スタンフォード大
世界を席巻している多数のIT企業を生
んだ米国カリフォルニア州のシリコンバレー。
以内 の 企業 を 対象 に「地域 の 起業家大賞」
タートだ。日本のシリコンバレーとの期待も
年
を設け、取引先企業かどうかを問わず、独創
集まる京都から、世界に飛躍するベンチャー
活用 してもらうのが 狙い。さらに 創業
的、革新的 な 企業 を 表彰 している。表彰式
(文/ジャーナリスト 杉本哲也)
めとする金融機関の役割も大きい。
企業が生まれる可能性は高い。京信 をはじ
歩む凝った演出。
では、受賞者 がレ ッ ドカ ー ペッ トの 階段 を
つだ。起業家同士の 悩みや 情報交換の場 に
長サロン」と「女性起業家サロン」もその一
年未満の 起業家 を 対象 にした「起業家成
チャー など若い人の起業にも役立ちたいと
京都 は 大学生の 比率 が 全国 で 最 も 高い。
「芸術、観光などの伝統産業だけでなく、ハイ
期待している。
する零細、中小、農業各分野での連携拡大を
携を強めていきたい」と、日本公庫が得意と
長面でも全国に基盤を持つ日本公庫との連
独創性や革新性を持ち、地域経済の活性化に貢献している
中小企業者を顕彰する「地域の起業家大賞」
。写真は、今
年2月に開催された第3回大会表彰式の様子
テッ プ・ アッ プにも 力 を入れている。創業
中小企業 や 農業分野での
日本公庫 との連携拡大に期待
1
5
4000万円まで借り入れることが可能だ。
日 本 公 庫 か ら 各 最 高 2000 万 円、 合 計
利用者から見た連携商品のメリットは、そ
れだけではない。まずワンストップ相談。利
して 資金計画 の 相談 の 際、税理士 に 勧 めら
そろ独立したいと思って資金を貯めた」
。そ
いた」と 笑 う。その後飲食店に勤め、
「そろ
置いているかわからないような 生活 をして
好 きなバ ッ クパ ッ カ ー で、住民票 もどこに
27
は1500万円だった。
融資相談の敷居を下げる
ワンストップ相談を導入
が加われば利便性ははるかに高まる。
と不便 なのは事実 だ。これに京信の
3
用したい人は、京信か日本公庫のいずれかの
87
白木のカウンター席を中心とした
「タクミヤ」
の店内。10種類の樽生ビールを目当てに、
外国人客も多く訪れる
5
榊田専務理事 は「こうした 創業企業の 成
11
民間金融機関との連携
特集
BEER PUB「TAKUMIYA」
白石 拓海 さん
Special Report
Case 2:新事業・事業再生・海外展開分野
新事業創出、
事業再生の支援で
リスクを分担
新事業創出 や 事業再生、中小企業の海外展開に、金融の支
えは欠かせない。リスクを 取る民間金融機関に協力して、日
本公庫は補完的役割を担う。例えば東京大学エッジキャピタ
ルとともにベンチャー企業のクリュートメディカルシステムズを
支援。青森銀行と連携して水産加工会社ディメールの再生を
後押しする。この つの例を見ていこう。
東京大学エッジキャピタル
ベンチャ ー キャ ピタルの東京大学エッ ジ
キャピタル( UTEC )の郷治友孝社長は、
要 が 増 えだすと、借 り 入 れで賄 う 必要 が出
てくる。しかし、実績のないベンチャー 企業
は 銀行 の 審査 を 通 り にくい。
「日本公庫 は、
資本性ローンや新株予約権付融資など、通常
の金融機関にない融資のメニューを揃え、ベ
ンチャー 企業にリスクを取って資金を貸し
ている」と、郷治社長はみる。
その最新の事例が、クリュートメディカル
システムズ(本社・東京都)への支援である。
画期的 な 視野測定器 が 市場へ
「ベンチャー企業の大きな課題である資金
調達に、私たちは投資で応える。足りなけれ
緑内障の検査に使う小型の視野測定器を開
日本公庫と組む意義をこう語る。
ば、さらに投資家を集めて増資する。しかし
発した同社は、2013 年
月に発足し、こ
成長 するにつれて金融機関からの融資 も 受
けていかないと、資金調達に限界がある。日
れまでに 調達した 累計
のほどようやく製品の販売にこぎつけた。こ
億 8000 万円 は
本公庫には、融資の面で補完する役割をパー
トナーとして期待したい」
ほとんど 開発費 に 充てた。これから 運転資
金がどんどん必要になってくる。
このため設立時からの株主であるUTEC
が日本公庫を紹介した。まず、 月末に資本
ベンチャ ー 企業は当然リスクを伴 う。海
の物とも山の物ともつかない段階で、投資す
るのがベンチ ャ ー キ ャ ピタル本来の役割で
性ロ ー ン
3
億 6500 万円 が 融資 され、新
1
株予約権付融資 1500 万円が近く 実行 さ
れる予定である。資本性ローンは無担保、無
保証人 の 長期融資 で、自己資本 とみなされ
るので財務上、有利だ。新株予約権付融資は
無担保 で、公庫 が 融資実行時 に 新株予約権
を取得し株式公開時などに経営者等に売却
する。
クリュートメディカルシステムズの江口哲
也社長は「本格販売開始にあたり、運転資金
が必要となるため、公庫の融資を活用し、事
業を加速させていきたい。私たちのようなモ
ノづくりベンチ ャ ー は資金が要るので助か
る」と述べる。
UTECの郷治社長は「開発はほぼ予定通
りに進み、本当によくやってくれた。製品を
売り始めた今が一番大変な時期なので、しっ
かりや っ てほしい」と 励 ます。 江口社長 は
HOYAの元社員で、新規事業部門で企画を
担当していた。今手掛けている視野測定器の
事業化を提案したら、
「外に出てやってみろ」
人 とと もに 独
との鈴木洋最高経営責任者(CEO)の指示
を 受 け、光学関係の 技術者
立したのである。
製品 は、両眼
の 視野 を 測 っ て
早期 の 緑 内障 を
発見 する。 小型
で 頭 にかぶ っ て
使えて、どこにで
も 持 ち 運 べ る。
ヘッドマウント型視野計アイモ
4
6
ある。事業が離陸段階に移り、運転資金の需
3
2
東京大学エッジキャピタル
郷治 友孝 社長
12
従来の 据 え置 き 型は暗室が要 り、あごを 台
きたい」と 言 う。同社 は
年 に 東大発ベン
チャーの育成を目指して発足したが、今では
分じっ としていな
実際 に 製品 を 市場 に 問 う 段階 にな っ て、
資金面で補完するために日本公庫に出番が
分
有望なベンチ ャ ー 企業を 幅広く 育成してい
に載せて固定して
回ってきたわけである。郷治社長は「日本公
年後 に 株式 を 公開 したい」
04
る。株式公開 などの成功事例 を早 く 実現し
さらに拍車をかける方針だ。
M&A9 社の 成果 を 上 げ、有望株の 発掘 に
青森銀行
日本経済 を 活性化 するには、優 れた 技術
や 人材 がありながら、経営の 失敗 で 行 き 詰
まる企業の再生も 重要 な課題である。青森
銀行は八戸市の水産加工会社 ディメ ールの
再建にメ ー ンバンクとして応分の責任 を 果
たし、日本公庫が補完的な役割を担った。地
方経済の底支えに資する一例である。
者支援 で 事業再生 を 後押し
として、今は堅実に経営している。
どいたが、過剰投資などの放漫経営により慢
旧 社時代は売上高が単純合計で 億円
ほどあったが、重複分を除けば 億〜 億円
し 同社 は 100 % 減資 して、八戸 に 本社 を
年 月期決算では、売上高約 億円、経
常利益約 2000 万円 を 計上した。 吉田産
性的 に 赤字 が 続 き、 年前の 東日本大震災
置く有力商社・ 吉田産業 グル ー プの子会社
産業である水産加工業の一翼を担っている。
て、日本公庫 との 連携 を 今後 も 持続 して 行
社 に 投 資 し て 株 式公 開
社、
ければならない。同社の製品ならば、計測時
〜
る。 延 べ 約
庫に融資してもらった投資先は
ている。
「
というのが江口社長の目標である。
日本公庫の融資で資金面を 補完
億 5000 万円 を HOYAと 折半で出
UTEC は 製品 の 技術 と 市場性、それに
江口社長らの意欲を買って、同社設立時の資
本
資した。しかし、製品はまだプランの段階で、
八戸で水揚 げされるサバなどを加工する
ディメールは、2014年 月に再出発した
会社である。債務超過だったダイマル、ディ
社が統合して、現
面から新たな投資家の掘り 起こしまで支援
できていなかった。これまでUTECは経営
社強にな
間も在来型より短く、患者の負担が少ない。
台 478 万円の 定
5
価 で、初年度 に 約 200 台の 販売 を 計画 し
えると 見込む。同社は
野測定器の市場は台数で現状の約 倍に増
らいで、潜在的な患者数から見積もると、視
江口社長 によれば、国内の 眼科 に 設置 さ
れている 在来型視野測定器 は 5000 台 く
10
メール、丸竹八戸水産の
江口 哲也 社長
だったそうだ。人員は130 〜 140人ほ
前には仕入れにも滞る状態だった。
このため企業再生支援機構(現・地域経済
冷水 大貴 調査役
20
1
9
17 22
3
70
業グルー プのリ ース会社の専務から転じた
人 と 従業員
14
16
2
10
在のディメールになった。旧経営陣は総退陣
3
岡 田 和 雄 社 長 以 下、 役 員
4
125人は経営管理を一新して、八戸の基幹
5
16
3
1
し、今も取締役と監査役を入れている。
クリュートメディカルシステムズ
青森銀行 審査部企業支援室
13
3
5
5
民間金融機関との連携
特集
Special Report
Case 2:新事業・事業再生・海外展開分野
株式会社ディメール
岡田 和雄 社長
活性化支援機構)が中心にな っ て再建策の
年でディメールの持ち株を吉田産業グ
が高まった」と言う。再建は速く、支援機構
だが、日本公庫から借り入れがあり、今後も
用 も 得 られた」と 語る。現在 は実質無借金
3
は
3
話し合いが始まったところで、大震災による
債務を保証するために日本公庫がスタンドバイ・クレジット(信用状)を発行するもの
で、海外での円滑な資金調達を支援する。16年3月末までに、9行の海外金融機関と提
ループに売って引き揚げた。
務提携する海外金融機関から現地流通通貨建て長期資金の借り入れを行う際、その
津波によって大きな被害を受けた。もっとも
を開始した。この制度は、中小企業・小規模事業者の海外現地法人等が、日本公庫と業
これにより 地場産業復興の一環 と 位置付 け
こうしたなか、日本公庫では、2012年度にスタンドバイ・クレジット制度の取り扱い
ディメールの岡田社長は「支援機構、日本
公庫、青森銀行のどれが欠けてもうまくいか
貨を直接調達するニーズが高まっている。
られて、難航した債権カットが何とかまとま
達の手段も、日本の親会社経由での調達のほか、現地法人が現地金融機関から現地通
なかったと思う。 者の支援で、取引先の信
コストダウン、市場獲得などを背景に中小企業の海外展開は加速しており、資金調
23
り再生が軌道に乗った。
スタンドバイ・クレジット制度
メーンバンクである青森銀行は、 社合計
の 負債 のうち 億円の 債権 を 持 っ ていた。
地域金融機関と連携して中小企業者の海外展開を支援
同行 は 企業再生支援機構 に 協力 して、債権
16
億円の 債
億円で決着し
27
者間の 利害調整に 当 たり、自 ら
8
権 を 放棄した。これも 含めて債権放棄は総
額で負債の約 割に当たる
た。
吉田産業がスポンサー企業を引き受けて、
再生の方向が固まり現在に至っている。
ディメ ールには、日本公庫 7000万円、
青森銀行6500万円、支援機構6500万
円の合計 億円の新規融資枠が設けられた。
青森銀行の 冷水大貴審査部企業支援室調査
者が中核で、
役 は、
「当初の 支援体制 は 吉田産業、地元行
の青森銀行、再生支援機構の
それに日本公庫が加わって再生策の確実性
数々のヒット商品を生み出すディメールの
従業員たち。事業再生の要だ
3
2
2
携し、信用状発行の累計実績は214社に及ぶ。
(文/ジャーナリスト 森一夫)
(子会社)
海外現地法人等
融資申込
海外金融機関
信用状の発行
地域金融機関と連携したスキーム
債務保証
達を支援することができ
る」との評価を得ている。
信用状の
発行依頼
顧客 の 海外 での 資金調
地域金融機関
海外金融機関とのネット
ワークを手軽に活用し、
信用状の
発行依頼
日本公庫
庫の本スキ ー ムにより、
(国内親会社)
お客さま
なってきている。日本公
スタンドバイ・クレジット制度のスキーム図
現地流通
通貨建て
融資
に対応することは重要に
えで設備の更新や 従業員の待遇改善などに
連携金融機関の愛知銀行からは、
「近時、当行においても海外展開する顧客が増え
ており、その資金ニーズ
取り組み、成長を目指す構えだ。
連携し、延べ13社に対して本連携スキームによる信用状を発行している。
「長く付き合って行きたい」と言う。そのう
13年10月には、より多くの中小企業が本制度を利用できるよう、地域金融機関と連
携したスキームの取り扱いを開始した。16年4月末までに、全国59の地域金融機関と
14
農業者の金融機関評価が変わった!
農業経営アドバイザーの存在大きい
農業者の現場で今、金融機関に対する 評価が様変わりしている。
単なる融資取引から一歩踏み込んで、専門の農業経営アドバイザー
を 現場に送 り 込み、規模拡大に伴 う 事業計画の助言 をはじめ 川
下の販売ネットワークづくりへの積極協力が評価の対象だという。
ズに 対応してアドバイスするための 専門的
制度だったが、農業が今後、成長産業を目指
与するシステムだ。意外に狭い門で、合格率
に筆記・ 面接試験でアドバイザ ー 資格を授
北海道銀行
日間、集中的に行い、研修後
すにあた っ てプロの農業者 が必要になると
は約 %だという。
日本公庫担当者によると、
な研修講座を
農業者評価を変えるきっかけとなったの
が、金融機関の農業経営アドバイザーだ。
同時に民間金融機関もサポ ー トにあたって
ここ
日本公庫が2005
このユニークな制度は、
年に創設した。当初は、日本公庫の内部資格
真 取締役営業部門長
北海道銀行 上杉
現場を知る専門人材が必要となる、と判断。
4
このアドバイザ ー は専門資格の裏付けの
ある 制度 で、金融機関の 担当者 が 本来の 融
健全度合い、生産性向上へのアドバイス、さ
組 みに 対 し 設備投資計画判断、財務内容 の
資取引以外 に、農業者 の 規模拡大への 取 り
士たちに独自の専門資格を持ってもらおう
間金融機関、さらには税理士、中小企業診断
農業分野向けへの取り組み強化を目指す民
そこで政策金融機関の大局的な判断として、
興味深いのは、制度開放の 主役 である 日
本公庫の 資格取得者 が 254 人であるのに
及んでいるという。
講者数 が 多 く、資格取得者 は 3574 人 に
人の大量数に及び、際立った動きを見せてい
らに異業種の取引先ネットワーク紹介、農産
具体的 には、農業経営者の 経営改善ニ ー
対し、民間金融機関の資格取得者が1495
と、この制度を開放した。
年間、強いニー ズがあったようで、受
10 50
物買い付けバイヤーとのマッチングアレンジ
などを親身になって行うものだ。
15
民間金融機関との連携
特集
Case 3:農業分野
Special Report
Case 3:農業分野
ることだ。
民間金融機関が政策金融機関の制度をう
まく 活用 して、農業の 成長産業化 に 素早 く
対応しようとの狙いがあ っ たのは間違いな
いが、一方で、最近の取引先企業の農業への
積極参入 に 触発 されたこと、農業 と 食品加
工や外食レストランとの「農と食」の連携に
ビジネスチャンスあり、と判断して専門人材
の確保に動いたこともある。
ス推進室に直接、駆け込んだのです」
に入る強みを 持つに至っ た。おかげで収益
これに次いで税理士・公認会計士が887
人、農協が465人、中小企業診断士が 人
4500 万円 の 利 益 を 確 保 す る 経 営 体 に
力がつき、最近 年間は黒字で、直近も年間
結果は、
「本当にこれが同じ金融機関なの
かと思うほど、農業者への対応が違ったので
なった。農業経営アドバイザーのサポート効
などとなっている。現在、日本公庫は、ワンラ
ンク上の農業経営上級アドバイザ ー 制度 も
す。私は、
『飼料高騰による緊急避難的な運
で、好循環している。
しい』と必死で説明したところ、推進室担当
強 みを 生かした融資を 実行
と 断 られました。ワラをもつかむ 思いで北
に 駆 け 込 ん だのです が、
『取引実績 がない』
「 年ごろ、飼料高騰で苦境に陥って運転
資金確保に苦しみ、最初は、農協の融資窓口
バイザーとの出会いをこう述べている。
北海道千歳市で養豚経営に取り組むおお
やファームの大矢智彰社長は、農業経営アド
ここで、農業経営の 現場 がどう 受 け 止め
たかを探ってみよう。
クアップしてくれ危機を乗り切れた。
農業経営アドバイザ ー が親身になってバッ
は 再 び 運転資金不足 に 陥 っ たが、その 時 も
の 後、積極的 な 設備投資 の 反動 で 大矢社長
室所属の農業経営アドバイザ ー との長い付
大矢社長 は「融資窓口の 審査部門 と 営業
推進室の判断の差だっ たのでし ょ う。推進
くれました」
。
マ ッ チングという 形で販売拡張につながる
い、トヨタの『カイゼン』方式が、農業経営に
営した農業経営塾で異業種の著名人らと会
という程度でした。しかし、北海道銀行が設
宮本社長は「最初、金融機関に対する期待
は、
必要な時に資金貸付をしてくれればいい、
を評価する 人だ。
営アドバイザ ー との付き 合いのプラス効果
札幌近郊 を 中心にハウスでの水耕栽培の
野菜生産を手広く展開するアド・ワン・ファー
海道銀行の 窓口に 行 っ たら、同 じく 実績 な
おおやファ ー ムは母豚数ではまだ全国規
模ではないが、生産性向上に努めた結果、母
ネットワークも紹介してもらい、これは面白
も 活用 できること を 塾講義 で 学 ん だほか、
1
ムの 宮本有也社長 も、北海道銀行 の 農業経
しを理由に断られ、正直言ってお先真っ暗で
頭あたり 売上高が全国でトッ プクラス
き合いがそこから始まりました」という。そ
した。そこで、農業経営アドバイザーに以前
豚
アドバイザーが的確な助言
争力があるので乗 り 切 れます。信用してほ
つくって制度に磨きをかけている。いい意味
豚がストレスを感じることなく快適に過ごせるよ
う環境を整えた、おおやファームの豚舎
果を評価する理由だ。
大矢 智彰 社長
転資金確保なので、それさえ確保できれば競
おおやファーム株式会社
者 は 1000 万円の 運転資金融資 に 応じて
3
76
聞いていた 北海道銀行本店のアグリビジネ
1
08
16
アド・ワン・ファームは、北海道内で独立
経営の 農業者 と 生産連携 し、グル ー プ 力で
長線上のことです」と。
業経営アドバイザ ー との結び付きもその延
た 点 で、同 じ 金融機関の 人 とは 思 えない農
い、と言いたいことが多かったです。そういっ
や 事業構想力 を 判断しリスクをとっ てほし
とリスク回避の発想 ばかり。も っ と 経営力
る 担保 が あるか』
『保証人確保 は 大丈夫 か』
なかでも、大矢社長は「以前ならば、金融
機関側は、融資に際して『融資の裏付けとな
創生につながるバイオマス発電プロジェクト
とを確認している。現に、十勝地方での地域
を結び、地方創生についても協力推進するこ
北海道銀行 と日本公庫 は 年、連携の 実
を上げるため
「業務連携・協力に関する覚書」
トワークなどを積極活用している、という。
をスカウトし、
彼らが持つ専門技術、
人脈ネッ
取締役によると、北海道庁の農政部長OBら
消費者向けに共通 ブランドの野菜販売 を 行
業経営アドバイザ ー と付き合 うようになっ
で協調融資した。
い付 き 合いができると 判断したのです。農
うビジネスモデルだ。そのグループ企業のう
て 信頼関係 が 構築 でき たと 実感 し ました」
社がシンガポール向けにトマトを輸出、
またロシアのウラジオストクには 市場開拓
という。この発言は極めて重要だ。
ち
を兼ねてトマトの試験販売を行っている。こ
上杉取締役 は「今では両者で定期的に 意
見交換 を 行 うほか、北海道銀行 の 現場研修
こうなると 政策金融機関の 日本公庫、北
海道銀行が農業経営アドバイザーを通じて、
ス(ACRIS )や信用補完制度( CDS )
関の強み部分の農業信用リスク情報サービ
に若い日本公庫職員を受け入れるなど連携
大矢、宮本両社長によると、金融機関との
取 り 引 きは、長期の 設備投資資金に 関 して
互いにどういっ た 連携の実 を 上 げているか
ア
ク
リ
ス
体制 を 密 にしています。さらに 政策金融機
は 日本公庫 の 政策的 な 制度金融資金、運転
を活用させてもらっています」と語る。
活用 という 形 での 付 き 合いだが、農業経営
*2
行双方の担当者からその時 々の状況に応じ
日本公庫の農業経営アドバイザ ー 制度に積
営業推進部にアグリビジネス推進室を新設。
会 などに 働 きかけ、農業経営 アドバイザ ー
本 プロ 農業総合支援機構、日本農業法人協
アド・ワン・ファームは、
一部にクリーンエネルギーを
取り入れたハウスで、
通年生産・出荷を行っている
く 配置し 戦力化したいと 考 えています。営
がいますが、北海道内130支店にもっと多
うわけだ。
アドバイザ ー の活動に厚みを 持たせたとい
関 が 軸 にな っ てヨコ連携 を 図 り、農業経営
いており、その点でも農業経営アドバイザー
は重要 な 経営資源 なのだろう。しかも 上杉
(文/経済ジャーナリスト 牧野義司)
代に入ったようだ。
業化を目指す。連携がプラス効果を生む時
業推進部 とは 別の 審査部、国際部 にも 専門
6
人材を置きました」と述べる。
52
金融機関が農業現場と連携して経営力の
あるプロ農業者の育成強化で農業の成長産
3
月、全国銀行協会はじめ金融関係団体、日
て対応してもらうことがプラスだという。
極チャレンジしました。現在、農業経営上級
こ う な る と 次 の 連 携 軸 の 構 築 が 重要 に
なってくる。これに関して、日本公庫は今年
*1
活動推進協議会 を 発足 させた。政策金融機
のアドバイスに関しては日本公庫、北海道銀
北海道銀行の上杉真取締役営業部門長は
「 年から 農業分野への取 り 組みを 強化し、
がポイントになる。
農業の成長産業化 で 連携
15
資金に関しては北海道銀行の中短期資金の
動員してバックアップしてくれたという。
こでも北海道銀行が国際部や 現地駐在員 を
1
アドバイザー 人を含め 人のアドバイザー
06
北海道銀行はアグリビジネス、医療・ヘル
スケア、観光産業 を 戦略経営の 本柱 に 置
3
*1 民間金融機関が積極的に農業融資に参入できる環境を整備するため、農林水産事業が開発した農業版スコアリングモデルに関する、会員制の有料サービスのこと
*2 CDSは、クレジット・デフォルト・スワップの略。補償手数料を支払うことで信用リスクのみを移転する取引
17
民間金融機関との連携
特集
株式会社アド・ワン・ファーム
宮本 有也 社長
特集
民間金融機関との連携
Special Report
民間金融機関との連携における
日本公庫の取り組み
特徴的な例としては、平成27年6月に愛知銀行、中
連携の実効性を高めるため
協調融資スキームの構築を推進
京銀行、名古屋銀行の愛知3銀行と日本公庫名古屋
支店の連携により創設した「地域企業応援パッケージ」
日本公庫は、国の政策のもと、民間金融機関の補完
が挙げられます。
を旨とし業務に取り組んでおり、これまで多くの民間金
このパッケージは、地方版総合戦略で金融機関に求
融機関と業務連携を進めてきました。
められている金融機能の高度化を踏まえ、民間金融機
民間金融機関との業務連携・協力にかかる覚書締
関と日本公庫が連携して創業、成長、発展、再生等の
結は、平成28年3月末時点で492機関。地銀・第二地
各ライフステージにある企業を支援するため取引先の
銀・信金では、全国の100%近くにのぼります。
紹介や協調融資を行う仕組みです。地域の金融機関
表1 業務連携・協力にかかる覚書締結状況
機関数
都市銀行
地方銀行
第二地方銀行
信用金庫
信用組合
その他
合計
3
62
40
260
84
43
492
(単位:機関)
全金融機関数 業態別締結割合
(参考)
4
64
41
265
(注1)109
―
483
75%
97%
98%
98%
77%
―
(注2)93%
特に、平成26年度からは、創業や事業再生、農林漁
業など、民間金融機関から連携をより求められる分野
において、連携の実効性を高めるため、新商品の創設
も含めて協調融資スキーム※の構築に重点的に取り組
んでおり、平成28年3月末時点で452機関とスキームを
構築しています。
こうした取り組みの結果、平成27年度の民間金融機
関 と の 協 調 融 資 の 実 績 は、15130 件(前 年 度 比
141%)、6071億円(同113%)となりました(平成26年
度の実績:10714件、5354億円)。
金額
1,262
中小企業(再生等)
3,171
3,331
農林漁業
1,049
1,471
12
6
スタンドバイ・クレジット制度
による海外展開
合計
(前年度比)
15,130
(141%)
日本公庫では、協調融資以外にも様々な連携に取り
組んでおり、民間金融機関からの融資の〝呼び水効果"
も期待されています。
・民間金融機関等による無担保資金の円滑な供給を図
るための中小企業向け貸付債権等の証券化支援業務
・ 民間金融機関による農業融資を推進するため、信
用補完の枠組み(証券化支援業務)を構築・提供
・日本公庫と業務提携する海外金融機関から現地流
通通貨建て長期資金の借入を行う際、その債務を
保証するためにスタンドバイ・クレジット
(信用状)
を発行
・民間金融機関が積極的に農業融資に参入できる環
境を整備するために開発された農業版スコアリン
アクリス
10,898
小規模事業者(創業等)
民間金融機関の融資の呼び水に!
グモデル「ACRIS」の提供(会員制有料サービス)
(単位:件、億円)
件数
より一層の地域活性化に貢献できます。
(参考)
(注1)信用組合の全金融機関数は、業域信用組合及び職域信用組合を除く。 (注2)業態別締結割合の合計は、
「その他」を除いて算出している。
表2 分野別 協調融資実績
が連携し、地域の事業者を一体的に支援することで、
6,071
(113%)
(注)同一目的の資金計画に対し、日本公庫と民間金融機関が協議を経たうえで、両
者が融資(保証)を実行または決定したもの(公庫で集計したもの。両者の融資
実行・決定時期が異なる場合も含む)
。
・地域農業の担い手となる農業法人の自己資本の充
実を支援するため、農林水産大臣から事業計画の
承認を受け農業法人に投資する投資事業有限責任
組合(LPS)及び株式会社等に対する出資
今後も地域の活性化や顧客利便の向上に向けて、
民間金融機関との連携を推進していきます。
※「協調融資スキーム」の内容:協調融資として取り扱う案件の具体的な紹介ルールの
取り決めがなされているもので、なかにはそれぞれの機関の融資制度を組み合わせて、
新商品の創設まで至っているものもあります。
■お問い合わせ 事業資金相談ダイヤル(平日9時~ 19時)
0120-154-505
18
政策金融
あれこれ
[第
回]
資業務に携わる各事業本
本公庫 には、直接的に 融
同様の 景況調査 としてはいわゆる
化 し て 定期的 に 発表 し てい ま す。
設備投資動向を調査し、
指数
(DI)
として刊行しています。近年では、
ポート』
や
『日本政策金融公庫論集』
究者 を 含 む) を『日本公庫総研 レ
政策金融機関の活動 を
調査・研究面から 支える
総 合 研 究 所に 期 待
部 とは 別 に、シンクタン
公庫論集第 号(2013年)に掲
総合研究所 は 主に、中小企業 に 特
化した景況調査と政策金融に関する
思います。
意義深い活動 について 紹介 したいと
そこで私から、日本公庫総合研究所の
のある存在ではないかもしれません。
読者 の 皆 さんには、必 ずしも 馴染 み
が 多いものの、
『日本公庫つなぐ』の
調査結果や研究論文を閲覧する機会
たち研究者 は日頃 から総合研究所の
第 に、政策金融 に 関 する 学術
的 な 研究 に 関 して、総合研究所 は
要不可欠な統計となっています。
イムで正確に 把握 するうえでは必
業 が直面 する経済状況 をリアルタ
別指標もラインナップされ、中小企
は、月次 で 小企業 に 限定 した 業種
研究所 が発表 する企業動向調査で
作成されません。これに対し、総合
中小企業 を一括 りにした DI しか
いますが、
これは四半期調査であり、
災復興 に貢献 できた」という 確信
職員の 皆 さんが「自分の 仕事 で 震
現場で同融資に携わった日本公庫
ので、学術的な貢献の高さに加え、
などの効果 を定量的に試算したも
向け 融資の雇用維持・ 売上高維持
年間における日本公庫の 中小企業
す。 この 論文 は、震災発生後約
光氏ほか著)が印象に残 っ ていま
済効果測定に関 する一考察」
(深沼
る中小企業向け震災関連融資の経
載 さ れ た「日本政策金融公庫 に よ
2
1
くく
学術的 な研究に 従事しています。第
研究員 の 研究成果(一部 は 外部研
クとして 総合研究所 があります。私
『日銀短観』
(日本銀行)が知られて
中田 真佐男
に、総合研究所は中小企業の景況・
成城大学経済学部教授
に重要であり、今後の調査・研究のま
する総合研究所が果たす役割は非常
政策金融関連のデ ー タを豊富に蓄積
スが不可欠です。その両面において、
後に学術的 な手法で検証するプロセ
実施した融資の経済効果について、事
融の質をさらに高めていくためには、
ることが欠かせません。また、政策金
済環境を事前に緻密に調査・ 分析す
業者・ 農林水産事業者 をとりまく 経
的確に供給していくためには、中小事
政策金融の 資金 は 有限 であり、こ
の希少な資金を必要とされる分野に
だったのではないでしょうか。
を 持てるエビデンスとしても 有意義
1973年生まれ。慶應義塾大学大学院博士課
程修了(博士(経済学)
)
。財務省財務総合政
策研究所主任研究官、九州大学大学院准教
授を経て2011年より現職。専門は電子決済・
政策金融。著書に『動学マクロ経済学に必要
な数学』
(日本評論社)
、編著書に『日本経済の
課題と針路』
(慶應義塾大学出版会)がある。
すますの充実に期待したいです。
19
20
6
日
1
Topics
東北の復興
新たなステージ「復興・創生」へ
未曾有の大災害、東日本大震災から5年。この間、日本は総力を挙げ
て復興に取り組んできた。復興・創生期間と位置付けられる今後5年間、
日本は、そして私たちは復興に向けてどのように取り組んでいけばいい
のか ―。課題と展望を、復興庁統括官が語る。
東日本大震災の発災から今年で丸
年 を 迎 えた。千年 に一度 ともいわ
れるミレニアム級の 地震・ 津波災害
に 福島 の 原発事故災害 が 重 なる、ま
さに人類史上例のない未曾有の 大災
害に対し、地元県、市町村はもとより、
政府においても、①体制(復興庁の設
置)
、②財源(増税 も 含めた特別財源
の確保)
、③手法・道具立て(復興特区
制度、復興交付金制度の創設等)にお
いて 前例のない措置 を 講じるなどそ
の 総力 を 挙 げて 取 り 組 み、これまで
復興は着実に進展してきている。
地震・津波被災地域は、
「復興の
総仕上げ」のステージを迎える
間」を 迎えた。後期
カ 年の 事業費
兆円の 事業
加速 を 図 るとともに、人口減少局面
れに、新たなステージに応じた復興の
地域」
「原子力事故災害地域」それぞ
費と財源を確保し、
「地震・津波被災
・ 兆円 を 含 む 総額
112分⇒94分
宮古盛岡横断道路
にある 我 が 国 において「地方創生 の
福島県
大船渡
相馬福島道路
常磐自動車道
まで 減少 してきている。 仮設住宅等
で暮らすこれら避難者に対して、
一日
も早く恒久住宅を提供することが現
在の最重要課題である。累次 にわた
る 加速化措置 により、本年度末 まで
に、公営住宅(計画戸数約 万戸)の
約
%、高台移転等 による 宅地供給
20
※本稿は、復興庁統括官在職中の2016年5月にご寄稿いただいたものです。
三陸沿岸道路
栗原
発災直後約 万人に上った避難者
の 数 は、 年 月現在 で 約 万人 に
福島県
(全ネットワークが概成)
モデル」となる 創造的復興 を 目指 す
相馬
16
仙台
仙台
77分⇒38分
福島
3
高速道路網
年とされている復興期間の前半
年の「集中復興期間」を終え、
2016
143分⇒100分
5 47
約480分⇒約300分
16
吉田 光市
こととしている。
気仙沼
登米
宮城県
登米
宮城県
40分⇒20分
陸前高田
50分⇒29分
気仙沼
86
花巻
花巻
釜石
42分⇒22分
東北横断自動車道釜石秋田線
大船渡
みやぎ県北高速幹線道路
陸前高田
復興庁統括官
年度からは後半 年の「復興・創生期
5
97分⇒79分
釜石
61分⇒41分
岩手県
岩手県
宮古
盛岡
宮古
盛岡
久慈
久慈
115分⇒62分
5
32
71分⇒51分
八戸
青森県
八戸
青森県
震災10年後(2021.3末)
震災時(2011.3末)
5
東京大学経済学部卒。1982年建設省入省。独立
行政法人都市再生機構経営企画部長、国土交通
省大臣官房総務課長、国土交通省道路局次長、国
土交通省大臣官房建設流通政策審議官、復興庁
統括官。
5
6
5
10
(集中復興期間終了時点)
(計画戸数約 万戸)の約 割が完成
「暮らしの再建」という 観
さらに、
点からは、
「産業・ 生業の再生」もよ
に 基 づき、その 前提 となる 除染 や 住
難指示 を 解除 する」という 政府方針
施設の再開:
86%
9.1万人(6月13日現在)
【県全体の避難者】
9.7万人
(ピーク時)16.4万人
先導的な取り組みの構築
マッチング等の場づくり
月 ま でに 避
り一層重要な課題となる。これまで、
民の帰還のために必要 となる生活環
【水産加工業】
観光振興 を 強力に推進 することとし
図る観点から、インバウンドも含めた
交流人口の 拡大による 地域活性化 を
を「東北観光復興元年」と位置 づけ、
販路開拓支援を強化する。また、本年
災地の 主要産業である 水産加工業の
の確保が大きな課題となっており、被
等による担い手不足対策、マンパワー
げが伸び悩んでいることや、人口減少
がら、
一度失った販路が戻らず売り上
クアップ試験施設(屋内ロボット)が
としており、既に楢葉町においてモッ
広域的な発展基盤の形成 を図ること
積等 を 通 じて、福島の 浜通 り 地域の
界最先端の廃炉やロボッ ト技術の集
中長期的には、
イノベーショ
さらに、
ン・コースト構想等の推進により、世
挙げて取り組むこととしている。
り、県、関係市町村等関係者の総力を
蔵施設 の 整備 の 加速 に、国 はもとよ
が進展している。
て 避難指示解除 が 決定 さ れ る な ど、
れ、また、今夏には南相馬市等におい
地域において既に避難指示が解除さ
い状況にあるが、楢葉町をはじめ一部
に元に戻すのではなく、創造的復興の
このため、その復興に当たっては、単
題先進地域」ともいえる地域である。
わば「課題先進国・日本」のさらに「課
被災地は震災前から過疎化や高齢
化等 の 進展 が 著 しい 地域 であり、言
創造的復興の推進による
「新しい東北」の創生
復旧・復興は着実に進展し、
「本格的
興を目指すこととしている。
「地方創生のモデル」となるような復
考えの下に「新しい東北」を創生し、
福島については、岩手、宮城とは異
なり、 年以内 での 復興完了 は 難 し
原子力事故災害地域は、
「本格的 な 復興」のステージへ
供用開始 されるなど、構想 の 具体化
3
ている。
困難区域 を 除 き、 年
今後はこれらハ ー ドの整備に合わ
せ、避難生活 の 長期化 に 伴 う 被災者
グルー プ補助金、企業立地補助金、緊
境整備 が 当面 の 最重要課題 で あ る。
のステージを迎えている。
のピー クを迎えている。
「地震・ 津波
の心のケアや、仮設住宅から恒久住宅
急融資・ 二重ロ ー ン対策等の施策の
※仙台~釜石間の約90%
見込みとなっており、現在まさに建設
被災地域」においては、全ての市町村
への移転に伴う被災者の自立、新たな
2019年 ラグビーワールドカップ
2020年 東京オリンピック、
パラリンピック
2021年3月 復興・創生期間の終了(復興庁の設置期限)
年度 までに 住 まいの 確保
74%
相馬福島道路※・ 三陸沿岸道路※
釜石花巻道路一部 一部開通予定
開通予定
JR常磐線全線
※霊山~相馬間
開通予定
・ 引き続き加速化措置を推進
・きめ細やかに市町村を支援
において
(4月末時点)
17
な復興」に向けての新しいステ ー ジ
月 に 閣議決定 された「帰還
6
(13~15年度で計216事業を支援)
「新しい東北」
の創造
※2015年12月末時点
【観光】
・ 構築したモデルの普及・展開へ重点化等
・ 企業・大学・NPOなど民間の人材や
ノウハウの最大限の活用
また、福島の本格復興にとって不可欠
復興公営住宅(4,890戸)
の整備完了予定
推進 により、被災地 の 産業 の 生産能
(18.3までに)
コミュニティ形成に対するソフト面で
営農再開可能面積:
【農業】
葛尾村(一部)、川内村で (遅くとも17.3までに)
帰還困難区域以外の
避難指示解除
区域について、
川俣町、南相馬市で
避難指示を解除
準備宿泊を実施
田村市、川内村(一部)、
楢葉町で避難指示解除等
福島の
復興・再生
災害公営住宅:
44%
59%
関係省庁と連携し、除染、
インフラ、
生活関連サービス復旧等
に関する事業が完成見込みとなって
101%
な除染土壌等の搬入先 となる中間貯
(全国で235%)※2010年比
力 は 概 ね回復 しつつある。しかしな
外国人宿泊者数:
(東北6県)
の支援等が重要な課題となってくる。
7
・ 販路開拓・新商品開発支援
・ 観光復興の推進(20年までに東北6県の外国人宿泊者数3倍を目指す(15年比)
・ 商店街の本格復旧支援等
産業・生業の
再生
高台移転:
災害公営住宅:
43%
58%
(19年度)
18
住まいの確保に関する
事業が概ね完了
70%
86%
高台移転:
災害公営住宅:
※2016年3月末時点
※
(16年度未見込み)
【完成戸数】
【完成戸数】
(18年度)
インフラ復旧は概ね終了。
道路・鉄道は
一部を除き概ね復旧
※
(18年度末見込み)
高台移転:
住まいと
まちの復興
17.1万人
10
を迎える。
昨年
21
2
いるなど、まさに「復興 の 総仕上 げ」
(発災直後)47万人
21.3
20.3
19.3
18.3
17.3
現状
2016.3
被災者の心身ケア、
コミュニティ形成、
「心の復興」等
16.0万人(5月16日現在)
【避難者数】
被災者支援
復興・創生期間
集中復興期間
2016年6月
東日本大震災からの復興に向けた道のりと見通し
Topics
東北の復興
ス分野においては、地方バス会社が大
産性向上の取り組みが、運輸・サービ
広域インフラの分野においては、と
りわけ被災地沿岸を縦に貫く高速道
手宅配業者 と提携して路線バスを活
用した貨客混載輸送 を開始するなど
福島第一
原子力発電所
大熊町
福島第二
原子力発電所
葛尾村
浪江町
双葉町
20km
市町村からの聞き取った
情報(平成26年4月1日時点の住民登録数)を基に原子力被災者生活支援チームが集計
。
広野町
次第である。
引き続きの支援を心からお願いする
それぞれの 立場 からの一人 ひとりの
挙げての取り組みを必要としており、
災害からの復興はまさに国の総力を
ていくこととしているが、未曾有の大
ピーディーな対応を引き続き心掛け
主義を徹底し、被災地に寄り添い、ス
なってくる。復興庁においても、現場
分野 の 方 々 の 力 が よ り一層必要 と
においては、行政だけではない幅広い
みがより重要となる
「復興・創生期間」
業の再生」などソフト面での取 り 組
の復興」
、
「暮らしの再生」
、
「産業・生
れまでのハード面での復興に加え、「心
応じて新 たな課題 も 生じてくる。こ
楢葉町
路である「復興道路」と、沿岸部と内
陸部を横につなぐ高速道路である
これまで全世界 から頂いた支援に謝
意 を 表 しつつ、我 が国の 総力 を 挙 げ
ての復興の姿を世界に向けて力強く
発信していかなければならない。
復興 は 着実 に 進展 しているが、未
だ途半 ばである。ステ ー ジの進展に
富岡町
川内村
の先駆的取 り 組みが注目 を 集めてい
2020 年
「復興五輪」に向 けて
東日本大震災、この 未曾有 の 大災
害からどのように復興を成し遂 げて
20
田村市
本の「復興支援道路」は、本年 月に
も大きく変化してきており、これらの
年で 経済環境 や 事業環境
ンセッション方式による運営が開始
変化に的確に対応した果敢な挑戦は、
る。この
される 仙台空港 と 併 せて、今後 の 東
今 後 人口減 少 等 が 加 速 し、 さ ら に
開通した北海道新幹線、この夏からコ
北の発展基盤を形成するものである。
いくか、世界が、そして歴史が注目し
TPP 等への 対応 が 迫 られる 全国各
きている。また、まちづくりやインフ
ていると言 える。そしてそれは 単 な
また、まちづくりの分野においても、
ラ復興の分野においても、UR(独立
るハード面における復興のみならず、
地域にとって大いに参考になるものだ。
づくりの参考となるものである。
行政法人都市再生機構)による CM
自然への向 き合い方や国土づくりに
一定 の 人口減少等 を 前提 としたコン
産業復興の分野においても、生産年
齢人口の 急激 な 減少 に 伴 う 担い手・
(コンストラクション・マネジメント)
おける「減災」の考え方、さらには文
パクトなまちづくりや 鉄路ではなく
マンパワー確保や、経営者の高齢化に
方式や事業促進型PPP(官民連携)
化 やシステムなどのソフト面 も 含 め
今回の震災では、これまでになく幅
広い分野で様々なNPO、ボランティ
伴う後継者難が大きな課題となるな
方式が、建設生産システムの再構築の
てどのような 価値 を 後世 に 残 し、世
BRT(バス・ラピッド・トランジット)
かで、労働生産性 の 向上等創造的産
先駆けとして初めて大規模に被災地
ア団体が活躍し、
さらに、
企業もCSR
業復興の試みが様々 な分野で見られ
協働して東北屈指の大規模経営によ
る復興 を目指 す動 きが見られる。さ
らに、被災地 の 主要産業 である 水産
加工分野においては、製造業の工程管
理を 参考に加工工程の改善による生
きる。
界 に発信 していくかが問 われている
による復旧・ 復興 を 前提 としたまち
(2016年7月12日解除)
で 活用 された。これらはいずれも 成
避難指示を解除する区域
る。例えば、農業分野においては、仙
(2017年3月31日解除)
と考える。 年には「東京五輪」が開
等の観点から復興に大 きく貢献して
解除日:田村市(2014年4月1日)
:川内市(2014年10月1日)
:田村市
(2016年6月14日)
:楢葉町(2015年9月5日)
:葛尾村(2016年6月12日)
飯舘村
熟時代 における「新 しい 官 と 民 との
台平野 を 中心 に 農地の 大規模化(
)が進められ、
10
いわき市
2016年6月時点
避難指示区域の概念図
催される。まさに「復興五輪」として、
伊達市
帰還困難区域
居住制限区域
避難指示解除準備区域
旧避難指示区域
凡例
4
づくりの 挑戦 は、今後 の 全国 の 地域
南相馬市
川俣町
5
3
協働」の萌芽の一つと捉えることがで
〜 a→標準区画1
ha
酪農分野においても 複数の 事業者 が
30
22
シリーズ
まち から、
むら から
沼垂テラス商店街
さびれたシャッター通り商店街が
魅力的な商店街に生まれ変わった
今や誰もが知る普通名詞になって
しま っ た「シ ャッ タ ー 通 り 商店街」
。
経営者の高齢化や商圏の郊外への移
行に伴 っ て全国いたるところで見ら
れ、地方の地盤沈下に拍車をかけてい
る。この商店街を買い取り、地元の活
性化に挑戦を始めた姉弟がいる。
JR新潟駅から歩いて 分ほどの
沼垂(ぬったり)地区。信濃川河口に
もに受けて、近年は店舗数も減り、閉
進出による商圏の郊外化の波をまと
たが、商店経営者の高齢化、大型店の
活況 を呈していた沼垂市場通 りだ っ
かつては人があふれ、人にぶつから
ずに 歩 くこともままならないほどの
生 まれ 故郷を 再生 させたい
目指すは「楽 しく面白い町」
沼垂市場通りを形成していた。
ていた店舗が一直線にズラリと並び、
や 食事 を 楽しんだ。これら市 を開い
の 主婦 たちが 大勢立 ち 寄 り、買い 物
製紙会社などに勤める労働者や近隣
(いち)が開かれ、近 くの製油工場 や
も存在した。当時の沼垂地区には、市
して 大 きな 役割 を 果 たし、卸売市場
着点 も 沼垂駅 で、新潟市 の 玄関口 と
た。新潟に初めて敷かれた鉄道の終
や酒などを出荷する物流の拠点 だっ
近く、かつては港町として栄え、味噌
15
店した店が続くシャッター通り商店
23
新潟市
Vol. 04
い物客で賑わい、テナント希望者がリストに名を連ねる。新たなブランド創出は、地域活性
かつて市場として栄えた長屋が昨年4月、おしゃれな商店街に生まれ変わった。週末は買
化さえも牽引する。若手経営者の出店がきっかけとなった再生への取り組みを紹介しよう。
左は、昭和34年に撮影された沼垂市場の様
子。右は月に一度のイベントの様子、たくさん
の買い物客で賑わう
シリーズ
まち から、
むら から
街となってしまった。
た田村氏 は、この 組合規約 の 壁 を 乗
オフィス社長は往時を振り返る。
通りで生まれ育 っ た田村寛・ テラス
町になっていったのです」
。沼垂市場
た。だんだん人も少なくなり、寂しい
テラスオフ ィスの専務に就任した
高岡 さんは「両親 は 地元 で 年近 く
んど銀行からの借り入れで賄った。
とめて買い取 っ た。買収資金はほと
立、220平方メートルの商店街をま
年 月、一つ年上の姉、高岡はつ
えさんと新会社テラスオフ ィ スを設
り 越 えるため、商店組合 から 全店舗
を譲り受けることを決断する。
沼垂市場通りに面した大衆割烹店
の 代目店主である田村社長は、
「自
るという 人 が目立つようになりまし
「私 が 中学生 だ っ た 昭和 年 あた
りから、後継ぎがいないから店をやめ
60
気軽に立ち寄れる賑わいのある商店
あ っ てほしい。昔のような 消費者 が
分が暮らす町が楽しく面白い場所で
ることができたんです」と、両親の信
した。そのおかげで、新たに借り入れ
からの借 り入れを 完済したところで
飲食店 を 営 んできて、ち ょ うど 銀行
姉弟 は、会社設立後 年間 は 準備
期間と覚悟し、 %ほど埋まればいい
店舗 を 借 りてソフトク
リームと手作り総菜の店をオー プン
と目算していたが、思いがけず
この「チャレンジ・ショップ」(田村
社長)の成功を見て、若い人たちから
市場通 り 全店舗 を 買い取 り
年でテナントは満杯に
1
枚のシャッターが並ぶ。
もう一つ心がけているのが、
「他の
地域にはない店」
。郊外の大型店へ行
です」と田村社長は強調する。
「沼垂テラス商店街」と名付けて新し
ると思いました」と高岡専務。
商店街 には、青森 の 伝統工芸 をア
レンジして自ら小物 などを製作・ 販
けば、ほとんどの商品を手に入れるこ
沼垂 テ ラ ス 商店街 の 特色 の 一 つ
は、レトロな 雰囲気 にある。昭和
売する店、古道具や古着・雑貨の販売
いスタートを切った。
「新たな商店街
ド家具店、次いで陶芸教室・工房と続
年代前半に建設されたままの古びた
店、ガラスや天然石の工芸・デザイン
とができる。
「駐車場 もない商店街に
いた。ところが、ここで壁にぶち当た
店が軒を連ねる。錆の浮き出た扉や
工房など、ユニークな店が並ぶ。開店
が生まれるのは全国でも珍しいし、商
る。当時、沼垂市場通り商店街は組合
屋根 も 目立つ。ほとんどの 店の 間口
から
軒、
全粒粉パン工房も人気店だ。
3
店目は喫茶店を備えたオー ダーメイ
管理。規約で組合員以外に店舗 を 貸
はシャッター 枚、広さ 平方メート
10
40
26
時間ほどで売り切れてしまう
す 場合は制限 を受ける。出店意欲の
ル程度と狭い。一直線の通りに
来てもらうためには特色が必要 なん
70
店街と名付けた方が、インパクトがあ
満杯になった。そこで、翌年 月には
1
ある若者からの相次ぐ申し出を抱え
出店相談が相次 ぐようにな っ た。
1
4
10
70
2
2
年で
した。2010年 月のことだ。
市場通 りの
街に復活できないものか」と思案。自
3
用力に感謝する。
50
14
己資金 と 新潟県 の 補助金 を 元手 に、
2
1
はつえ 専務
株式会社テラスオフィス 高岡
寛 社長
株式会社テラスオフィス 田村
田村社長が最初に出店した手作り総菜の店 ビンテージの和食器などを扱う雑貨店
24
て 移転 した 店以外 は一つも なく、現
これまでに撤退したのは、手狭になっ
若 い 人 た ち か らの 出店相談 が 多 い。
店主は 代 が中心で、 代 も 交じ
る若い世代が大半を占める。
「今でも
す」と評価する。
しており、街としてまとまりがありま
核になっているまとめ役がしっ かり
五十嵐友彰中小企業振興部次長は
「中
ながるという好循環を生んだ。
が 相次 ぎ、来店数 の 大幅 な 増加 につ
やテレビなどのマスコミからの 取材
が急速にア ッ プ。これを受けて新聞
件がウエイテ ィ ング・ リス
協力 すれば観光地化も 可能
田村社長の夢は膨 らむ
瞬く間に有名になった沼垂テラス
商店街。各地からの視察も相次ぎ、そ
時点で
の 対応に 追 われている。 知名度向上
だ。自身が総菜店をオ ー プンした時
田村社長 が、出店者選 びで“活用”
しているのが、商工会議所の経営相談
りしています」と厳しさも忘れない。
田村社長 は「現実的 でない 人 はお 断
目指 し ている 人 が 多 いの も 実情 だ。
これら申し込みのなかには、
しかし、
自分の趣味や夢の世界の実現 だけを
抗感はないし、うまく活用できていま
います。店主も 若い人 が多いので 抵
はほとんどがスマートフォンを持って
ブログにもアクセスできる。
「若い人
面白いのはブログのコーナー。各店
舗のイベント情報などを発信、過去の
介と写真の一覧も見ることができる。
商店街の略図に加え、各店舗の一口紹
史と盛りだくさんの項目。沼垂テラス
効果 を狙 っ たものと言えそうだ。周
品の町」と呼ばれることもあり、相乗
は酒蔵や味噌販売所も多く、
「発酵食
垂ビール」の製造・販売だ。沼垂地区
再生した沼垂 ブランドをさらに盛
り上げようという動きも見られる。「沼
として活用していきたい」(田村社長)
。
所にするため、空き店舗をサテライト
ンした。
「沼垂地区全体を魅力ある場
て写真集と古書の専門書店がオ ー プ
群馬県
長野県
トに載っています」(田村社長)
。
姉弟の夢はさらに拡大する。市場
通 りからはやや 離 れるが、同 じ 沼垂
には、充実したホ ー ムペ ー ジも 一役
買っている。同社のホームページを開
月、サテライト 店 とし
地区 に
も「甘い見込みではダメ」という指摘
す」と田村社長。
年
くと、商店街についての概要、周辺、歴
を受けた。この経験を生かし、出店希
辺には歴史のある寺院も多く、
「包括
夢だけでは経営者になれない
商工会議所の厳しい判断も
望者には県の補助金の利用や 商工会
︱ 田村
より良い街になるはずです」
がオープンし、広がりができてくれば
話 もできる場にしたい。魅力的 な 店
歩し、地域の人と声をかけ合い、立ち
「沼垂は私が生まれ、これからも生
活していく 場所。自分の子 どもと 散
可能」と田村社長の夢は膨らむ。
的な目線で協力し合えば観光地化も
このPR戦略が奏功した。インター
ネ ッ トになじんだ若者世代で知名度
議所に相談することを勧めている。
新潟商工会議所 の 大竹信也
広域経営支援センター長は「自
分 の 思いだけを 抱いて 相談 に
訪れる人たちには、これで生活
し、借金も返していかなければ
いけない、ということをしっか
り説明しています」という。こ
社長の地元愛は尽きることがない。
(文/ジャーナリスト 杉本哲也)
25
うした 沼垂 テラス 商店街 の 取
五十嵐 友彰 次長
管理事務所:株式会社テラスオフィス
新潟市中央区沼垂東3丁目5-22
tel:025-384-4010
12
福島県
新潟県
20
り組み方について、同商議所の
新潟商工会議所 中小企業振興部
沼垂テラス
商店街
新潟市中央区の信濃川河口近くにある、沼垂地区。
市場として使われていた長屋を改装し、昭和レトロ
な町並みを残しつつも新しく生まれ変わったのが、
沼垂テラス商店街。2010年から店舗がオープンし始
め、14年に全体を管理する事務所が開設。15年春に
は、ついに旧沼垂市場のすべての長屋が店舗として
開業した。毎月第1日曜日に開催される朝市は、出店
数も多く、特に人気だ。
15
30
56
山形県
Vol.7 京都支店
動く支 店
学生の街・京都ならではの取り組み
「同志社大学キャリア体感プログラム」
│
。京都市の人口の
学生の街・ 京都
割は大学生といわれており、その割合は大学
「産学連携の推進に関する協定書」
を締結し、
毎年、大学の夏休み期間に実施しています。
年度 は、京都支店の 女性活躍推進委員
会メンバー、京都創業支援センター及び同志
数の多い東京や大阪 を上回 っ ています。京
社大学キャリアセンタ ーで運営チ ームを組
都といえば、
「観光都市世界ランキング 位」
を思い浮かべる方も多いと思いますが、京都
み、 月の 実施 に 向 けて
含 む 観光客 だけではなく、学生 も 多い活気
あふれる街であるといえます。
13
2
1
公庫職員が業務の内容にとどまらず本音を話すこと
で、和やかな雰囲気で進められた座談会
学とともに「同志社大学キャリア体感プログ
京都支店 では、低年次 より 職業観の 醸成
を意識した学生支援 を行 っている同志社大
かけや仕事に対するやりがいなど)も話して
けではなく、職員の方の本音(入庫したきっ
切さや、社会人として働くまでに様々な知識
客様一人ひとりと 信頼関係 を 築 くことの 大
員の 方 と 直接 お 話 しでき、リアルな 仕事の
実情に触れることができ、刺激的だった」
「今
後、社会人 となり 社会 に 貢献 する 立場 にな
るにあたって、自分の特徴や得意分野につい
て、
常日頃から考えることが大切だと思った」
などの感想が寄せられました。
現在、 年度の実施に向けて準備 を 進め
ているところです。 人でも多くの大学生に、
年目 の 若手職員、同志社大学卒 の
職員が輪の中心となり、大学生が話しやすい
社会に出て働くことの楽しさを知ってもら
〜
雰囲気づくりに努めました。さらに、女子学
えるように、今後もこの取り組みを継続して
庫
生が参加者の半数以上を占めることから、公
いきたいと思います。
(文/京都創業支援センター 金子孝幸)
16
月 に 京都支店 と同志社大学 が
もらえたら」というご要望があり、公庫の概
2015 年
同志社大学の夏休み期間に実施する当プログラムは、毎
年熱心な大学生が参加する
24
庫の女性活躍推進・ 職場環境向上の取 り 組
2
みを説明する機会も設けました。
1
1
座談会 では、大学生 と 公庫職員 がより 身
近にコミュニケーションを取れるように、入
先輩たちの生の声で
社会の仕組みを知る
も設けました。
ラム」をスタートしました。当プログラムは、
参加 してくれた同志社大学の 人(男性
人・女性 人、 、 回生中心)
からは、
「お
11
を身につけておくことが必要だと感じた」「職
す。業務の説明や職場の雰囲気を伝えるだ
夢や目標を考えるきっかけになると思いま
「先輩方の生の声を聞
同志社大学からは、
くことで、社会と触れる機会を持ち、将来の
備を進めました。
容 を 検討し、何度 も 打 ち 合 わせを 重ねて 準
6
15
9
要説明 のほか、座談会 や 業務室見学 の 時間
企画検討と打ち合わせを重ね
支店全体で臨む充実の内容
月頃 から 企画内
市内 には 実 に 多 くの 大学 があり、外国人 を
1
1
2
26
ご意見・ご感想
水源と豊かな自然を資産として持つ当
潜在的な魅力はたくさんあります。
「地方
市においても、非常に参考になる内容で
創生」として、地域の特性を生かした活
ありました。今後も貴誌を通じての様々
動を展開されている記事を拝読し、改め
な情報提供を参考として、貴公庫をはじ
て取り組むべきことの多さを実感しました。
めとする各機関と連携し、地域経済活性
(静岡県青色申告会連合会 森本淳一朗 様)
化に取り組んで参りたいと思います。
第4号
(神奈川県 相模原商工会議所
経営支援課 霜島祐亮 様)
農業を支援する一員として、新規就農
住む兵庫県はとても農業が盛んな県で、
の記事を拝読させて頂きました。農産物
栽培のノウハウを蓄積し、商品にしていく
新しい農業ビジネスの構想が、非常に興
海士町の「島をまるごとブランド化」を
読んで、とても刺激を受けました。私の
若い農業者も育っているように感じます。
第5号
海士町に負けないように兵庫県や地域
味深い内容でした。今後の農業の発展
「女性起業家を後押し」という記事を
には、他業界からの人材の流入が必要
読み、大変興味を持ちました。会社の創
であり、そういった人材をサポートしていく
業に係る全ての相談がワンストップでで
をブランド化して、農業を益々活気づけら
れればと思います。
(兵庫県 野菜生産、野菜卸)
ことが日本公庫農林水産事業に求めら
き、本業に集中できることはとても有難い
れることだと思います。今後とも貴誌の
ことです。悩みを相談し合い、率直な意
名古屋支店(動く支店)の記事を読ん
記事に期待しております。
見を交換しながら、お互いに切磋琢磨し
で驚きました。女性・女性と言われるば
(千葉県 旭市農水産課振興班 大村宏之 様)
関市の伝統的刃物産業にかかる記事
を興味深く拝読いたしました。
「手工業か
合う姿が想像できます。女性がさらに活
かりの時代かと思いきや、こんなに真剣
躍できる社会が作られ、柔軟なライフスタ
に女性の起業に取り組んでいる人たち
イルを送れることは、同じ女性として元気
がいるんですね。というか、公庫さんはホ
をもらえます。
ントに何でもやってるんですね。
(福島県 石田智子 様)
らハイテクへの脱出」が課題として挙げら
(兵庫県 農家の嫁)
れていましたが、
トレードオフの関係にな
りやすい「生産機能の向上」と「雇用拡
人口減少は事業環境を大きく揺るがし
大」をいかに両立するか、地方創生を目
ており、当社でも商圏人口の減少、若年
での具体的な施策についての記事で、
指す同市の取り組みに注目していきたい
層の採用難に直面しています。厳しい環
特に隠岐郡海士町のそれは大変興味深
と思います。
境ではありますが、私たち中小企業はそ
く、また驚愕の気持ちにさせられました。
(石川県 金沢市経済局商業振興課 れを乗り越え、お客様に価値を提供し続
歴史ある地方での創生方法についての
けることで、地域の活力維持に貢献する
具体的かつ実践的な行動で「よそ者の
所存です。行政、公庫をはじめとする金
発想」の認識が成功の鍵であると…。こ
融機関におかれても、一層の支援をお願
れは民間金融企業でも必要な考え方で
い申し上げます。
あり、第三者になった気持ちで、その企
中村文宣 様)
第 4 号の特集記事は「攻めの農林水
産業の展開」ということで、貴公庫が支
(栃木県 自動車販売業)
援された各地の先進事例が紹介されて
業の分析等を行い、経営者等の幹部は
その結果を素直に受け入れれば、今後
おり、大変興味深く拝読いたしました。特
に、同じ県内である藤沢市の企業事例
地域経済を支える小規模事業者の経
については、法人として都市型農業のノ
営環境は非常に厳しい状況です。大企
安定した経営に資することができるので
ウハウをプラットフォーム化することで、農
業には成し得ない特色のある商品作りや、
はないかと痛感した次第です。
業参入を支援するという取り組みであり、
多く知恵を含んだ商品やサービスなど、
❖ 編 集 後 記
の展開に様々な活路を見出すことができ、
(広島県 淵上勝伯 様)
『日本公庫つなぐ』へのご意見募集
本誌へのご意見・ご感想をお待ちしており
太陽の陽射しが眩しい季節がやってきました。私は、夏
ます。お寄せいただいたご意見などは、
『日本
といえば幼い頃、毎年楽しみだった六月灯を思い出します。
編集させていただくことがあります。
六月灯とは、旧暦の6月(現在は7月)に鹿児島県内の神
社や寺院で行われるお祭りのことです。地元の人からは、
「ろっがっどー」
の呼び名で親しまれています。皆さんの地元には、
どんなお祭りがありますか?
その土地ごとの〝らしさ"がある行事、大切にしていきたいですね。それでは、素敵な夏をお
過ごしください。
(藤下)
27
「地方創生」の取り組みに係る各組織
公庫つなぐ』に掲載します。誌面の都合上、
[FAX送付先]
宛
先
03-3270-1643
日本政策金融公庫 広報部
『日本公庫つなぐ』編集担当
日本公庫ホームページでもご意見・ご感想を
承っております。
第6号
2016年7月発行
国産にこだわり農と食をつなぎます。
アグリフードEXPO 東京 2016
プロ農業者たちの国産農産物・展示商談会
木
金
10:00~17:00
10:00~16:00
東京ビッグサイト
東4ホール
主催
8月18日/19日
会場
日時
企画・発行/
(株)日本政策金融公庫 広報部 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-4 Tel.03-3270-0631
制作・編集/
(株)日経BPコンサルティング 編集アドバイザー/森一夫
第11回
『日本公庫つなぐ』は、日本公庫ホームページでもご覧になれます。
広報部では、本誌へのご意見・ご感想をお待ちしております。
https://www.jfc.go.jp/
日本公庫つなぐ
検索
本誌掲載の記事、写真、イラストなどの無断転用・転載はお断りします。