材料力学演習 2016 課題⑨解答例: 熱応力の不静定問題 でも一定で同じである。 1.《解答》 (1) フリーボディダイアグラムは解図 1.1 となる。 RA Qx RA RB (1.7) したがって, x の位置の応力 x は,内力 Qx を断面積 RB Ax で割って, x 解図 1.1 フリーボディダイアグラム RA RA Ax bhx (1.8) (3)と同様に, x の位置の微小幅 dx の力 P による伸び 力のつり合い式は,右方向を正の向きとして, を d P とすると, RA RB 0 d P P dx したがって, RA RB (1.1) E dx RA dx bhx E (1.9) 全体の伸び P は式(1.9)を積分して, (2) 熱膨張によるひずみ T は, l T T x P d P 0 (1.2) となり,どの位置でも一定である。 x の位置の微小幅 RA l dx bE 0 hx ここで,置換積分を用いる。式(1.5)から, dx の伸びを d T とすると, d T T dx Tdx dhx h 0 dx l (1.3) 全体の伸び T は式(1.3)を積分して, T d T T dx Tl l l 0 0 したがって, (1.4) P つまり,熱による伸びには,断面積の変化は関係しな いことになる。 (3) 長方形の面積は縦×横。横に当たる幅が b で一 RA l bE h0 dhx 2 h0 h x h0 RA l [ln hx ]h20h0 bE h0 (1.10) RA l ln 2 bh0 E 定である。縦に当たる高さが変化する。 x の位置の高 さを hx とすると, h 2h0 x hx 2h0 0 x h0 (2 ) l l (5) 両側が剛体壁に挟まれているので,熱による伸び と壁からの仮想反力による伸びの和はゼロとなる。した (1.5) がって, T P 0 したがって, x の位置の断面積 Ax は, x Ax bhx bh0 (2 ) l (4) (6) 式(1.11)に,式(1.4),(1.10)を代入して, (1.6) Tl x の位置の内力 Qx を仮想断面に対して引張と仮 定すると,式(1.1)より,次式で示すようにどの仮想断面 1 RA l ln 2 0 bh0 E (1.11) のみで良い。また,円筒の P1 は片側だけでも良い。 したがって, RA ET bh0 RB ln 2 (1.12) T がプラスのとき圧縮である。 P2 P1 P2 P1 (7) 応力は内力を断面積で割って, x Qx RA Ax bh0 (2 x / l ) (1.13) ET ln 2(2 x / l ) 式(1.13)より,絶対値の最大値は x l で生じ,その値 は, max x (l ) ET ln 2 (1.14) 解図 2.1 フリーボディダイアグラム 剛体板に関して,力のつり合いを考えると, (8) 最大応力が,引張強さ以下であれば良いから, max B P1 P2 0 (1.15) (2) 円筒と円柱は剛体の板を通じてつながっているの 式(1.14)を代入し, T について解くと, ET B ln 2 T B ln 2 E で,自由に膨張できず変形量は同じとなる。 1 2 (1.16) により 張強さは幅があるが安全側で最小値の B 330 MPa とし, 330 106 ln 2 206 109 11.2 106 99.14 K (1.17) 23.6 10 6 ,引張強さは B 167 MPa であるから, 167 106 ln 2 67 109 23.6 106 73.20 K 1 Pl 1 1Tl A1 E1 (2.3.a) 2 P2 l 2 Tl A2 E2 (2.3.b) (4) 式(2.3)を式(2.2)に代入すると, (9) ア ル ミ ニ ウ ム の 場 合 , E 69 GPa , T (2.2) (3) 引張力と温度上昇による伸びを重ね合わせること 低炭素鋼の場合, E 206 GPa , 11.2 10 6 ,引 T (2.1) (1.18) Pl Pl 1 1Tl 2 2 Tl A1 E1 A2 E2 上式を整理して, P1 P 2 (1 2 )T A1 E1 A2 E2 2.《解答》 (1) フリーボディダイアグラムは解図 2.1 となる。ここで (2.4) 一方,式(2.1)から, は,理解しやすいように円柱,円筒,床もフリーボディ P2 P1 として描いてあるが,設問にあるように,解答は剛体板 2 (2.5) 式(2.5)を式(2.4)に代入して, ( 400 106 69MPa 206MPa (23.6 11.2) 106 (100) 200 106 69MPa 400 106 206MPa 400 69 206 (23.6 11.2) 100 103 200 69 400 206 73.28 106 Pa 73.3 MPa 1 1 1 ) P1 (1 2 )T A1 E1 A2 E2 したがって, 2 P1 A1 A2 E1 E2 (1 2 )T A1 E1 A2 E2 P2 P1 A1 A2 E1 E2 (1 2 )T A1 E1 A2 E2 (2.6.a) P2 P1 A 1 1 A2 A2 A2 200 (73.28 106 ) 400 36.64 106 Pa 36.6 MPa (2.6.b) 1 と 2 を比較して,絶対値の最大応力はアルミニウム (5) 応力は,荷重 P1 , P2 をそれぞれの断面積で割っ 製の円筒側に生じ,大きさは max 73.3 MPa の引張 て, 応力である。 1 P1 A E E ( 2 )T 2 1 2 1 A1 A1 E1 A2 E2 (2.7.a) 2 P2 A1 E1 E2 (1 2 )T A2 A1 E1 A2 E2 (2.7.b) (8) 円筒と円柱を入れ替えたので,物性値と記号の対 応は以下の通りとなる。 E1 206 GPa , E2 69 GPa 1 11.2 10 6 K 1 , 2 23.6 10 6 K 1 片方が引張応力でもう一方が圧縮応力になる。どちら 1B 330 MPa , 2 B 167 MPa が引張でどちらが圧縮かは,それぞれの材料の線膨 A1 200 10 6 m 2 , A2 400 10 6 m 2 張係数 1 , 2 のどちらが大きいかによって決まる。 線膨張係数の大小関係が 1 2 であることを考慮し (6) 円筒と円柱の伸びは等しいから,式 (2.3.a) に式 て,円筒,円柱のそれぞれについて許容できる温度変 (2.6.a)を代入して, 1 2 化 T1 , T2 を求めると, Pl 1 1Tl A1 E1 1B A2 E2 (1 2 )Tl 1Tl A1 E1 A2 E2 (2.8) A2 E1 E2 (1 2 )T1 A1 E1 A2 E2 T1 1B (1 A1 E1 2 A2 E2 )Tl A1 E1 A2 E2 2B 式(2.7)から,円筒と円柱のどちらか一方は圧縮応力が (2.9.a) A1 E1 E2 (1 2 )T A1 E1 A2 E2 T2 2 B 働いているが,変形量は温度変化がプラスであれば, A1 E1 A2 E2 A2 E1 E2 ( 2 1 ) 円筒,円柱ともに伸びている。 A1 E1 A2 E2 A1 E1 E2 ( 2 1 ) (2.9.b) (7) 円柱を低炭素鋼,円筒をアルミニウムとしているの 数値を代入して計算すると, で,必要な物性値と記号との対応は以下の通りに成る。 E1 69 GPa , E2 206 GPa 1 23.6 10 6 K 1 , 2 11.2 10 6 K 1 1B 167 MPa , A1 200 10 6 2 m , T1 330 106 200 106 206MPa 400 106 69MPa 400 106 69MPa 206MPa (23.6 11.2) 106 2 B 330 MPa 330 (200 209 400 69) 103 400 69 206 (23.6 11.2) A2 400 10 6 m 2 324.8 K 324 K 式(2.7)に代入して, 3 解図 3.2 剛体棒の変位 T2 167 106 6 6 200 10 206MPa 400 10 69MPa 200 106 69MPa 206MPa (23.6 11.2) 106 BCB' と三角形 DCD ' は相似な三角形であるから, 167 (200 209 400 69) 103 200 69 206 (23.6 11.2) 1 : 2 BC : DC l : 3l 328.7 K 328 K 両方を満足する最大値としては,アルミニウムの円柱 (3.3) したがって, 側の結果から, Tmax 324 K 2 31 3.《解答》 (3.4) (4) 張力は引張荷重と仮定しているので,張力による (1) ワイヤの張力は,ワイヤを引張る向きに働くと仮定 ひずみはプラスとする。一方,熱ひずみは冷却なので すると,剛体棒 BD のフリーボディダイアグラムは解図 ワイヤを縮ませる。よって,熱ひずみにはマイナス符号 3.1 となる。 をつけて,両者の和が全体の伸びと考える。 T1 C D B R 1 2l ( T1 T ) AE (3.5.a) 2 3l ( T2 T ) AE (3.5.b) T2 (5) 式(3.4)に式(3.5)を代入すると, 解図 3.1 剛体棒のフリーボディダイアグラム 3l ( (2) 力のつり合いは,上向きを正として, T1 R T2 0 (3.1) T2 T T ) 3 2l ( 1 T ) AE AE したがって, C 点回りのモーメントのつり合いを考える。反時計回り T2 T T 2 1 2T AE AE をプラス,時計回りをマイナスの向きとすると, T1 , T2 による回転方向は,いずれも時計回りであるから, 2T1 T2 ETA lT1 3lT2 0 式(3.6)に式(3.2)を代入して, したがって, T1 3T2 7T2 ETA (3.2) T2 (3) 解図 3.1 のように,張力は時計回りに働くように仮 定したため,C 点を中心に回転してつり合った状態は ぐである。 T1 B’ B C ETA 7 (3.7.a) 式(3.2)に代入して, 解図 3.2 のようになる。剛体棒は変形しないので真直 1 (3.6) 3ETA 7 断面積で割って, D 2 D’ 4 (3.7.b) T1 3ET A 7 T2 ET 2 A 7 に生じる 1 である。これが,許容応力以下であれば良 1 いから, (3.8) 3ET a 7 (6) 式(3.1)より, T 7 a 3 E (3.10) 数値を代入して, R T2 T1 1 3 ETA ETA 7 7 4 ETA 7 7 a 3 E 7 110 106 3 206 109 11.2 106 111.2 K=111 K (3.9) T (7) 式(3.8)より,絶対値がより大きな応力はワイヤ AB 5 (3.11)
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