綱紀のしおり - 九州北部税理士会

綱
紀
の
し
お
平成15年3月
九州北部税理士会
綱紀監察部
り
序
われわれ税理士は、税務の専門家として、納税者の信頼にこたえ、納税義務の適正
な実現を図ることが使命であります。
そのためにわれわれは、その社会的責務の重要性を認織し、常に広い視野に立った
専門的知識の研さんに努め、厳正な倫理観をもって業務を遂行し、高い品性と社会的
地位の向上を図らなければなりません。
特に、地方公共団体における外部監査人の登用等、われわれ税理士に期待される社
会的要請は一段と高いものがあります。
たとえ一人といえども、税理士としての品位を失うような行為があれば、それが直
ちに税理士全体の社会的信頼を損うことになりかねません。
会員各位は、常に法令・会則等を遵守し、誇りをもつて業務に精励されることを願
うものであります。
平成15年3月
九州北部税理士会
会 長 久 原
久
目
次
1.職業倫理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.事務所の設置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
3.変更登録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
4.法令及び会則・規則等の遵守 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
5.代理権限の明示 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
6.税理士証票の携行・提示 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
7.署名・押印 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
8.委嘱契約 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
9.脱税相談等の禁止 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
10.助言義務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
11.信用失墜行為の禁止 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
12.秘密を守る義務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
13.業務の制限 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
14.ニセ税理士との関連排除 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
15.名義貸の禁止 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
16.事務所職員等に対する監督義務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
17.事務所職員等の引抜禁止 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
18.広告について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
19.業務委嘱懇請の禁止 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
20.業務侵害の禁止 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
21.報酬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
22.会員に対する監督 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
23.違反者に対する処分 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
24.税理士が主宰する会計法人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
1.職業倫理
会員は、税理士の使命の重要性を認識し、職責を遂行するため、税理士の業務
に関する法令と実務に精通しなければならない。
会員は、その使命に鑑み、常に深い教養の涵養と高い品性の陶冶に努め、税理
士の信用又は品位を傷つけるような行為をしてはならない。
会員は、職業倫理を認識し、常に税理士としての名誉と良識を保持し、社会的
地位の向上に努めなければならない。
<税理士法>
第1条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の
理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な
実現を図ることを使命とする。
<会則>
第39条 会員は、申告納税制度の理念にそって、納税者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規
定された納税義務の適正な実現に努めなければならない。
第40条 会員は、その使命にかんがみ、常に深い教養の保持と高い品性の陶冶に努め、税理士業
務(法第2条及び法第2条の2の業務をいう。)に関連する法令と実務に精通しなければならない。
<綱紀規則>
第2条 会員は、税理士法第1条に規定する税理士の使命の重要性を認識し、職業倫理に従いその
使命のもとに職責を遂行するため、高潔な人格の陶冶と円満な常識の涵養に努め、税理士の業
務に関連する法令と実務に精通しなければならない。
第4条 会員は、その使命に鑑み、各自その品位を保持するとともに、常に税理士の社会的信用
の向上に努めなければならない。
<使用人等綱紀細則>
第2条 使用人等は、税理士の業務の補助を行うに当たって税理士の責務を深く認識し、その責
務の達成に協力しなければならない。
第3条 使用人等は、税理士の業務の補助をなすものとしての立場を超えてはならない。
2.事務所の設置
(1)税理士会員(社員税理士、補助税理士を除く、以下この項において同じ)
は、税理士業務を行うための税理士事務所を設けなければならない。
事務所とは、業務を継続的に行う場所である。
税理士会員は、その業務を行うための税理士事務所を設置し、連合会に登
録した事務所の名称を表示しなければならない。
(2)税理士会員事務所は、1か所に限られ2か所以上設けることはできない。
(ただし、税理士法人を除く。)
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ア
税理士以外の資格を有する場合に、当該資格に基づき別に事務所を設け
るときは、業務の区分があいまいとならないよう十分注意しないと、増設
事務所を設置したとみなされるおそれが多分にある。
イ
自宅と税理士事務所が別個にある場合、双方に税理士事務所の名称を表
示する(電話帳の表示を含む)ことも増設事務所を設置したとみなされる。
ウ
事務所職員等を常時その職員の自宅又は、税理士事務所以外の場所にお
いて勤務させた場合は、増設事務所を設置したとみなされる。
工
連絡所・取次所等の看板掲示も、増設事務所とみなされるおそれがある。
(3)社員税理士及び補助税理士は、自ら税理士業務を行うための事業所を設
けることはできない。
<税理士法>
第40条 税理士(税理士法人の社員(財務省令で定める者を含む。第4項において同じ。)を除く。
次項及び第3項において同じ。)及び税理士法人は、税理士業務を行うための事務所を設けなけ
ればならない。
2 税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する。
3 税理士は、税理士事務所を二以上設けてはならない。
4 税理士法人の社員は、税理士業務を行うための事務所を設けてはならない。
<施行規則>
第18条 法第40条第1項に規定する財務省令で定める者は、補助税理士とする。
3.変更登録
会員は、登録を受けた事項について変更を生じた場合、例えば、氏名・本籍・
住所・事務所所在地及び事務所の名称に変更が生じたとき、又は住所・事務所所
在地について住居表示等の変更があったときは、遅滞なく変更の登録を申請しな
ければならない。
また、税理士法人について、定款の変更を行ったときは遅滞なく届け出をしな
ければならない。
<税理士法>
第20条 税理士は、第18条の規定により登録を受けた事項に変更を生じたときは、遅滞なく変更
の登録を申請しなければならない。
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4.法令及び会則・規則等の遵守
会員は、税理士法その他税理士に関する法令並びに日本税理士会連合会の会則
及び本会の会則・綱紀規則・支部規約を誠実に守らなければならない。
会員が、これらの法令・会則・規則を守らないときは法規違反となり財務大臣
による懲戒処分又は本会会長による処分を受けることになる。
<税理士法>
第39条 税理士は、所属税理士会及び日本税理士会連合会の会則を守らなければならない。
<連合会会則>
第60条 税理士会の会員は、税理士に関する法令、本会の会則並びに税理士会の会則及び規則を
遵守しなければならない。
<会則>
第42条 会員は、税理士に関する法令、連合会の会則並びに本会の会則及び規則等を遵守しなけ
ればならない。
<綱紀規則>
第3条 会員は、税理士に関する法令、日本税理士会連合会の会則並びに本会の会則、規則等を
誠実に守らなければならない。
第19条 会員は、支部若しくは本会又は連合会が税務官公署又は税務協力団体と協定した事項に
ついては、協力するよう努めなければならない。
5.代理権限の明示
会員は、税務代理をする場合には、代理権限を有することを証する書面(税務
代理権限証書)を税務官公署に提出しなければならない。この場合、代理すべき
事項を明確に記載しておく必要がある。
したがって、税務調査に立ち合う時は、自らこれに立ち合わなければならない。
<税理士法>
第30条 税理士は、税務代理をする場合においては、財務省令で定めるところにより、その権限
を有することを証する書面を税務官公署に提出しなければならない。
第31条 税理士は、税務代理をする場合において、次の行為をするときは、特別の委任を受けな
ければならない。
一 不服申立ての取下げ
二 代理人の選任
第34条 税務官公署の当該職員は、租税の課税標準等を記載した申告書を提出した者について、
当該申告書に係る租税に関しあらかじめその者に日時場所を通知してその帳簿書類(その作成
に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することがで
きない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう)
の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)を調査する場合におい
て、当該租税に関し第30条の規定による書面を提出している税理士があるときは、あわせて当
該税理士に対しその調査の日時場所を通知しなければならない。
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<施行規則>
第15条 法第30条(法第48条の16において準用する場合を含む。)に規定する財務省令で定める
ところにより提出しなければならない税務代理の権限を有することを証する書面は、別紙第8
号様式による税務代理権限証書とする。
<綱紀規則>
第10条 会員は、税務代理に当たっては、その代理の権限を有することを証する書面を税務官公
署に提出しなければならない。
6.税理士証票の携行・提示
会員は、税務代理をする場合において、税務官公署の職員と面接するときは、
税理士の身分を証するため、税理士証票を提示しなければならない。また、税理
士業務を行う場合には、税理士証票を携行し、会員章を着用しなければならない。
このことはニセ税理士排除のためにも必要である。
<税理士法>
第32条 税理士又は税理士法人が税務代理をする場合において、当該税務代理に係る税理士が税
務官公署の職員と面接するときは、当該税理士は、税理士証票を提示しなければならない。
<会則>
第45条 税理士会員は、税理士業務を行うときは、税理士証票を携行し、税理士会員章を着用し
なければならない。
<綱紀規則>
第11条 税理士会員は、税理士業務を行うときは、税理士証票を携行し、税理士会員章を着用し
なければならない。
7.署名・押印
会員は、①税務代理をする場合において、租税に関する申告書等を作成して税
務官公署に提出するとき、及び②税務書類を作成したときは、当該申告書等に税
理士である旨を付記して署名押印しなければならない。
この場合、税理士であることを付記するにあたって、補助税理士である場合に
は、補助税理士である旨を表示する。
なお、補助税理士は、従事する税理士又は税理士法人が委嘱を受けた事案につ
いて、自らの名において税理士業務を行うことができる。
<税理士法>
第33条 税理士又は税理士法人が税務代理をする場合において、租税に関する申告書等を作成し
て税務官公署に提出するときは、当該税務代理に係る税理士は、当該申告書等に署名押印しな
ければならない。この場合において、当該申告書等が租税の課税標準等に関する申告書又は租
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税に関する法令の規定による還付金の還付の請求に関する書類であるときは、当該申告書等に
は、併せて本人(その者が法人又は法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定
めがあるものであるときは、その代表者又は管理人)が署名押印しなければならない。
2 税理士又は税理士法人が税務書類の作成をしたときは、当該税務書類の作成に係る税理士は、
当該書類に署名押印しなければならない。
3 税理士は、前2項の規定により署名押印するときは、税理士である旨その他財務省令で定め
る事項を付記しなければならない。
<施行規則>
第16条 法第33条第3項に規定する財務省令で定める事項は、次の各号に掲げる場合の区分に応
じ、それぞれ当該各号に定める事項とする。
1 税理士法人の社員又はその補助税理士が署名押印する場合 当該税理士法人の名称
2 税理士の補助税理士が署名押印する場合 当該税理士の税理士事務所の名称
8.委嘱契約
会員は、委嘱者との契約を忠実に守り、紛議等が生じないようにしなければな
らない。
会員が作成した申告書について、その内容や計算に誤りがあって加算税を賦課
された場合や申告期限を経過したような場合に、その原因が会員の不注意による
ものであるときは、契約不履行として損害賠償の責任が生ずることがある。
なお、税理士法人は、合名会社に準じた法人であることから、損害賠償の責任
が生じた場合などのときには、社員税理士は連帯して無限責任を負うことになる。
<税理士法>
第48条の21第4項 商法第76条から第83条までの規定は、税理士法人の外部の関係について準用
する。
<綱紀規則>
第12条 会員は、納税義務者との委嘱契約を忠実に守り、委嘱者との間に紛議等を生じないよう
努めなければならない。
9.脱税相談等の禁止
(1)会員は、不正に租税の賦課、徴収を免れ、又は還付を受けることについて
指示したり、相談に応じたりその他これらに類する行為を行うことは税理士
として最も恥ずべきことである。この様な場合には、財務大臣による懲戒処
分を受けるほか、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる。
(2)会員は、故意に真正の事実に反して税務代理又は、税務書類の作成をして
はならない。これに違反すると財務大臣による懲戒処分を受けるほか、その
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処分に違反して税理士業務を行った場合は、1年以下の懲役又は100万円
以下の罰金に処せられる。
<税理士法>
第36条 税理士は、不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若し
くは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為
をしてはならない。
第45条 財務大臣は、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成
をしたとき、又は第36条の規定に違反する行為をしたときは、1年以内の税理士業務の停止又
は税理士業務の禁止の処分をすることができる。
2 財務大臣は、税理士が、相当の注意を怠り、前項に規定する行為をしたときは、戒告又は1
年以内の税理士業務の停止の処分をすることができる。
第46条 財務大臣は、前条の規定に該当する場合を除くほか、税理士が、第33条の2第1項若しく
は第2項の規定により添付する書面に虚偽の記載をしたとき、又はこの法律若しくは 国税若し
くは地方税に関する法令の規定に違反したときは、第44条に規定する懲戒処分をすることがで
きる。
第58条 第36条(第48条の16又は第50条第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反した
者は、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
第60条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 第42条の規定に違反した者
二 第43条の規定に違反した者
三 第45条若しくは第46条又は第48条の20第1項の規定による税理士業務の停止の処分を受け
た場合において、その処分に違反して税理士業務を行った者
<綱紀規則>
第5条 会員は、不正に租税の賦課若しくは徴収を免れ、又は還付を受けることにつき指示をし、
相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない。
第6条 会員は、故意に又は相当の注意を怠り、真正の事実に反して、税務代理又は税務書類の
作成をしてはならない。
<使用人等綱紀細則>
第4条 使用人等は、脱税につき指導をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしては
ならない。
10.助言義務
会員は、委嘱者に不正な事実(租税の賦課、徴収を免れている事実、不正な還
付、課税標準等の計算の基礎となるべき事実の隠ぺい、仮装)があることを知っ
た時は、直ちに是正するよう助言しなければならない。
税理士が助言したにもかかわらず委嘱者が助言に従わなかった場合、助言義務
違反にはならないがそのまま税理士業務を継続して行う場合には、不真正な税務
書類の作成禁止違反等に該当することになるおそれがある。
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<税理士法>
第41条の3 税理士は、税理士業務を行うに当たって、委嘱者が不正に国税若しくは地方税の賦
課若しくは徴収を免れている事実、不正に国税若しくは地方税の還付を受けている事実又は国
税若しくは地方税の課税標準等の計算の基礎となるべき事実の全部若しくは一部を隠ぺいし、
若しくは仮装している事実があることを知ったときは、直ちに、その是正をするよう助言しな
ればならない。
第45条 財務大臣は、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成
をしたとき、又は第36条の規定に違反する行為をしたときは、1年以内の税理士業務の停止又
は税理士業務の禁止の処分をすることができる。
2 財務大臣は、税理士が、相当の注意を怠り、前項に規定する行為をしたときは、戒告又は1
年以内の税理士業務の停止の処分をすることができる。
<綱紀規則>
第7条 会員は、委嘱者が脱税若しくはこれに類似する事実があることを知ったときは、その是
正をするよう助言しなければならない。
<使用人等綱紀細則>
第5条 使用人等は、税理士の業務の補助を行うに当たって委嘱者が脱税若しくはこれに類似す
る事実があることを知ったときは、直ちに使用主たる税理士にその旨を報告しなければならな
い。
11.信用失墜行為の禁止
会員は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、納税義務
者の信頼にこたえ、納税義務の適正な実現を図ることを使命とするのであるから
税理士の信用の保持と品性の向上を図り、もって納税者に信頼される健全な税理
士制度の発展に努めなければならない。
特に、税理士本人の脱税及び不正還付等は品位を失墜するもので、絶対にあっ
てはならない。
税理士としての品位を失墜するような行為があればそれが直ちに税理士会全
体の社会的評価を損なうこととなる。
<税理士法>
第37条 税理士は、税理士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
<会則>
第41条 会員は、税理士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
<使用人等綱紀細則>
第7条 使用人等は、税理士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
12.秘密を守る義務
会員は、業務の性質上委嘱者等の所得・財産その他経営の内容等に関しその秘
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密を知り得ることが多い。委嘱者は、税理士に絶大の信用を寄せてこれ等の秘密
を打ち明けるのであるから道義上秘密を守らなければならない。
税理士が委嘱者等の秘密に属することをみだりに外部にもらすおそれがある
とすれば、委嘱者等は安心して税理士に委嘱することができず、両者の相互信頼
関係は成り立たなくなる。
そこで税理士法では、守秘義務の規定を設けて、税理士が正当な理由がなく、
業務上知り得た秘密を他人に洩らし、又は自己若しくは第三者のために利用する
ことを禁じている。
このことは、税理士業務を廃止した後においても同様であり、事務所職員等も
同様の義務がある。
正当な理由とは、本人の許諾を受けたとき、法律の規定に基づくとき等である
が、裁判所の証言等であっても法第38条の秘密を守る義務があることを明言し、
免責を確認又は確約を得る等特に慎重を要する。
本項に違反した場合は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられ
る。また守秘義務に違反して委嘱者に損害を与えた場合には不法行為として損害
賠償の責任を負わなければならないことがある。
<税理士法>
第38条 税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は
窃用してはならない。税理士でなくなった後においても、また同様とする。
第54条 税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に
関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。税理士又は税理士法人の使用人
その他の従業者でなくなった後においても、また同様とする。
第59条 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 税理士となる資格を有しない者で、日本税理士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申
請をして税理士名簿に登録させたもの
二 第38条(第50条第2項において準用する場合を含む。)又は第54条の規定に違反した者
三 第52条の規定に違反した者
2 前項第2号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
<綱紀規則>
第27条 会員は、正当な理由がなくて税理士業務に関して知った秘密を他に洩らし、又はこれを
窃用してはならない。
<使用人等綱紀細則>
第6条 使用人等は、正当な理由がなくて業務に関して知った秘密を他に洩らし、又はこれを窃
用してはならない。使用人等でなくなった後においてもまた同様とする。
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13.業務の制限
(1)国税又は地方税に関する行政事務に従事していた公務員で、税理士となっ
た者は離職後1年間は、その離職前1年内に占めていた職の所掌に属すべき
事件について税理士業務を行ってはならない。これに違反した場合は1年以
下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
(2)社員税理士は、自己又は第三者のために税理士法人の定款に定める業務の
範囲に属する業務を行うことはできない。
また他の税理士法人の社員になることもできない。
<税理士法>
第42条 国税又は地方税に関する行政事務に従事していた国又は地方公共団体の公務員で税理
士となったものは、離職後1年間は、その離職前1年内に占めていた職の所掌に属すべき事件
について税理士業務を行ってはならない。但し、国税庁長官の承認を受けた者については、こ
の限りでない。
第48条の14 税理士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその税理士法人の業務の範囲に
属する業務を行い、又は他の税理士法人の社員となってはならない。
第60条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 第42条の規定に違反した者
二 第43条の規定に違反した者
三 第45条若しくは第46条又は第48条の20第1項の規定による税理士業務の停止の処分を受け
た場合において、その処分に違反して税理士業務を行った者
14.ニセ税理士との関連排除
(1)会員は、他人の求めに応じ財務書類の作成、会計帳簿の代行、その他財務
に関する事務と、法第2条の税理士業務の一部又は全部を合せて委嘱を受け、
業務を行っている者(税理士、税理士法人を除く)から税理士業務の部分に
ついて、外注又は再委嘱を受けてはならない。
(2)会員は、直接であると間接であるとを問わずまた、有償であると無償であ
るとを問わず、税理士でないもので税理士業務を行っている疑いのある者と
①税理士事務所を共同使用し又は賃貸借すること、②業務上のあっせんを受
け又は紹介すること、③名義貸し、④業務を代理し又は業務に関与すること、
⑤業務上の便宜を与えること、などの関係を結んではならない。
なお、ニセ税理士の疑いのある者を発見したときは、速やかにその者の氏
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名及びその事実の概要等を本会に届け出でなければならない。
<税理士法>
第52条 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理
士業務を行ってはならない。
第53条 税理士でない者は、税理士若しくは税理士事務所又はこれらに類似する名称を用いては
ならない。
2 税理士法人でない者は、税理士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
第59条 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 税理士となる資格を有しない者で、日本税理士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申
請をして税理士名簿に登録させたもの
二 第38条(第50条第2項において準用する場合を含む。)又は第54条の規定に違反した者
三 第52条の規定に違反した者
2 前項第2号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第61条 次の各号のいずれかに該当する者は、100万円以下の罰金に処する。
一 第53条第1項の規定に違反した者
二 第53条第2項の規定に違反した者
三 第53条第3項の規定に違反した者
<綱紀規則>
第17条 会員は、直接間接又は有償無償を問わず、法第52条に違反する疑いのある者と次の関係
を結んではならない。
(l)税理士の業務を行うための事務所を共同使用し又は賃貸借すること。
(2)業務上のあっせんを受け又は紹介すること。
(3)実質上の使用人となり又は雇用すること。
(4)業務を代理し、又は業務に関与すること。
(5)業務上の便宜を与えること。
2 会員は、法第52条に違反する疑いのある者を発見したときは、速やかにその者の氏名及びそ
の事実の概要等を本会に届け出なければならない。
15.名義貸の禁止
会員は、いかなる方法を問わず、税理士としての自己の名義を他に貸与しては
ならない。
事務所職員等任せの場合、事務所職員等を在宅執務させる場合、知人に頼まれ
て税務書類に署名だけする場合等は、名義貸となるおそれがある。名義貸行為は、
法第37条違反として処分されることがある。
このため、会員は常にニセ税理士の発生を防止するよう努めなければならな
い。
<税理士法>
第37条 税理士は、税理士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
<綱紀規則>
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第16条 会員は、いかなる場合においても、他の者に税理士として自己の名義を利用させ、又は
利用するおそれのあるような便宜を与えてはならない。
16.事務所職員等に対する監督義務
会員は、税理士業務の適正な遂行に欠けるところがないよう常に事務所職員等
を監督し、その綱紀維持に努めなければならない。
事務所職員等のニセ税理士行為の黙認、自宅執務を認めたことから派生した非
行、退職してひそかに在職中の関与先を持ち出して、ニセ税理士行為をするか、
別の税理士事務所に就職するといった例があり、いずれも会員の事務所職員等に
対する監督が行き届かなかったことが原因の一つである。
<税理士法>
第41条の2 税理士は、税理士業務を行うため使用人その他の従業者を使用するときは、税理士
業務の適正な遂行に欠けるところのないよう当該使用人その他の従業者を監督しなければな
らない。
<会則>
第44条 会員は、税理士の業務に係るその使用人その他の従業者が税理士に関する法令に違反す
る行為を行わないよう、連合会の会則並びに本会の会則及び規則等の規定に基づき、監督しな
ければならない。
<綱紀規則>
第20条 会員は、税理士の業務に係るその使用人その他の従業者が税理士に関する法令に違反す
る行為を行わないよう、連合会の会則並びに本会の会則及び規則等の規定に基づき、監督しな
ければならない。
<使用人等綱紀細則>
第9条 会員は、その使用人等が第3条から第8条までの規定に違反する行為をしないよう常に
十分な監督をしなければならない。
2 会員は、その使用人等が第3条から第8条まで(第6条後段を除く。)の規定に違反する行為
をした場合において使用人等の行為につき、本会に対して責任を負わなければならない。
第10条 会員は、その使用人等について、第3条から第8条までの規定に違反する事実があると
認めたときは、本会にその旨を報告しなければならない。
第11条 会員は、他の税理士の使用人等について、第3条から第8条までの規定に違反する事実
があると認めたときは、本会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとることを求めること
ができる。
第12条 本会は、使用人等が第3条から第8条までの規定に違反した事実があると認めたときは、
常務理事会の議を経て当該使用人等の使用主たる税理士に対し、情状により次の区分に従い懲
戒処分をなすことを勧告することができる。
(1) 戒
告
(2) 減
給
(3) 解
雇
2 前項の勧告は、第9条第2項の責任を免除するものと解してはならない。
第13条 会員は、他の税理士の使用人であった者で、前条の勧告の原因となった行為をした者で
あるときは、常務理事会の承認を受けなければ、これを雇用してはならない。
- 11 -
17.事務所職員等の引抜禁止
税理士事務所として有能な事務所職員等を雇用したいのは当然であるが、その
ために他の会員の事務所職員等を引き抜いて、雇用することは道義上及び会員の
相互信頼上最も好ましくないとして、厳に禁止されている。
<綱紀規則>
第22条 会員は、他の会員の使用人等を引き抜き雇傭してはならない。
18.広告について
会員は、税理士としての公共的使命及び業界の秩序を守る必要から、その業務
の広告については、税理士の信用又は品位を害するような文言及び方法を用いて
はならない。
<綱紀規則>
第15条 会員は、自己の業務について、本会の定めに反する場合を除き、広告することができる。
19.業務委嘱懇請の禁止
(1)会員は、次に掲げるような不公正な方法をもって業務の委嘱を懇請しては
ならない。
ア
他の会員を誹誇し又は自己の能力若しくはサービスを誇大に表現する行為。
イ
納税者に過ちを生じさせたり、不当に有利な結果を期待させるような行為。
ウ
第三者の地位又は圧力を利用して、強制的に契約をさせようとする行為。
工
税務官公署又はその他の団体に対し影響力があることを暗示するような行
為。
オ
その他税理士の品位又は信用を損うおそれのある行為。
(2)その他会員は、開業あいさつ状、名刺その他の印刷物に明らかに業務の委
嘱を懇請し、又は利益を誘導するような字句を使用してはならない。
- 12 -
<綱紀規則>
第13条 会員は、納税義務者に対しみだりに業務の委嘱を懇請し、又は不公正な方法をもって、
業務の委嘱を誘引してはならない。
20.業務侵害の禁止
会員は、それぞれの相互信頼のもとに、他の会員の業務を尊重しつつ、税理士
業務を行うべきである。他の会員を中傷し、又は誇大に自己宣伝をし、直接的又
は間接的に自己の利益のみを追求するあまり、他の会員の業務を不当に侵害して
はならない。
<綱紀規則>
第18条 会員は、直接であると間接であるとを問わず、他の会員の業務を不当に侵害するような
行為をしてはならない。
2 会員は、すでに他の会員が関与している者より委嘱の申し込みを受けた場合は、良識により
判断し、会員相互の信義にもとらないよう努めなければならない。
21.報
酬
会員は、算定根拠を明確にした、報酬算定規定を作成し、それにより、請求し
なければならない。
<綱紀規則>
第28条 会員は、税理士業務報酬を請求するときは、合理的な算定根拠によらなければならない。
第29条 会員は、自らの報酬算定基準を予め定め、税理士業務報酬に関する委嘱者の質問に答え
る用意がなくてはならない。
<使用人等綱紀細則>
第8条 使用人等は、なんらの名義をもってするを問わず、委嘱者から報酬を受けてはならない。
22.会員に対する監督
本会、支部又は連合会は必要があると認めた場合には会員に対しその業務につ
いて報告を求め、又は勧告をし若しくは指示することができる。
また、監督上必要があると認めた場合には、本会又は支部は、会員の業務を調
査し又は質問することができる。
国税庁長官は、会員からの報告を徴し、質問し又は帳簿書類を検査することが
できる。いずれの場合も、会員はこれに従わなければならない。
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<税理士法>
第49条の3第2項 支部は、税理士会の目的の達成に資するため、支部に所属する会員に対する
指導、連絡及び監督を行う。
第49条の6 税理士は、登録を受けた時に、当然、その登録を受けた税理士事務所又は税理士法
人の事務所の所在地を含む区域に設立されている税理士会の会員となる。
<連合会会則>
第68条 本会は、税理士会の事業又は税理士の業務の適正な運営を図るため必要があるときは、
税理士会若しくはその会員から報告を徴し、又はこれらの者に必要な勧告をし、若しくは指示
をすることができる。
<会則>
第47条 本会は、支部の業務又は会員が行う税理士業務の適正な運営を図るため必要があるとき
は、支部若しくは会員から報告を徴し、又はこれらのものに対し必要な勧告をし、若しくは指
示を行うことができる。
第48条 本会は、本会の運営上必要があるときは、支部の業務若しくは会員が行う税理士業務を
調査し、又は支部若しくは会員に対し質問をすることができる。
23.違反者に対する処分
財務大臣は、会員が税理士に関する法令に違反したときは、戒告、1年以内の
税理士業務の停止又は、税理士業務の禁止等の懲戒処分をすることができる。ま
た、会長は会員が税理士に関する法令、連合会の会則又は本会の会則、若しくは
規則に違反した場合は、理事会の決議を経て、訓告又は会員としての権利の停止
の処分をすることができる。
<税理士法>
第44条 税理士に対する懲戒処分は、左の3種とする。
一 戒 告
二 1年以内の税理士業務の停止
三 税理士業務の禁止
第45条 財務大臣は、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成
をしたとき、又は第36条の規定に違反する行為をしたときは、1年以内の税理士業務の停止又
は税理士業務の禁止の処分をすることができる。
2 財務大臣は、税理士が、相当の注意を怠り、前項に規定する行為をしたときは、戒告又は1
年以内の税理士業務の停止の処分をすることができる。
第46条 財務大臣は、前条の規定に該当する場合を除くほか、税理士が、第33条の2第1項若し
くは第2項の規定により添付する書面に虚偽の記載をしたとき、又はこの法律若しくは国税若
しくは地方税に関する法令の規定に違反したときは、第44条に規定する懲戒処分をすることが
できる。
<連合会会則>
第72条 本会は、税理士会の会員が法又は本会若しくは税理士会の会則に違反した場合には、当
該税理士会の意見を徴したうえ当該会員を訓告することができる。
<会則>
第49条 会長は、会員が税理士に関する法令、連合会の会則又は本会の会則若しくは規則に違反
した場合は、理事会の議を経て当該会員を訓告し、又は1年以内本会の会員として有する権利
の全部又は一部を停止することができる。
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2 前項に規定する本会の会員として有する権利は、本会から文書の送付を受ける権利、本会の
施設を利用する権利、本会の会議に出席する権利並びに本会の役員を選挙する権利及び役員と
なる権利とする。
24.税理士が主宰する会計法人
税理士が主宰する会計法人を秩序をもって運営するための指標として、留意す
べき事項を次のとおり示す。
(1)税理士業務と会計業務及び主宰税理士の責任
税務代理、税務書類の作成、税務相談は税理士業務であり当然税理士として責
任を負う。財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行などの会計業務は法律上の制限
はないが、これが税理士業務に合わせて委嘱されるときには税理士法上の税理士
の業務とされ、税理士としての責任が生ずる、即ち、税理士は税務に関する専門
家のみならず会計面の専門家でもあり、この立場からも社会的信頼に応えること
が要請される。
この要請に応えるためには、主宰会計法人の代表者には必ず主宰税理士自身が
過半数を超える出資の割合をもって就任し、責任を負うべきである。
(2)主宰会計法人の所在地と支店営業所の設置の是非
主宰会計法人の所在地は、管理監督上から、原則として税理士事務所と同一場
所とすべきである。同様の趣旨から、その法人の支店及び営業所は設置すべきで
ない。
(3)会計業務の契約のあり方と主宰会計法人への委託
主宰会計法人は、あくまで税理士事務所の会計業務の下請機関であることを明
確にする必要がある。従って、会計業務は主宰税理士が税理士業務と共に一括し
て契約したうえで、これを主宰会計法人へ委託する方式の採用を徹底すべきであ
る。
(4)主宰会計法人の使用人に対する監督
主宰税理士は、使用者責任上から、その使用人が当該法人の名で税理士業務を
行うことのないよう監督しなければならない。
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