平成 28 年 7 月 20 日 記 者 発 表 農林水産業競争力アップ技術開発 技術マニュアルなど研究成果の普及について 農林水産業競争力アップ技術開発の成果を生産者等にわかりやすく紹介するため、技 術マニュアルやカラーチャートを作成しました。 今後、生産者の所得向上や地域の活性化につながるよう、こうした研究成果を活用し、 開発した技術の普及に努めてまいります。 1 「青ちりめん高菜」の栽培技術確立(農業試験場)H25~27 年度 タカナは「めはりずし」の材料として、主に東牟婁地域で「三池高菜」が栽培されてき ましたが、近年、西牟婁地域でも「青ちりめん高菜」の栽培が増えてきています。そこで、 収量の安定していない「青ちりめん高菜」について、省力的で増収につながる新たな栽培 技術を確立しました。 2 「湯浅なす」青果販売用果実の生産技術(農業試験場)H25~27 年度 「湯浅なす」は、江戸時代から金山寺みその加工原料として用いられてきた和歌山の伝 統野菜です。「湯浅なす」復興の取り組みの一つとして、青果販売の取り組みが行われて いますが、果実の秀品率が低く、販路拡大などの障害となっていました。そこで、青果販 売用果実生産に適した整枝・誘引マニュアルを作成しました。 3 黄色のモモ新品種「つきあかり」の収穫熟度カラーチャート (かき・もも研究所)H25~27 年度 黄色のモモ「つきあかり」は夏のギフト需要に利用できる食味良好な新品種であり、本 県生産者の注目度も高いのですが、収穫適期の見極めが難しいという問題がありました。 そこで「つきあかり」の収穫に適した熟度を明らかにし、収穫適期を容易に判断すること ができる収穫熟度カラーチャート(暫定版)を作成しました。 4 マナマコの種苗生産マニュアル(水産試験場)H25~27 年度 マナマコは容易に漁獲でき、収益性にも優れた磯根資源として注目されています。マナ マコ資源を増大するには種苗の放流が有効と考えられるため、県産マナマコの種苗生産・ 放流技術を開発しました。本技術には高度な設備やテクニックが不要であり、漁業者自ら 取り組むことができます。 お問い合わせ先 県庁 研究推進室 岩本 TEL:073-441-2997 FAX:073-433-3024 *具体的な研究内容については各試験場(連絡先は別添)にお問い合わせください。 平成 28 年 7 月 20 日 記 者 発 表 「青ちりめん高菜」の栽培技術確立 1 県内のタカナ栽培について タカナは、中央アジア原産のアブラナ科越年草でカラシナの変種になります。和歌山県 では、郷土料理「めはりずし」の材料に用いられており、東牟婁地域で水田の裏作として 主に「三池高菜」の葉かき栽培(約 4ha)が行われてきました。近年では、西牟婁地域で 「青ちりめん高菜」の株どり栽培に取り組んでいます。 2 問題点 本葉を葉かき収穫する「三池高菜」に対し、株どり収穫する「青ちりめん高菜」は省力 的ですが、栽培が始まったばかりで技術は確立されておらず、生産量が低いため、増収に よる収益性を図る必要があります。 3 開発した技術のポイント ○「青ちりめん高菜」の株どり収穫では、施肥量を増やし(慣行の 1.5 倍:窒素量 45kg/10a)、マルチ栽培で密植にすることにより、生産量がアップします。 ○マルチ栽培により、雑草との養分競合を防ぎ、除草作業が省けます。 ○マルチ栽培に加え、更に緩効性肥料による基肥 1 回施肥にすると、省力的な栽培にな ります。 4 技術開発によるメリット ○本技術により、生産量はこれまでの 2 倍以上となり、より省力的で収益性が良い栽培が 行えます。 ○タカナ農家の生産量の増加が期待でき、伝統野菜の生産維持につながります。 収量 アップ! タカナのマルチ栽培 お問い合わせ先 農業試験場 林恭平・林恭弘 〒640-0423 和歌山県紀の川市貴志川町高尾 160 TEL:0736-64-2300(代) FAX:0736-65-2016 平成 28 年 7 月 20 日 記 者 発 表 「湯浅なす」青果販売用果実の生産技術 1 湯浅なすとは 「湯浅なす」は、江戸時代から湯浅町で栽培されてきた和歌山の伝統野菜です。果実 は大型で丸くて固く、果皮は明るい青紫色をしています(写真1)。果実は主に金山寺 味噌の具材として用いられています。近年は生産者が大幅に減少し、「湯浅なす」の存 続が危ぶまれていましたが、平成20年頃から、 「湯浅なす」復興の取り組みが始まり、 現在は8名の生産者が生産を行っています。 2 問題点 現在、「湯浅なす」復興のために青果販売の取り組みを行っています。しかし、果実の秀 品率が低く、販路の拡大およびブランド化の障害となっています。 3 開発した技術のポイント ○青果販売に適した高品質果実の多収栽培技術を開発しました。 ①整枝・誘引・摘葉技術を確立しました。 ②台木‘トナシム’を選定しました。 ③整枝・誘引マニュアルを作成しました。 4 技術開発によるメリット 本研究成果を活用して、青果販売用果実の安定生産と販路拡大、ブランド化の進展が 期待されます。 「湯浅なす」果実 お問い合わせ先 農業試験場 矢部・東 〒640-0423 和歌山県紀の川市貴志川町高尾 160 TEL:0736-64-2300(代) FAX:0736-65-2016 平成 28 年 7 月 20 日 記 者 発 表 黄色のモモ新品種「つきあかり」の収穫熟度カラーチャート 1 「つきあかり」の特性について 平成 22 年に品種登録された新品種(現 国立研究開発法人農・研機 構果樹茶業研究部門が育成)であり、糖度が 14~15 度と高く、食味は 極めて良好です。黄肉であり、遮光袋を掛けて栽培することで、果皮の 着色を抑制して「月」のようなきれいな外観に仕上がることが特徴です。 2 問題点 産地からは食味の良い黄肉の桃として期待されていますが、 「白鳳」等 の白肉の品種に比べ、収穫適期の判断が難しいことが問題でした。 3 開発した技術のポイント 未熟 収穫適期 過熟 ○熟度が進むとともに、果皮の黄色が濃くなり、糖度が増します。一方で、熟度が進み 過ぎると枝あたりの傷果や果肉障害(みつ症)の発生が増加することが分かりました。 ○収穫適期の判断指標として果肉硬度および測色計値を利用できることを明らかにし ました。 4 技術開発によるメリット 測色計値等に基づいて作成した収穫熟度カラーチャート(暫定版)を用いることで、 生産者が簡易に「つきあかり」の収穫期判断ができるようになりました。 お問い合わせ先 かき・もも研究所 和中 〒649-6531 和歌山県紀の川市粉河 3336 TEL:0736-73-2274(代) FAX:0736-73-4690 平成 28 年 7 月 20 日 記 者 発 表 マナマコの種苗生産マニュアル 1 和歌山県におけるマナマコ漁 和歌山県では、燃料費の高騰や漁業者の高齢化等を背景に漁家経営が厳しい状況にあり ます。そのため、地先で容易に漁獲でき、収益性にも優れるマナマコに注目が集まってい ます。マナマコは、体色の違いによりアカ・アオ・クロに分けられ、和歌山県では主にア カが漁獲されています。漁期は 12~3 月で、年間 20~30 トン程度の漁獲量があり、潜水 等により漁獲されます。 2 問題点 マナマコは浅い場所に生息し、低労力・低コストで漁獲することができることから、冬 季の重要な水産資源です。マナマコの資源増大には、種苗を量産し放流することが有効と 考えられますが、これまで、県産マナマコの種苗生産技術は確立されていませんでした。 3 開発した技術のポイント ○和歌山県産マナマコの成長特性を解明しました。 ○和歌山県の環境に適した種苗生産技術を確立しました。 4 技術開発によるメリット 高度な設備やテクニックは不要なため、漁業者自らがマナマコの種苗生産に取り組むこ とができます。 お問い合わせ先 水産試験場 白石 〒649-3503 和歌山県東牟婁郡串本町 串本 1557-20 TEL:0735-62-0940 成長した稚ナマコ FAX:0735-62-3515
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